住宅ローン控除の申告は、入居した年の分を翌年の確定申告で行い、会社員なら2年目以降は年末調整で受けられます。控除額は年末のローン残高(住宅の性能ごとの借入限度額まで)の0.7%で、2026年入居の新築は原則として省エネ基準を満たす住宅に限られます。繰上返済や転居で控除が止まる場面にも注意が必要です。
この記事の結論
初年度は確定申告が必要です。給与所得者は2年目以降、税務署から届く申告書と残高の証明書を勤務先に出せば、年末調整で控除されます。
- 控除額は年末残高×0.7%(借入限度額まで)。所得税から引ききれない分は一定の範囲で住民税から控除される
- 2026年入居の新築は、認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅が対象で、控除期間は13年
- 中古住宅も省エネ性能を満たせば13年、その他の中古住宅は借入限度額2,000万円・10年
- 令和8年分(2026年入居)の確定申告は2027年2月16日〜3月15日。還付を受けるだけなら1月から提出できる
- 繰上返済で返済期間が10年未満になる、家族ごと転居するなどの場合は控除が止まる
住宅ローン控除はいくら戻る?控除額と2026年入居の借入限度額
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高に0.7%を掛けた金額を、所得税から直接差し引く税額控除です。所得税から引ききれない分は、一定の範囲で翌年度の住民税からも控除されます。
令和8年度税制改正で、適用期限は2030年12月31日の入居分まで延長されました。あわせて、新築の省エネ基準適合住宅の借入限度額の引下げや、中古住宅の控除期間・床面積の要件の見直しが行われています。借入限度額は住宅の環境性能と、特例対象個人に当たるかどうかで決まります。
| 住宅の区分 | 借入限度額(一般/特例対象個人) | 控除期間 |
|---|---|---|
| 新築・認定住宅 | 4,500万円/5,000万円 | 13年 |
| 新築・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円/4,500万円 | 13年 |
| 新築・省エネ基準適合住宅 | 2,000万円/3,000万円 | 13年 |
| 新築・その他の住宅 | 原則として対象外(2023年12月31日までに建築確認を受けたものなどは2,000万円) | 例外に当たる場合は10年 |
| 中古・認定住宅、ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円/4,500万円 | 13年 |
| 中古・省エネ基準適合住宅 | 2,000万円/3,000万円 | 13年 |
| 中古・その他の住宅 | 2,000万円 | 10年 |
計算例:残高が同じでも住宅の性能で控除額が変わる
例えば、2026年に新築住宅に入居し(特例対象個人に当たらない)、年末のローン残高が2,500万円の場合です。
- 省エネ基準適合住宅(借入限度額2,000万円):2,000万円×0.7%=14万円
- ZEH水準省エネ住宅(借入限度額3,500万円):2,500万円×0.7%=17.5万円
省エネ基準適合住宅の場合で、その年の所得税が10万円なら、所得税から10万円を控除し、残りの14万円−10万円=4万円は一定の範囲で翌年度の住民税から控除されます。
ツール住宅ローン控除の控除額を試算する入居した年、住宅の区分、年末のローン残高から、控除額の目安を計算できます。計算する
主な要件は次のとおりです。住宅の区分ごとの詳細は、国土交通省の住宅ローン減税のページでも確認できます。
- その年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は1,000万円以下)
- 床面積が50㎡以上(合計所得金額1,000万円以下なら40㎡以上も可。中古住宅の40㎡の区分は令和8年度改正で追加)
- 取得から一定期間内に住み始め、その年の12月31日まで引き続き住んでいる
- ローンの返済期間が10年以上
- 2030年12月31日までに入居している
これから建てる新築は性能の確認を
2028年1月1日以後に建築確認を受ける新築住宅のうちZEH水準に満たないもの(登記上の建築日付が2028年6月30日以前のものを除く)と、災害危険区域などに建てる新築住宅(建替えを除く)は、同日以後の入居では対象外になります。設計の段階で、住宅の性能と立地を確認しておきます。
初年度の確定申告はいつ、何を出す?
入居した年の翌年、確定申告の期間に申告します。2026年に入居した場合は令和8年分として、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までが申告期間です。所得税が戻るだけの還付申告であれば、1月から提出できます。
会社員でも、初年度は年末調整で控除を受けられないため、源泉徴収票を用意して自分で確定申告をします。e-Taxなら自宅から提出でき、書面で提出するより還付が早くなる傾向があります。
- 書類を集める年末残高の証明書、契約書の写し、住宅の性能を証する書類、源泉徴収票などをそろえます。
- 計算明細書を作る「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に、取得価額・床面積・持分・年末残高を記入します。
- 申告書を作る確定申告書の税額控除の欄に控除額を記入します。医療費控除や寄附金控除がある場合も、同じ申告書にまとめます。
- 提出するe-Taxで送信するか、書面で所轄の税務署へ提出します。
- 還付と控えを確認する指定した口座への還付を確認し、申告書の控えを住宅関係の書類と一緒に保管します。
| 書類 | 入手先 | ポイント |
|---|---|---|
| 計算明細書 | 税務署・国税庁のホームページ(e-Taxは画面の案内で作成) | 持分・取得価額・年末残高を記入する |
| 年末残高等証明書 | 借入先の金融機関 | 入居の時期や金融機関によっては、金融機関に適用申請書を出しておくと添付が不要になる仕組みがある |
| 売買契約書・工事請負契約書の写し | 手元の契約書 | 取得価額と契約の内容を確認する |
| 登記事項証明書 | 法務局 | 明細書に不動産番号を書けば、添付を省略できる場合がある |
| 住宅の性能を証する書類 | 建築会社・販売会社 | 住宅性能評価書の写しなどで、認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合の区分を確認する |
| 源泉徴収票 | 勤務先 | 給与所得者のみ |
ふるさと納税のワンストップ特例は無効になる
初年度は確定申告をするため、ふるさと納税でワンストップ特例を申請していても効力がなくなります。寄附金控除も確定申告に含めて申告し直す必要がある点を忘れがちです。
医療費控除も同じ年にある場合は、まとめて申告すると手間が省けます。対象になる医療費の範囲は医療費控除の対象と計算で確認できます。
札幌市内で確定申告書を提出する場合
提出先は住所地を管轄する税務署です。札幌市内は中・北・南・西・東の5署に分かれ、北区・東区は北、豊平区・南区・清田区は南、西区・手稲区は西、白石区・厚別区は東の税務署が管轄します。中央区は、おおむね西10丁目以東が中、大通西11丁目以西や円山・宮の森などが西の税務署です。
書面を郵送する場合は、2026年7月10日から札幌業務センターあてになっています。e-Taxで送信する場合や、窓口に持参する場合は所轄の税務署です。
2年目以降は年末調整でどう手続きする?
給与所得者は、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。税務署から届く「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(年末調整のための控除証明書と兼用)に記入し、金融機関の残高証明書とともに勤務先へ提出します。個人事業主など給与所得以外の人は、毎年確定申告で控除を受けます。
年の途中で転職した場合は、新しい勤務先の年末調整で申告書を提出します。退職して年末調整を受けられなかった年は、翌年に確定申告をして控除を受けます。
書類は入居した年から一式で保管する
2年目以降の年末調整では、税務署から届く申告書と金融機関の残高証明書を毎年使います。契約書・登記事項証明書・性能の書類と一緒に住宅関係のファイルにまとめておくと、転職や借換えなど状況が変わったときにも対応が速くなります。申告書を紛失した場合は再交付の手続きがありますが、時間がかかるため年末調整の時期より前に確認しておきます。
ツール年末調整の過不足を計算する年税額と源泉徴収された税額の差から、年末調整で戻る額や追加で納める額の目安を計算できます。計算する
繰上返済・借換え・転勤で控除はどうなる?
住宅ローン控除は、毎年の年末時点で要件を満たしているかで判定されます。次のような場面では、控除額が変わったり、控除が止まったりします。
| 場面 | 控除への影響 | 確認すること |
|---|---|---|
| 繰上返済 | 最初の返済月から最後の返済月までの期間が10年未満になると、その年から控除を受けられない | 返済期間を短くするか、毎月の返済額を減らすかで影響が違う |
| 借換え | 新しいローンが元の住宅ローンの返済のためのもので、要件を満たせば控除を続けられる。借換えで増えた部分は対象外 | 控除期間は延びない。利息の軽減額と控除額の変化を並べて試算する |
| 単身赴任 | 家族が住み続けていれば、控除を続けられる場合がある | 住まなくなった事情と時期を記録しておく |
| 家族ごとの転居 | 住んでいない年は控除を受けられない。再び住めば、残りの期間で再開できる場合がある | 転居前と再入居の際の手続きを確認する |
| 合計所得金額が2,000万円を超えた年 | その年は控除を受けられない | 翌年以降、要件を満たせば再び控除できる |
| 売却・賃貸 | 住まなくなった年から控除を受けられない | 売却時の譲渡所得の特例との関係も確認する |
ペアローンと親からの資金援助は「持分」と「贈与」に注意
夫婦でペアローンを組んだ場合は、それぞれの借入残高と持分に応じて別々に控除を受け、初年度の確定申告も2人分必要です。登記の持分と資金の負担割合がずれていると、贈与の問題が生じることがあります。
親から住宅取得等資金の贈与を受けて非課税の特例を使った場合は、住宅の取得対価からその金額を差し引いた額が控除の上限になるため、借入残高がそのまま対象にならないことがあります。この非課税の特例(省エネ等住宅1,000万円、その他500万円)は2026年12月31日までの贈与が対象で、贈与税の申告が必要です(2026年分は2027年2月1日〜3月15日)。
繰上返済・借換え・持分の決め方は、控除額と贈与の判断が絡み合います。実行する前に、初回無料で影響を確認できます。
無料で相談する中古住宅やリフォームでも使える?
中古住宅は、建築時期や耐震基準への適合などの要件があり、要件を満たすことを示す書類が必要になることがあります。契約後に「対象外だった」と気づかないよう、購入を検討する段階で不動産会社と書類の有無を確認しておくのが安全です。
2026年の入居分からは、中古住宅でも認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合であれば控除期間が13年になり、床面積40㎡以上50㎡未満の中古住宅も、合計所得金額1,000万円以下なら対象になりました。増改築やリフォームのための借入れも、工事の内容などの要件を満たせば対象になります。改正の全体像は2026年度税制改正そのほかの注目点でも確認できます。
よくある質問
入居した年に確定申告を忘れたら、もう控除は受けられませんか?
後から還付申告をすれば、さかのぼって控除を受けられます。2年目以降に年末調整で控除を受けるには、初年度の確定申告をしていることが前提になるため、気づいた時点で申告します。
控除期間の途中で結婚や出産をしたら、借入限度額は変わりますか?
借入限度額は入居した年の区分で決まり、控除期間の途中で家族構成が変わっても見直されません。特例対象個人に当たるかどうかも、入居した年の状況で判定します。
土地を先に買って、後から家を建てた場合も対象になりますか?
住宅の新築とあわせて一定の要件を満たす場合は、敷地の購入のための借入れも対象になります。土地と建物で借入れや契約が分かれる場合は、それぞれの借入れが要件に当たるかを金融機関の書類で確認しておきます。
住宅ローン控除とふるさと納税は一緒に使えますか?
併用できます。ただし、住宅ローン控除で所得税がほとんどかからなくなると、ふるさと納税の寄附金控除による所得税の軽減を十分に受けられず、自己負担が2,000円を超える場合があります。初年度は寄附の前に試算しておくと安心です。
まとめ
住宅ローン控除は、初年度に確定申告をすれば、会社員は2年目以降を年末調整で受けられます。控除額は年末残高の0.7%で、2026年入居なら住宅の性能と世帯の区分で借入限度額が決まり、省エネ基準を満たさない新築は原則として対象外です。繰上返済・借換え・転勤・親からの資金援助は控除額に影響するため、実行前に要件を確認しておきましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
