償却資産税とは、事業に使う機械・備品・構築物など(土地・家屋以外の償却資産)にかかる固定資産税のことです。毎年1月1日現在の資産を1月31日までに市町村へ自分で申告し、税率は標準1.4%です。課税標準額の合計が免税点未満なら課税されませんが、その場合も申告は必要です。
この記事の結論
償却資産税は、固定資産税のうち事業用の償却資産にかかる部分です。所有者の申告をもとに評価額が計算され、課税標準額の合計に1.4%を掛けて税額が決まります。
- 対象は構築物・機械装置・工具器具備品・テナントの内装など。土地・家屋、自動車税の車両、ソフトウェアは対象外
- 10万円未満で経費にした資産と一括償却資産は対象外、少額減価償却資産の特例で経費にした資産は対象
- 評価額は取得価額から毎年一定の率で減り、償却が終わってもゼロにはならない
- 免税点は課税標準額の合計で令和8年度分まで150万円、令和9年度分から180万円(未満でも申告は必要)
- 廃棄した資産を申告から外さないと、払わなくてよい税金を払い続けることになる
償却資産税とは?固定資産税との関係
償却資産税は、正式には固定資産税の一部です。固定資産税は土地・家屋・償却資産の三つにかかり、そのうち事業に使う機械や備品などにかかる部分を、一般に「償却資産税」と呼んでいます。
固定資産税はいずれも市町村が税額を決めて通知する賦課課税ですが、土地・家屋は市町村が登記や調査をもとに評価するのに対し、償却資産は所有者の申告が起点になります。毎年1月1日に持っている資産を自分で申告し、その内容をもとに市町村が税額を計算して通知します。納税義務者は1月1日時点の所有者で、法人だけでなく個人事業主も対象です。所得ではなく資産にかかる税金のため、赤字の年でも課税されます。
| 項目 | 土地・家屋 | 償却資産 |
|---|---|---|
| 課税のしかた | 市町村が評価して税額を通知する | 所有者の申告をもとに評価・課税する |
| 評価の見直し | 基準年度ごとの評価替え(次は令和9年度) | 毎年の申告内容で評価する |
| 税率 | 標準1.4% | 標準1.4% |
| 都市計画税 | 市街化区域内の土地・家屋にかかる(札幌市は0.3%) | かからない |
| 免税点 | 土地30万円、家屋20万円(令和9年度分から家屋30万円) | 150万円(令和9年度分から180万円) |
土地・家屋の固定資産税と都市計画税の全体像は「固定資産税・都市計画税の基礎知識」をご覧ください。
償却資産に該当するもの・しないものは?
対象は、事業の用に供することができる機械装置・工具器具備品・構築物(舗装・看板など)などです。判断のポイントは、土地・家屋以外か、事業に使える状態にあるか、法人税・所得税で減価償却の対象になる資産か、の三つです。申告書では、資産を次の種類に分けて記入します。
| 種類 | 主な例 |
|---|---|
| 構築物 | 舗装路面、門・塀・フェンス、屋外の看板、屋外の給排水設備、テナントが施工した内装・造作 |
| 機械及び装置 | 製造・加工の機械、食品の加工設備、クレーン |
| 船舶・航空機 | 事業に使う船舶、航空機 |
| 車両及び運搬具 | 大型特殊自動車(ナンバーの有無を問わない)など、自動車税・軽自動車税の対象にならないもの |
| 工具・器具及び備品 | パソコン、複合機、レジ、陳列ケース、厨房機器、応接セット、医療機器 |
混同が多いのが、少額の資産と車両・無形資産の扱いです。10万円未満で一度に経費にした資産や、20万円未満で一括償却資産(3年で均等に償却)としたものは対象外です。一方、中小企業者等の少額減価償却資産の特例で一度に経費にした資産は対象になります。
| 区分 | 例 | 申告 |
|---|---|---|
| 対象 | 機械装置・工具器具備品・看板・舗装・内装造作 | 必要 |
| 対象(少額特例分) | 少額減価償却資産の特例で即時償却した資産(2026年4月1日以後の取得は40万円未満、2026年3月31日までの取得は30万円未満) | 必要 |
| 対象外 | ソフトウェア等の無形資産、自動車税・軽自動車税の対象車両、繰延資産 | 不要 |
| 対象外(少額資産) | 10万円未満で経費にした資産、一括償却資産(20万円未満を3年均等) | 不要 |
| 家屋に含まれるもの | 建物と一体で家屋として評価される設備 | 不要(二重にしない) |
少額減価償却資産の特例は、青色申告の中小企業者等が対象で、2029年3月31日までの取得が期限です。資産を経費にする方法の違いは「減価償却の基本解説」で整理しています。
税額はどう計算する?評価額・課税標準額・税率1.4%
申告された取得価額をもとに、耐用年数に応じて減価させた評価額を出し、その合計(課税標準額)に税率1.4%を掛けて税額を計算します。流れは次のとおりです。
- 取得価額を確かめる購入代金に運送費・据付費などの付随費用を加えた金額です。圧縮記帳をしていても、圧縮前の金額を使います。
- 評価額を出す前年中に取得した資産は「取得価額×(1−減価率÷2)」、前年より前に取得した資産は「前年度の評価額×(1−減価率)」で計算します。減価率は耐用年数ごとに定められています。
- 課税標準額を合計する市町村ごとに、同じ所有者の資産の評価額を合計します。特例の対象になる資産は、軽減後の金額で合計します。
- 免税点を判定する合計が免税点未満なら課税されません。令和8年度分までは150万円、令和9年度分(2027年1月1日現在の資産)からは180万円です。
- 税額が決まる課税標準額の合計×税率(標準1.4%)で年税額が決まり、市町村から納税通知書が届きます。
計算例:評価額と税額の求め方
例えば、前年中に取得価額100万円・耐用年数8年(減価率0.250)の機械を取得した場合の評価額は次のとおりです。
- 1年目(前年中の取得):0.250÷2=0.125、1−0.125=0.875で、1,000,000円×0.875=875,000円
- 2年目:1−0.250=0.750で、875,000円×0.750=656,250円
- 3年目:656,250円×0.750=492,187円(1円未満切捨て)
税額は、課税標準額の合計に税率を掛けて求めます。例えば課税標準額の合計が300万円の場合、3,000,000円×1.4%=42,000円が年税額です。合計が免税点未満なら課税されませんが、その場合でも申告そのものは必要です。
評価額は毎年減っていきますが、取得価額に対して一定の割合を下回らないよう下限が設けられており、ゼロにはなりません。古い資産を廃棄したのに申告に残していると、下限の評価額に対して課税が続くことになります。
無料ツール償却資産税(固定資産税)を自動計算する資産の取得価額や耐用年数をもとに、評価額と税額の目安を試算できます。計算する
法人税・所得税の減価償却と何が違う?
償却資産の評価は、固定資産評価基準という固定資産税のルールで行います。法人税・所得税の減価償却とは計算の前提が違うため、決算書の帳簿価額と償却資産の評価額は一致しないのが普通です。
| 違い | 法人税・所得税 | 償却資産税 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|
| 基準日 | 決算日(個人は12月31日) | 1月1日 | 決算期と申告の時期がずれるため、台帳を1月1日時点で締め直す |
| 取得した年 | 使い始めた月からの月割り | 一律に半年分を減価 | 年末に取得した資産も半年分だけ減価される |
| 特別償却・即時償却 | 使える制度がある | 反映しない | 少額特例で全額を経費にした資産も申告が続く |
| 圧縮記帳 | 圧縮後の金額で償却 | 圧縮前の取得価額で評価 | 補助金で取得した設備は、圧縮前の金額で申告する |
| 償却が終わった後 | 備忘価額まで償却 | 評価額に下限がある | 帳簿上は償却済みの資産も申告の対象に残る |
申告書には、税務会計上の償却方法や青色申告の有無を書く欄があります。ただし申告するのは取得年月・取得価額・耐用年数などの情報で、多くの市町村では評価額の計算は市町村側で行います(一般方式)。全資産の評価額を自社で計算して申告する方式(電算処理方式)を選べる市町村もあります。
申告はいつ・どこへ・どう出す?
毎年12月頃に市町村から申告書類が届き、前年中の増減(取得・処分)を反映して、1月31日までに提出します。期限が土日・祝日にあたる年は、翌開庁日が期限です。開業したばかりで申告書が届かない場合も、対象資産があれば申告が必要です。
eLTAX(地方税ポータルシステム)での電子申告にも対応しており、会計ソフトの固定資産台帳と連動させれば、作業を簡素化しやすくなります。資産が複数の市町村にある場合は、市町村ごとに申告し、免税点も市町村ごとに判定します。
札幌市に資産がある場合
札幌市内に償却資産がある場合は札幌市へ申告し、税率は1.4%です。償却資産には都市計画税はかかりません。様式や提出先、令和9年度分(2027年1月1日現在の資産)の期限の扱いは、札幌市の償却資産のページや、届いた申告書の案内で確認してください。
北海道では、駐車場のロードヒーティングや屋外の灯油タンク、除雪用の大型特殊自動車など、冬の設備が償却資産に当たる場合があります。工事の明細で家屋との区分を確認しておくと、申告漏れや二重の申告を防げます。
申告漏れの資産が後日判明すると、過年度分をさかのぼって課税される場合があります。正当な理由なく申告しない場合は、条例にもとづき過料の対象になることもあるため、台帳の整備が肝要です。
見落としやすいポイントは?
償却資産税でつまずきやすいのが「何を申告するか」です。次の資産や処理は、申告漏れや二重の申告、払い過ぎにつながりやすいため、毎年の申告の前に確認します。
| 見落としやすいもの | 起きやすい誤り | 対策 |
|---|---|---|
| 借りている店舗の内装・造作 | 「建物は大家のもの=申告不要」と思い込む | 入居した物件に自分で施した内装工事や電気設備などは、賃借人側の償却資産として申告対象になる場合がある |
| 使っていない資産 | 稼働を休止している機械を申告から外してしまう | 事業に使える状態で保有していれば対象とされることがある。処分した資産は台帳から落とし、処分の事実が分かる書類を残す |
| リース資産 | 自社購入かリースかを確認しない | 所有権がリース会社にある通常のリース契約では、原則としてリース会社側が申告する。契約書で所有関係を確認する |
| 家屋の評価に含まれる設備 | 同じ設備を家屋と償却資産の両方に載せる | 建物と一体の設備は家屋で評価されるものがあるため、工事明細をもとに区分する |
| 廃棄済みの資産 | 台帳に残ったまま申告を続ける | 廃棄した資産は減少資産として申告し、その分の税金を払い続けないようにする |
| 期中に取得した看板や工具 | 台帳に載らず申告から漏れる | 取得時の請求書の段階で「家屋・償却資産・車両・対象外」のどれに当たるかをメモしておく |
年末の「現物棚卸」と引継ぎメモで申告を正確に
申告書類が届く前の年末に、固定資産台帳と現物を突き合わせる時間を取っておくと、1月の申告が格段に楽になります。償却資産の申告は年1回だけの手続きのため、担当者が変わると引継ぎ漏れが起こりがちです。次の項目を1枚のメモにまとめておくと、誰が担当しても同じ品質で申告できます。
- 提出先の市町村と、提出方法(eLTAXか書面か)
- 前年の申告書と種類別明細書の控えの保管場所
- 固定資産台帳の保管場所と、償却資産の対象かどうかの区分
- 1年間に取得・廃棄・移動した資産の記録
会計ソフトの固定資産台帳と連動させれば、増減の転記ミスも減らせます。台帳の整備や毎年の申告を決算とあわせて任せたい場合は、会計・税務顧問の中で対応する方法もあります。
償却資産税の負担を適正にするには?
償却資産税は、申告の内容を正しく整えるだけで負担が適正になることが多い税金です。次の点を確認します。
- 廃棄・売却した資産を減少資産として申告し、台帳からも外している
- 10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産を選ぶと申告の対象から外れることを踏まえて処理方法を選んでいる
- 家屋と償却資産に同じ設備を二重に載せていない
- 課税標準の特例(中小企業の設備投資に関する特例など)の対象設備は、申告書で特例の適用を申し出ている
- 年末に予定している設備の取得は、1月1日をまたぐかどうかで課税される年度が変わることを考慮している
一括償却資産は3年で均等に経費にするため、一度に経費にできる少額減価償却資産の特例と比べると、法人税・所得税の節税効果は遅れます。償却資産税の負担と法人税・所得税の効果を比べて選ぶのが実務的です。また、1月2日以後に取得した資産は、その年の1月1日には持っていないためその年度は課税されず、翌年1月1日現在の資産として申告します。
無料ツール一括償却資産(3年均等)を自動計算する20万円未満の資産を3年で均等に経費にする場合の、各年の経費の額を計算できます。計算する
申告しないことで負担は減らせない
申告をしなければ税金がかからないわけではありません。後から資産が判明すれば過去の年度にさかのぼって課税され、過料の対象になることもあります。市町村には、税務署に提出された減価償却の明細などを閲覧できる仕組みもあります。
どの資産が償却資産に当たるか、少額の資産をどう処理するのが有利かは、事業の内容で判断が分かれます。台帳の点検から、初回無料で確認できます。
無料で相談するよくある質問
償却資産税と固定資産税は別の税金ですか?
同じ固定資産税です。土地・家屋と償却資産とで課税のしかたが違うため、償却資産にかかる部分を一般に「償却資産税」と呼んでいます。
法人税の申告書の減価償却の明細と金額が合わないのは問題ですか?
問題ありません。計算方法が違うため、金額は一致しないのが普通です。ただし、持っている資産の明細そのものは一致するはずなので、資産の過不足がないかは突き合わせておきましょう。
中古で買った資産はどう申告しますか?
実際に支払った金額に付随費用を加えた取得価額で申告します。耐用年数は、法人税・所得税で中古資産に使った見積りの耐用年数を使えるのが一般的です。迷う場合は市町村の手引きで確認してください。
免税点未満なら、翌年からは申告しなくてもよいですか?
市町村から申告を求められている場合は、毎年の申告が必要です。対象資産がなくなった場合や廃業した場合も、その旨を記載して提出するのが一般的です。資産を買い足して免税点を超える年もあるため、増減は毎年反映します。
まとめ
償却資産税は、事業用の機械・備品・構築物などにかかる固定資産税で、毎年1月1日現在の資産を1月31日までに申告します。税額は課税標準額の合計×1.4%で、免税点は令和8年度分まで150万円、令和9年度分から180万円です。10万円未満で経費にした資産と一括償却資産は対象外、少額減価償却資産の特例分は対象になる点を押さえ、廃棄した資産の外し忘れを年末の棚卸で防ぎましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
償却資産税・固定資産台帳のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
