創業融資 完全ガイド

創業融資を検討している方向けに、公庫と札幌市・北海道の制度融資の選び方、審査で見られる点、自己資金、借入額の決め方、面談対策、業種別のポイントを解説します(2026年9月25日時点)。

STARTUP LOAN

創業融資 完全ガイド選び方・審査・自己資金・面談・業種別のポイント

はじめての借入でつまずきやすい点を、審査の見られ方から面談の答え方、札幌の制度との組み合わせまで順に解説します。開業日から逆算するスケジュールと、必要資金の計算ツール付きです。

2026年9月25日時点スケジュール逆算・資金計算ツール付き作成:ジェイスタート会計事務所
975万円開業費用の平均値公庫「2025年度新規開業実態調査」
600万円開業費用の中央値同上
22.9%資金調達額に占める自己資金の割合(平均)同上
3週間公庫の創業融資の融資決定までの平均(程度)日本政策金融公庫 創業FAQ
目次

創業融資の3つの選択肢と選び方

札幌で創業資金を借りる道は、大きく「日本政策金融公庫(以下、公庫)の新規開業・スタートアップ支援資金」「札幌市・北海道の制度融資(信用保証協会の保証付き)」「その2つの併用」の3つです。早さと枠の大きさを重視するなら公庫、上限利率の低さ(札幌市は保証料の補給も)を重視するなら制度融資、必要額が大きいときは併用が候補になります。

3つの選択肢の比較表

実績のない創業時は、一般に公庫か、信用保証協会の保証が付く制度融資が中心になります。窓口・金利・保証料・時間の違いを一覧にしました。

比べる点①公庫
新規開業・スタートアップ支援資金
②札幌市
創業・雇用創出支援資金
②北海道
創業貸付
③併用
窓口公庫の支店。個人は創業予定地、法人は登記上の本店所在地を管轄する支店(札幌市内は札幌支店・札幌北支店)札幌市の取扱金融機関(原則として市内の店舗)商工会議所などのあっせん機関と金融機関公庫の支店と制度融資の窓口の両方
限度額7,200万円5,000万円(スタートアップ創出促進保証を使う場合は3,500万円)。創業する方(創業から3か月以内を含む)は必要額の9割以内3,500万円各制度の枠の範囲内。合計額は審査で決まる
返済期間設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置期間は各5年以内)10年以内(据置2年以内。スタートアップ創出促進保証は据置1年以内、条件により3年以内)1年超10年以内(据置2年以内。スタートアップ創出促進保証の区分は1年以内)制度ごとに決まる
金利固定金利。基準利率3.75〜5.35%(無担保・税務申告2期未了、2026年9月1日現在)。税務申告を2期終えていない方などは、創業支援貸付利率特例で表の利率から原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引き下げ(例:3.75%−0.65%=3.10%(概算))。特別利率の対象になる場合もある。実際に適用される利率は申込み時に支店で確認年1.70%以内(令和8年9月30日までの実行分)、年2.0%以内(令和8年10月1日以降の実行分)固定金利は3年以内1.6%・5年以内1.8%・7年以内2.0%・10年以内2.2%。変動金利1.6%(3年超のみ)制度ごとの金利
保証料かからない(信用保証協会の保証を使わないため)保証を付けるとかかる(保証制度で決まり、例えば創業関連保証は年0.86%)。市が保証料の4分の1以内を補給保証が必須。創業関連保証は年0.86%、スタートアップ創出促進保証は年1.06%制度融資の部分だけかかる
担保・保証人創業期は原則として無担保・無保証人保証人は法人は必要に応じて、個人は不要。担保は必要に応じて保証協会の保証付き(創業関連保証は担保不要)。スタートアップ創出促進保証の区分は無担保・経営者保証なし制度ごとに決まる
自己資金の条件要件なし(2024年4月から)創業する方は融資額が必要額の9割以内(残り1割を自己資金に限るとの記載はない)。スタートアップ創出促進保証で税務申告1期未了なら総額の1/10以上の自己資金スタートアップ創出促進保証の区分で税務申告1期未了なら創業資金総額の1/10以上の自己資金各制度の条件をそれぞれ満たす
審査期間の目安融資決定まで平均3週間程度(創業の場合)公表された目安なし(金融機関と信用保証協会の審査がある)公表された目安なし(あっせん・金融機関・信用保証協会の手続きがある)両方を並行して進める
申込み方法インターネット申込み(24時間365日受付)または郵送。申込み前の相談もできる取扱金融機関に直接申し込むあっせん機関を通して申し込む(あっせん申込み)双方に申し込み、並行していることを伝える

金利・保証料率は記載した時点の値で、改定されます(公庫の金利は毎月のように改定)。札幌市の制度が固定金利か変動金利かは市の資料に明記がないため、取扱金融機関で確認してください。北海道の金利は令和8年度(2026年度)の融資要領の値です。

①公庫の新規開業・スタートアップ支援資金

新たに事業を始める方と、事業開始後おおむね7年以内の方が使える、公庫の創業融資の中心となる制度です。設備資金と運転資金の両方に使え、限度額は7,200万円です。創業期(新たに事業を始める方、または税務申告を2期終えていない方)は、原則として無担保・無保証人で利用できます。

向いている人

  • 開業日が決まっていて、早めに資金の見通しを立てたい方
  • 取引のある金融機関がまだない方
  • 保証人を立てずに始めたい個人事業の方(個人営業は原則として無保証人)
  • 女性・35歳未満・55歳以上の方や、特定創業支援等事業の証明書を取る方(特別利率の対象)

注意したい点

  • 金利は2024年以降上がり続けており、制度融資の上限利率(保証料は別)より高めです
  • 自己資金の要件はありませんが、公庫は計画全体の確かさを重視すると説明しています
  • 法人は設立登記を済ませた法人が融資の対象です
  • 公表されている金利は区分ごとの幅だけで、実際の利率は申込み時に確認します

特別利率の11の要件や金利のしくみは、公庫ページの「新規開業・スタートアップ支援資金」と「公庫の金利のしくみ」で詳しく解説しています。制度の原文は公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」と公庫の創業時の融資の案内で確認できます。

②札幌市・北海道の制度融資(信用保証協会付き)

制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会の3者が組んで、中小企業が借りやすい条件で融資するしくみです。自治体が利率などの条件を決め、北海道信用保証協会が保証を付け、民間の金融機関が貸します。創業向けには、札幌市の「創業・雇用創出支援資金」(市内で創業する方)と、北海道の「創業貸付」(道内で創業する方。札幌市内も対象)があります。

  • 札幌市:市内で事業を営むことが条件です。取扱金融機関へ直接申し込みます。事業計画書づくりは札幌中小企業支援センター(予約制)が手伝ってくれます。
  • 北海道:道内に事業所がある方が対象です。商工会議所などのあっせん機関を通して申し込むのが基本で、札幌商工会議所も道の制度融資のあっせん・受付をしています。

よいところ

  • 利率が低めに設定されている(札幌市は上限利率)
  • 札幌市の創業・雇用創出支援資金は、信用保証料の4分の1以内を市が補給
  • 民間の金融機関との融資取引が始まり、返済の実績を積める(一般論)

注意したい点

  • 利率とは別に信用保証料がかかる
  • 金融機関と信用保証協会の両方の手続きがあり、日程に余裕が必要
  • 札幌市の制度は、創業する方の融資額が必要額の9割以内
  • 限度額は公庫より小さい

各資金の条件は札幌市「創業・雇用創出支援資金」と北海道「創業貸付」の公式ページで確認できます。しくみや保証料の詳しい説明は札幌市の制度融資、北海道の制度融資、信用保証協会の基本をご覧ください。

③公庫と制度融資の併用

必要額が大きいときや、1つの制度だけでは足りないときは、公庫と制度融資を組み合わせる方法があります。例えば設備資金は公庫、運転資金は制度融資のように使いみちで分けると、双方に説明しやすくなります。

  • 同じ設備や費用を、両方に重ねて申し込まない(見積書ごとに、どちらで借りるかを決める)
  • 並行して申し込んでいることを双方に正直に伝え、計画書の「他の金融機関等からの借入」欄にも書く
  • 2つの返済の合計が、利益から無理なく払える額かを確かめる
  • 審査は別々に進むため、片方が遅れても開業準備が止まらない資金繰りにしておく

伝え方や合計額の考え方は「公庫と制度融資の比較・併用のしかた」で解説しています。

創業関連保証とスタートアップ創出促進保証の違い

制度融資で使う北海道信用保証協会の創業向けの保証は、主に「創業関連(再挑戦支援)保証」と「スタートアップ創出促進保証」の2つです。大きな違いは、経営者保証の有無、自己資金の条件、保証料率の3点です。

比べる点創業関連(再挑戦支援)保証スタートアップ創出促進保証
主な対象1か月以内に個人で創業する方、2か月以内に会社を設立する方、創業後5年未満の個人・会社など2か月以内に会社を設立する予定の個人、設立5年未満の会社、個人開業から5年未満の法人成り会社など(法人向け)
限度額3,500万円3,500万円
保証期間10年以内(据置1年以内)10年以内(据置1年以内。プロパー融資(保証協会の保証を付けない融資)の同時実行などで3年以内)
担保不要不要
経営者保証保証人が必要になる場合がある(法人代表者以外の連帯保証人は原則不要)不要
自己資金要件としての記載はなし(申込み書類の例に「自己資金を確認できる書類」がある)創業予定者または税務申告1期未了なら、創業資金総額の1/10以上
保証料率年0.86%年1.06%
そのほか原則として均等分割返済設立3年目・5年目にガバナンス体制のチェックを受ける(2023年3月15日に始まった国の制度)

保証料率は令和8年6月1日現在。据置期間など実際の条件は、制度融資の要綱と保証制度の両方で決まるため、金融機関で確認してください。

選び方のポイント

  • 法人で経営者保証を付けたくない方は、スタートアップ創出促進保証が候補です。自己資金1/10以上の条件と、保証料率が0.20%高い点を確認しましょう。
  • 個人事業で始める方は、創業関連保証が基本です(スタートアップ創出促進保証は法人向け)。
  • 特定創業支援等事業の証明書があれば、どちらも開業(設立)の6か月前から申込みの対象になります。

公式ページは北海道信用保証協会「創業関連保証」と「スタートアップ創出促進保証」です。ほかの保証制度は「知っておきたい保証制度」で紹介しています。

迷ったときの選び方

選択肢は「いくら必要か」「いつまでに必要か」「個人か法人か」「経営者保証を避けたいか」の4つで、おおむね絞れます。あわせて、事業所が札幌市内か市外かも確認しましょう。

あなたの状況まず検討したい選択肢理由・注意点
できるだけ早く資金を用意したい①公庫融資決定まで平均3週間程度(創業の場合)。制度融資は公表された目安がなく、金融機関と協会の手続きが続く
金利と保証料を合わせた負担を抑えたい②制度融資も比べる上限利率は低めだが保証料がかかる。札幌市は保証料の4分の1以内を補給。利率と保証料を合わせて比べる(試算の例)
必要額が3,500万円を超える①公庫、または③併用限度額は公庫7,200万円、札幌市5,000万円(創業する方は必要額の9割以内)、北海道3,500万円
法人で、経営者保証を付けたくないスタートアップ創出促進保証を使う制度融資、または公庫の経営者保証免除特例制度前者は自己資金1/10以上(1期未了)と保証料率年1.06%。後者は法人と代表者の一体性の解消を公庫が確認できることが前提で、上乗せ利率なし(詳しく)
個人事業で始める①公庫が基本、②札幌市も候補公庫は個人営業なら原則として無保証人。札幌市の創業・雇用創出支援資金も個人は保証人不要
事業所が札幌市外(近郊)①公庫、②北海道の創業貸付札幌市の制度は市内で事業を営むことが条件。市町村によっては保証料の補助などがあるため役所でも確認
将来は銀行とも取引を広げたい②制度融資、または③併用保証付きで金融機関との融資取引が始まり、返済の実績を積める(一般論)
飲食店・美容室など生活衛生関係の業種公庫の生活衛生貸付も候補設備資金の申込額が500万円を超えると推せん書が必要(業種別のポイント)

個人と法人のどちらで始めるかについて、公庫は、融資の申込みで両者に大きな違いはなく、どちらが有利ということもないと説明しています。形態は税金・社会保険・取引先との関係などで決め、そのうえで使える制度を選ぶのが順序です。ただし、経営者保証を付けないスタートアップ創出促進保証は法人向けです。

ほかの選択肢

  • マル経融資:推薦の要件に、最近1年以上同じ商工会議所の地区内で事業を行っていることがあるため、開業時ではなく開業後の選択肢です(詳しく)。
  • 資本性ローン:新規開業・スタートアップ支援資金などの要件を満たす方が使える、期限一括返済(返済期限までは利息だけを払い、元金は最後にまとめて返す)の融資です(詳しく)。
  • 銀行のプロパー融資:保証協会の保証を付けない融資で、決算の実績がない創業時は一般に難しいとされます(詳しく)。

札幌市内か、近郊の市町村か

公庫の窓口は、札幌市の中央・白石・豊平・南・西・厚別・手稲・清田の8区と千歳市・恵庭市・北広島市が札幌支店、北区・東区と江別市・石狩市・岩見沢市などが札幌北支店の担当です。制度融資は、札幌市内なら札幌市の制度、近郊の市町村なら北海道の創業貸付が中心になります。申込み前の相談は、どの支店でも受け付けています。

会計事務所の視点

制度の比較より先に固めたいのは、必要額と、利益から無理なく返せる額です。そのうえで「金利と保証料を合わせた負担」「融資までの時間」「経営者保証の有無」の3点で比べると、選択肢は自然に絞れます。どの制度でも、計画書の数字と見積書・通帳などの資料が一致していることが審査の前提になります。

いつ申し込む?開業日から逆算したスケジュール

創業融資は、物件・予定地が決まってから、開業の前に申し込むのが原則です。公庫は申込みから融資決定まで平均3週間程度(創業の場合)かかるため、内装や設備の支払いに間に合うよう、開業の2〜3か月前に申し込むのが一つの目安です。特定創業支援等事業の証明を取るなら、開業の5か月ほど前から動き始めましょう。

結論:「予定地が決まってから、開業の前」に申し込む

申込みの時期を早すぎず遅すぎず決めるための理由は、次の3つです。

  1. 予定地が決まらないと計画が立たない

    公庫は、創業予定地が決まっていないと、立地を踏まえた売上・経費の予測や資金計画が立たないとして、出店地を決めてから申し込むよう案内しています。面談では、店舗・事業所の予定地を訪問することもあります。

  2. 支払いは開業前に集中する

    内装工事・設備・敷金などは開業前に支払います。融資が間に合わないと、自己資金で立て替えるか、支払いを待ってもらうことになります。

  3. 審査と契約に時間がかかる

    融資決定まで平均3週間程度で、その後に契約と送金があります。電子契約の手続き期限は、原則として融資予定日の4営業日前までです。

予定地を決める相談申込み面談融資決定・契約入金・支払い

相談は、事業資金相談ダイヤル(0120-154-505、創業の相談は平日9時〜19時)、公庫の支店、オンラインで受け付けています。支店の予約相談は、来店なら希望日の前営業日14時まで、オンラインなら2営業日前16時までに予約します。

開業まで時間がないときは、支店の窓口に早めに相談するよう公庫は案内しています。流れの詳細は公庫の創業予定者向けの手続きの案内と公庫融資の申込みの流れをご覧ください。

法人は設立登記のあと、個人は開業前から

法人で始める場合

公庫は事業資金を貸す機関なので、資本金の払込みに使う資金は対象外です。法人を設立して創業する場合は、設立登記を済ませた法人が融資の対象になります。設立前でも相談はできますが、どの段階で申し込むかは窓口で確認しましょう。

個人で始める場合

創業予定の個人として、開業前に申し込めます。申込先は創業予定地を管轄する支店です。申込み前の相談は、どの支店でも受け付けています。

法人の場合は、設立登記の日も逆算に入れます。会社設立の登録免許税の軽減(後述の証明書が必要)を受けるなら、証明書を受け取ってから登記します。なお、公庫の考え方や根拠は公庫の創業に関するよくある質問で確認できます。

制度ごとの「開業前に申し込める時期」

信用保証協会の創業向けの保証と北海道の創業貸付には、開業(会社設立)の何か月前から対象になるかの決まりがあります。制度融資も使う場合は、この期間に申込みが収まるよう日程を組みます。

制度開業前に対象となる時期特定創業支援等事業の証明書がある場合
公庫 新規開業・スタートアップ支援資金期間の定めは公表されていない。予定地が決まってから(法人は設立登記後)期間は変わらない。特別利率の要件の一つになる
創業関連保証(北海道信用保証協会)個人は1か月以内に創業する具体的な計画、会社は2か月以内に設立する計画がある方事業開始の6か月前から
スタートアップ創出促進保証2か月以内に会社を設立する予定の個人6か月以内に設立する予定の個人
北海道 創業貸付1か月以内に個人で開業、または2か月以内に会社を設立して開業する計画がある方6か月以内
札幌市 創業・雇用創出支援資金市のページに期間の定めの記載なし(保証を付ける場合は保証制度の条件も関係する)取扱金融機関で確認

開業後は、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は事業開始後おおむね7年以内、創業関連保証と北海道の創業貸付は創業後5年未満などが対象です。保証の条件は北海道信用保証協会「創業関連保証」で確認できます。

特定創業支援等事業の証明は早めに動く

札幌市では、さっぽろ創業支援プラザ(札幌中小企業支援センターと札幌商工会議所)で1か月以上にわたり4回以上の相談等を受け、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識を身につけると、証明書が発行されます。発行するのは札幌中小企業支援センターで、申請から1〜2週間程度かかります。

証明書があると、公庫の特別利率、会社設立の登録免許税の軽減(札幌市内で設立する場合)、創業関連保証の事業開始6か月前からの利用、持続化補助金〈創業型〉の申請要件などにつながります。受けられることの詳細は「補助金・特定創業支援と組み合わせる」で解説します。

  1. 開業の5か月前ごろ:1回目の相談

    さっぽろ創業支援プラザに予約して相談を始めます。所定のセミナーの受講などで要件を満たす方法もあります。

  2. 1か月以上かけて4回以上の相談

    4つの分野の知識を身につけます。事業計画・資金計画づくりと並行して進めると効率的です。

  3. 証明書を申請する

    申請書とチェックリストを、札幌中小企業支援センターへ持参か郵送で提出します。

  4. 1〜2週間で受け取り、設立登記・融資の申込みへ

    1か月以上の相談期間と発行までの1〜2週間を合わせ、相談開始から受け取りまで1か月半前後を見込みます。公庫の特別利率に使うなら、申込みまでに手元にあると手続きがスムーズです(取得前に申し込む場合の扱いは窓口で確認)。

要件や窓口は札幌市「さっぽろ創業支援プラザ」で確認できます。

開業日から逆算したスケジュール

開業日を基準に、公庫と制度融資の手続きの目安を逆算した例です。日数は目安で、物件の契約時期や許認可の取得期間は業種によって大きく違います。

時期(開業日から)やることポイント
6か月前ごろ自己資金・家計・信用情報を確認し、事業の骨子を固める自己資金は預金で積み立てる(自己資金)。信用情報の確認は事前準備へ
5か月前ごろ(約150日前)さっぽろ創業支援プラザで相談を始める(証明書を取る場合)1か月以上・4回以上の相談等が必要
4か月前ごろ(約120〜110日前)事業計画・資金計画をつくる。4回目の相談を終えたら証明書を申請証明書の発行まで1〜2週間
3か月前ごろ(約90〜80日前)物件・予定地を決め、設備の見積書を取る。公庫に相談する相談先は創業サポートデスク(全国152支店)、北海道創業支援センター(011-231-9260)、オンラインなど
2か月半前ごろ(約75〜70日前)会社設立の登記(法人の場合)。公庫に申し込む。制度融資も使うなら取扱金融機関に申し込む公庫の融資は設立登記後の法人が対象。インターネット申込みは24時間365日受付
2か月前ごろ(約60〜55日前)公庫の面談。制度融資では信用保証協会の審査・面談予定地の訪問があることも(面談対策)
1か月半前ごろ(約50〜35日前)融資決定、電子契約、入金融資決定は申込みから平均3週間程度。電子契約の期限は融資予定日の4営業日前まで
1か月前〜開業日制度融資の実行(目安)。内装・設備の支払いと開業準備支払いは見積書どおりに行い、領収書・振込明細を保管
開業後1〜2か月(法人は設立の日から数える)税務の届出。個人は開業届を開業から1か月以内、青色申告承認申請書を開業日から2か月以内(1月1日〜15日の開業はその年の3月15日まで)。法人は法人設立届出書を設立から2か月以内、青色申告の承認申請を、設立から3か月を経過した日と最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで法人の期限は開業日ではなく設立の日から数えるため、この例のように開業の約75日前に設立すると、法人設立届出書の期限は開業前に来る。創業関連保証の申込み書類の例には開業届も挙がっている
開業後記帳と月次の試算表づくり。据置期間中は利息を支払う次の資金調達で、試算表が営業状況の説明資料になる

開業予定日と形態(個人・法人)を入れると、上の表を日付入りで作れます。証明書を取るか、制度融資も使うかで行が変わります。

SCHEDULE開業スケジュール逆算開業予定日を入れると、創業支援・融資の申込み・届出などの目安の日付を逆算して一覧にします。
形態法人は会社設立の登記などの行が加わります
特定創業支援等事業の証明を取るさっぽろ創業支援プラザでの相談の行が加わります
制度融資も使う取扱金融機関・信用保証協会の行が加わります

開業予定日を入れると、目安の日付が表示されます。

日数はすべて目安です(公庫の融資決定は平均3週間程度、電子契約の期限は融資予定日の4営業日前)。法人は、設立日(登記の日)を開業日の75日前として計算しています。物件の契約時期や許認可の取得期間は業種によって異なります。実際の日程は、金融機関や各窓口で確認してください。

開業後に申し込む場合の考え方

公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、事業開始後おおむね7年以内なら使えます。税務申告を2期終えるまでは、原則として無担保・無保証人で、創業支援貸付利率特例の対象にもなります。ただし、開業時の設備・内装を自己資金で払う必要があるため、手元資金に余裕がある場合の選択肢です。

  • 開業済みで決算前なら、試算表など営業状況がわかる資料を用意するよう公庫は案内しています。
  • 計画と実績の違い(売上が予想より多い・少ない理由)を説明できるようにします。
  • 開業直後から帳簿をつけ、月ごとの売上・経費をすぐ出せる状態にしておきます。

開業前に申し込む

  • 開業時の内装・設備の支払いに融資を充てられ、自己資金を手元に残しやすい
  • 実績がないため、計画書の根拠と準備の具体性がすべて
  • 物件・見積書・許認可の見込みを先に固める必要がある

開業後に申し込む

  • 売上・客数などの実績で、計画の確かさを裏付けられる
  • 開業時の支払いは自己資金などで先にまかなう必要がある
  • 実績が計画を下回っていると、理由と今後の見通しの説明が求められやすい

実績が数か月しかない開業直後は、数字がまだ安定しません。開業前に借りる場合も、開業後に借りる場合も、「計画どおりにいかなかったときにどうするか」まで説明できるかが大切です。

大きな支払いの順番に注意

申込み前に支払い済みの費用を融資の対象にできるかは、金融機関によって扱いが異なります。物件は予定地として決めつつ、内装工事の本契約や高額な設備の発注は、融資の見通しが立ってからにすると安全です。契約の順番に迷ったら、申込み前の相談で確認しましょう。

北海道の季節と開業時期

  • 冬に開業するなら、暖房費や除雪費で運転資金が増えること、雪で工事や搬入の日程に余裕が要ることを見込みます。
  • 観光客の多い時期に合わせて開業するなら、その時期に間に合うよう、さらに前倒しで逆算します。
  • 開業直後が売上の落ちる季節に当たる業種は、その分の運転資金を厚めに考えます(借入額の決め方)。

審査で見られる7つのポイント

公庫は創業融資の審査のポイントとして、「事業計画が実現できるか」「お金をきちんと管理できる人か」を冊子で挙げています。決算書のない創業時は、経験・自己資金・計画の根拠・返済の見通し・支払いの記録・使いみち・準備の進み具合の7つから、この2点が確かめられると考えると準備しやすくなります。なお、審査の具体的な基準(点数や比率)は公表されていません。

81.1%斯業経験(開業した事業に関連する仕事の経験)がある人公庫「2025年度新規開業実態調査」
15.3年斯業経験の平均年数同上
58.7%予想していた月商に到達した人同上
67.0%採算が黒字基調の人同上

調査の対象は公庫の融資先で、創業者全体の代表値ではありません。

公庫が示している観点と、一般にいわれること

審査について公庫が自ら示している内容と、解説記事などでよく見かける内容は分けて考えましょう。右側は公式の基準ではなく、扱いは金融機関によって異なります。

公庫が冊子・よくある質問で示していること

  • 事業計画が実現可能か、お金をきちんと管理できる人か
  • 勤務経験は、年数だけでなく実績(役職・担当業務・個人売上など)も評価のポイント
  • 公共料金・家賃・住宅ローンなどの支払いが遅れていないかを確認している
  • 自己資金はコツコツ貯めることが大切
  • 借入を無理なく返せる計画か
  • 自己資金よりも、創業計画全体の確かさが重要
  • 適切な事業計画があり、それをやり遂げる力が十分にあると認められること(制度の対象の注記)

一般にいわれること(公式の基準ではない)

  • 自己資金が多いほど評価が高い傾向がある(公庫サイト掲載の外部専門家のコラム)
  • 通帳の履歴で、自己資金を貯めた過程が確認される(確認する期間は公表されていない)
  • クレジットやローンの延滞の記録が判断材料になる
  • 「同業で6年以上の経験が必要」という目安(以前の制度の要件の選択肢の一つで、現在の制度の条件ではない)

左側の出典は、公庫の冊子「創業の手引+」飲食版・美容版(いずれも2025年9月)、公庫の創業に関するよくある質問、新規開業・スタートアップ支援資金の制度ページです。

7つのポイントの全体像

ポイント確かめられること主な確認材料
①事業の経験と実績事業をやり遂げる力があるか略歴・経歴書、資格
②自己資金とお金の管理計画的にお金を準備し、管理できるか預金通帳、出所がわかる書類
③計画の具体性と根拠売上・経費の数字に裏付けがあるか創業計画書、売上予測の根拠資料
④返済できる収支利益から無理なく返せるか事業の見通し、家計の状況
⑤信用情報・支払状況約束どおりに払っているか公共料金・家賃の引落しの記録、借入の状況
⑥資金の使いみちと見積り必要額が妥当か見積書、物件の資料
⑦許認可・立地・準備の進み具合開業までたどり着けるか許認可の見込み、物件の資料、日程

これらは、手続きの次の場面で確かめられます。書類で読み取れることは書類で、書類だけでは分からないことは面談で確認される、と考えると準備の優先順位がつけやすくなります。

場面主に見られること
申込み(書類)創業計画書の中身と数字のつじつま、設備資金の見積書、許認可の状況(必要な業種)
面談資金の使いみちと事業計画の説明、資産・負債がわかる書類(預金通帳など)
予定地の訪問(ある場合)店舗・事業所の予定地の状況
融資の判断以上を合わせた、計画の実現可能性と返済の見通し

①事業の経験と実績

決算書のない創業時に、事業をやり遂げる力を最も具体的に示せるのが経歴です。

見られる理由
公庫の冊子「創業の手引+」は、勤務経験を年数だけでなく、残した実績(役職・担当業務・個人売上など)でも評価するとしています。2025年度新規開業実態調査では、開業者の81.1%に斯業経験があり、平均は15.3年です。
準備すること
  • 略歴を「いつ・どこで・何を担当し・どんな成果を出したか」で整理する
  • 成果は数字で示す(店長として担当した店舗の月商、担当顧客数、指名客数、受注額など)
  • 資格・研修の修了証などの資料をそろえる
  • 仕入・人の管理・売上管理など、経営に近い経験を洗い出す
よくあるつまずき
  • 「飲食店で10年」など年数だけを書き、何ができるかが伝わらない
  • 経験の浅い分野に参入するのに、ノウハウをどう補うか(修業、経験者の採用、支援機関の活用など)の説明がない
  • ネットで見た「同業6年以上」を条件だと思い込み、準備をあきらめる

経験年数の条件はありません

現在の新規開業・スタートアップ支援資金に、経験年数の条件はありません。公庫の冊子(飲食業、令和5年8月)も、勤務年数に決まった基準はないとしつつ、調理などの技術と店の運営のノウハウは開業前にしっかり身につけておくよう求めています。年数より「何ができるか」を示しましょう。

伝わりにくい書き方

「飲食店に10年勤務。調理も接客もひととおりできます。」

何を任され、どんな成果を出したかが分かりません。

伝わる書き方

「札幌市内の居酒屋(40席)に10年勤務。調理を6年担当した後、店長として4年、仕入・シフト・売上管理を担当。仕入先の見直しで食材費を月20万円ほど減らした。」

役職・担当業務・成果が具体的です。

例はいずれも架空です。以前に事業をやめた経験がある方は、新規開業・スタートアップ支援資金の再チャレンジの扱い(前の事業の債務返済に必要な資金にも使える)があります。やめた理由と、そこから学んだことを整理しておきましょう。

②自己資金とお金の管理

自己資金は「いくらあるか」だけでなく、「どう貯めてきたか」にお金を管理する力が表れます。

見られる理由
公庫の冊子は、創業を考え始めたときから少しずつでも自己資金を貯め続けることが大切で、お金を管理する力も経営者に欠かせない能力だとしています。自己資金の要件はありませんが、公庫の調査では、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均2割程度です。
準備すること
  • 自己資金は現金で持たず、預金口座に積み立てて通帳に記録を残す
  • 退職金・贈与などまとまった入金は、出所がわかる書類を用意する
  • 自己資金をすべて投じず、開業後の生活費や予備の資金を残す計画にする
よくあるつまずき
  • 申込みの直前に入ったまとまったお金の出所を説明できない
  • 親族や知人から借りたお金を、自己資金として書く
  • 自宅に現金で貯めていて、貯めた過程を示せない

自己資金の見られ方と「見せ金」の問題は、「自己資金はいくら必要?」で詳しく解説します。

③計画の具体性と根拠

公庫は創業計画書を、面談の時間を短くするための書類と位置づけています。審査担当者は計画書から、事業の中身と数字の裏付けを読み取ります。

見られる理由
開業後の売上は計画どおりにいくとは限りません。2025年度新規開業実態調査でも、予想月商に到達したのは58.7%です。数字に根拠があるかどうかで、計画の実現可能性が判断されます。
準備すること
  • 売上は式で示す(例:客単価×席数×回転数×営業日数)。公庫の冊子「創業の手引」も、サービス業・小売業・ECなど5つの型の計算例を載せている
  • 根拠の材料をそろえる(前職での実績、予定地での調査、見込み客やSNSのフォロワー数、受注予定の書面)
  • 「創業当初」と「軌道に乗った後」を分け、立ち上がりの期間を見込む
  • セールスポイント・ターゲット・競合を具体的に書く
よくあるつまずき
  • 「このくらいは売れるはず」という感覚の数字
  • 繁盛店や最盛期の数字をそのまま使う
  • 北海道の冬の客足の変化など、季節の波を考えていない
  • 計画書の項目どうしで数字が合わない

伝わりにくい根拠

「月商150万円を見込む。近くの人気店もそのくらいと聞いたため。」

自分の店の数字としての裏付けがありません。

伝わる根拠

「客単価1,300円×20席×1日1.2回転×25日=78万円(軌道に乗った後)。客単価は前職の店舗の実績と近隣3店の価格調査から、回転数は予定地の人通りの調査から設定。創業当初はその7割を見込む。」

式と材料がそろっています。

例は架空です。公庫サイトに掲載された業種別の解説でも、セールスポイントの有無が審査の結果を左右し、客単価や回転数など売上の根拠を示すことが大切だと紹介されています。

売上予測の作り方は「売上予測の根拠の作り方」、計画書の各項目は「10項目の書き方」で解説しています。

④返済できる収支

融資は事業の利益から返すものです。売上が立つかだけでなく、経費と返済を払ったあとに生活できるかまで見られます。

見られる理由
公庫の冊子は、事業の見通し欄で確かめる点として、借入を無理なく返せる計画かどうかを挙げています。個人事業では、生活費も同じ利益から出ていきます。
準備すること
  • 収支の基本式で確かめる:売上高−売上原価−経費=利益、利益−借入金の返済元金−家計費(個人の場合)=手元に残るお金
  • 支払利息は経費に入れ、減価償却費(現金が出ていかない費用)は返済の原資に足して考える
  • 家計費(住居費・食費・保険・教育費など)を実際の額で把握する
  • 売上が計画を下回っても返せるか、余裕を確かめる
よくあるつまずき
  • 月の返済元金が、利益と減価償却費の合計を上回っている
  • 家計費を入れ忘れ、生活費が残らない計画になっている
  • 据置期間が終わると返済額が増えることを見込んでいない

2025年度新規開業実態調査で、採算が黒字基調と答えたのは67.0%です。計画には余裕を持たせましょう。借入額と返済の確かめ方は「いくら借りる?」と「事業の見通しの作り方」で解説しています。

⑤信用情報・支払状況(税金・公共料金・カード)

約束どおりに払う人かどうかは、返済の確実さに直結します。公庫はこの点を、冊子ではっきり確認項目に挙げています。

見られる理由
公庫の冊子(美容版)は、公共料金・家賃・住宅ローンなどの支払いが遅れていないかを確認していると明記し、支払いが遅れると信用力が下がるとしています。また、事業資金の申込みの同意事項には、公庫が個人信用情報機関のCICに加盟し、全国銀行個人信用情報センター(KSC)と日本信用情報機構(JICC)が提携機関であることが記されています。
準備すること
  • 公共料金・家賃・カードは口座引落しにして、期日どおりに払う(冊子も、引落しの記録が通帳に残ると、きちんと払っていることを示しやすいとしています)
  • 税金・社会保険料の滞納があれば、申込み前に解消する
  • 自分の信用情報を本人開示で確かめる(方法は「融資を申し込む前にやっておく準備」)
  • 住宅・車・カードなど個人の借入も、計画書の「お借入の状況」に正直に書く
よくあるつまずき
  • カードや携帯電話の端末代の分割払いの遅れに気づいていない(携帯電話会社もCICの会員です)
  • 個人の借入を少なく書き、信用情報と食い違う
  • 準備が整わないまま、短期間にあちこちへ申し込む(公庫の同意事項では、申込みの事実が信用情報機関に6か月間登録されます。審査への影響は公表されていませんが、計画を固めてから申し込むのが基本です)

札幌市の制度融資では納税証明書も

札幌市の制度融資の主な提出書類には、市民税の納税証明書が含まれています。納付の状況が書類で確認されるため、未納があれば申込み前に解消しておきましょう。

⑥資金の使いみちと見積り

融資は、申し込んだ使いみちのために貸すお金です。必要額が妥当かどうかは、見積書と計画書から確かめられます。

見られる理由
必要額が大きすぎても小さすぎても、計画の確かさが疑われます。公庫は、設備資金を申し込む場合に見積書の提出を求めています。
準備すること
  • 見積書と計画書の金額・品目を一致させる
  • 複数社の見積りを比べ、中古品・リース・レンタルも検討する(公庫の冊子「創業の手引」も勧めています)
  • 運転資金は「何の費用の何か月分か」を説明できるようにする
  • 物件の資料(図面・賃貸条件)をそろえる
よくあるつまずき
  • 見積書と計画書で金額や品目が違う
  • 根拠のない「予備費」や、事業に必要以上のグレードの設備
  • 融資のあとで使いみちを変える(申し込んだ目的以外には使わないのが原則です)

必要資金の組み立て方は「いくら借りる?」、計画書への書き方は「必要な資金と調達方法の書き方」で解説しています。

⑦許認可・立地・準備の進み具合

計画がよくても、開業までたどり着けなければ返済は始まりません。準備がどこまで進んでいるかも見られます。

見られる理由
公庫は、創業予定地が決まらないと売上・経費の予測が立たないとして、出店地を決めてから申し込むよう求めています。面談では予定地を訪問することもあります。許認可が必要な業種では、許認可の見込みが立たなければ開業できません。
準備すること
  • 物件を選んだ理由(ターゲット・競合・人通り・家賃)を説明できるようにする
  • 必要な許認可を確認し、申請の時期を決める(飲食店は保健所の許可、酒類の販売は税務署の免許など)
  • 開業までの日程を時系列で示す(スケジュールの逆算)
よくあるつまずき
  • 物件が決まらないまま申し込む
  • 許認可の基準を満たさない物件を契約してしまう
  • 工事・採用・許認可の日程に無理がある

公庫サイトに掲載された解説では、許認可は融資後に確認する条件とされる場合が多いと紹介されています。その場合でも、許認可が取れる見込みと申請の時期は、申込みの段階で説明できるようにしておきましょう。

業種ごとの許認可や見られやすい点は「業種別の創業融資のポイント」にまとめています。

会計事務所の視点

7つのポイントは、ばらばらではなく「つながっているか」が見られます。例えば、前職での実績が売上計画の客数・客単価の根拠になり、その売上から返済できる利益が残り、必要な設備が見積書と一致している、という状態です。こうして一本の線でつながっていると、説明に説得力が出ます。

申込み前の見直しには、公庫がWebで公開している「創業計画書セルフチェック」が使えます。面談での伝え方は「面談対策」、うまくいかなかったときは「断られた・減額されたときの対処法」をご覧ください。

自己資金はいくら必要?見せ金がだめな理由

公庫の創業融資には、2024年4月から自己資金の要件がありません。ただし公庫は計画全体の確かさを重視するとしており、公庫の調査(融資先が対象)では自己資金の割合は平均22.9%です。大切なのは金額よりも、コツコツ貯めてきた過程と出所を説明できることで、一時的に借りたお金を自己資金に見せる「見せ金」は逆効果になります。

22.9%資金調達額に占める自己資金の割合(平均)公庫「2025年度新規開業実態調査」
279万円自己資金の平均額(資金調達額の平均は1,219万円)同上
1/10以上スタートアップ創出促進保証の自己資金(創業予定者・税務申告1期未了の場合)北海道信用保証協会
9割以内札幌市の創業資金で、創業する方の融資額(必要額に対して)札幌市「創業・雇用創出支援資金」

調査の対象は公庫の融資先で、創業者全体の代表値ではありません。

公庫に自己資金の要件はない。それでも見られる理由

公庫は2024年4月、創業期の無担保・無保証人の融資(旧:新創業融資制度)を拡充し、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を求める要件をなくしました。ネットや古い記事にある「自己資金は10分の1以上必要」は、それより前の制度の話です。制度の変更点は公庫の2024年4月1日のお知らせと公庫ページの解説で確認できます。

それでも自己資金が見られるのは、次の3つの理由からです。

  1. 計画全体の確かさの一部だから

    公庫は、自己資金は重要だが、創業計画全体がしっかりしているかが重要だと説明しています(公庫の創業に関するよくある質問)。

  2. お金を管理する力が表れるから

    公庫の冊子は、創業を考え始めたときから少額でも貯め続けることが大切で、お金を管理する力も経営者に欠かせないとしています。

  3. 借入が減り、返済が楽になるから

    公庫の「創業の手引」は、自己資金が多いほど借入が減り、資金繰りに余裕が生まれると説明しています。

例えば、必要資金800万円を7年(84回)で返す場合、自己資金が100万円か200万円かで、毎月の返済元金は次のように変わります。

自己資金借入額毎月の返済元金
100万円700万円約8.3万円
200万円600万円約7.1万円

架空の計算です。利息と据置期間は含めていません。自己資金が100万円多いと、毎月の返済元金は約1.2万円少なくなります。

公庫の説明(公式)

  • 自己資金の要件はない(2024年4月から)
  • 自己資金より、創業計画全体の確かさが重要
  • 創業資金総額に占める自己資金の割合は平均2割程度(2025年度調査では22.9%)
  • 自己資金はコツコツ貯めることが大切

一般にいわれること(公式の基準ではない)

  • 自己資金が多いほど評価が高い傾向がある(公庫サイト掲載の外部専門家のコラム)
  • 必要額の3分の1程度を目安とする案内もある(他地域の商工会議所の例)
  • 通帳で貯めた過程を確認される(確認する期間は公表されていない)
  • 開業準備で支払い済みの費用を、自己資金として説明できる場合がある(扱いは金融機関による)

札幌・北海道の制度で残る条件

公庫とは違い、信用保証協会の保証や札幌市の制度融資には、自己資金に関わる条件が残っています。制度融資も使うなら、先に確認しておきましょう。

制度自己資金に関する条件注意点
公庫 新規開業・スタートアップ支援資金要件なし(2024年4月から)計画全体の確かさを重視
スタートアップ創出促進保証(北海道信用保証協会)創業予定者または税務申告1期未了なら、創業資金総額の1/10以上札幌市の創業・雇用創出支援資金(この保証を使う区分)と、北海道の創業貸付(同じ区分)にも同じ条件がある
札幌市 創業・雇用創出支援資金創業する方(創業から3か月以内を含む)は、融資額が必要額の9割以内残り1割を自己資金に限るとまでは書かれていない。用意の仕方は金融機関に確認
創業関連保証・北海道の創業貸付(ほかの区分)要件としての記載はなし保証の申込み書類の例に「自己資金を確認できる書類」がある

2026年9月25日時点の公式ページによります。詳しくは北海道信用保証協会「スタートアップ創出促進保証」と札幌市「創業・雇用創出支援資金」をご覧ください。

数字で見る条件の例

  • スタートアップ創出促進保証:創業資金総額が1,000万円なら、自己資金は100万円以上が必要です(創業予定者または税務申告1期未了の場合)。
  • 札幌市の創業・雇用創出支援資金:必要額が1,000万円なら、創業する方の融資額は900万円以内です。残りの100万円をどう用意するかは、金融機関と相談します。

自己資金はどう見られる?

公庫は面談の際に、事業計画に関連する資料とあわせて「資産・負債がわかる書類」の用意を求めています。一般には、預金通帳などで自己資金を貯めた過程を説明することになります。確認する期間は公表されていませんが、次の3点を意識すると説明しやすくなります。

貯めた過程
給与などから少しずつ積み立ててきた記録があるか。公庫の冊子も「コツコツ」貯めることを大切にしています。
出所
まとまった入金がある場合に、それが何のお金か(退職金、贈与、保険の解約など)を書類で示せるか。
返す必要のないお金か
返す約束のあるお金は、自己資金ではなく借入として扱うのが一般的です。
  1. 積立用の口座を決める

    給与口座とは別の口座に毎月決まった額を移すと、貯めた過程がひと目で分かります。

  2. 現金は早めに預金へ

    手元の現金は、いつどう貯めたかを示しにくいお金です。商工会議所の案内にも、現金ではなく預金で準備するよう勧めるものがあります。

  3. まとまった入金には書類を

    退職金の明細、贈与契約書、保険の解約の通知などを、入金の記録と一緒に保管します。

  4. 面談に通帳を持っていく

    資産・負債がわかる書類として、預金通帳などを用意します(面談対策)。

親族からの援助は「贈与」か「借入」かをはっきりさせる

親や兄弟からの援助は、もらったのか借りたのかで計画書の書き方が変わります。あいまいなままにせず、形を決めて書類を残しましょう。

贈与として受け取る

  • 返す必要のないお金なので、一般に自己資金として説明する余地がある
  • 贈与契約書と振込の記録で、出所を示せるようにする(現金の手渡しより、親の口座から振り込んでもらうほうが記録が明確)
  • 贈与税(暦年課税)は、1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残りにかかる(令和8年4月1日現在の法令等)

借入として借りる

  • 自己資金ではない。創業計画書では「親・兄弟・知人・友人等からの借入」の欄に書く
  • 金額・返済期間・毎月の返済額を書面で決めておくと説明しやすい
  • その返済も、収支計画に入れて考える

公庫の「創業の手引」も、親・兄弟・知人・友人等からの借入を資金調達方法の一つとして挙げ、返済を長い期間にしてもらえる場合があるといった利点に触れています。贈与税のしくみは国税庁のタックスアンサー(No.4402)で確認し、金額が大きいときは税理士に相談しましょう。借りたお金を「もらった」ことにして自己資金に含めるのは、次に説明する見せ金と同じ問題になります。

見せ金がだめな理由

見せ金とは、申込みの直前に他人やカードローンなどから一時的に借りたお金を口座に入れ、自分で貯めた自己資金のように見せることです(公庫の用語ではなく、一般的な呼び方です)。自己資金を多く見せたくても、次の理由で逆効果になります。

理由説明
出所を説明できない一般に、申込み直前のまとまった入金や、入金後すぐの出金は見せ金を疑われやすいといわれる。何のお金かを説明できなければ、計画全体の信頼が揺らぐ
事実と違う申込みになる計画書の「自己資金」と「借入」の区別を偽ることになり、分かれば融資の判断に大きく響き得る
返すお金が増える一時的に借りたお金にも返済があり、開業後の資金繰りを圧迫する
個人の借入が記録に残るカードローンなどの借入は信用情報に記録され、計画書の「お借入の状況」との食い違いも生じる
会社設立では法律上の責任も設立時の出資の払込みを仮装すると、会社法上、仮装した発起人は仮装した出資の全額を会社に支払う義務を負い、関与した設立時取締役なども責任を負うことがある(会社法52条の2など)

少ないなら、少ないまま正直に

自己資金が少ないなら、そのまま正直に書き、計画の具体性や経験で補うのが基本です。自己資金の要件がない公庫で見せ金をしても、発覚したときに失う信頼のほうがはるかに大きくなります。

すでに支払った開業準備費用の扱い

物件の敷金や内装の手付金、設備の購入代金などを、申込み前に自分のお金で支払っていることがあります。この分は「すでに自己資金を事業に投じた」と説明できる場合があります(一般に「みなし自己資金」と呼ばれますが、公庫の用語ではありません)。

  • 自己資金として扱ってもらえるかは金融機関によって異なるため、窓口で確認します。
  • 契約書・請求書・領収書・振込明細を保管し、何にいつ払ったかを示せるようにします。
  • 一般には、支払い済みの費用も「必要な資金」に含め、同じ額を調達側の「自己資金」として書く整理がされます(書き方は窓口の案内に従います)。
  • 私的な支出と混ざらないよう、事業のための支払いだけを整理します。

退職金・保険の解約返戻金などの扱い

何を自己資金として説明できるかに、公式の一覧はありません。一般には「出所を書類で示せて、返す必要がなく、事業に使えるお金」が自己資金として扱われやすいとされます。

お金の種類一般的な扱い説明に使える書類の例
給与などから貯めた預貯金自己資金の中心預金通帳
退職金自己資金として説明しやすい退職金の支給明細、振込の記録
保険の解約返戻金自己資金として説明しやすい解約返戻金の支払通知、振込の記録
株式・車などの売却代金自己資金として説明しやすい売買の明細、振込の記録
相続で受け取ったお金自己資金として説明しやすい遺産分割協議書など、振込の記録
親族からの贈与返す必要がなければ説明の余地あり贈与契約書、振込の記録
親族・知人からの借入自己資金ではない(計画書の「親・兄弟・知人・友人等からの借入」欄)借入の条件を書いた書面
カードローンなどの借入自己資金ではない(借入として正直に書く)返済予定表など
出所を説明できない現金自己資金として認められにくいなし
支払い済みの開業準備費用扱いは金融機関によって異なる契約書・領収書・振込明細

一般的な扱いの目安で、公庫などの公式な基準ではありません。最終的な扱いは金融機関によって異なります。

自己資金が少ないときの考え方

  • 開業時期を少し遅らせ、毎月の積立を続ける(貯めた過程そのものが説明の材料になります)
  • 設備は複数社の見積りを比べ、中古品・リース・レンタルも検討して必要額を抑える(公庫の「創業の手引」も勧めています)
  • 小さく始めて、実績を積んでから広げる
  • 親族からの援助は、贈与か借入かを決めて正直に書く
  • 自己資金をすべて投じず、生活費と予備の資金を手元に残す

必要額そのものの組み立て方は「いくら借りる?」、希望額より少なく決まったときの対応は「断られた・減額されたときの対処法」で解説しています。

会計事務所の視点

自己資金を全額つぎ込み、手元資金がほとんどない状態で開業すると、売上の立ち上がりが遅れたときにすぐ資金繰りが苦しくなります。一部を生活費や運転資金の予備として残す計画のほうが、開業後は安定しやすくなります。ただし、計画書に書いた自己資金の額と、実際に事業に入れる額がずれないように整理しておきましょう。

いくら借りる?必要資金の組み立て方

借入額は「借りたい額」から決めるのではなく、「必要資金の合計から自己資金などを差し引いた額」で決まります。設備資金は見積書で、運転資金は売上の入金と支払いのズレや立ち上がりの赤字を見込んで積み上げ、最後に利益から無理なく返せるかを確かめます。

必要資金を積み上げる自己資金などを差し引く借入希望額返せるか確かめる見直して決める

必要資金は「設備資金」と「運転資金」に分ける

公庫の創業計画書は、必要な資金を設備資金と運転資金に分けて書く形式です。分けるのは、金額の確かめ方と返済期間が違うからです。

区分中身の例金額の根拠返済期間の上限(新規開業・スタートアップ支援資金)
設備資金店舗の内装・工事、機械・設備・備品、車両、敷金・保証金など見積書(公庫は設備資金に見積書の提出を求めている)20年以内(据置5年以内)
運転資金商品の仕入・材料費、家賃、人件費、水道光熱費、広告宣伝費、開業前の諸経費など毎月の支出×月数(入金までの期間と立ち上がりを考える)10年以内(据置5年以内)

どちらに入れるか迷う費用(敷金・保証金、開業前の広告費など)は、計画書の中で扱いをそろえ、窓口でも確認しましょう。このページのプランナーでは、敷金・保証金を設備資金に、開業前の諸経費を運転資金に含めています。

設備資金は、公庫の「創業の手引」が勧めるように、複数社の見積りを比べ、中古品・リース・レンタルも検討して初期投資を抑えます。見積書と計画書の金額は一致させます。

  • 見積書は、宛名・日付・品目・数量・単価がそろったものを用意する
  • 内装工事は「一式」だけでなく、内訳のわかる見積りをもらう
  • レジ・パソコン・消耗品など、開業後すぐに要る備品の漏れがないか確かめる
  • 冬に向けた暖房設備の追加や、入口まわりの凍結・除雪への備えなど、北海道ならではの費用も見積りに入っているか確かめる

運転資金は何か月分?3つのズレから考える

運転資金を何か月分用意するかに、公的な決まりはありません。次の3つのズレを見積もって決めます。

入金と支払いのズレ

掛売りやカード決済では、売上から入金まで時間がかかります。例えば「月末締め翌月末払い」の取引なら、月初の売上の入金は2か月近く先です。公庫の「創業の手引」も、売上代金が入る時期と仕入代金を払う時期のずれを考えるよう求めています。

立ち上がりの赤字

開業直後は、売上が計画に届かないことがよくあります。公庫の2025年度新規開業実態調査で、予想月商に到達したのは58.7%です。軌道に乗るまでの赤字分を運転資金に入れます。

季節の波

北海道では、冬に客足が落ちる業種や、暖房費・除雪費がかさむ業種があります。観光客の多い時期と少ない時期の差が大きい業種、冬に工事が減る建設業も同じです。売上の谷の月に足りなくなる分も見込みます。

取引先から後払いで代金を受け取る業種(建設業、卸売業、制作業など)は、入金のズレが特に大きくなります。例えば、毎月200万円の仕入・経費がかかり、売上を月末締め翌月末払いで回収するなら、最初の入金がある2か月目の末までに約400万円が先に出ていきます。取引先ごとの回収・支払の条件は、創業計画書の「取引先・取引関係等」の欄にも書く項目です。

計算の基本は、運転資金=(毎月の固定費+毎月の仕入・材料費)×月数+開業前の諸経費です。月数は、入金までの期間と、軌道に乗るまでの期間を考えて決めます。

開業前の諸経費には、広告・採用・研修の費用や許認可の手数料のほか、内装工事中に発生する開業前の家賃も忘れずに入れます。より正確にしたい場合は、開業から軌道に乗るまでの月ごとの収支を並べ、足りなくなる金額の合計を求めます。公庫の書式ダウンロードのページには、月別収支計画書や資金繰り表の様式もあります。

データで見る開業費用と資金調達

975万円開業費用の平均公庫「2025年度新規開業実態調査」
600万円開業費用の中央値同上
41.8%開業費用が500万円未満の人同上
1,219万円資金調達額の平均(うち金融機関等からの借入827万円)同上

平均の975万円は一部の大きな投資に引き上げられやすく、中央値の600万円のほうが「真ん中の人」の実感に近い数字です。開業費用が500万円未満の人も41.8%(250万円未満20.1%、250万〜500万円未満21.7%)います。資金調達額の平均は1,219万円で、うち金融機関等からの借入が827万円(67.9%)、自己資金が279万円(22.9%)です。

ただし、必要資金は業種・規模・立地で大きく違います。平均より多いか少ないかを気にするより、自分の見積りと根拠を積み上げることが大切です。調査の対象は公庫の融資先で、創業者全体の代表値ではありません(調査の本文)。

借りすぎ・借りなさすぎのリスク

借りすぎると

  • 返済と利息の負担が重くなり、利益が出ても手元に残らない
  • 必要額の根拠が弱いと、計画全体の確かさを疑われる
  • 手元に余裕があると、使いみちの判断が甘くなりやすい
  • 申し込んだ目的以外には使えない

借りなさすぎると

  • 開業直後に運転資金が尽き、資金繰りに追われる
  • 実績が乏しい時期の追加の借入は、一般に簡単ではないとされる
  • 必要な設備を削り、売上に響く
  • 自己資金を使い切り、生活費が足りなくなる

公庫の2025年度新規開業実態調査では、開業時に苦労したこととして「資金繰り・資金調達」を挙げた人が56.9%にのぼります。目指すのは「必要な額を、根拠をそろえて、返せる範囲で」借りることです。

返済は利益から:返せる額で確かめる

借入金の返済元金は経費になりません。返済の原資は、税金を払ったあとの利益に、減価償却費(設備の購入代金を耐用年数に分けて計上する費用で、現金は出ていかない)を足した額です。

個人事業では、生活費(家計費)も同じ利益から出ていきます。公庫の「創業の手引」も、利益−借入金の返済元金−家計費(個人の場合)=手元に残るお金、という式を示しています。法人では、社長の生活費は役員報酬として経費に入れて考えます。

個人事業の場合

利益から所得税・住民税などの税金と家計費を払い、残りで返済します。家計費を実際の額で見積もることが欠かせません。

法人の場合

役員報酬は経費に入っているので、利益から法人の税金を払った残りと減価償却費で返済します。役員報酬を低く置きすぎると、生活が成り立たない計画になります。

  1. 月の返済元金を出す

    借入額÷返済回数(据置期間の月数を除く)で計算します。

  2. 軌道に乗った後の月の利益を出す

    支払利息も経費に入れたあとの利益です。

  3. 返済に回せる額を出す

    利益+減価償却費から、税金と家計費(個人の場合)を差し引きます。

  4. 3が1を上回り、余裕があるか確かめる

    売上が計画を下回った場合でも返せるかを見ておきます。

  5. 足りなければ見直す

    借入額、返済期間、設備の内容、計画そのものを見直します。

据置期間(元金の返済を待ってもらい、利息だけを払う期間)は、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金なら5年以内です(実際の期間は審査で決まります)。開業直後の負担は軽くなりますが、据置が終わると元金の返済が始まり、毎月の返済額は増えます。返済方法の違いは「返済方法の基本」、返済原資の考え方は「いくらまでなら返せる?」で詳しく解説しています。

返済期間で毎月の負担はこう変わる

同じ額を借りても、返済期間を長くすると毎月の返済元金は小さくなり、その代わり利息の総額は増えます。580万円を年3.8%で借り、元金均等で返す場合の概算は次のとおりです(据置期間なし)。

返済期間毎月の返済元金利息の総額(概算)
5年(60回)約9.7万円約56万円
7年(84回)約6.9万円約78万円
10年(120回)約4.8万円約111万円

架空の計算です。利息は年利を12で割った月割りの概算で、実際の金融機関の計算とは異なります。

設備資金はその設備を使う期間を、運転資金は立ち上がりの赤字をいつまでに取り戻せるかを目安に、返済期間を考えます。期間を延ばせば毎月は楽になりますが、利息の負担が増える点も合わせて判断しましょう。

計算例:必要資金から借入額と返済を確かめる

計算例 カフェ(札幌市内・個人で開業)架空の事例です

小さなカフェを個人事業として開業する例です。金額は説明のための架空の数字です。

必要な資金金額
内装・工事(設備資金)300万円
厨房機器・備品(設備資金)150万円
敷金・保証金(設備資金)60万円
運転資金:月の固定費60万円+月の仕入20万円の3か月分240万円
運転資金:開業前の諸経費(広告・採用など)30万円
合計780万円
調達の方法金額
自己資金200万円
親・兄弟・知人・友人等からの借入0万円
公庫からの借入(借入希望額)580万円
合計780万円
返済の確認(軌道に乗った後の月あたり)金額
返済元金(580万円を7年・うち据置6か月、78回で返済)約7.4万円
参考:初年度の利息の目安(580万円×年3.8%÷12)約1.8万円
利益(支払利息を引いた後、税金を引く前)40万円
減価償却費5万円
家計費25万円
返済余力(40万円+5万円−25万円−7.4万円)約12.6万円
ここがポイント自己資金の割合は約25.6%(200万円÷780万円)で、公庫の調査の平均(22.9%)をやや上回ります。返済余力は返済元金の1.7倍ほどあり、売上が多少下回っても返済を続けられる余地があります。ただし税金を考えていないため、実際の余裕はこれより小さくなります。金利の年3.8%は、公庫の基準利率(無担保・税務申告2期未了で3.75〜5.35%、2026年9月1日現在)の幅から仮に置いた概算です。例では設備資金と運転資金をまとめて7年で計算していますが、実際の返済期間は資金ごとに決まります。

この計算例の数字は、次の「創業資金プランナー」の初期値と同じです。自分の見積りに置き換えると、借入希望額・自己資金の割合・返済余力をその場で計算できます。プランナーは、返済余力がマイナスのときや返済元金の3割に満たないときに注意を表示します(このページの目安で、公的な基準ではありません)。

FUNDING PLANNER創業資金プランナー設備資金・運転資金・自己資金を入れると、必要資金の合計、借入希望額、据置後の返済元金と、軌道に乗った後の返済余力を計算します。

1 設備資金(万円)

2 運転資金(万円)

3 調達(万円)

4 借入の条件

5 軌道に乗った後の見通し(月あたり)

形態法人は家計費を0として計算します

計算結果がここに表示されます。

税金を考慮しない概算です。減価償却費は現金が出ていかない費用なので、返済の原資に加えています。据置後の返済元金は、借入希望額を据置期間後の返済回数で割った額です(1円未満切捨て)。利息の目安は初年度の概算です。実際の借入可能額は審査で決まり、金利などの条件は金融機関で確認してください。

金額を決めたら確認したいこと

  • 設備資金の金額が、見積書と一致している
  • 必要な資金の合計と、調達の合計が一致している
  • 運転資金の月数について、入金のズレ・立ち上がり・季節の波から理由を説明できる
  • 返済元金を、利益+減価償却費(個人は家計費を引いた後)でまかなえる
  • 冬など売上の谷の月も、資金が足りる
  • 制度融資も使うなら、札幌市の制度は創業する方の融資額が必要額の9割以内であることを踏まえている

実際に借りられる額は審査で決まり、希望より少なくなることもあります。その場合の考え方は「断られた・減額されたときの対処法」で解説しています。計画書への書き方は「必要な資金と調達方法の書き方」、収支の作り方は「事業の見通しの作り方」をご覧ください。

会計事務所の視点

借入額を小さく見せようと運転資金を削っても、開業後に資金が足りなくなれば、追加の借入に追われることになります。必要な額を根拠とともに示し、そのうえで返せる計画に整えるのが基本です。開業後は月次の試算表で、計画と実績の差を早めにつかめるようにしておくと、次の資金調達の説明にもそのまま使えます。

面談対策:聞かれることと答え方

公庫の面談では、資金の使いみちと事業計画について聞かれます。創業計画書の数字を自分の言葉で、根拠とともに説明できれば十分です。ここでは面談の形式と持ち物、一般的な面談で聞かれやすい45の質問と答え方のポイントをまとめました。

面談の形式と流れ

申込み面談の案内面談予定地の訪問(ある場合)融資決定
項目内容
案内申込みのあと、公庫の職員から面談などの案内がある
場所支店のほか、オンラインでも受けられる
聞かれること資金の使いみちと、事業計画(創業の場合)
予定地の訪問店舗・事業所の予定地を訪問することがある
用意するもの事業計画に関連する資料と、資産・負債がわかる書類
決定までの目安申込みから融資決定まで平均3週間程度(創業の場合)

公庫は創業計画書を、面談の時間を短くするための書類と位置づけています。面談は、計画書に書いたことを確かめ、書き切れなかったことを補う場と考えましょう。流れは公庫の創業予定者向けの手続きの案内で確認できます。

制度融資を使う場合は、金融機関とのやりとりに加えて、北海道信用保証協会の審査で担当者の訪問や来所での面談があります(北海道信用保証協会の創業者向けの保証の流れ)。協会の創業向けの保証でも創業計画書(所定の様式)を出すため、計画書を自分の言葉で説明できるようにしておく準備は共通です。

面談に持っていくもの

公庫の案内は「事業計画に関連する資料」と「資産・負債がわかる書類」です。具体的には、次のようなものを用意しておくと説明しやすくなります。

持ち物内容・ポイント
創業計画書の控え提出したものと同じ内容のもの。質問に答えるときの手元資料になる
事業計画に関連する資料見積書、物件の資料(図面・賃貸条件)、売上予測の根拠(調査のメモ・前職の実績)、取引予定先とのやりとりの書面、経歴書など
資産・負債がわかる書類預金通帳(自己資金を貯めた過程や、公共料金・家賃の引落しがわかるもの)、住宅ローンなど借入の返済予定表
許認可の資料取得済みなら許可証、申請中なら申請の控えや、要件を確かめたメモ
本人確認書類運転免許証・マイナンバーカード・パスポートのいずれか

支店から具体的な書類を指定されることもあります。申込みのときの必要書類は「創業融資の必要書類と準備物」にまとめています。

聞かれやすい質問と答え方(45問)

一般的な面談で聞かれやすい質問を、8つのカテゴリに分けました。質問の内容や順番は面談ごとに違い、ここにある質問がすべて聞かれるわけではありません。計画書に書いたことを深掘りされると考え、自分の言葉で答えられるようにしておきましょう。

動機・経験

なぜこの事業を始めようと思ったのですか?

答え方のポイント:きっかけと、これまでの経験がどうつながるかを具体的に話します。計画書の「創業の動機」と同じ内容にそろえます。

避けたい答え方:「会社を辞めたかったから」「好きだから」だけで終わる答え。

これまでどんな仕事をしてきましたか?

答え方のポイント:年数より実績を、役職・担当業務・数字(担当した店舗の月商、顧客数など)で伝えます。公庫の冊子も、実績を評価のポイントとしています。

避けたい答え方:「この業界で10年です」と年数だけを言う答え。

この事業に必要な技術やノウハウは、どこで身につけましたか?

答え方のポイント:前職で任されていた業務、研修、資格など、身につけた場所と程度を具体的に説明します。

避けたい答え方:趣味や独学の範囲なのに「プロ並みです」と言い切る答え。

お店や部門を管理した経験はありますか?

答え方のポイント:売上・仕入・シフト・スタッフ教育などを担った経験を話します。ない場合は、どう補うか(相談先、会計の体制)を伝えます。

避けたい答え方:「経験はありませんが、何とかなります」。

以前に事業を経営したことはありますか?

答え方のポイント:計画書の「過去の事業経験」で選んだ内容と同じことを答えます。やめた経験があれば、理由と学んだことを正直に話します。

避けたい答え方:廃業の経験を隠す答え。

なぜ今のタイミングで独立するのですか?

答え方のポイント:物件が見つかった、見込み客ができた、資格を取ったなど、準備が整った理由を挙げます。

避けたい答え方:「勢いで」「退職したので、とりあえず」。

商品・顧客

どんな商品・サービスを、いくらで提供しますか?

答え方のポイント:主な商品・サービスと価格、売上に占める割合を、計画書と同じ数字で答えます。

避けたい答え方:メニューや料金がまだ決まっていない状態で面談に臨む。

お客様はどんな人ですか?

答え方のポイント:年齢層・地域・利用する場面などを具体的に。「予定地の周辺で働く30〜40代」のように絞ります。

避けたい答え方:「幅広い層」「すべての人」。

近くの競合と比べた強みは何ですか?

答え方のポイント:実際に競合を調べたうえで、価格・技術・品ぞろえ・立地などの違いを具体的に説明します。

避けたい答え方:「味には自信があります」だけの答えや、「競合はいません」と言い切る答え。

お客様をどうやって集めますか?

答え方のポイント:前職からのつながり、SNS、チラシ、紹介、予約サイトなど、手段ごとに費用と見込みを話します。

避けたい答え方:「良いものを出せば自然に来ます」。

すでに見込み客や取引予定先はありますか?

答え方のポイント:件数・相手(出せる範囲で)・話の進み具合を答え、書面があれば持参します。

避けたい答え方:「たぶん来てくれる」程度の話を、決まったことのように話す答え。

前の勤務先のお客様との関係は大丈夫ですか?

答え方のポイント:前職と話し合い済みか、競業を避ける約束がないかを確かめたうえで答えます。

避けたい答え方:確認しないまま「全員連れていけます」と答える。

売上の根拠

月の売上はどう計算しましたか?

答え方のポイント:「客単価×席数×回転数×営業日数」など式で説明します。公庫の「創業の手引」も、サービス業・小売業・ECなど5つの型の計算例を載せています。

避けたい答え方:「このくらいはいくと思います」という感覚の答え。

客単価や客数の根拠は何ですか?

答え方のポイント:前職の実績、近隣の価格調査、予定地の人通りの調査など、数字の材料を示します。

避けたい答え方:繁盛店や最盛期の数字をそのまま使った答え。

開業してすぐ、計画どおりの売上になりますか?

答え方のポイント:「創業当初」と「軌道に乗った後」を分け、立ち上がりの期間と理由を説明します。公庫の調査でも、予想月商に到達したのは58.7%です。

避けたい答え方:初月から満額を見込む答え。

季節によって売上は変わりますか?

答え方のポイント:冬の客足、観光シーズン、年末年始の繁忙など、北海道・札幌の季節の要因を織り込んでいることを示します。

避けたい答え方:12か月ずっと同じ売上で計画している。

売上が計画を下回ったら、どうしますか?

答え方のポイント:どこまで下がると赤字になるかを把握し、経費の見直し・営業時間・販路などの対策を具体的に話します。

避けたい答え方:「下回ることはありません」。

売上の入金はいつになりますか?

答え方のポイント:現金・カード・掛売りの割合と、締め日・入金日を説明し、入金までの資金の手当てを示します。

避けたい答え方:取引条件やカード会社の入金日を確かめていない。

費用・利益

原価率(売上に対する仕入の割合)はどのくらいですか?

答え方のポイント:仕入先・仕入価格とあわせて、前職の数字などと比べて説明します。

避けたい答え方:根拠なく低い原価率を置く。

毎月の経費の内訳を教えてください。何にいくらかかりますか?

答え方のポイント:家賃・人件費・水道光熱費・広告費・リース料など、項目ごとに答えます。

避けたい答え方:「その他」にまとめて、内訳を説明できない。

冬の暖房費や除雪費は見込んでいますか?

答え方のポイント:冬に増える光熱費や駐車場の除雪など、季節で増える経費を月ごとに考えていることを示します。

避けたい答え方:夏の水準の光熱費で1年分を計算している。

従業員は雇いますか?

答え方のポイント:人数・雇用形態・採用の見込み・人件費を答えます。家族が手伝うなら、役割と給与の扱いも説明します。

避けたい答え方:人手が要るのに、人件費が計画に入っていない。

毎月どのくらい利益が残りますか?

答え方のポイント:売上−原価−経費=利益を、創業当初と軌道に乗った後に分けて答えます。支払利息も経費に入れます。

避けたい答え方:計画書と違う数字を口頭で言う。

資金計画・自己資金

必要な資金の内訳を説明してもらえますか?

答え方のポイント:設備資金は見積書どおりに、運転資金は何の費用の何か月分かを説明します。

避けたい答え方:見積書と計画書の金額が合っていない。

見積りは何社から取りましたか?

答え方のポイント:複数社を比べた結果や、中古品・リースを検討した経過を話します。

避けたい答え方:1社だけで、高いグレードを選んだ理由も説明できない。

自己資金はどうやって貯めましたか?

答え方のポイント:いつから、毎月いくら貯めたかを通帳で示します。公庫の冊子も、コツコツ貯めることを大切としています。

避けたい答え方:出所を説明できない入金がある。

通帳のこの大きな入金は何ですか?

答え方のポイント:退職金・贈与・保険の解約など、出所を書類とあわせて説明します。

避けたい答え方:一時的に借りたお金を、自己資金と説明する(見せ金)。

家族からの援助はありますか?

答え方のポイント:もらったのか借りたのかを明確にします。借りたなら計画書の「親・兄弟・知人・友人等からの借入」欄に書き、返済の条件も説明します。

避けたい答え方:借りたお金を自己資金に含める。

ほかの金融機関にも申し込んでいますか?

答え方のポイント:制度融資などに並行して申し込んでいるなら正直に伝え、使いみちの分担と合計額を説明します。

避けたい答え方:隠す、同じ設備の資金を重ねて申し込む。

希望額より少ない融資になったら、どうしますか?

答え方のポイント:後回しにできる設備や、段階的に投資する案など、優先順位を考えておきます。

避けたい答え方:「満額でなければ開業できません」とだけ答える。

返済

毎月いくらなら返済できますか?

答え方のポイント:利益+減価償却費(個人は家計費を引いた後)から返済元金を払えることを、数字で説明します。

避けたい答え方:根拠なく「月10万円なら大丈夫です」。

返済期間と据置期間は、どう考えていますか?

答え方のポイント:設備は使う期間、運転資金は赤字を取り戻す見込みに合わせるなど、理由を説明します。据置が終わると返済が増えることも理解しておきます。

避けたい答え方:「できるだけ長く」だけ。

開業直後の赤字の期間は、どうやって資金をつなぎますか?

答え方のポイント:運転資金の額と月数、その根拠を示します(借入額の決め方)。

避けたい答え方:運転資金をほとんど見込んでいない。

売上が落ちて返済が苦しくなったら、どうしますか?

答え方のポイント:手元資金の余裕、経費の削減、早めに金融機関へ相談する姿勢を伝えます。

避けたい答え方:「そのときに考えます」。

事業のお金の管理はどうしますか?

答え方のポイント:事業用の口座を分け、会計ソフトなどで帳簿をつける体制を決めていることを話します。

避けたい答え方:生活費と事業のお金が、同じ口座で混ざったまま。

家計・個人の借入

生活費は毎月いくらかかりますか?

答え方のポイント:住居費・食費・保険・教育費などを把握し、事業の利益でまかなえるか(個人の場合)を答えます。

避けたい答え方:家計費を把握していない。

ご家族の収入や、開業への理解はありますか?

答え方のポイント:配偶者の収入など家計の支えと、家族の協力の状況を話します。

避けたい答え方:家族に相談しないまま進めている。

住宅ローンやカード、車のローンなどの借入はありますか?

答え方のポイント:計画書の「お借入の状況」に個人の借入も書き、残高と月の返済額を答えられるようにします。

避けたい答え方:借入を少なく言う、書き漏らす。

過去に支払いの遅れや延滞はありましたか?

答え方のポイント:事実を正直に話し、理由と、現在は解消していることを説明します。

避けたい答え方:ごまかす。記録と食い違えば、信頼を失います。

公共料金や家賃、税金は期日どおりに払っていますか?

答え方のポイント:口座引落しで期日どおりに払っていることを、通帳で示せるようにします。公庫の冊子「創業の手引+」も、日頃の支払い状況を確認していると明記しています。

避けたい答え方:滞納がある状態で申し込む。

準備状況・許認可

なぜその場所を選んだのですか?

答え方のポイント:ターゲットとの近さ、競合、人通り、家賃の妥当性を説明し、物件の資料や地図を持参します。

避けたい答え方:「家賃が安かったから」だけ。

物件の契約はどこまで進んでいますか?

答え方のポイント:申込み済み・契約済みなどの状況と、工事から開業までの日程を答えます。

避けたい答え方:物件がまだ決まっていない(公庫は、予定地を決めてから申し込むよう案内しています)。

必要な許認可と、取得の見込みを教えてもらえますか?

答え方のポイント:保健所の営業許可など業種ごとの許認可を把握し、申請の時期と要件(設備の基準など)を説明します。

避けたい答え方:許認可が必要なことを知らない。

開業までのスケジュールはどうなっていますか?

答え方のポイント:工事・設備の搬入・採用・許認可・開業日を時系列で説明します(スケジュールの逆算)。

避けたい答え方:「融資が決まってから考えます」。

相談している専門家や支援機関はありますか?

答え方のポイント:商工会議所、札幌中小企業支援センター、会計事務所など、相談先があれば伝えます。帳簿や税務の体制も話せると安心です。

避けたい答え方:誰にも相談しておらず、帳簿や税務の体制も決めていない。

当日の心構え

  1. 計画書を自分の言葉で説明する

    誰かに手伝ってもらった計画書でも、数字の意味と根拠は本人が説明します。公庫サイトでは、創業計画書の書き方を項目ごとの動画で解説しています。

  2. 数字は根拠とセットで答える

    暗記よりも「なぜその数字なのか」を話せることが大切です。

  3. 分からないことは、その場で作らない

    「確認して、後日お答えします」と伝え、調べてから回答します。あいまいな数字を答えるより、信頼を保てます。

  4. よい話だけでなく、リスクと対策も話す

    売上が計画を下回ったときの備えまで話せると、計画の確かさが伝わります。

  5. 不利に思えることほど正直に

    個人の借入、支払いの遅れ、廃業の経験なども、事実をそのまま話します。

  6. 追加の資料は早めに出す

    面談のあとに求められた資料は、できるだけ早く提出します。

会計事務所の視点

面談の前に、計画書を見ながら第三者に質問してもらう「模擬面談」をしておくと、答えに詰まる箇所が分かります。計画書の数字と口頭の説明がずれると信頼を損ねやすいため、売上・経費・返済の3つの数字は、根拠とあわせて説明できるようにしておきましょう。審査で見られる観点は「審査で見られる7つのポイント」で整理しています。

創業融資の必要書類と準備物

公庫の創業融資で用意する書類の中心は、創業計画書・本人確認書類・設備資金の見積書の3つで、法人や許認可が必要な業種は数点が加わります。札幌市の制度融資は、取扱金融機関と北海道信用保証協会の両方に出す書類があり、やや多めです。どちらの場合も、公式の一覧にはない補足資料をそろえておくと、面談での説明に説得力が出ます。

書類の準備申込み面談(補足資料)融資決定契約

公庫に出す書類(新規開業・スタートアップ支援資金など)

公庫は創業予定の方に、申込み時に次の書類を電子データで用意するよう案内しています。インターネット申込みでは書類をアップロードで提出し、郵送で申し込む場合は借入申込書を使います。

書類必要な人入手先・準備のポイント
創業計画書全員公庫の書式(Excel版・PDF版)で作成します。10項目の書き方は計画書の書き方で解説しています。
見積書設備資金を申し込む人購入先や工事業者から取ります。計画書の「必要な資金」の金額・内訳と一致させます。
本人確認書類全員運転免許証(両面)、マイナンバーカード(表面のみ)、パスポート(該当ページ)のいずれか。
履歴事項全部証明書(または登記簿謄本)法人法務局で取得します。公庫の融資の対象は設立登記を済ませた法人です(時期はタイミングの章)。
許認可証等許認可が必要な業種保健所、北海道、運輸局など業種ごとの窓口で取得します。業種別の許認可は業種別の章へ。
推せん書、または振興事業に係る資金証明書生活衛生関係の業種(飲食店・美容室など)推せん書は設備資金の申込額が500万円を超える場合に必要です。資金証明書は生活衛生同業組合の組合員が使う方法です。
不動産の登記簿謄本または登記事項証明書担保を希望する人法務局で取得します。
電子契約の利用申込書と、送金先口座の通帳の写し電子契約を利用する人通帳の写しは表紙と見開き1ページ目。利用申込書は公庫の様式です。
借入申込書郵送で申し込む人公庫の書式ページにあります。

公庫の創業予定者向けの手続きの案内をもとに整理(2026年9月25日時点)。開業済みで決算前の方は、試算表など営業状況がわかる資料もあわせて用意します。

面談では、事業計画に関連する資料と、資産・負債がわかる書類の用意を求められます。公庫は具体的な書類名までは示していないので、預金通帳やローンの返済予定表など、自分の資産と借入を説明できるものを持参すると安心です。当日の持ち物と受け答えは面談対策の章で詳しく説明しています。

融資が決まったら:電子契約の準備物

  • 本人だけが使うメールアドレス(法人は法人用と代表者用で別々に必要)
  • SMSを受信できる携帯電話(050で始まるIP電話ではSMSを使えません)
  • スマートフォンなどで撮影した本人確認書類

電子契約は利用料が無料で、収入印紙も要りません。手続きの期限は原則として融資予定日の4営業日前までなので、決定の連絡を受けたら早めに進めます。担保設定を伴う融資などは電子契約を使えず、書面契約では実印・印鑑証明書・収入印紙などが必要です。

札幌市の制度融資・北海道信用保証協会で求められる書類

札幌市の創業・雇用創出支援資金などの制度融資は、取扱金融機関に申し込み、必要に応じて北海道信用保証協会の保証が付きます(スタートアップ創出促進保証を使う場合は保証が必須)。そのため、金融機関に出す書類と、保証の審査に使う書類の両方を準備します。三者の関係は制度融資のしくみを参照してください。

書類の種類札幌市の制度融資(市が示す主な提出書類)北海道信用保証協会(創業関連保証の書類の例)
申請書資金ごとの融資申請書—
計画書事業計画書創業計画書(協会の所定様式)
事業・法人の書類定款、登記事項証明書開業届、登記事項証明書、定款
税金の証明市民税の納税証明書—
決算・試算表決算書3期分と試算表—
許認可許認可証の写し許認可書
見積書設備資金の場合見積書
自己資金—自己資金を確認できる書類
物件—賃貸借契約書

札幌市の融資制度の案内と、北海道信用保証協会の創業者向けページの記載をもとに整理。いずれも「主な書類」「書類の例」で、これですべてではありません。「—」は公表資料に記載がないもの。決算前の創業者が決算書の代わりに何を出すかは、取扱金融機関に確認してください。

北海道信用保証協会の審査では、担当者の訪問や来所での面談があります。スタートアップ創出促進保証を使う場合、創業予定者や税務申告を1期終えていない方は創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要なので、通帳などで自己資金を示せるようにしておきます(自己資金の章)。北海道の制度融資(創業貸付)は、札幌商工会議所などのあっせん機関を通じて申し込むのが基本で、書類はあっせん機関の案内に従います。

札幌で書類づくりを手伝ってくれる窓口

  • 札幌中小企業支援センター(北海道経済センタービル2階、011-200-5511):札幌市の制度融資に使う事業計画書の作成をサポート(予約制)。
  • 札幌商工会議所 中小企業・創業支援課(011-231-1768):公庫の融資申込みに使う創業計画書の作成指導を無料で実施。
  • 公益財団法人 北海道生活衛生営業指導センター(札幌市中央区大通西16丁目、011-615-2112):生活衛生関係の業種の推せん書の窓口。

窓口の使い分けは札幌の支援機関の章でまとめています。

一覧にはないが、あると説明しやすい補足資料

必要書類の一覧は最低限の内容です。公庫の創業計画書の記入例でも、取引関係は契約書や注文書で裏付けること、経歴書などの補足資料をあわせて出すことが勧められています。次の資料は、計画書の数字や説明の「根拠」になります。

補足資料何の裏付けになるか準備のコツ
経歴書(職務経歴書)経験と実績勤務年数だけでなく、役職・担当業務・個人売上などの実績を数字で書きます。公庫の冊子も実績を評価のポイントとしています。
複数社の見積書設備資金の妥当性公庫の「創業の手引」は、複数社の比較や中古品・リースの検討を勧めています。採用しなかった見積りも保管しておきます。
物件資料立地・家賃・売上予測の前提募集図面、賃貸条件、周辺地図、写真など。公庫は出店地を決めてから申し込むよう求めています。
売上根拠の資料売上予測前の勤務先での実績、予定地での来店客数や通行量の調査メモ、見込み客の名簿、SNSのフォロワー数など。
取引予定先の書面販売先・仕入先の確かさ契約書、注文書、発注の内諾を示すメールなど。口約束より書面が有効です。
自己資金の通帳お金の管理積み立ての履歴がわかるもの。手元の現金は早めに預金し、出所を説明できるようにします。
公共料金・家賃の引落し記録日頃の支払い状況公庫の冊子は、公共料金・家賃・住宅ローンなどの支払いが遅れていないかを確認していると明記しています。
資格の証明技能美容師免許・調理師免許など。計画書の「取得資格」欄と合わせます。
月別収支計画・資金繰り表立ち上がり期のお金の動き公庫の書式ページに様式があります。作り方は収支の見通しで解説しています。
特定創業支援等事業の証明書特別利率の要件札幌市ではさっぽろ創業支援プラザで取得します(補助金との併用の章)。

書類で気をつけること

  • 計画書・見積書・通帳の金額と日付を一致させます。食い違いがあると、面談で質問を受けやすくなります。
  • 見積書は宛名(個人名か法人名か)、日付、有効期限を確認します。
  • 事実と違う書類や、数字を実態より良く見せた書類は出しません。信頼を失うだけでなく、契約上の問題にもなり得ます。
  • 公庫に提出した書類は返却されないので、控えを保存しておきます。
  • 申込み後に物件や設備、金額が変わったら、早めに担当者へ伝えます。

会計事務所の視点

書類は、提出前に第三者の目で「整合性」を確認するのがおすすめです。とくに、計画書の「お借入の状況」への個人の借入(住宅ローン・車・カード)の書き漏れ、見積書と「必要な資金」の内訳のずれ、自己資金の額と通帳残高の食い違いは、修正が必要になりやすい点です。

開業準備で支払った費用の領収書や振込記録は、融資の説明に使うだけでなく、開業後の帳簿づけにも必要になります。日付順にまとめて保管しておきましょう。

公式の書類一覧は公庫の創業予定者向けの手続きの案内、様式は公庫の書式ダウンロードのページ、制度融資は札幌市の融資制度の利用案内と北海道信用保証協会の創業者向けの案内で確認できます。

業種別の創業融資のポイント

審査の軸(経験と実績、自己資金、計画の根拠、返済できる収支)はどの業種でも共通ですが、必要な許認可、設備資金の中身、売上の根拠の作り方は業種ごとに大きく違います。この章では代表的な9業種について、準備と説明のポイントを北海道・札幌の事情もふまえて整理します。飲食店・美容室などの生活衛生関係の業種は、公庫の生活衛生貸付と推せん書の扱いも押さえておきましょう。

9業種の早見表

業種主な許認可(窓口)開業時の主な投資公庫の記入例生活衛生関係
飲食店飲食店営業許可(保健所)内装工事、厨房機器あり(洋風居酒屋)該当
美容室・サロン美容所の開設届(保健所)内装工事、セット面、シャンプー台あり(美容業)美容業・理容業は該当
建設業(内装・リフォーム)建設業許可(北海道知事など)。軽微な工事だけなら不要車両、工具・機械あり(内装工事業)対象外
IT・Web制作原則不要(派遣にあたる形態は許可が必要)パソコン、ソフトウェアあり(ソフトウェア開発業)対象外
医療(クリニック・歯科)診療所の開設届(保健所)、保険医療機関の指定(北海道厚生局)医療機器、内装工事あり(歯科診療所)対象外
介護・福祉介護保険の事業者指定(札幌市内の事業所は札幌市)車両、改修工事あり(介護サービス)対象外
小売・EC商品による(酒類販売業免許、古物商許可など)内装・什器、販売サイトあり(婦人服・子供服小売業、中古自動車販売業)食肉販売業などは該当
運送業一般貨物自動車運送事業の許可(北海道運輸局)。軽貨物は届出車両なし対象外
不動産業(宅建業)宅地建物取引業免許(北海道知事など)事務所、営業保証金などなし対象外

許認可は代表的なものだけを挙げています。事業の内容や規模で必要な手続きは変わるので、開業前に必ず各窓口で確認してください。「公庫の記入例」は公庫の書式ページで公開されている9業種の創業計画書の記入例との対応です。

売上の根拠は、公庫の冊子「創業の手引」が示す計算の型(サービス業、小売業、EC、設備直結型、商圏分析型)を業種に合わせて使うと説明しやすくなります。計算の詳しい手順は売上予測の根拠の作り方を参照してください。

飲食店

飲食店は開業費用に占める内装工事と厨房機器の割合が大きく、物件選びが収支を左右します。公庫には飲食業向けの冊子「創業の手引+」(2025年9月)もあります。

必要な許認可
保健所の飲食店営業許可が必要で、店舗ごとに食品衛生責任者を置きます。消防署への届出も必要で、店の規模によっては防火管理者の選任も要ります。深夜に酒類を主に提供する場合は警察署への届出、持ち帰り用に酒類を売る場合は税務署の免許が別に要ります。工事の前に図面を持って保健所に相談しておくと、やり直しを防げます。
設備資金の中身
内装・設備工事、厨房機器、空調・換気設備、看板、客席の家具、食器・備品など。居抜き物件は工事費を抑えられる一方、残された設備の状態と譲渡の条件を確認します。
売上の根拠
「客単価×席数×回転数×営業日数」で、昼と夜、平日と週末を分けて計算します。前の勤務先での店長経験や担当店舗の売上、予定地での通行量や競合店の混み具合の調査が根拠になります。
審査で見られやすい点
調理・接客・店舗運営の経験(年数より実績)、家賃と売上のバランス、原価と人件費の見込み、見積書の妥当性。公庫サイトの業種別の解説でも、セールスポイントと、客単価・回転数などの売上の根拠を示すことが重視されています。
北海道・札幌での注意
大雪や厳しい冷え込みの日は客足が落ちやすく、冬は暖房費や除雪の費用もかさみます。観光客の多い立地では、観光シーズンやイベントの有無で売上の波が大きくなるので、月ごとの売上計画に反映させましょう。
制度のヒント
飲食店営業・喫茶店営業は生活衛生関係の業種です。設備資金の申込額が500万円を超えると推せん書が必要になります(下のボックス)。

美容室・サロン

美容室は、技術者本人の経験と顧客基盤が売上に直結する業種です。公庫には美容業向けの冊子「創業の手引+」(2025年9月)もあります。

必要な許認可
美容所を開くには開設前に保健所へ届け出て、使い始める前に構造設備の検査を受けます。施術する人は美容師免許が必要で、美容師の人数によっては管理美容師を置きます。理容室も理容師法にもとづく同様の手続きです。施術の内容によって美容師免許や美容所の届出が必要かどうかが変わるので、まつげエクステンションなどを扱う場合も含め、保健所に確認しておきます。
設備資金の中身
内装工事、セット面・シャンプー台、給湯器、空調、看板、予約システムなど。セット面の数が売上の上限を決めるので、席数と雇用計画をセットで考えます。
売上の根拠
「客単価×席数(セット面)×回転数×営業日数」が基本です。前の勤務先での指名客数や個人売上、固定客の来店周期が有力な根拠になります。
審査で見られやすい点
公庫の冊子は、勤務年数だけでなく役職・担当業務・個人売上などの実績も評価のポイントだとしています。独立後にどれだけのお客様に来てもらえるかを、実績の数字で説明できるかが大切です。前の勤務先と開業場所に関する約束などがあれば、事前に確認しておきます。
北海道・札幌での注意
冬は給湯と暖房の光熱費が増えます。大雪の日は予約のキャンセルが出やすく、車で来店するお客様が多い立地では駐車場の除雪も欠かせません。
制度のヒント
美容業・理容業は生活衛生関係の業種です。推せん書の扱いは下のボックスを確認してください。

飲食店・美容室・理容室の方へ:生活衛生貸付と推せん書

飲食店営業・喫茶店営業・理容業・美容業などは生活衛生関係の業種で、公庫には専用の生活衛生貸付があります。一般貸付(設備資金)の限度額は飲食店・喫茶店・理容業・美容業などで7,200万円、返済期間は13年以内(据置1年以内、7年を超える場合は2年以内)です。

設備資金の申込額が500万円を超える場合は、都道府県知事の「推せん書」が必要です(500万円以下なら不要)。北海道では公益財団法人 北海道生活衛生営業指導センター(札幌市中央区大通西16丁目、011-615-2112)が推せん事務を受託しています。生活衛生同業組合の組合員は、組合の「振興事業に係る資金証明書」で申し込む方法もあります。

生活衛生貸付には一般貸付のほかにも制度があり、どれを使うかは公庫の窓口で相談しながら決まります(マル経融資と生活衛生貸付)。推せん書の発行にかかる日数は公表されていないので、申込みの前に早めにセンターへ問い合わせましょう。

建設業(内装・リフォームなど)

建設業は設備が比較的小さい一方で、材料費や外注費を先に払い、代金は工事の完了後や月末の締めのあとに受け取る形が多い業種です。そのため、運転資金の見積りが計画の要になります。

必要な許認可
一定規模以上の工事を請け負うには建設業許可が必要です(営業所が北海道内だけなら北海道知事、2つ以上の都道府県にあれば国土交通大臣の許可)。「軽微な工事」だけなら許可がなくても営業できますが、その範囲は工事の種類と請負金額で決まっているので、受注予定の工事と照らして確認します。電気工事など、別の登録が必要な工事もあります。
設備資金の中身
作業用の車両、工具・機械、資材置き場や事務所の準備など。中古の車両や機械、リースも比べて初期投資を抑えます。
売上の根拠
元請・工務店・管理会社などからの受注見込みが中心です。前の勤務先で担当した工事の実績、取引予定先からの発注の内諾(書面やメール)、見積りの依頼状況が根拠になります。
審査で見られやすい点
特定の元請への依存度、代金の回収条件(締め日と入金日)と材料費・外注費の支払条件のずれ、施工の経験と資格。取引先ごとの回収・支払の条件は、計画書の「取引先・取引関係等」欄にも書きます。
北海道・札幌での注意
積雪期は外壁・屋根・外構などの屋外工事が減りやすく、工事量が季節で大きく変わります。内装中心でも月ごとの受注の波を計画に織り込み、売上が落ちる時期の運転資金を確保しておきましょう。
制度のヒント
売上に季節の波がある場合、公庫では季節変動返済などの返済方法も相談できます(公庫の返済)。

IT・Web制作

IT・Web制作は設備投資が小さく、費用の中心は人件費と自分の生活費です。形のないサービスを売るため、顧客の獲得方法を具体的に示すことが大切です。

必要な許認可
ソフトウェア開発やWeb制作そのものには、原則として許認可は要りません。ただし、技術者を取引先に常駐させ、取引先の指揮命令のもとで働かせる形態は労働者派遣にあたり、厚生労働大臣の許可が必要です。契約の形(請負・準委任・派遣)を事前に整理しておきます。
設備資金の中身
パソコン・周辺機器、ソフトウェアのライセンス、サーバー、事務所の内装など。金額は小さめで、運転資金の比重が高くなります。
売上の根拠
受託開発は「案件の単価×件数」や「月単価×稼働人数」、保守・運用は「月額料金×契約数」で積み上げます。自社サービスやネット販売は「月間集客数×成約率(CVR)×客単価」の型が使えます。前職の取引先や発注予定先からの書面・メールが有力な根拠です。
審査で見られやすい点
売上が特定の1社に偏っていないか、検収後の入金までに間が空かないか、開発期間中の人件費をまかなえるか。セールスポイントを、実績や得意分野とあわせて具体的に説明します。
北海道・札幌での注意
天候の影響は受けにくい業種ですが、取引先が道内企業中心の場合は、取引先の繁閑や年度末の発注の集中などで受注に波が出ることがあります。道外の顧客を狙うなら、オンラインで完結する営業と納品の体制を計画書に書いておきます。
制度のヒント
新規開業・スタートアップ支援資金では、ベンチャーキャピタル等から出資を受けた方(見込みを含む)は特別利率B、技術・ノウハウ等に新規性がみられる方は特別利率A・B・Cのいずれかの対象です。札幌市の制度融資には、IT・クリエイティブなどの重点分野を対象にした札幌みらい資金もあります(創業時に使えるかは取扱金融機関に確認)。

医療(クリニック・歯科)

クリニックや歯科医院は医療機器と内装に大きな資金がかかり、開業費用が高額になりやすい業種です。高額な設備と、患者数が増えるまでの期間の両方に備えた資金計画が求められます。

必要な許認可
医師・歯科医師が個人で診療所を開く場合は保健所への開設届、保険診療を行うには北海道厚生局による保険医療機関の指定が必要です。エックス線装置を置く場合の届出など、設備に応じた手続きもあります。医療法人として開設する場合は、法人の設立と開設の許可の手続きが別に要ります。
設備資金の中身
医療機器(検査機器・歯科用ユニットなど)、内装工事、電子カルテなどのシステム、待合室の設備など。高額な機器は、購入とリースを比べて判断します。
売上の根拠
「1日の患者数×1人あたりの診療単価×診療日数」が基本です。開業予定地の人口・世帯数と、同じ診療科の医療機関の分布を調べる診療圏の調査(商圏分析型の考え方)で、患者数の見込みを裏付けます。開業直後は患者数が少ない前提で、立ち上がりの数か月の収支を別に作ります。
審査で見られやすい点
勤務医としての経験と専門性、診療圏の競合、設備投資の規模と返済期間のバランス。保険診療の報酬は診療してから入金までに時間差があるので、その間の人件費や家賃を運転資金として見込んでおくことが大切です。
北海道・札幌での注意
車で来院する患者が多い立地では、駐車場と出入口の除雪が冬の固定的な費用になります。季節性の病気の流行で患者数が月ごとに変わる診療科は、月別の計画で繁閑を反映させます。
制度のヒント
新規開業・スタートアップ支援資金の限度額は7,200万円です。開業費用がこれを大きく上回る場合は、民間金融機関の融資やリースとの組み合わせを早めに検討します。

介護・福祉

介護事業は、国が定める報酬の単価と人員の基準の中で運営する業種です。売上の見通しは立てやすい反面、職員を確保できるかどうかが計画の成否を分けます。

必要な許認可
介護保険のサービスを提供するには事業者の指定が必要で、札幌市内の事業所は札幌市が指定の窓口です。指定を受けるには原則として法人であることが必要で、サービスごとの人員・設備・運営の基準を満たさなければなりません。障害福祉サービスも同様に指定が必要です。
設備資金の中身
通所サービスなら物件の改修工事・送迎車両・入浴設備など、訪問サービスなら事務所と移動用の車両が中心です。
売上の根拠
「利用者数×利用回数×報酬単価(加算を含む)」で積み上げます。ケアマネジャーなど紹介元との関係や、前職での担当実績が根拠になります。報酬の単価は改定されることがある点も踏まえます。
審査で見られやすい点
人員基準を満たす職員を採用できる見込み、管理者やサービス提供責任者などの資格と経験、利用者の獲得ルート。介護報酬はサービスを提供してから入金までに時間差があるため、開業当初の人件費を運転資金でまかなえるかが重要です。
北海道・札幌での注意
冬は送迎や訪問の移動に時間がかかり、車両の冬用タイヤや燃料の費用も増えます。移動時間が延びる前提で、1日に回れる件数を控えめに見積もりましょう。
制度のヒント
保育・介護サービス事業などは、公庫のソーシャルビジネス支援資金の対象にもなり、特別利率Bが適用されます(公庫の制度一覧)。

小売・EC

小売・ECは、開業時の商品の仕入れと、仕入れた商品が売れて現金に戻るまでの期間が資金計画の中心になります。開業時の仕入れは、計画書では運転資金として扱います。

必要な許認可
取り扱う商品で決まります。例えば、酒類の販売は税務署の免許、中古品の売買は古物商の許可(公安委員会。窓口は警察署)、医薬品・医療機器は許可や届出、食品は保健所の許可や届出が必要な場合があります。ネット販売では、特定商取引法にもとづく事業者情報などの表示が必要です。
設備資金の中身
店舗の内装、陳列棚などの什器、レジやシステム。ECなら販売サイトの構築、撮影機材、在庫を置く倉庫や棚です。
売上の根拠
店舗は「1日の来店客数×客単価×営業日数」、ECは「月間集客数×成約率(CVR)×客単価」。予定地での通行量や競合店の調査、SNSのフォロワー数、テスト販売の実績が根拠になります。
審査で見られやすい点
仕入先の確保と仕入れの条件、在庫が売れるまでの期間、粗利の見込み、広告費の効果。ECは価格の比較をされやすいので、選ばれる理由(品ぞろえ、専門性など)を具体的に書きます。
北海道・札幌での注意
冬は天候で来店客数が変わりやすく、道外へ発送する場合は距離に応じた送料と、大雪のときの配送の遅れも考えておく必要があります。観光客向けの商品は、観光需要の季節の波を月別の売上計画に反映させます。
制度のヒント
食肉販売業・氷雪販売業は生活衛生関係の業種なので、生活衛生貸付の扱いを確認します。

運送業

運送業は車両が主な設備で、燃料費・保険・整備などの経費が毎月かかります。許可が必要な一般貨物と、届出で始められる軽貨物で、準備の重さが大きく違います。

必要な許認可
トラックで荷主の荷物を運ぶ一般貨物自動車運送事業は、北海道運輸局の許可が必要です。許可には一定台数の車両、車庫、運行管理者・整備管理者などの体制に加え、資金計画の審査もあります。軽自動車で運ぶ貨物軽自動車運送事業は、運輸支局への届出で始められます。
設備資金の中身
車両(新車・中古・リース)、車庫や事務所の準備、運行記録の機器など。
売上の根拠
荷主や元請の運送会社からの受注見込みが中心です。設備直結型の考え方で「1台あたりの運行能力×運賃×台数×稼働日数」を計算し、取引予定先の書面で裏付けます。
審査で見られやすい点
荷主の確保と1社への依存度、燃料費の変動への備え、ドライバーの確保、許可取得の見込みとスケジュール。許可の申請と融資の申込みの順番は、事前に窓口や専門家と確認しておきます。
北海道・札幌での注意
冬道の走行は時間がかかり、冬用タイヤ・除雪・暖機運転などの費用も増えます。農産物・水産物など季節で荷量が変わる荷物を扱う場合は、繁忙期と閑散期を月別の計画に反映させましょう。
制度のヒント
開業後に燃料などのコスト増で業況が悪化したときは、公庫のセーフティネット貸付という選択肢もあります(業況が悪化したとき)。

不動産業(宅建業)

不動産の売買や賃貸の仲介を行う宅地建物取引業(宅建業)は、免許と開業時の保証の手当てが必要です。成約までに時間がかかるので、立ち上がりの運転資金を厚めに見込みます。

必要な許認可
宅地建物取引業の免許が必要です(事務所が北海道内だけなら北海道知事、2つ以上の都道府県にあれば国土交通大臣)。事務所ごとに専任の宅地建物取引士を置き、営業を始める前に営業保証金を供託するか、宅建業の保証協会に加入します。この保証協会は、融資の保証をする信用保証協会とは別の団体です。
設備資金の中身
事務所の内装・備品、車両、物件情報サイトへの掲載などの広告の準備。営業保証金(または保証協会に加入するための分担金など)も開業資金として計画に入れます。
売上の根拠
仲介は「成約件数×平均の仲介手数料」、賃貸管理は「管理戸数×管理料」で積み上げます。前の勤務先での成約実績、物件オーナーや管理会社との関係が根拠になります。仲介手数料には法令で上限がある点も踏まえます。
審査で見られやすい点
宅地建物取引士の資格と実務経験、成約までの期間を見込んだ運転資金、集客の方法。販売用の土地・建物を仕入れて売る事業は必要な資金が大きいため、創業時は仲介や管理から始める計画も検討に値します。
北海道・札幌での注意
賃貸の仲介は進学・転勤の時期に需要が集まりやすく、冬は物件の案内の移動に時間がかかります。月別の成約件数に季節の波を反映させましょう。
制度のヒント
新規開業・スタートアップ支援資金では、土地にかかる資金は原則として特別利率の対象外です。

会計事務所の視点:業種を問わず確認したいこと

  • 許認可と融資の順番:許認可の取得が融資の実行に間に合わないことがあります。公庫サイトの業種別の解説では、許認可は融資後に確認する条件とされる場合が多いとされています。取得予定の時期を計画書に書き、面談で扱いを確認しましょう。
  • 許認可の基準と見積りの連動:保健所の設備基準や、介護・運送の人員基準を満たすための費用が、見積書と資金計画に入っているかを確かめます。
  • 入金のタイミング:保険診療・介護報酬・建設工事などは、売上が立ってから入金までに時間差があります。売上高ではなく入金の月で資金繰り表を作ると、必要な運転資金が見えてきます。
  • 業種の平均との比較:原価率や人件費率を業種の平均と比べると、計画の無理に気づけます(業種別の財務指標)。

業種を問わない審査の考え方は審査で見られる7つのポイント、公庫サイトの解説は公庫「業種別の創業ポイント集」もあわせて参照してください。

断られた・減額されたときの対処法

融資を断られたり、希望より少ない金額を示されたりしても、創業の道が閉ざされたわけではありません。大切なのは、原因を自分で推定し、改善点をはっきりさせてから次の手を打つことです。計画を磨いての再申込み、制度融資への切替え、規模の縮小、自己資金の積み増し、実績づくりの5つから、状況に合う道を選びましょう。

原因を推定改善する支援機関で点検再申込み・切替え

結果の受け止め方と、最初にすること

公庫は、事業計画などを検討した結果、希望に沿えない場合があることを案内しています。ただし審査の具体的な基準は公表されておらず、結果の理由をどこまで説明するかについても公式の定めは示されていません。一般に、詳しい理由までは示されないこともあるとされるため、自分で原因を推定する作業が欠かせません。

結果内容最初にすること
否決融資を受けられない下のセルフチェックで原因を推定します。すぐ別の金融機関に同じ計画で申し込むより、まず改善点を整理します。
減額希望額より少ない金額での融資減額後の金額で資金繰りが回るかを確かめ、計画を組み直します。
条件付き自己資金の追加や、他の金融機関との協調などを求められる条件を満たせるか、満たした場合の返済負担はどうなるかを確認します。

結果の伝えられ方の一般的なパターンです。実際の扱いは金融機関や案件によって異なります。

結果の連絡を受けたら、面談で質問された点や答えに詰まった点を、記憶が新しいうちに書き出しておきましょう。次の計画を直すときの一番の手がかりになります。

原因を推定するセルフチェック

次の表で当てはまるものがないかを確認します。各項目の詳しい考え方は審査で見られる7つのポイントで説明しています。

観点確認すること改善の方向
信用情報・支払い状況カードやローン、携帯電話の分割払いの延滞、税金・公共料金・家賃の遅れはないか本人開示で信用情報を確かめ(方法は事前準備)、延滞を解消して期日どおりの支払いを続けます。
自己資金計画に比べて少なすぎないか。貯めた経緯と出所を説明できるか通帳への積み立てを続けます。親族からの援助は形を整理します(自己資金)。
計画の根拠売上予測に客数・単価などの根拠があるか。立ち上がりを楽観的に見ていないか根拠の資料を集め、控えめな売上でも回る計画にします(売上予測)。
返済できる収支利益と減価償却費で返済元金をまかなえるか。個人は家計費を引いても残るか借入額・返済期間・経費を見直します(借入額の決め方)。
経験・実績同じ業種での経験や実績を、数字で具体的に示せたか実績を整理し直します。経験が浅ければ、勤務や小さな開業で実績を積みます。
資金の使いみち設備が過大ではないか。見積書と計画書の金額は一致しているか複数社の見積り、中古・リースの検討で投資額を絞ります。
準備の進み具合物件・許認可・取引先の見通しは具体的か物件を決め、取引予定先の書面など準備の証拠をそろえます。
個人の借入住宅ローン・車・カードなどを計画書に正直に書いたか。返済の負担は重くないか書き漏れをなくし、できれば返済負担を軽くしてから臨みます。

公庫の2025年度新規開業実態調査では、予想月商に到達した開業者は58.7%でした(公庫の融資先が対象)。売上を控えめに見積もった計画のほうが、面談での説明にも説得力が出ます。

立て直しの5つの選択肢

選択肢向いているケース注意点
① 計画を磨いて再申込み根拠の不足や説明不足が原因と考えられる何を改善したかを書類と数字で示せる状態になってから臨みます。公庫の創業計画書セルフチェックで見直すのも有効です。
② 制度融資に切り替える別の審査の目で見てほしい。札幌市内で事業をする信用情報の延滞など同じ原因が残っていれば、結果は変わりにくいと考えます。
③ 規模を縮小して始める設備投資や借入額が大きすぎる中古・リース、小さな物件、段階的な出店で調整します。運転資金は削りすぎないようにします。
④ 自己資金を積み増す自己資金が少ない、貯め方に説明しにくい点がある少額でも継続して貯めた記録が大切です。一時的な入金は逆効果です。
⑤ 実績をつくってから借りる経験が浅い、売上の根拠が弱い小さく始めて売上と取引の実績を積み、その数字を根拠に申し込みます。

②の制度融資は、札幌市の創業・雇用創出支援資金なら取扱金融機関に申し込み、北海道信用保証協会の保証が付く場合は協会の審査も受けます。金融機関と取引がない場合は、協会に直接相談して金融機関をあっせんしてもらう「あっせん保証」という方法もあります(札幌市の制度融資と組み合わせられるかは、協会や取扱金融機関に確認してください。流れは制度融資の申込みの流れ)。過去の申込みの経緯を聞かれたら、正直に答えましょう。

⑤の実績づくりについて、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は事業開始後おおむね7年以内の方も対象です。開業済みで決算前なら、試算表など営業状況がわかる資料で実績を説明できます。

再申込みのタイミングの考え方

再申込みまでに空けるべき期間について、公庫の公式な定めは示されていません。目安の月数にこだわるより、「前回から何が変わったか」を書類と数字で説明できる状態になったかで判断しましょう。

  • 自己資金が増え、積み立ての記録を通帳で示せる
  • 見込み客や取引予定先の書面がそろった
  • 物件や設備を見直し、見積りを取り直した
  • 延滞を解消し、その後の支払いを期日どおりに続けている
  • 開業して、試算表で売上の実績を示せる
立て直しの例 カフェの開業(札幌市内・個人で開業)架空の事例です
項目最初の申込み見直した後
希望額1,200万円(内装を全面的に新しく工事)800万円(居抜き物件に変更し、工事を縮小)
自己資金100万円(申込みの直前にまとめて入金)200万円(毎月の積み立てを続け、履歴を通帳で示せる)
売上の根拠席数と想定の回転数だけ予定地での時間帯別の通行量調査と、前職のカフェで店長だったときの売上実績
仕入先未定焙煎所から卸売の条件を書面で入手
支払い状況携帯電話の分割払いに延滞が1回延滞を解消し、以後は口座引落しで期日どおりに支払い
ここがポイント変えたのは金額だけではありません。「なぜ前回より確かな計画になったのか」を、書類で一つずつ示せる状態にしてから申し込んでいます。

なお、公庫の同意事項では、申込みの事実が加盟する個人信用情報機関に6か月間登録されるとされています。これが審査にどう影響するかは公表されていませんが、短い間に申込みを重ねるより、改善を形にしてから臨むのが基本です。

焦ってやってはいけないこと

  • 一時的に借りたお金を自己資金に見せかける(見せ金)。出所を説明できず、かえって信用を失います(自己資金)。
  • 根拠なく売上予測を引き上げる、個人の借入を書かずに申し込む。
  • 消費者金融など金利の高い借入で不足分を埋める。返済負担が増えるうえ、借入の記録は信用情報に残ります。
  • 「審査に通してあげる」「公庫と提携している」などとうたう業者に頼る。公庫は、公庫の名前や似た名前を使った融資の勧誘や手数料の要求に注意するよう呼びかけています(公庫の注意喚起、公庫融資の注意点)。

会計事務所の視点:減額を示されたとき

減額の提示を受けたら、まず減額後の金額で、開業から1年程度の資金繰り表を作り直してください。足りない場合は、設備のグレードや導入時期を見直すか、開業後の実績をもとに追加の融資を相談する順番も考えられます。

避けたいのは、運転資金を削って総額を合わせることです。開業後の資金不足に直結しやすく、立ち上がりの赤字に耐えられなくなります。資金繰り表の考え方は資金繰りの管理も参考にしてください。

札幌で計画を見直すときの相談先

  • 公庫の創業サポートデスク(札幌支店・札幌北支店など全国の支店):申込み前から相談でき、予約相談では創業計画書のブラッシュアップにも応じています。
  • 札幌商工会議所:公庫の融資申込みに使う創業計画書の作成指導を無料で実施しています。
  • 北海道信用保証協会の創業相談(011-241-5605):制度融資・保証付き融資への切替えを考えるときに。予約なしでも相談できます。

窓口の詳しい使い方は札幌の支援機関の章を参照してください。

補助金・特定創業支援と組み合わせる

補助金は原則として後払いなので、支払いに必要なお金は融資や自己資金で先に用意しなければなりません。札幌で創業するなら、札幌市の特定創業支援等事業の証明書を取っておくと、公庫の特別利率、会社設立の登録免許税の軽減、持続化補助金〈創業型〉の申請要件など、いくつもの特典につながります。証明書の取得には1か月以上かかるので、開業日から逆算して早めに動きましょう。

補助金は後払い:先に払うお金を融資で用意する

小規模事業者持続化補助金の公募要領は、補助金が後払いで、事業の実施にはいったん自分で費用を負担する必要があると明記しています。事業を実施して経費を支払い、実績報告書を出して金額が確定した後に、精算払いで入金される流れです。

申請採択・交付決定事業の実施(全額を支払う)実績報告補助金の入金

公庫の「創業の手引」も、補助金は原則として返済不要である一方、精算払いや補助率などの制約があると説明しています。補助金を使う計画でも、経費の全額をいったん支払えるだけの資金が必要です。

計算例 補助対象経費300万円・補助率3分の2の場合架空の事例です
項目金額
補助対象経費(先に全額を支払う)300万円
補助金(300万円×3分の2)200万円
最終的な自己負担100万円
補助金が入るまでに必要な資金300万円
ここがポイント補助金の200万円が入るのは、事業を終えて実績報告を出した後です。それまでの300万円を、融資と自己資金でまかなう計画にしておく必要があります。

創業融資の計画に補助金をどう組み込むか

  • 採択されるか、いつ入金されるかは、融資の申込みの時点では確定していません。入金前の資金繰りは、融資と自己資金だけで回る形にしておきます。
  • 補助金を、開業当初の運転資金や返済の原資として当てにしない計画にします。
  • 申請を予定している補助金があれば、面談で率直に伝え、入金後の使いみちも説明できるようにしておきます。
  • 一般に、補助金は交付決定より前に発注・契約した経費を対象にしません。開業準備で先に買うものと、交付決定後に補助事業として買うものを分けて計画します(対象経費と期間は公募要領で確認)。

公庫の国民生活事業の融資制度一覧には、補助金のつなぎ資金を名前に掲げた制度はありません。つなぎの資金が必要な場合は、創業時の融資の運転資金として相談するか、取引のある金融機関に相談します(扱いは金融機関によって異なります)。

交付決定で公庫の特別利率の対象になる補助金・交付金もある

新規開業・スタートアップ支援資金では、地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)を活用した補助金等の交付決定を受けた方と、地域未来交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けた方は特別利率Bの対象です。起業支援金と移住支援金の両方の交付決定を受けた方は、特別利率Cの対象です。自分が使う補助金がこれに当たるかどうかは、実施する自治体と公庫の窓口で確認してください。

持続化補助金〈創業型〉(第4回)の概要

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓などに取り組む経費の一部を補助する制度で、創業間もない事業者向けの〈創業型〉があります。第4回の公募要領(2026年5月27日公開)の主な内容は次のとおりです。

200万円補助上限インボイス特例で50万円上乗せ
3分の2補助率創業型 第4回の公募要領
12月15日申請受付の締切(2026年)受付は11月5日から、締切日は17時まで
主な要件第4回の内容
特定創業支援等事業と開業日特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日(設立年月日)が、いずれも公募の締切から数えて過去1年以内にあること。事務局は第4回の対象期間を2025年12月15日〜2026年12月15日と案内しています。
商工会議所の支援商工会・商工会議所の支援を受けて取り組む事業であることが要件で、事業支援計画書(様式4)が必要です。札幌市内の事業者は札幌商工会議所に相談します。

小規模事業者持続化補助金〈創業型〉第4回の公募要領による(2026年9月25日時点)。補助上限・対象期間・要件は回によって変わることがあるので、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。

「支援を受けた日」と「開業日」の両方が対象期間に入っている必要がある点に注意してください。開業日が対象期間より前だと対象外になり、支援を受けた日が締切までに入らなければ申請できません。持続化補助金を使うつもりなら、証明書の取得時期、開業日、公募の締切を並べて確認しておきましょう。

判定の例(第4回)支援を受けた日開業日結果
Aさん2026年3月2026年5月両方が対象期間(2025年12月15日〜2026年12月15日)に入るので、この要件を満たします。
Bさん2026年3月2025年10月開業日が対象期間より前なので、第4回の〈創業型〉は対象外です。

架空の事例です。ほかの要件(事業支援計画書など)も満たす必要があります。

同じ日程(2026年11月5日〜12月15日17時)で、〈一般型〉通常枠の第20回(補助上限50万円、補助率は原則3分の2。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円の上乗せあり)も受け付けています。〈創業型〉の対象期間から外れる場合の候補になります。制度の全体像は中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」、第4回の公募は中小企業庁の公募案内で確認できます。

札幌市の特定創業支援等事業の証明書でできること

特定創業支援等事業は、市区町村が産業競争力強化法にもとづく計画で行う創業支援です。札幌市では、さっぽろ創業支援プラザ(札幌中小企業支援センターと札幌商工会議所中小企業相談所)で1か月以上にわたり4回以上の相談等を受け、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識を身につけると、証明書の対象になります。所定のセミナーの受講などで満たす方法もあり、証明書は札幌中小企業支援センターが発行します(申請から1〜2週間程度)。

特典内容注意点
公庫の特別利率新規開業・スタートアップ支援資金で特別利率A。女性・35歳未満・55歳以上のいずれかにも当てはまれば特別利率B有効な証明書に限ります。
登録免許税の軽減株式会社・合同会社の設立登記の税率が資本金の0.7%から0.35%に。最低税額は株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円札幌市内での設立に限ります。発起人かつ代表者であることが条件です。
創業関連保証の前倒し北海道信用保証協会の創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できます札幌市以外で開業する場合も使えます。
道の創業貸付・スタートアップ創出促進保証開業前に申し込める期間が6か月以内に広がります各制度の要件は北海道の制度融資と主な保証制度で確認。
持続化補助金〈創業型〉申請要件の一つになります支援を受けた日が対象期間に入っていることが必要です。
さっぽろ新規創業促進補助金軽減後の登録免許税を払った人に、株式会社75,000円・合同会社30,000円を補助登記上の本店が札幌市内、市税の滞納がないことなど。設立日から90日以内または令和9年3月31日のどちらか早い日までに申請。予算がなくなれば終了(先着順)。

札幌市の特定創業支援等事業の案内、札幌市「さっぽろ新規創業促進補助金」などによる(2026年9月25日時点)。証明書には有効期限があります(札幌市の案内では令和9年3月31日まで。開業済みの方は開業日から5年を経過しない日まで)。

計算例 資本金300万円の株式会社を札幌市内で設立する場合架空の事例です
項目証明書なし証明書あり
資本金×税率300万円×0.7%=2.1万円300万円×0.35%=1.05万円
納める登録免許税(最低税額を適用)15万円7.5万円
さっぽろ新規創業促進補助金対象外75,000円
差し引きの負担15万円0円
ここがポイント資本金が小さい会社は最低税額が適用されるため、軽減後の7.5万円と補助金の75,000円が同じ額になります。ただし補助金は予算の範囲内の先着順なので、受けられない場合もあります。

組み合わせのスケジュール例

証明書・会社設立・融資・補助金の順番を間違えると、特典を受けそこねます。会社を設立して開業する場合の流れの一例です(個人で開業する場合は、設立の手順を除いて考えます)。

  1. 開業の5か月ほど前まで:さっぽろ創業支援プラザで相談を始める

    1か月以上・4回以上の相談で証明書の対象になります。並行して事業の構想と物件探しを進めます。

  2. 創業計画書を作る

    札幌商工会議所の無料の作成指導なども使い、物件・見積り・売上の根拠を固めます。

  3. 証明書を取得し、会社を設立する

    証明書を添えて設立登記をすると、登録免許税が軽減されます。その後、期限内にさっぽろ新規創業促進補助金を申請します。

  4. 融資に申し込む

    公庫では特別利率A(条件により特別利率B)の対象になります。制度融資を使うなら、創業関連保証の前倒しも検討します。

  5. 開業し、持続化補助金〈創業型〉を申請する

    対象期間と締切を確かめ、札幌商工会議所に事業支援計画書を依頼したうえで申請します。

  6. 交付決定の後に補助事業を実施する

    経費を支払い、実績報告を出してから補助金が入金されます。その間の資金は融資と自己資金でまかないます。

開業日から逆算した全体のスケジュールはタイミングの章、相談窓口の使い分けは札幌の支援機関の章で確認できます。

会計事務所の視点

補助金は「採択されたら助かるお金」と考え、採択されなくても事業が回る資金計画を土台にしてください。補助事業の実績報告では、見積書・発注書・請求書・振込記録など支払いの証拠をそろえるのが一般的です。

開業直後から、補助事業の経費と通常の経費を分けて記帳しておくと、実績報告も決算も進めやすくなります。入金された補助金の会計処理や税務上の扱いも、事前に確認しておきましょう。

札幌で創業するときの支援機関の使い方

札幌には、創業計画書の作成指導、融資制度の案内、特定創業支援等事業の証明まで、無料で相談できる公的な窓口がそろっています。しかも主な窓口の多くが、札幌市中央区北1条西2丁目の北海道経済センタービルに集まっています。「証明書のための相談」「計画書づくり」「融資の申込み」の順に、目的に合う窓口を使い分けるのが効率的です。

創業で使う主な窓口と役割

窓口主にできることこんなときに
さっぽろ創業支援プラザ(札幌中小企業支援センターと札幌商工会議所中小企業相談所が運営)特定創業支援等事業の相談。1か月以上・4回以上の相談等で証明書の対象になる構想の段階から。公庫の特別利率や登録免許税の軽減などの特典を使いたい
札幌中小企業支援センター(北海道経済センタービル2階、011-200-5511)札幌市の制度融資と保証の相談、事業計画書の作成サポート(予約制)、専門家への相談、女性起業家・経営者向けの相談札幌市の制度融資を検討している
札幌商工会議所(北海道経済センタービル1階、中小企業・創業支援課 011-231-1768)公庫の融資申込みに使う創業計画書の作成指導(無料)、市内5支所での経営相談、持続化補助金の事業支援計画書、マル経融資の推薦計画書を第三者に見てほしい。補助金を使いたい
公庫の創業サポートデスク(札幌支店・札幌北支店など)申込み前の段階から、計画書の立て方・申込みの流れ・融資制度の相談。予約相談で計画書のブラッシュアップにも対応公庫の制度を詳しく知りたい。計画書を磨きたい
公庫の北海道創業支援センター(北海道経済センタービル、011-231-9260)公庫の北海道の創業支援の拠点公庫への相談先に迷ったとき
公庫のオンライン創業相談Microsoft Teamsのビデオ通話で約60分。相談料は無料(通信料は自己負担)窓口に行く時間を取りにくい
北海道信用保証協会 企業支援課(本店:大通西14丁目、011-241-5605)創業前からの相談。何度でも無料で、予約なしでも可。夜間経営相談窓口もある制度融資や保証付き融資を考えている
北海道よろず支援拠点(北海道経済センタービル9階、011-232-2407)販路開拓・商品づくりなど、経営の課題を何度でも無料で相談できる集客や売り方の相談をしたい
公益財団法人 北海道生活衛生営業指導センター(大通西16丁目、011-615-2112)生活衛生関係の業種の推せん書の窓口(公庫の生活衛生貸付で、設備資金の申込額が500万円を超える場合)飲食店・美容室・理容室などを開く

所在地・電話番号・受付の条件は2026年9月25日時点の各機関の案内による。窓口の一覧は札幌で融資を相談できる窓口にまとめています。

公庫の相談は、事業資金相談ダイヤル(0120-154-505。創業の相談は平日9時〜19時)でも受け付けています。支店の予約相談は、来店なら希望日の前営業日14時まで、オンラインなら希望日の2営業日前16時までに予約します。

北海道経済センタービルで窓口をまとめて回る

札幌中小企業支援センター(2階)、札幌商工会議所(1階)、公庫の札幌支店(3階)と北海道創業支援センター、北海道よろず支援拠点(9階)は、同じ北海道経済センタービル(札幌市中央区北1条西2丁目)に入っています。予約を同じ日にまとめれば、計画書の指導と融資の相談を1日で進めることもできます。

北海道信用保証協会の本店は大通西14丁目にあり、札幌市内の窓口は本店だけです。公庫の支店は担当区域が分かれていて、中央・白石・豊平・南・西・厚別・手稲・清田の8区は札幌支店、北区・東区は札幌北支店が担当します。

効率のよい使い方の順番

  1. 構想を固める段階(開業の5か月ほど前まで):さっぽろ創業支援プラザへ

    最初の窓口にすると、特定創業支援等事業の証明書の特典を取りこぼしません。証明書は1か月以上・4回以上の相談等が必要で、申請から発行まで1〜2週間程度かかります。商品づくりや集客の悩みは、北海道よろず支援拠点も並行して使えます。

  2. 創業計画書を作る:札幌商工会議所・札幌中小企業支援センターへ

    札幌商工会議所の無料の作成指導や、札幌中小企業支援センターの事業計画書の作成サポートで、数字と根拠を固めます。計画書の書き方は計画書のページでも解説しています。

  3. 融資の制度を選ぶ:公庫と北海道信用保証協会へ

    公庫の創業サポートデスクやオンライン創業相談、北海道信用保証協会の創業相談で、自分に合う制度と組み合わせ方を確認します。選び方の考え方は3つの選択肢の章で整理しています。

  4. 申し込む:公庫の支店、または取扱金融機関へ

    公庫は、個人なら開業予定地、法人なら本店所在地を管轄する支店に申し込みます。札幌市の制度融資は、市内の取扱金融機関の店舗が窓口です。

  5. 開業後:補助金・マル経融資・専門家派遣を活用

    持続化補助金〈創業型〉は札幌商工会議所の事業支援計画書を受けて申請します(補助金との併用)。マル経融資は、最近1年以上同じ商工会議所の地区で事業を行い、原則6か月以上の経営指導を受けたうえで推薦を受ける制度です。北海道信用保証協会の利用者は、無料の専門家派遣も使えます。

プラザで相談計画書の指導制度の確認申込み開業後の支援

平日の昼間に動きにくい方の相談方法

  • 北海道信用保証協会の夜間経営相談窓口:本店1階で、原則毎月第1・第3火曜の17時10分〜19時40分。無料で、これから開業する人も対象です。
  • 北海道よろず支援拠点の出張相談:札幌市図書・情報館で、毎週火・木の13時15分〜16時15分と、第2・第4金曜の17時30分〜20時45分。初回はWebの相談フォームから申し込みます。
  • 公庫のオンライン創業相談や、支店のオンラインでの予約相談も使えます。

会計事務所の視点:相談を実りあるものにするコツ

  • 相談の前に、事業の概要・必要な資金の総額・自己資金の額・開業予定日を1枚にまとめて持参すると、話が具体的になります。
  • 窓口ごとに受けた助言を記録し、計画書はつねに最新版を1つに保ちます。窓口によって古い版と新しい版が混ざると、説明が食い違う原因になります。
  • 開業後に追加の融資を受けるときは、月次の試算表が説明の材料になります。記帳の方法は開業前に決めておきましょう(会計ソフトの使い方はfreee・マネーフォワード・弥生の実務ガイド)。

各機関の案内は、札幌中小企業支援センター、札幌商工会議所の創業計画書の作成指導、公庫の創業サポートデスク、北海道信用保証協会の創業相談、北海道よろず支援拠点で確認できます。

創業融資のよくある質問

創業融資でつまずきやすい疑問を、「申込みの前に」「制度と条件」「申込みの後・開業後」の3つに分けてまとめました。答えは要点だけにしぼっているので、詳しい説明がある章やページもあわせて確認してください。

申込みの前に

会社員のまま(在職中)でも、相談や申込みはできますか?

相談は在職中からできます。公庫の事業資金相談ダイヤル(0120-154-505)は創業の相談なら平日19時まで受け付けており、北海道信用保証協会の夜間経営相談窓口(原則毎月第1・第3火曜の17時10分〜19時40分)や公庫のオンライン創業相談も使えます。

申込みは、開業時期・物件・資金計画が具体的になってからが基本です。公庫は創業予定地を決めてから申し込むよう求めています。退職日と開業日の関係は、計画書と面談で説明できるようにしておきましょう。

関連:いつ申し込む?、札幌の支援機関

個人事業と法人、どちらで申し込むほうが有利ですか?

公庫は、融資の申込みで個人と法人に大きな違いはなく、どちらが有利ということもないと説明しています。違いが出るのは手続きと保証の扱いです。

  • 法人は、設立登記を済ませた法人が融資の対象です。履歴事項全部証明書が必要で、本店所在地を管轄する支店に申し込みます。
  • 個人は、創業予定地を管轄する支店に申し込みます。公庫では個人営業の方は原則として無保証人です。
  • 経営者保証を付けたくない法人は、公庫の経営者保証免除特例制度や、北海道信用保証協会のスタートアップ創出促進保証(法人向け)が選択肢になります。

関連:3つの選択肢、法人化の損得の試算

札幌市の近く(江別市・北広島市など)で開業する場合、窓口はどこになりますか?

公庫は、個人なら開業予定地、法人なら本店所在地を管轄する支店に申し込みます。千歳市・恵庭市・北広島市は札幌支店、江別市・石狩市・岩見沢市などは札幌北支店の担当です。

札幌市の制度融資は札幌市内で事業を営むことが条件なので、市外で開業するなら、北海道の制度融資(創業貸付)や開業する市町村の制度を確認します。特定創業支援等事業も開業する市町村の制度を調べましょう。札幌市の証明書による特典のうち、登録免許税の軽減は札幌市内での設立に限られます。

関連:北海道中小企業総合振興資金

創業計画書は自分で書かないといけませんか?専門家に手伝ってもらってもよいですか?

手伝ってもらうこと自体は問題ありません。ただし面談では、数字と根拠を自分の言葉で説明する必要があるので、中身は自分で理解しておくことが大切です。札幌商工会議所は公庫の融資申込みに使う創業計画書の作成指導を無料で行っており、公庫も予約相談で計画書のブラッシュアップに応じています。

新規開業・スタートアップ支援資金には、中小企業の会計に関する基本要領などを適用し、自ら事業計画書を作って認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士など)の指導・助言を受けている方への特別利率Aもあります。一方で、「審査に通してあげる」とうたって高額な報酬を求める業者には注意してください。

関連:創業計画書の書き方、公庫融資の注意点

制度と条件

「新創業融資制度」はなくなったのですか?

現在の公庫の制度一覧に「新創業融資制度」という名前はありません。2024年4月に、創業期の方が無担保・無保証人で使える融資(旧:新創業融資制度)が拡充され、限度額は3,000万円から7,200万円に、自己資金の要件(創業資金総額の10分の1以上)はなしになりました。あわせて据置期間は2年から5年に、運転資金の返済期間は7年から10年に延びています。

制度の名前も、2025年3月に「新規開業資金」から「新規開業・スタートアップ支援資金」に変わりました。「自己資金は10分の1以上必要」といった古い記事の記述は、いまの公庫の制度には当てはまりません。

関連:新規開業・スタートアップ支援資金を徹底解説

自己資金がほとんどなくても申し込めますか?

公庫の創業融資には、2024年4月から自己資金の要件はありません。ただし公庫は計画全体の確かさが重要だとしており、2025年度の調査では開業時の資金調達額に占める自己資金の割合は平均22.9%でした(公庫の融資先が対象)。スタートアップ創出促進保証を使う場合は、税務申告を1期終えていなければ創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。

関連:自己資金はいくら必要?

保証人や担保は必要ですか?

公庫では、新たに事業を始める方や税務申告を2期終えていない方は、原則として無担保・無保証人で融資制度を利用できます。個人営業の方は原則として無保証人で、法人は経営者保証免除特例制度(上乗せ利率なし)を使える場合があります。

札幌市の創業・雇用創出支援資金の保証人は、法人なら必要に応じて、個人は不要です。北海道信用保証協会の保証を付ける場合、法人代表者以外の連帯保証人は原則として要りません。

関連:担保・保証人と経営者保証免除特例制度、信用保証協会の基本

金利は固定ですか?いまはどのくらいですか?

公庫の金利は、契約時の金利が最後まで適用される固定金利です。2026年9月1日現在、無担保で税務申告を2期終えていない方の基準利率は3.75〜5.35%、特別利率Aは3.35〜4.95%です。税務申告を2期終えていない方などは、創業支援貸付利率特例制度により、表の利率から原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引き下げられます(例:3.75%−0.65%=3.10%(概算))。実際に適用される利率は申込み時に支店で確認してください。

札幌市の創業・雇用創出支援資金は、令和8年10月1日以降に実行される分から年2.0%以内(9月30日までの実行分は年1.70%以内)です。保証を付ける場合は別に信用保証料がかかり、その4分の1以内を市が補給します。金利は改定されるので、申込み前に最新の値を確かめましょう。

関連:公庫の金利のしくみ、札幌市中小企業融資制度

返済はいつから始まりますか?据置期間とは何ですか?

据置期間は、元金の返済を待ってもらい、利息だけを払う期間です。新規開業・スタートアップ支援資金の据置期間は、設備資金・運転資金とも5年以内です。

据置があると開業直後の資金繰りは楽になりますが、長いほど元金が減らない期間が延び、支払う利息の総額は増えます。売上が安定するまでの期間を見込んで、必要な長さにとどめるのが基本です。

関連:返済方法の基本

公庫と札幌市の制度融資に、同時に申し込めますか?

同時に進めることはできますが、それぞれの面談では、もう一方の申込み状況を正直に伝え、公庫の創業計画書では「他の金融機関等からの借入」の欄にも書きます。両方から借りた場合の合計の借入額で返済できるかが大切なので、毎月の返済額を合算して計画に入れておきます。

関連:3つの選択肢、公庫と制度融資の比較・併用

個人事業から法人成りした会社も、創業融資の対象になりますか?

北海道信用保証協会のスタートアップ創出促進保証は、個人で開業してから5年未満の法人成りの会社を対象にしており、北海道の創業貸付も法人成り後5年未満の企業を対象に含めています。

公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の対象は事業開始後おおむね7年以内の方ですが、法人成りの場合に個人の期間を含めて判断するかは公式に示されていません。個人のときの公庫の借入を法人でどう扱うかも含めて、支店で確認してください。

関連:知っておきたい保証制度

申込みの後・開業後

申込みからお金が振り込まれるまで、どのくらいかかりますか?

公庫は、融資決定までの平均所要日数を2〜3週間程度(土日・祝日を含む)、創業の場合は平均3週間程度としています。融資条件や支店の混雑で延びることがあります。

決定後は契約の手続きが必要です。電子契約の期限は原則として融資予定日の4営業日前まで、書面で契約する場合は契約書類を公庫が受け取ってからおおむね4営業日以内に融資されます。開業日から逆算して、余裕をもって申し込みましょう。

関連:公庫融資の申込みから入金までの流れ、いつ申し込む?

見積書と違う業者や金額で、設備を買ってもよいですか?

資金の使いみちは融資の前提なので、申込み時の見積書と業者・金額・内容が変わる場合は、支払う前に融資を受けた金融機関へ相談するのが基本です。値引きなどで金額が下がる場合も、差額の扱いを確認しておきます。

支払いはできるだけ振込にして、請求書・領収書・振込明細を保管しておくと、使いみちの説明を求められたときにも困りません。

関連:必要書類と準備物

一度断られたら、もう申し込めませんか?

申し込めなくなるわけではありません。ただ、同じ計画のまま申込みを繰り返しても結果は変わりにくいので、原因を推定して改善してから臨みましょう。再申込みまでの期間について、公式の定めは示されていません。

関連:断られた・減額されたときの対処法

開業してからでも、創業融資は申し込めますか?

申し込めます。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は事業開始後おおむね7年以内の方も対象で、税務申告を2期終えていなければ、原則無担保・無保証人や創業支援貸付利率特例制度の対象になります。開業後で決算前の場合は、試算表など営業状況がわかる資料を用意します。

実績があるぶん説明はしやすくなりますが、開業費用を自己資金で払い終えて手元資金が少なくなってから申し込むと、資金繰りに余裕がなくなることがあります。

関連:いつ申し込む?

飲食店や美容室の「推せん書」は、どこで手続きしますか?

生活衛生関係の業種で、公庫の生活衛生貸付の設備資金を500万円を超えて申し込む場合に、都道府県知事の推せん書が必要です(500万円以下なら不要)。北海道では、公益財団法人 北海道生活衛生営業指導センター(札幌市中央区大通西16丁目、011-615-2112)が推せん事務を受託しています。生活衛生同業組合の組合員は、組合の「振興事業に係る資金証明書」で申し込む方法もあります。

関連:業種別の創業融資のポイント

特定創業支援等事業の証明書は、どのくらいで取れますか?

札幌市では、さっぽろ創業支援プラザで1か月以上にわたり4回以上の相談等を受けると証明書の対象になり、札幌中小企業支援センターへの申請から発行まで1〜2週間程度かかります。少なくとも1か月半ほどは見込み、会社の設立や融資の申込みより前に取れるよう、早めに相談を始めましょう。

関連:補助金・特定創業支援と組み合わせる

制度の条件・金利・受付時間などは2026年9月25日時点の公表情報によります。最新の内容は公庫の創業に関するよくある質問や、札幌市「創業・雇用創出支援資金」などの公式ページで確認してください。

CONSULTATION
融資・資金調達のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ

創業融資・運転資金の調達から、補助金の申請サポート、その後の資金繰りまで。日本政策金融公庫への融資のご紹介・申請サポートの実績があります。

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出典・参考資料(84件・2026年9月25日確認)

このページは、2026年9月25日時点で確認できた公式情報(日本政策金融公庫、札幌市、北海道、北海道信用保証協会、中小企業庁、金融庁、日本銀行、国税庁など)にもとづく一般的な解説です。金利や制度の内容は改定されることがあります。実際の融資条件は、各金融機関・制度の窓口で必ず確認してください。

個別の融資の可否や条件を保証するものではありません。記入例・数値例はすべて架空の設例です。

最終確認日:2026年9月25日 作成:ジェイスタート会計事務所(公認会計士・税理士)

目次