クリニックの税務調査|自費収入・未収金・家族給与など調査官が見る点

公認会計士・税理士 監修

この記事は、公認会計士・税理士が代表を務める札幌の会計事務所「ジェイスタート会計事務所」が監修しています。

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クリニックの税務調査で重点的に見られるのは、窓口現金と自由診療の収入、保険診療の未収金(期ズレ)、家族や非常勤医師への給与と経費の公私区分、医薬品の棚卸とMS法人との取引です。保険収入は請求データで裏付けやすいため、調査の焦点は院内の記録でしか確かめられない収入と支出に向かいます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

調査官は、レセプトで裏付けられる保険収入よりも、窓口の現金や自費の収入、決算をまたぐ未収金、家族・関連法人との取引を、院内の記録と突き合わせて確かめます。日々の精算記録と、契約書・金額の算定根拠をそろえておくことが一番の備えです。

  • 窓口の会計データ・レジ・預金への入金を毎日一致させ、自費や文書料の記録を残す
  • 保険診療は入金した時ではなく、診療した期の売上(未収金)として計上する
  • 家族や非常勤医師への給与は、勤務の実態と源泉徴収の記録で裏付ける
  • ワクチン・医薬品の期末在庫と、MS法人との取引価格の根拠を書類で示せるようにする
  • 指摘を受けたときの加算税と、さかのぼる期間(原則5年、不正があれば7年)を知っておく
目次

クリニックの税務調査で見られるポイントは?

「収入のほとんどは保険診療だから、見られる余地は少ない」と考える院長は少なくありません。実際はその逆で、保険収入は審査支払機関への請求データが残るぶん、調査官にとって確かめやすい数字です。調査の時間は、窓口の現金、自費の収入、決算をまたぐ未収金、家族や関連法人とのお金のやり取りといった、院内の記録でしか裏付けられない部分に向かいます。

論点調査で見られること日頃の備え
窓口現金・自由診療予防接種・健診・文書料・自費メニューの収入が、予約台帳や電子カルテの記録どおり帳簿に載っているか日計表・レジ・預金入金の毎日の照合
保険診療の未収金決算月とその前月の診療分を、入金されるまで売上にしていないか決算で請求額をもとに未収金を計上
医業外の収入産業医・学校医の報酬、講演料、自販機の手数料などの申告漏れ入金口座の一覧と、源泉徴収票・支払調書の控え
家族への給与勤務の実態に見合う額か、届出や定期同額のルールを守っているか出勤簿と担当業務の記録
非常勤医師への支払い給与として源泉徴収しているか契約書・勤務表・源泉徴収簿
経費の公私区分学会出張に紛れた家族旅行、私的な飲食、車・自宅の按分目的と参加者のメモ、按分の根拠
医薬品・ワクチンの在庫期末の在庫まで全額その期の費用にしていないか決算日の棚卸表
MS法人との取引賃料・業務委託料が相場や業務の実態に見合うか契約書と金額の算定根拠
医療機器・リース取得価額・使い始めた日・リース料と帳簿の計上額が合っているか固定資産台帳・納品書・リース契約書
クリニックの税務調査で確認されやすい論点(個人開業・医療法人に共通)

どの論点も、日々の経理の記録で説明できるかどうかが分かれ目です。医療機関向けの制度改正や経営の情報は、医療・歯科クリニックの経営に役立つ情報にまとめています。

窓口現金と自由診療の収入はどう確かめられる?

調査で最も時間をかけて見られるのが、窓口で受け取る現金と自費の収入です。予防接種、健康診断、診断書などの文書料、自費のワクチン、美容系のメニューといった保険外の収入は、予約台帳、レセコン・電子カルテの会計データ、領収書の控えと、帳簿の売上が突き合わされます。

保険診療の窓口負担金も現金で受け取るため、照合の対象です。レセコンの日計表に出る一部負担金の合計と、レジの記録、預金への入金が一致しているかが確認されます。

具体例:年商8,000万円の内科の場合

例えば年商8,000万円の内科で、保険収入7,200万円・自費収入800万円という構成なら、調査官はまずこの800万円がどう管理されているかを確認します。

自費の会計だけレセコンを通さず手書きの領収書で受けている、現金のまま院内に保管して入金が不定期、といった運用は、売上の計上漏れを疑われるきっかけになります。日々の窓口精算表とレジ残高を一致させ、その記録を残すことが基本の防御です。

予防接種・健診・文書料は請求先の記録とも照合される

自治体や企業から委託される予防接種・健康診断は、請求書の控えと入金の記録が相手方にも残ります。診断書や証明書の文書料は1件ごとの金額が小さく、まとめて現金で処理されがちなため、発行の記録と売上の件数が合っているかを見られます。

キャッシュレス決済・物販・院長個人の報酬

クレジットカードやQRコード決済で受け取った自費の収入は、決済手数料を差し引いて入金されます。入金額ではなく患者から受け取った総額を売上にし、手数料は費用として処理します。サプリメントや化粧品などの物販、自動販売機があれば、その売上や設置手数料も確認の対象です。

院長が受け取る産業医・学校医の報酬や講演料・原稿料も、見落とされやすい収入です。支払った側から税務署へ源泉徴収票や支払調書が提出されるため申告漏れは把握されやすく、契約の名義が医院か院長個人かによって所得の区分も変わります。

  • 自費や文書料もレセコン・会計システムを通して会計し、手書きの領収書は控えを連番で保管する
  • 窓口は毎日締め、日計表・レジの記録・現金の残高を一致させてから預金に入れる
  • 釣銭の額を決めて売上と分け、現金の過不足は理由を記録する
  • キャッシュレス決済は決済会社の明細を保存し、総額で売上に計上する
  • 院長個人が受け取る報酬の入金口座と、源泉徴収票・支払調書の控えを一覧にしておく

保険診療の収入はいつ計上する?未収金と期ズレ

社保・国保からの診療報酬は、通常、診療した月のおよそ2か月後に入金されます。売上は診療した時点の収入なので、決算では入金前の診療分を未収金として計上します。入金された時だけ売上を記録していると、決算期をまたぐ約2か月分の収入がずれる「期ズレ」となり、調査で指摘される定番のポイントになります。

未収金は請求した金額で計上し、後日の査定による減額や返戻(レセプトの差し戻し)は、判明した時点で調整するのが一般的です。患者の窓口未収分も同じく未収金に計上し、回収できないものを貸倒れとして処理するときは、督促した記録を残しておきます。

計算例:入金時に売上を記録していた場合のずれ

例えば、社保・国保から毎月600万円の診療報酬が入金され、入金が診療月の2か月後になるクリニックの場合です。決算日の未収金は、600万円×2か月=1,200万円です。

入金した時に売上を記録していると、その年の売上の不足額は「期末の未収金−期首の未収金」になります。前年末の未収金が1,000万円なら、1,200万円−1,000万円=200万円の計上不足です。開業した年は期首の未収金がないため、1,200万円がそのまま計上不足になります。

一度正しい処理に直せば、毎期同じやり方で安定します。開業して間もない時期や患者数が伸びている時期ほど差額が大きくなるため、早めに整えておきたい論点です。

個人開業医は支払基金の源泉徴収にも注意

個人で開業している場合、社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬は所得税の源泉徴収の対象です。振り込まれた金額をそのまま売上にすると、源泉徴収された分だけ売上が少なくなり、確定申告での源泉徴収税額の控除も漏れます。売上は源泉徴収前の金額で計上し、源泉徴収税額は振込の明細で確認して申告に反映させます。

収入の区分で税金はどう変わる?消費税・事業税・概算経費の特例

クリニックの収入は、社会保険診療か、それ以外かで税金の扱いが変わります。区分の誤りは消費税・事業税・概算経費の特例の計算にそのまま響くため、調査では収入の内訳が正しく分かれているかも確認されます。

収入の種類主な例消費税確認されやすい点
社会保険診療保険診療の診療報酬と窓口負担金非課税未収金の計上、支払基金分の源泉徴収(個人)
労災・自賠責の診療労災保険・自賠責保険による診療非課税概算経費の特例や事業税の計算で「社会保険診療」に含めていないか
自由診療自費診療、美容系メニュー、自費のワクチン課税計上漏れ、課税売上高への算入
予防接種・健康診断自治体・企業からの委託、人間ドック課税請求書の控え・入金記録との照合
文書料・物販など診断書・証明書、サプリメント等の販売課税少額の現金収入の集計漏れ
2026年10月時点の一般的な扱い。個別の取引は契約の内容で判断します

消費税の納税義務は、基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかで判定し、非課税の保険診療の収入は含めません。自費や予防接種の収入が増えて課税事業者になると、保険診療の割合が高いクリニックでは仕入れにかかった消費税を全額は控除できず、課税売上に対応する部分を計算するため、仕入れの区分も確認されます。

簡易課税を選んでいる場合は、自由診療(第5種・みなし仕入率50%)と物販(第2種・80%)のように、事業区分ごとに売上を分けて記録しておきます。区分していない売上は、低い方のみなし仕入率で計算することになります。

概算経費の特例を使っている場合

個人開業医が、社会保険診療報酬の金額などの要件を満たして経費を概算で計算する特例(租税特別措置法第26条)を使っている場合は、特例の対象になる社会保険診療報酬の範囲と、それ以外の収入に対応する実際の経費の分け方が確認されます。労災・自賠責や自由診療の収入を特例の対象に含めていないか、自由診療の経費をどの基準で按分したかを説明できるようにしておきます。

収入の区分や概算経費の特例の扱いは、診療科目と収入の内訳で変わります。調査の前に一度確認しておくと安心です。初回相談は無料です。

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家族への給与・非常勤医師・経費の公私区分で見られること

家族への給与は勤務の実態で裏付ける

配偶者が受付や経理を担うクリニックでは、給与の額が勤務の実態に見合っているかが見られます。個人開業なら青色事業専従者給与として、届出書に記載した金額の範囲内で、仕事の内容や時間に照らして相当な額であることが前提です。専従者は、その年を通じて6か月を超える期間、事業に専ら従事していることが要件で、配偶者控除や扶養控除の対象にはなりません。

医療法人で家族が理事などの役員になっている場合は役員給与として扱われ、期首から3か月以内に改定する定期同額のルールや、職務の内容に照らして過大でないかが確認されます。出勤簿やタイムカード、担当業務のメモがあると、説明は容易になります。専従者給与の届出など開業時に出す書類は、クリニックの開業時の税務手続きと届出一覧で確認できます。

非常勤医師・代診医への支払いは源泉徴収を確認

外来の応援や休診日の代診を頼む非常勤医師に日給などで支払う報酬は、医院の指示のもとで診療する勤務の実態から、給与として源泉徴収の対象になるのが一般的です。謝金や外注費として扱って源泉徴収をしていないと、源泉所得税の納付漏れとして、本税のほか不納付加算税や延滞税がかかります。契約書、勤務表、源泉徴収簿をそろえておきます。

学会出張・飲食・車は「事業との関係」を記録する

経費の面では、医師会や学会関連の支出に紛れた私的な飲食、家族旅行を兼ねた学会出張の費用などが定番の確認対象です。学会出張に家族を同伴した場合、院長本人の参加費・交通費・宿泊費は経費にできても、家族の分や観光の日程分は私的な費用として除きます。

医院の車を家庭でも使っているなら事業利用分の按分の根拠(走行の記録など)を、自宅で事務作業をしているなら面積や時間による按分の根拠を用意しておきます。「とりあえず経費」を積み重ねないことが、調査全体の印象を左右します。

医療法人の交際費は区分の記録が分かれ目

中小法人に当たる医療法人は、交際費を年800万円まで損金にする定額控除か、接待飲食費の50%を損金にする方法を選べます(2027年3月31日までに開始する事業年度)。1人10,000円以下の飲食費は交際費から除けるため(2024年4月1日以後の支出)、相手先・参加人数・目的の記録が、交際費と会議費などを分ける根拠になります。

医薬品の棚卸・MS法人・医療機器で見られること

ワクチン・医薬品・診療材料の期末在庫

ワクチンや医薬品、診療材料の在庫は、決算日時点の棚卸で資産に計上するのが原則です。仕入れた分を全額その期の費用にしていると、指摘の対象になります。院内処方のクリニックは医薬品の在庫が大きくなりやすく、インフルエンザワクチンのように秋から冬に仕入れが集中するものは、12月決算の個人開業医では年末に在庫が残りやすい点に注意します。

卸に返品できる契約であっても、決算日に手元にある分は在庫です。手袋やマスクのように毎期おおむね一定量を買って経常的に使う消耗品は、継続して購入時の費用とする扱いが認められていますが、決算前のまとめ買いはこの扱いになじまず、未使用分の計上を求められることがあります。

MS法人との取引は価格と業務の実態

メディカルサービス法人(MS法人:医療機関の関連業務を担う同族会社)を設けている場合は、賃料や業務委託料が世間相場と比べて適正かが重点的に見られます。不動産の賃料なら近隣の相場、受付・医療事務・清掃などの業務委託料なら、MS法人の職員が実際にその業務をしているか、委託料をどう算定したかが確認の対象です。

医薬品や診療材料をMS法人経由で仕入れている場合は、上乗せしている利幅の根拠も問われます。取引価格が実態とかけ離れていると、相場を超える部分が経費として認められないことがあります。契約書と金額の算定根拠、業務の記録を整えておくことが大切です。

医療機器は取得価額と使い始めた日

医療機器は、取得価額(本体価格に据付費などを含めた金額)と、実際に使い始めた日が確認されます。減価償却は事業に使い始めた日から始まるため、決算月に納品されても稼働が翌期なら、その期の償却費は計上できません。リース料は、契約書の期間・月額と帳簿の計上額が合っているかが見られます。

青色申告の中小事業者は、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を、年300万円まで取得した年に全額経費にできます(2029年3月31日までの取得。2026年3月31日までの取得は30万円未満)。通常セットで機能する機器を分割して1台ごとの金額を小さくしていないかも、確認されやすい点です。

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調査の連絡から終了までの流れと準備する資料

多くの調査は、税務署から電話などで事前通知があり、調査の開始日時・場所・対象となる税目と期間などが伝えられます。顧問税理士が税務代理権限証書を提出していれば、税理士を通じて連絡が来ることもあります。現金の取引が多い場合などは、事前の通知なしに調査が始まることもあります。

  1. 事前通知を受ける日時・対象期間・税目を確認し、顧問税理士に連絡します。診療の予定と重なる場合は、理由を伝えれば日程の変更を相談できます。
  2. 帳簿と院内の記録を点検する慌てて書類を作り直すのではなく、帳簿・日計表・レセプトの請求データ・棚卸表の対応関係を税理士と一緒に確認し、説明が必要な項目を整理します。
  3. 臨場調査に対応する院長への事業の概況の聞き取りから始まり、帳簿や書類の確認へ進むのが一般的です。立会いや調査官とのやり取りは税理士に任せられます。
  4. 追加資料の提出と質問への回答当日に確認しきれなかった資料の提出や、質問への回答を後日求められることがあります。
  5. 調査結果の説明を受ける誤りがなければ「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」が届きます。誤りがあれば内容の説明を受け、修正申告を勧められます。
  6. 修正申告・納付修正申告に応じるか、税務署の更正を受けるかを判断し、本税と加算税・延滞税を納めます。修正申告した内容は不服申立ての対象にならないため、納得できない指摘は根拠を確認してから判断します。

事前通知から調査日までの準備期間には、次の資料がすぐ出せる状態かを確認しておきます。帳簿は、法人・個人の青色申告者とも原則7年の保存が必要です。

  • 総勘定元帳・現金出納帳・預金通帳、過去の申告書と決算書
  • 窓口の日計表・レジの記録・自費の領収書の控え、予約台帳
  • レセプトの請求データ、社保・国保からの振込の明細と増減点・返戻の記録
  • 医薬品・ワクチン・診療材料の棚卸表と、卸の請求書・納品書
  • 給与台帳・出勤簿・雇用契約書(家族・非常勤医師を含む)と源泉徴収簿
  • MS法人との契約書・請求書・金額の算定資料、医療機器の固定資産台帳とリース契約書
  • ネット通販の領収書など、電子取引で受け取ったデータ(2024年1月1日以後は電子データのまま保存)

決算書の数字を日頃から点検する項目は経理・決算セルフチェックに、税理士に立会いを頼む場合の進め方は税務調査の立会いを依頼してから完了までの流れにまとめています。

札幌市内のクリニックの調査を担当する税務署

個人開業医の調査は、原則として院長の住所地を管轄する税務署が担当します(医院の所在地を納税地とする届出をしていれば、その所在地の税務署)。医療法人は本店所在地の税務署です。

  • 札幌中税務署:中央区の一部(おおむね西10丁目以東)
  • 札幌西税務署:中央区の一部(大通西11丁目以西・円山・宮の森など)・西区・手稲区
  • 札幌北税務署:北区・東区・石狩市・石狩郡
  • 札幌南税務署:豊平区・南区・清田区・千歳市・恵庭市・北広島市
  • 札幌東税務署:白石区・厚別区・江別市

2026年7月10日から5署の内部事務が札幌業務センターに集約され、郵送で提出する書面の送付先は同センターになりました(e-Taxや窓口への持参は所轄の税務署)。個別の住所の管轄は、国税庁の管轄区域の案内で確認してください。

指摘を受けたらどうなる?加算税とさかのぼる期間

調査で申告の誤りが見つかると、不足していた本税のほかに加算税と延滞税がかかります。計上時期のずれや経費の判断の誤りなら過少申告加算税、自費収入の除外や架空の経費のように事実を隠したり装ったりした場合は重加算税の対象です。

種類割合かかる場面
過少申告加算税原則10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)申告した税額が少なかった場合
重加算税過少申告・不納付の場合35%、無申告の場合40%売上の除外、架空の経費など隠蔽・仮装がある場合
延滞税納付が遅れた日数に応じて計算本税を法定納期限までに納めていない場合
2026年10月時点。延滞税の割合は年ごとに変わるため、国税庁の公表値で確認します

計算例:過少申告加算税の計算

例えば、期限内に申告した所得税が100万円で、調査の結果、追加で納める本税が300万円になった場合です(隠蔽・仮装はないものとします)。

まず300万円×10%=30万円です。次に、期限内申告税額100万円と50万円のいずれか多い額(100万円)を超える部分に5%を上乗せします。超える部分は300万円−100万円=200万円なので、200万円×5%=10万円です。過少申告加算税は30万円+10万円=40万円となり、これとは別に延滞税がかかります。

調査でさかのぼれる期間は、原則として法定申告期限から5年です。偽りその他不正の行為がある場合は7年、法人税の欠損金額に係る更正は10年までさかのぼります。

事前通知を受ける前に自主的に修正申告すれば過少申告加算税はかからず、通知の後でも調査による更正を予知する前の修正申告なら軽減されます。また、優良な電子帳簿の要件を満たしてあらかじめ届け出ていれば、その帳簿に記録された事項の申告漏れについて過少申告加算税が5%軽減されます(隠蔽・仮装がある場合を除く)。誤りに気づいたら、調査を待たずに税理士へ相談するのが得策です。

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延滞税・加算税を概算する追加で納める本税の額などから、延滞税と加算税のおおよその金額を計算できます。計算する

よくある質問

クリニックの税務調査は何年ごとに来ますか?

決まった周期はありません。申告の内容などをもとに税務署が対象を選ぶため、開業から長く調査がないこともあれば、間隔をあけずに続くこともあります。調査の有無にかかわらず、毎期同じ方法で記録を残しておくことが備えになります。

電子カルテや予約システムのデータも見せる必要がありますか?

調査官は、調査に必要な範囲で帳簿書類その他の物件の提示や提出を求めることができ、自費の会計データや予約台帳がその対象になることがあります。患者の個人情報が含まれるため、どの範囲の資料が必要かを確認しながら、税理士と相談して提示します。なお、調査官には法律上の守秘義務があります。

医療法人の場合、個人開業のときと見られ方は違いますか?

医療法人では、法人税・消費税とあわせて源泉所得税も調査されることが多くあります。院長個人の支出を法人の経費にしていると、役員給与(賞与)とされて損金にならず、源泉徴収の漏れも指摘されます。法人と院長個人のお金のやり取り(貸付・立替・社宅・車)の記録を分けておくことが大切です。

院長が診療中でも調査に対応しなければなりませんか?

事業の概況や収入・経費の管理方法は院長本人に質問されることが多いため、少なくとも初日の聞き取りには院長が対応するのが一般的です。診療の時間帯を避けた日程や進め方は税理士を通じて調整でき、帳簿の説明や調査官とのやり取りは税理士が立ち会って対応します。

まとめ

クリニックの税務調査では、レセプトで裏付けられる保険収入よりも、窓口現金と自費の収入、決算をまたぐ未収金、家族・非常勤医師・MS法人との取引、医薬品の在庫が重点的に確かめられます。どれも日々の精算記録と契約書・算定根拠があれば説明できる論点です。調査の連絡が来たら書類を作り直すのではなく、帳簿と院内の記録の対応関係を税理士と一緒に点検してから臨みましょう。

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出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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