ClaudeもGeminiも、アカウントを作れば無料の範囲で使い始められ、個人事業の事務量なら試すには十分なことが多いです。お礼メールや案内文の下書き、補助金の要項の要約、確定申告の制度の下調べから始め、税額や控除の判断は国税庁の資料と専門家で確かめるのが安全な使い方です。
この記事の結論
無料の範囲でも、文章の下書き・要約・制度の下調べといった日常の事務は十分に試せます。ただし税制は改正が多く、AIは古い情報で答えることがあるため、確定申告に関わる判断は一次情報と専門家で裏付けます。
- 無料の範囲には利用量などの制約があるが、個人事業の事務量なら試すには十分なことが多い
- 最初は、お礼メール・営業時間変更のお知らせ・補助金の要項の要約など、失敗しても困らない作業から試す
- 確定申告は制度の概要の理解に使い、経費や控除の可否は自分の事情に当てはめて確認する
- マイナンバー・口座情報・顧客の個人情報は入力しない
- 有料プランは、利用量の制約で困る場面が出てから検討しても遅くない
ClaudeとGeminiは無料でどこまで使える?
フリーランス、一人親方、小さな商店や農家など、限られた予算で経理や事務を回している立場では、効果が分からないものに月額を払うのはためらわれます。仮に月1万円の差でも、年間では12万円の負担です。ClaudeもGeminiも、まずは無料の範囲で日常業務の多くを試せます。
無料で試しやすい作業
- メール・お知らせ・案内文の下書き
- 長い文章の要約と、要点の箇条書き
- 制度の一般的な仕組みの説明
- 文章の言い換え・誤字の確認
- メモを表や手順の形に整理すること
無料の範囲で気をつけたいこと
- 利用量の上限に達すると、しばらく使えなくなることがある
- 入力した内容の扱い(AIの学習に使われるか)は設定で確認する
- 回答に誤りや古い情報が混じることがある
- 使える機能はサービスやプランで異なり、変わることもある
AIの機能や料金は変化が速いため、無料で使える範囲や有料プランの料金は、各サービスの公式サイトで確認してください(2026年10月時点の一般的な整理です)。
無料で始める手順|アカウント作成から最初の1週間
始め方はシンプルですが、最初に設定とルールを決めておくと、後で業務に広げるときに困りません。
- 公式サイトか公式アプリから始める名前の似たアプリや、検索結果の広告から偽のサイトに誘導されることがあります。提供元を確かめてから登録します。
- アカウントを作る公式サイトの案内に沿って登録します。GeminiはGoogleアカウントで利用します。仕事用と私用でアカウントを分けておくと、後で整理しやすくなります。
- データの扱いの設定を確認する入力した内容がAIの改善(学習)に使われるかどうかの設定と、データの取り扱いの説明を読みます。
- 入力しない情報を決めるマイナンバー、口座情報、取引先や顧客の個人情報は入力しないと決めておきます。
- 小さな作業で試す取引先へのお礼メールの下書き、補助金の募集要項の要約、経費になりそうな項目の一般論など、普段の困りごとを文章で相談してみます。
- 1週間で振り返る時間が減った作業と、直しが多かった作業をメモし、続けて使う場面を決めます。
頼み方のコツ:目的・相手・条件を書く
「お礼メールを書いて」とだけ頼むより、「取引先の担当者に、先日の打合せのお礼と、見積書を今週中に送ることを伝えたい。丁寧すぎない文体で3〜4文にして」のように、目的・相手・条件を書くと、直しの少ない下書きになりやすくなります。名前や金額は空欄にしてもらい、後から自分で入れます。
個人事業の事務で何に使う?場面別の使い方
効果を感じやすいのは、毎回ゼロから書いている文章と、読むのに時間がかかる資料です。場面ごとの頼み方と、人が確認することを整理します。
| 場面 | 頼み方の例 | 人が確認すること |
|---|---|---|
| 取引先へのメール | 「打合せのお礼と、見積書の送付予定を伝えるメールを」 | 宛名・日付・金額は自分で入れる |
| お客様へのお知らせ | 「冬季の営業時間変更のお知らせを、店頭の掲示用とSNS用に」 | 営業日と時間が正しいか |
| 悪天候時の連絡 | 「大雪で配達や訪問が遅れる可能性を伝える連絡文を」 | 約束できない時刻を書いていないか |
| 補助金・助成金の要項 | 「この要項の対象者・対象経費・締切を箇条書きに」 | 原文の該当箇所と照合する |
| 季節の繁閑に合わせた案内 | 「繁忙期の予約受付と、閑散期のサービスの案内文を」 | 価格や条件の表記 |
| 経理の下準備 | 「この支出の勘定科目の候補を一般論で挙げて」 | 自分の事業での使い方に当てはまるか |
北海道の個人事業ならではの使い方
雪の多い地域では、冬季の営業時間変更のお知らせ文や、悪天候時のお客様への連絡文をAIに下書きさせると、急な対応でも素早く整えられます。道や市町村の補助金・助成金は要項が長く読みにくいことがありますが、要約させて全体像をつかむ用途に向いています。要項は年度や公募回で変わるため、締切や対象経費は原文で確かめてください。
農業や観光など季節の繁閑が大きい事業では、時期ごとの案内文や、外国人のお客様向けの文章づくりにも使えます。
観光やインバウンドの多言語対応での使い方は、観光・インバウンドの多言語対応をClaude/Geminiで進める方法で紹介しています。
確定申告・経理ではどこまで頼れる?使いどころと限界
確定申告や日々の経理でも、AIは下調べや整理の助けになります。「白色申告と青色申告の一般的な違い」「家事按分の基本的な考え方」「帳簿づけで気をつける一般的な点」など、制度の概要を理解するための調べ物に使うと、勉強の効率が上がります。
ただし、税務は個別の事情で結論が変わり、AIの一般論がそのまま自分に当てはまるとは限りません。経費の可否や控除の適用を誤ると、申告のやり直しや追徴につながることもあります。
| AIに聞いてよいこと | AIに判断を任せないこと |
|---|---|
| 青色申告と白色申告の一般的な違い | 自分が青色申告の要件を満たしているか |
| 家事按分の基本的な考え方 | 自宅兼事務所の按分割合をいくつにするか |
| 勘定科目の意味と、科目の候補 | 特定の支出が経費になるかの最終判断 |
| 確定申告の大まかな流れと必要書類 | 控除を受けられるかどうかの判定 |
| 用語の意味(所得・所得控除・税額控除など) | 税額の計算(計算ツールや申告書作成コーナーで行う) |
AIが古い情報で答えやすい論点(2026年10月時点)
- 基礎控除:令和8年分は合計所得489万円以下で104万円など、所得に応じた段階制。一律の金額や令和7年分以前の金額で説明する回答は古い
- 所得税がかからない給与の目安:令和8年分は178万円以下(家族を扶養に入れられる給与の上限は136万円以下)。「103万円の壁」という説明は古い
- 青色申告特別控除:令和8年分までは最高65万円。令和9年分からは要件を満たすと75万円
- インボイスの経過措置:免税事業者からの仕入れは、2026年10月1日から2028年9月30日まで70%控除(2026年9月30日までは80%)
- 2割特例:個人は令和8年分まで。令和9年分と令和10年分は、登録しなければ免税事業者になる個人が使える3割特例
- 少額減価償却資産の特例:2026年4月1日以後の取得は40万円未満(それまでは30万円未満)
- 北海道最低賃金:2026年10月1日から1,131円
税額の計算はAIに任せず、計算ツールや国税庁の申告書作成コーナーで行います。青色申告にするとどれくらい税額が変わるかは、次のツールで試算できます。
無料ツール青色申告と白色申告の税額の差を比べる所得の見込みを入れると、青色申告特別控除による節税効果の目安を比べられます。計算する 無料
ツール所得税額を速算表で計算する課税される所得の見込みを入れると、所得税額の目安を確認できます。AIの説明の検算にも使えます。計算する
令和8年度の税制改正の全体像は令和8年度税制改正のポイントで、個人事業主が使える節税策は個人事業主の節税メニューで整理しています。
AIで概要をつかんだあと、自分の場合に経費や控除が使えるかは個別の確認が必要です。初回無料で、申告の判断から相談できます。
無料で相談する人が確かめるべき点と、入力してはいけない情報
無料・有料を問わず、AIの回答には誤りが含まれることがあります。とりわけ税制は改正が頻繁で、AIが古い情報をもとに答える可能性があります。確定申告に関わる内容は、次の順で裏付けてから使います。
- 根拠を挙げてもらう回答の根拠になる制度の名前を、AIに挙げてもらいます。
- 国税庁の資料で確かめる制度の名前で国税庁のタックスアンサーを調べ、内容が一致するかを確認します。
- 年分と適用の時期を確認する金額や割合が、何年分の申告に使うものかを確かめます。改正の前後で数字が変わることがあります。
- 分からない点は相談する自分の事情に当てはまるか判断できないときは、税務署や税理士に確認します。
あわせて、次の情報は安易にAIへ入力しないようにします。利用するサービスの学習設定とデータの取り扱いを確認したうえで、特定につながる情報は伏せて相談しましょう。
- マイナンバー(個人番号)
- 銀行口座の番号、クレジットカードの番号、各種のパスワード
- 取引先や顧客の氏名・住所・電話番号などの個人情報
- 申告書や決算書、通帳の画像をそのまま
- 取引先との契約で秘密にすると約束した情報
無料のままでよい?有料プランを考えるタイミングと経費の扱い
個人事業の事務なら、まずは無料で十分なことが多いです。有料プランを検討するのは、利用量の上限で作業が止まる、長い資料を毎日のように扱う、仕事の道具として毎日使うようになった、といった場面が出てきてからでも遅くありません。有料プランで何が変わるかはサービスとプランで異なるため、公式サイトで確かめてから選びます。
有料プランに切り替えた場合、事業に使う分の利用料は必要経費になります(通信費や支払手数料などの科目で処理します)。私用と兼用している場合は、事業で使う割合で家事按分します。消費税を本則課税で申告している場合は、請求書に適格請求書発行事業者の登録番号があるかも確認します。2割特例や簡易課税で申告している場合は、仕入税額控除のための請求書の確認は必要ありません。
使い方を決めてから有料にする
先に有料プランを契約するより、無料で1〜2週間使い、「この作業に毎週使う」と決まってから切り替えるほうが無駄がありません。効果は、作業時間がどれだけ減ったかで判断します。
よくある質問
ClaudeとGeminiのどちらから始めればよいですか?
どちらも無料で試せるため、同じ依頼を両方に出して、自分の仕事に合うほうを選ぶのが近道です。普段使っているメールや文書のサービスとの相性も、選ぶときの手がかりになります。使い分けを決めるのは、1〜2週間使ってからで十分です。
帳簿付けをAIに任せることはできますか?
チャット型のAIは会計ソフトではないため、記帳そのものは会計ソフトで行います。AIは、勘定科目の考え方の整理や、取引の内容を説明する文章づくりまでの補助と考えるのが現実的です。会計ソフトとAIの連携の現状は会計ソフト×Claude/Gemini連携の現在地で解説しています。
AIの回答と税務署の説明が違ったときは、どちらを信じればよいですか?
税務署や国税庁の情報を優先してください。AIは改正前の情報や、別の制度と混同した説明をすることがあります。食い違った点は、国税庁のタックスアンサーで制度の名前を確かめ、それでも分からなければ税務署か税理士に確認します。
スマートフォンだけでも使えますか?
どちらもスマートフォンのブラウザーや公式アプリから利用できます(2026年10月時点)。外出先でメモを文章に整える用途には便利です。ただし、長い要項や表の確認は、画面の大きいパソコンのほうが見落としを防ぎやすくなります。
まとめ
ClaudeもGeminiも無料の範囲で始められ、個人事業の事務量なら試すには十分なことが多いです。営業時間変更のお知らせや補助金の要項の要約など身近な作業から試し、確定申告は制度の概要の理解に使って、判断は一次情報と専門家で裏付けます。税制改正による誤った回答に注意し、マイナンバーなどの機密は入力しないようにしましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
個人事業の経理・確定申告のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
- 国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)」
- 国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除
- 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除
- 国税庁「令和8年度税制改正によるインボイス制度の見直し」
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
