法人経営の基本|資金繰り・会社の維持費・社長の給料で押さえる点

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法人経営の基本は、利益とお金の動きを分けて管理し、赤字でもかかる会社の維持費と税金の期限を把握することです。社長の給料(役員報酬)は事業年度開始の日から3か月以内に決め、毎月同額で払うのが原則で、外すと経費にならない部分が出ます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

法人を安定して続ける土台は、資金繰り・会社の維持費・役員報酬の3つを数字で管理することです。利益が出ていても、資金が回らなければ会社は続けられません。

  • 利益とお金はずれる。売掛金・在庫・借入の返済・納税を資金繰り表で先読みする
  • 赤字でも法人住民税の均等割がかかる(札幌市内の小規模な法人は年7万円)
  • 法人は役員1人でも社会保険の加入が必要
  • 役員報酬は事業年度開始の日から3か月以内に決め、毎月同額で支給する(定期同額給与)
  • 申告・納付は事業年度終了の日の翌日から2か月以内。2026年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税の申告も必要
目次

法人経営の基本とは?個人事業との違いから押さえる

経営とは、ヒト・モノ・カネといった経営資源を配分して、事業の目的を達成する活動全般のことです。法人として運営する場合、その配分の結果は決算書の数字に表れます。最初に押さえたいのは、法人のお金と経営者個人のお金が、法律上も税務上も別物になることです。

項目個人事業法人
お金の区別事業と家計の区別が緩くても成り立つ会社のお金を個人で使うと、役員への貸付金や給与として扱われる
経営者の取り分事業の利益がそのまま事業主の所得になる役員報酬として支給し、要件を満たせば会社の経費になる
主な税金所得税(5%〜45%の累進)と住民税(10%)法人税(中小法人の年800万円以下の部分は15%、超える部分は23.2%)、法人住民税、法人事業税
社会保険法定の業種で常時5人以上を使用する場合に加入役員1人だけでも加入が必要
赤字のときの税金事業の所得がなければ、所得税はかからない法人住民税の均等割がかかる
決算期1月から12月自由に決められる
個人事業と法人の主な違い(2026年10月時点。中小法人の15%は2027年3月31日までに開始する事業年度の扱い)

経営資源は、ヒト・モノ・カネに加えて、特許や商標・ブランド力などの知的資源、取引先や地域とのつながり、時間も含めて考えます。どれも限りがあるため、何に配分するかを決める根拠として、毎月の数字が必要になります。

利益が出ているのにお金が足りないのはなぜ?資金繰りの基本

会社の利益(損益計算書)と手元のお金は一致しません。次のような取引があると、利益が出ていても資金は減ります。

お金がずれる原因何が起きるか対策
売掛金の回収待ち売上は計上されても、入金は後になる請求と入金の消込を毎月行い、回収が遅れている先を早く把握する
在庫の積み増し仕入れた分だけお金が出ていくが、売れるまで経費にならない在庫の量と回転を定期的に見直す
借入金の元本返済返済しても経費にならない返済額が、税引後の利益と減価償却費の範囲に収まるかで見る
設備投資購入時に大きなお金が出ていくが、経費は減価償却で数年に分かれる投資の前に、資金繰り表で残高を確かめる
法人税などの納税決算から2か月以内に、前期の利益にかかる税金をまとめて払う決算前に納税額を見込み、資金を確保しておく
利益とお金がずれる主な原因と対策

計算例:事業を回すために必要なお金(運転資金)の目安

例えば、売掛金が600万円、在庫が100万円、買掛金が200万円の会社では、600万円+100万円−200万円=500万円のお金を、事業のために立て替えている状態です。

売上が伸びて売掛金や在庫が増えると、この立て替え額も増えます。売上が伸びている時期ほど資金が苦しくなることがあるのは、このためです。

資金繰り表は、月初の残高に入金予定を足し、支払予定を引いて月末残高を出す表です。数か月先まで並べておけば、足りなくなる月を前もって見つけ、融資の相談や支払条件の見直しに早めに動けます。資金調達の方法は、融資・資金調達ガイドで整理しています。

新しい事業の立ち上げ時期は、初期投資が先行する一方で、安定した収益が上がるまでに時間がかかることがあります。立ち上げの前に、必要な資金の額と調達の方法を決めておくと、運転資金の不足を避けやすくなります。

会社の維持費はいくらかかる?赤字でも出ていく費用

会社は売上がなくても、毎年かかる費用があります。年間の維持費を見積もるときは、固定費(賃料・給与・保険料など)と、売上に応じて増える変動費を分け、設備の老朽化や人員の増減といった将来の変化も織り込んで、余裕を持った予算を組みます。

費用内容目安・時期
法人住民税の均等割所得に関係なくかかる札幌市内で資本金等の額1,000万円以下・従業者50人以下なら、北海道2万円と札幌市5万円で年7万円
社会保険料役員1人でも健康保険・厚生年金保険に加入する協会けんぽ北海道の健康保険料率10.28%(2026年3月分から)、厚生年金保険料率18.3%など。会社と本人で折半
税理士・会計ソフトの費用決算・申告、月々の記帳や給与計算依頼する範囲や取引の量で変わる
登記の費用役員の任期が満了したときの変更登記、本店の移転など登記の種類ごとに登録免許税がかかる
帳簿の保存帳簿書類は7年保存(欠損金が生じた事業年度は10年)電子取引のデータは電子のまま保存する(2024年1月1日以後は義務)
会社の主な維持費(2026年10月時点)
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登録免許税を登記の種類別に計算する役員変更や本店移転など、登記の種類を選ぶだけで登録免許税の目安を確認できます。計算する

計算例:役員報酬が月30万円の場合の社会保険料

例えば、役員報酬が月30万円(標準報酬月額30万円)で、介護保険料がかからない年齢の役員の場合です(協会けんぽ北海道・2026年4月分以後)。

健康保険料は30万円×10.28%=30,840円、厚生年金保険料は30万円×18.3%=54,900円、子ども・子育て支援金は30万円×0.23%=690円です。合計は30,840円+54,900円+690円=86,430円で、会社の負担はその半分の86,430円÷2=43,215円になります。

端数の処理を考えない概算です。役員報酬を決めるときは、会社が負担する社会保険料も含めた総額で考えます。

社長の給料(役員報酬)はどう決める?

役員報酬を会社の経費(損金)にするには、法人税法のルールに沿って支給する必要があります。中小企業で一般的なのは、毎月同じ額を支給する「定期同額給与」です。

種類ルール注意点
定期同額給与事業年度開始の日から3か月以内に改定し、その後は毎月同額で支給する期の途中で増減すると、原則として差額が経費にならない(業績の著しい悪化などの事由による改定を除く)
事前確定届出給与(役員賞与など)支給の時期と金額を事前に税務署へ届け出て、そのとおりに支給する届出の期限は、株主総会などの決議の日から1か月か、事業年度開始の日から4か月の早いほう(新設法人は設立から2か月)
業績連動給与利益などの指標に連動して支給する同族会社では原則として使えない
役員給与の主な種類(2026年10月時点)

一人社長の場合、給料を抑えすぎると、会社に利益が残って法人税がかかる一方、生活資金や事業を続ける意欲に無理が生じます。逆に高くしすぎると、所得税・住民税と社会保険料の負担が増えます。法人税(中小法人は年800万円以下の部分が15%)と、個人の所得税(5%〜45%の累進)・住民税(10%)・社会保険料を並べて、手取りと会社に残すお金のバランスで決めます。

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役員報酬の毎月の源泉徴収税額を計算する月々の支給額を入れると、源泉徴収税額表(月額表・甲欄)にもとづく源泉所得税の目安を確認できます。計算する

給与を支払い始めるときは、給与支払事務所等の開設届出書を、開設の日から1か月以内に税務署へ出します。給与から天引きした源泉所得税は翌月10日までに納めますが、常時10人未満の会社は申請により、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日に納める納期の特例を使えます。

法人の税金と手続きの年間スケジュールは?

法人の手続きには、決算月によって時期が変わるものと、決算月に関係なく毎年同じ時期に来るものがあります。主なものを一覧にしておきます。

手続き期限
法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税の確定申告と納付事業年度終了の日の翌日から2か月以内(申告期限の延長の特例は原則1か月)
消費税の確定申告(課税事業者)事業年度終了の日の翌日から2か月以内(延長の届出で1か月延長できる)
中間申告前期の法人税額が一定額を超えると法人税の中間申告が必要。消費税は直前の確定消費税額(国税)が48万円を超えると年1回以上
防衛特別法人税2026年4月1日以後に開始する事業年度から。基準法人税額から500万円を引いた額の4%で、税額が0円でも申告が必要
源泉所得税の納付翌月10日(納期の特例は、1〜6月分が7月10日、7〜12月分が翌年1月20日)
年末調整12月の最後の給与の支払いのとき
法定調書・給与支払報告書の提出と源泉徴収票の交付毎年1月末(令和8年分は2027年2月1日)
償却資産の申告毎年1月31日(休日の場合は翌開庁日)
法人の主な税務スケジュール(2026年10月時点。たとえば3月決算なら確定申告の期限は5月末)

期限に遅れると、無申告加算税や延滞税がかかるだけでなく、青色申告の承認の取消しにつながることもあります。決算月に関係なく来る年末調整・法定調書・償却資産の申告は、毎年同じ時期に準備を始める習慣をつけておきます。

法人経営でつまずきやすいポイントは?

つまずき原因防ぎ方
会社のお金を個人の支払いに使ってしまう口座やカードを分けていない会社専用の口座・カードに集約し、個人の支出は役員報酬の範囲で払う。役員への貸付金が残ると、金融機関の評価で不利になりやすい
役員報酬を期の途中で変えてしまう定期同額給与のルールを知らない改定は事業年度開始の日から3か月以内に、株主総会などで決める
決算後に納税資金が足りない利益の見込みを決算まで確認していない月次決算で利益と納税額を見込み、決算前に資金を確保する
赤字の年に申告をしない税金がかからないと思い込む均等割を納め、欠損金を翌期以降に繰り越す(繰越期間10年)ため、青色申告で毎期申告する
消費税の納税義務を見落とす設立からの年数と売上で判定が変わることを知らない基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるか、前期の最初の6か月の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になる(6か月の判定は給与等の支払額でもできる)
法人経営でつまずきやすいポイントと防ぎ方

役員報酬の額や決算期の決め方は、利益の見込みと資金繰りで最適な答えが変わります。試算表をもとに、初回無料で確認できます。

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一人社長が経理と業務を回すコツは?

一人社長は業務のすべてを自分で担うため、優先順位を決め、外部のサービスも取り入れて効率化することが現実的です。経理の土台は、次の5つです。

  • 会社の口座とカードを一つに集約し、会計ソフトと連携する
  • 請求書・領収書の電子データは、電子のまま保存する(2024年1月1日以後の電子取引は保存が義務)
  • 毎月、試算表で売上・利益・預金残高を確認する(月次決算)
  • 記帳や給与計算など、時間がかかる作業は外部に任せる範囲を決める
  • 決算の数か月前に、利益と納税額の見込みを確認する

記帳を任せたい場合は記帳代行プランの内容と流れを、決算・申告まで含めて任せたい場合は会計・税務顧問のサービス内容をご覧ください。当事務所は決算・申告だけのスポットでのご依頼はお受けしておらず、月々の数字の確認から決算までを継続的な顧問契約で支援しています。

数字をもとにした経営改善の進め方は、中小企業の財務コンサルティングで紹介しています。

よくある質問

資本金はいくらにすればよいですか?

設立時の運転資金の見込みと、税金の区分の両方から考えます。資本金1,000万円以上で設立すると、設立1期目から消費税の課税事業者になります。札幌市内では、資本金等の額が1,000万円を超えると、法人市民税の均等割も従業者50人以下で年5万円から年13万円の区分に上がります。

決算月はいつにするのがよいですか?

決まりはなく、事業の状況に合わせて選べます。繁忙期と決算・申告の作業が重ならないこと、納税の時期に資金の余裕があること、役員報酬を見直したい時期と期首を合わせることなどを基準に考えます。

社長の家族に給料を払ってもよいですか?

実際に会社の仕事をしていて、仕事の内容や時間に見合った金額であれば、給与として経費にできます。勤務の実態がない場合や、仕事に比べて高すぎる場合は経費として認められないことがあるため、業務の内容と勤務時間を記録しておきます。家族が役員になる場合は、役員報酬のルールが適用されます。

決算と申告だけを税理士に頼めますか?

当事務所では、決算・申告だけのスポットでのご依頼はお受けしていません。月々の記帳や数字の確認から関わることで、決算前の対策や納税資金の準備まで一緒に進められるためです。継続的な顧問契約での支援内容と料金の決まり方は、料金・契約の流れのページでご案内しています。

まとめ

法人経営の基本は、資金繰り・会社の維持費・役員報酬の3つを数字で管理することです。利益とお金のずれを資金繰り表で先読みし、赤字でもかかる均等割や社会保険料を見込んだうえで、役員報酬は事業年度開始の日から3か月以内に決めます。申告期限と年間の手続きを押さえ、月次の数字で早めに手を打てる体制を整えましょう。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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