ふるさと納税の仕組みは、自治体に寄附した額のうち2,000円を超える部分が、上限の範囲内で所得税・住民税から差し引かれるというものです。実質2,000円の負担で返礼品を受け取れますが、上限は年収や家族構成で変わり、超えた分はただの寄附になります。
この記事の結論
寄附額−2,000円が控除の対象で、住民税の特例分には住民税所得割の2割という上限があります。上限の範囲で寄附し、申告方法(ワンストップ特例か確定申告か)を最初に決めるのが、失敗しないコツです。
- 実質負担は2,000円。ただし控除の上限は、年収・家族構成・ほかの控除で変わる
- ワンストップ特例は寄附先5団体以内で、申請は寄附した翌年の1月10日まで。確定申告をすると無効になる
- 2025年10月1日から、ポイントを付与する仲介サイトを通じた寄附の募集は禁止されている
- 2027年の寄附分からは、住民税の特例分に193万円の定額の上限も加わる(高所得の人に影響)
- 寄附者の名義と、支払いに使うカードの名義はそろえる
ふるさと納税の仕組み|「実質2,000円」になる理由
ふるさと納税は、寄附金控除の一種です。都道府県・市区町村への寄附は所得税の寄附金控除の対象で、ふるさと納税にはさらに住民税の特例分が上乗せされます。この3つを合わせて、寄附額から2,000円を引いた額が戻ってくる設計になっています。
| 控除の内訳 | 軽くなる税金 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 所得税の寄附金控除 | その年の所得税(確定申告をした場合) | 寄附額から2,000円を引いた額を所得から差し引き、税率に応じた額が還付される |
| 住民税の基本分 | 翌年度の住民税 | 寄附額から2,000円を引いた額の10% |
| 住民税の特例分 | 翌年度の住民税 | 残りを差し引く。住民税所得割の2割が上限 |
つまり「先に払って、あとで税金が軽くなる」制度であり、返礼品はそのうえで受け取れる、と整理すると分かりやすくなります。寄附した時点では手元のお金が減り、所得税の還付や翌年度の住民税の減額で戻ってくる、という時間差がある点も押さえておきましょう。
計算例:上限の範囲内で合計5万円を寄附し、確定申告をした場合
例えば、所得税の税率が10%(課税所得195万円超330万円以下)の人で、特例分が住民税所得割の2割に収まる場合です。
- 控除の対象:50,000円−2,000円=48,000円
- 所得税(復興特別所得税を含む):48,000円×10%×102.1%=4,900.8円(約4,900円が還付される)
- 住民税の基本分:48,000円×10%=4,800円
- 住民税の特例分:48,000円−4,900.8円−4,800円=38,299.2円(約38,300円)
合計で48,000円の税金が軽くなり、自己負担は2,000円になります。ワンストップ特例を使う場合は、所得税の分も含めた48,000円が、翌年度の住民税から差し引かれます。
控除の上限はいくら?上限が下がるケース
住民税の特例分には「住民税所得割の2割」という上限があるため、実質2,000円で収まる寄附額は、年収と家族構成によって異なります。一般的な目安表よりも、源泉徴収票をもとに試算するほうが精度は高くなります。上限を左右する主な要因は次のとおりです。
| 上限が変わる要因 | 上限への影響 |
|---|---|
| 年収(所得)が高い | 住民税の所得割が増えるため、上限は上がる |
| 配偶者や扶養親族がいる | 所得控除が増えて所得割が減るため、上限は下がる |
| iDeCo・医療費控除・生命保険料控除などの所得控除 | 課税される所得が減るため、上限は下がる |
| 住宅ローン控除 | 所得税がほとんどかからない人が確定申告で寄附金控除を使うと、所得税の還付の効果が出にくく、自己負担が2,000円を超える場合がある |
たとえばiDeCoの掛金は全額が所得控除になるため、加入すると住民税の所得割が下がり、ふるさと納税の上限も下がります。iDeCoの仕組みはiDeCoとは何かを解説した入門ガイドで確認できます。
2027年の寄附分から、193万円の定額の上限が加わる
2027年の寄附分(令和10年度分以後の住民税)から、住民税の特例分の上限は「所得割の2割」と「193万円」のいずれか低い額になります。影響があるのは、所得割の2割が193万円を超えるような高い所得の人です。寄附額そのものに上限はありませんが、上限を超えた分は控除されません。
札幌市に住んでいる場合
札幌市など政令指定都市の住民税の所得割は、市民税8%・道民税2%です。2027年の寄附分からの193万円の定額の上限は、札幌市民の場合、道民税分38.6万円と市民税分154.4万円に分かれます。札幌市に寄附した場合も控除は受けられますが、住んでいる自治体からは返礼品を受け取れません。
ツールふるさと納税の上限の目安を計算する年収や家族構成を入れると、実質2,000円で収まる寄附額の目安を確認できます。計算する
ワンストップ特例と確定申告、どちらで手続きする?
確定申告が不要な給与所得者などで、寄附先が1年で5団体以内なら、ワンストップ特例で確定申告なしに控除を受けられます。それ以外の人や、確定申告をする年は、寄附金控除として確定申告で手続きします。
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 使える人 | 確定申告が不要な給与所得者などで、1年の寄附先が5団体以内の人 | だれでも使える。個人事業主や、医療費控除・住宅ローン控除の初年度で申告する人はこちら |
| 手続き | 寄附のたびに、寄附先の自治体へ申請書を出す。期限は寄附した翌年の1月10日 | 寄附金受領証明書(またはポータルの年間の寄附額の証明)をもとに、寄附金控除を申告する |
| 控除のされ方 | 全額が翌年度の住民税から差し引かれる | 所得税の還付と、翌年度の住民税の減額に分かれる |
| 注意点 | 確定申告をすると特例は無効になる。6団体以上に申請した場合も使えない | 令和8年分の確定申告の期間は、2027年2月16日〜3月15日 |
ワンストップ特例は、確定申告をしないことが前提の仕組みです。医療費控除や住宅ローン控除の初年度などで確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になり、すべての寄附を寄附金控除として申告に含め直す必要があります。この申告漏れが実務で多い失敗例です(医療費控除の対象と申告の方法も参照)。
同じ自治体に複数回寄附した場合は1団体と数えますが、申請書は寄附のたびに出します。申請書を出した後に住所や氏名が変わったときは、寄附した翌年の1月10日までに、寄附先の自治体へ変更の届出をします。
2025年10月からのルールと、寄附先の選び方
総務省の告示により、2025年(令和7年)10月1日から、寄附に伴って独自のポイント等を付与する仲介サイトを通じた募集が禁止されました。ポイント目当てのサイト選びはできなくなったため、返礼品の内容や使い勝手で選ぶ流れになっています。返礼品は寄附額の3割以内・地場産品という基準は従来どおりです。
- 返礼品の内容と、届く時期・保存の方法(冷凍品や生鮮品など)
- 寄附金の使い道(子育てや災害支援など、使い道を選べる自治体もある)
- ワンストップ特例の申請書や証明書の受け取りなど、手続きのしやすさ
- 自分が住んでいる自治体への寄附は、控除は受けられるが返礼品はない
ふるさと納税の制度は、年ごとに見直されます。返礼品や手続きの条件が変わることもあるため、寄附する前にその年のルールを確認しておくと、想定外の負担を避けられます。
よくあるつまずきと防ぎ方
| つまずき | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 上限を超えて寄附した | 超えた分は、純粋な自己負担になる | 上限の目安を把握してから、寄附先と金額を決める |
| ワンストップ特例の申請を忘れた | 申請書を出さないと、確定申告をしない限り控除を受けられない | 寄附したらすぐに申請書を出す。忘れたときは確定申告で寄附金控除を申告する |
| 確定申告をする年に特例を当てにした | 特例が無効になり、申告に含め忘れると控除を受けられない | 確定申告をする年は、すべての寄附を寄附金控除として申告する |
| 名義がずれている | 寄附者と控除を受ける人が一致しないと、控除できないことがある | 寄附者の名義と、支払いに使うカードの名義をそろえる。共働きの夫婦は誰の名義で寄附するかを先に決める |
| 12月に駆け込んだ | 決済が年をまたぐと、翌年の寄附として扱われることがある | 決済が完了する日と、その年の寄附として扱われるかを確かめる |
医療費控除や住宅ローン控除と併せるときの申告方法や、事業所得がある人の上限の見込みは、状況で変わります。初回無料で確認できます。
無料で相談する年末に慌てないための段取り
- 上限の目安を把握する前年の源泉徴収票や、その年の収入の見込みで試算します。年収が確定する年末ほど精度が上がります。
- 申告方法を最初に決めるワンストップ特例か確定申告かを決めます。医療費控除や住宅ローン控除の初年度で確定申告をする年は、確定申告にまとめます。
- 名義とカードをそろえて寄附する寄附者の名義と支払いの名義を一致させ、12月は決済のタイミングに注意します。
- 証明書を保管する寄附金受領証明書(またはポータルの年間の寄附額の証明)を保管しておきます。
- 申請または申告をするワンストップ特例なら寄附した翌年の1月10日までに申請書を出し、確定申告なら寄附金控除を申告します。
制度は少しずつ見直されるため、その年のルールを確認したうえで、無理のない範囲で活用しましょう。上限や申告方法に迷うときは、源泉徴収票を手元に用意して相談すると、話がスムーズに進みます。
よくある質問
個人事業主でもふるさと納税はできますか?
できます。個人事業主は確定申告をするため、ワンストップ特例は使えず、寄附金控除として確定申告に含めます。事業の所得は年によって変わるため、年末に近い時期に所得の見込みを立ててから寄附額を決めると、上限を超えにくくなります。
年金を受け取っている人も、ワンストップ特例を使えますか?
確定申告をする必要がない人であれば使えます。公的年金の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要とされます。ただし、医療費控除などで確定申告をする場合はワンストップ特例は使えず、寄附金控除も申告に含めます。住民税の申告が必要かどうかは、お住まいの市区町村で確認してください。
控除されたかどうかは、どこで確認できますか?
翌年度の住民税の決定通知書(会社員は勤務先から受け取る特別徴収税額の決定通知書)の、税額控除の欄で確認できます。確定申告をした場合は、所得税の還付額にも反映されます。
返礼品に税金はかかりますか?
返礼品は一時所得にあたります。一時所得は、生命保険の満期金などほかの一時所得と合計して計算し、特別控除の範囲に収まれば課税されません。返礼品だけで特別控除を超えることは多くありませんが、寄附額が大きい人は、ほかの一時所得と合わせて確認します。
まとめ
ふるさと納税は、寄附額のうち2,000円を超える部分が、上限の範囲内で所得税・住民税から控除される制度です。上限は年収・家族構成・ほかの控除で変わり、2027年の寄附分からは193万円の定額の上限も加わります。申告方法を最初に決め、名義をそろえ、証明書を保管して、無理のない範囲で活用しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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- 初回相談は無料(オンライン対応可)
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- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
- 総務省「ふるさと納税の仕組み(税金の控除について)」
- 国税庁 タックスアンサー「ふるさと納税(寄附金控除)」
- 総務省 報道資料(ふるさと納税の指定基準の見直し)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱(個人所得課税)」
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
