不動産仲介業の税務調査で最も指摘されやすいのは、仲介手数料を売上にする時期のずれ(期ズレ)です。次いで、オーナーや管理会社から受け取るAD(広告料)や紹介手数料の計上漏れ、支払った紹介料・歩合の扱いが確認されます。論点ごとの判断基準と、調査の流れ・加算税・日頃の備えを整理します。
この記事の結論
不動産仲介業の調査は「手数料をいつ売上にしたか」「仲介手数料以外の収入をすべて計上したか」「支払った紹介料・歩合の根拠を説明できるか」の3点が中心です。案件ごとに契約・精算・入金を結びつけた台帳を作っておくことが、いちばんの備えになります。
- 法人の仲介手数料は、原則として契約の効力が発生した日の期に計上する(売買・交換の仲介は、取引完了日の基準を継続して使うことも認められる)
- 取引完了日の基準でも、引渡し前に受け取った半金などは、受け取った日の期の売上になる
- ADや火災保険・家賃保証などの紹介手数料は、支払った側の記録との突き合わせで漏れが見つかりやすい
- 個人への紹介料は交際費、業務委託の営業担当者への歩合は給与と判断されないよう、契約と実態をそろえる
- 申告漏れには過少申告加算税(原則10%)と延滞税がかかり、さかのぼる期間は原則5年(不正があれば7年)
不動産仲介業の税務調査で見られるポイントは?
売買仲介も賃貸仲介も、取引の痕跡が登記情報や売買契約書、金融機関の融資記録として外部に残ります。関係者も売主・買主・貸主・借主・管理会社と多く、相手方の帳簿と突き合わせれば売上を把握しやすい業種です。隠れにくく、確認しやすいことが、調査で売上が重点的に見られる理由です。
しかも1件あたりの手数料は数十万円から数百万円に上ることがあり、1件の計上漏れや期ズレでも税額への影響が大きくなります。住み替えが集中しやすい年度末の繁忙期と決算期が重なる会社では、期末をまたぐ案件が生まれやすい点も、期ズレの背景になっています。
| 論点 | 調査で確認されること | 主な確認資料 |
|---|---|---|
| 仲介手数料の計上時期 | 期末前に契約・引渡しをした案件の手数料が翌期に回っていないか。計上の基準を毎期そろえているか | 媒介契約書、売買契約書・賃貸借契約書、精算書、案件台帳 |
| AD・業務委託料 | オーナーや管理会社から受け取ったADを売上にしているか。送金時の差引き精算で漏れていないか | 管理会社の精算書・送金明細、通帳 |
| 付帯サービスの手数料 | 火災保険・家賃保証・引越し・回線などの紹介手数料を計上しているか | 提携先の支払明細、通帳 |
| 現金で受け取った手数料 | 店頭で受け取った現金が売上に入っているか | 領収書の控え(連番)、現金出納帳 |
| 支払った紹介料 | 相手先・役務の内容・金額の根拠があるか。交際費に当たらないか | 契約書、請求書、振込記録 |
| 業務委託の営業担当者への歩合 | 外注費として処理した歩合が、実態として給与になっていないか | 業務委託契約書、請求書、勤務の記録 |
| 交際費・広告宣伝費 | オーナー・管理会社との接待や贈答、成約記念品の区分。私的な飲食の混入 | 領収書、相手先・目的のメモ |
| 役員・家族への支払い | 家族への給与に勤務の実態があるか。私的な支出が経費に混ざっていないか | 出勤簿・業務内容の記録、領収書 |
このうち税額への影響が大きいのは、仲介手数料の期ズレと、AD・紹介手数料の計上漏れです。どちらも法人税(個人は所得税)だけでなく消費税にも波及するため、追加で納める税額が膨らみやすくなります。
仲介手数料はいつ売上にする?契約日と引渡日の期ズレ
法人が受け取る不動産の仲介手数料は、法人税基本通達2-1-21の9で、原則として売買や賃貸借の契約の効力が発生した日の属する事業年度の収益とされています。入金日や請求日ではありません。
ただし、売買・交換の仲介については、取引が完了した日(引渡しの日など)の属する事業年度に計上する方法を、継続して適用している場合も認められます。この場合でも、取引完了日より前に実際に受け取った金額は、受け取った日の事業年度の収益になります。
| 計上の基準 | 計上する時期 | 使える取引 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 原則:契約の効力発生日 | 売買・賃貸借の契約の効力が発生した日 | 売買・交換・賃貸借の仲介 | 停止条件が付いた契約などは、効力が生じる日を契約書で確認する |
| 例外:取引完了日 | 引渡しなど取引が完了した日(それより前に受け取った額は、受け取った日) | 売買・交換の仲介のみ | 毎期継続して適用することが前提。案件ごとに使い分けない |
よくある誤り:契約時の半金を前受金のままにする
売買仲介では、契約時に半金、引渡し時に残金を受け取る商習慣が広く見られます。このとき半金を前受金として処理し、引渡しの期にまとめて売上にしている例があります。しかし取引完了日の基準でも、引渡し前に受け取った半金は受け取った期の売上です。
計算例:3月決算で、3月に売買契約・5月に引渡しの案件
例えば、3月決算の法人が3月に売買契約を成立させ、仲介手数料(税抜)200万円のうち半金100万円を契約時に、残金100万円を5月の引渡し時に受け取るとします。
- 原則(契約の効力発生日):3月期に200万円を計上
- 例外(取引完了日を継続適用):3月期に受け取った半金100万円、翌期に残金100万円を計上
- 誤りの例:半金を前受金にして、5月に200万円をまとめて計上
誤りの例では、例外の基準で見ても3月期の売上が100万円不足し、期ズレとして指摘されます。消費税の課税売上も同じくずれ、100万円×10%=10万円分の課税時期が変わります。
売主・買主の双方から手数料を受け取る案件では、相手ごとに入金の時期が違うことがあります。手数料の受取先ごとに契約日・引渡日・入金日を台帳に分けて記録しておくと、計上漏れと期ズレの両方を防げます。他の業者と共同で仲介して手数料の一部を支払う場合も、受け取った額と支払った額を相殺せずに記録しておくと説明しやすくなります。
賃貸仲介と個人事業主の場合は?
賃貸借の仲介には取引完了日の例外がないため、原則どおり契約の効力が発生した日で判定します。年度末には、契約の締結と入金が期末前で、賃貸借の開始が期末後という案件が増えます。どの日を効力発生日と見るかを契約内容で確認し、毎期同じ考え方で処理しておきましょう。
上記の通達は法人税のものです。個人事業主の場合も、契約・引渡し・入金の事実をもとに収入の計上時期を判定し、同じ基準で毎年処理することが調査での説明の土台になります。仲介手数料やADの具体的な仕訳は、不動産仲介業の仕訳事例集(仲介手数料・ADの仕訳)で確認できます。
AD(広告料)や付帯サービスの手数料はなぜ漏れが見つかる?
賃貸仲介では、オーナーや管理会社から受け取るAD(広告料や業務委託料の名目で支払われる報酬)が定番の確認項目です。支払った側は経費として記録しているため、相手方の帳簿と突き合わせれば、受け取った側の計上漏れはすぐに分かります。
また、不動産の売買や貸付けのあっせん手数料を支払った法人などは、一定の場合に支払調書を税務署へ提出します。仲介手数料やADは、受け取った側が記録していなくても、税務署が把握できる仕組みがある収入だと考えておく必要があります。
漏れが起きやすいのは、仲介手数料と入金のルートが違う収入です。管理会社からまとめて振り込まれるもの、入居者から預かった初期費用をオーナーへ送金する際に差し引いて精算するものは、売上として記録されないまま処理が終わってしまうことがあります。次のような収入も、名目にかかわらず売上として計上します。
- オーナー・管理会社から受け取るAD・業務委託料
- 入居者に案内した火災保険の代理店手数料
- 家賃保証会社・引越し業者・インターネット回線などからの紹介手数料
- リフォームやハウスクリーニングを取り次いだときの手数料
- 店頭で現金で受け取った仲介手数料
これらは仲介手数料と同じく消費税の課税売上です。案件台帳に「誰から・何の対価として・いくら」受け取ったかを記録し、通帳の入金と月次で照合しておくと漏れを防げます。現金で受け取る場合は、連番の領収書の控えを残し、受け取った現金を事業用の口座に入れる運用にしておきます。
別口座や現金での受取りは重加算税の対象になり得る
ADを個人名義の口座に振り込ませる、領収書を発行せずに現金で受け取るなど、意図的に帳簿から外したと認められると、過少申告加算税ではなく重加算税(過少申告の場合35%)の対象になります。偽りその他不正の行為があると、税務署がさかのぼって税額を正せる期間も7年に延びます。
支払った紹介料・歩合はどこを確認される?
支払う側の紹介料や歩合も論点になります。誰に、何の対価として、いくら支払ったのかの記録が曖昧だと、経費になるかどうか自体を疑われます。法人の場合は、交際費に当たらないか、給与に当たらないかの2つの観点で確認されます。
紹介料・情報提供料は交際費と区分できるか
物件や顧客を紹介してくれた人への謝礼は、相手や支払い方によっては交際費(取引先などへの接待・贈答などの費用)になります。情報の提供やあっせんを業としていない人に支払う紹介料については、租税特別措置法関係通達61の4(1)-8で、例えば次の要件をすべて満たすなど正当な対価と認められれば、交際費に当たらないとされています。
- あらかじめ締結した契約に基づいて支払っている
- 提供を受ける役務の内容が契約で具体的に明らかにされ、実際にその役務の提供を受けている
- 支払った金額が、提供を受けた役務の内容に照らして相当である
取引の相手方の従業員などは、この取扱いの対象から除かれています。買主の勤務先の担当者や、他社の営業担当者個人に渡す謝礼は、交際費として扱われると考えておきましょう。
交際費になる場合、中小法人は年800万円までの定額控除か、接待飲食費の50%の損金算入かを選べます(2027年3月31日までに開始する事業年度)。オーナーや管理会社との飲食で1人あたり10,000円以下のものは、相手先や人数などを記録しておけば交際費から除けます。
無料ツール交際費の損金不算入額を計算する中小法人が支出した交際費のうち、損金にならない金額の目安を確認できます。計算する
業務委託の営業担当者への歩合は給与にならないか
営業担当者と業務委託契約を結び、成約に応じた歩合を外注費として支払う形は、不動産仲介業でよく見られます。ただし、働き方の実態が雇用に近ければ、調査で給与と判断されることがあります。判断は契約書の名目ではなく、次のような観点の総合判断です。
| 判断の観点 | 外注(業務委託)に近い | 給与(雇用)に近い |
|---|---|---|
| 仕事の進め方 | 営業先や進め方を本人が決める | 会社が営業先や手順を指示する |
| 時間・場所の拘束 | 働く時間や場所を本人が決める | 出勤・退勤の時刻やシフトを指定される |
| 費用の負担 | 交通費や広告費などを本人が負担する | 会社が負担し、精算する |
| 代わりの人 | 本人の判断で他の人に任せられる | 本人が業務を行うことが前提 |
| 報酬の請求 | 本人が請求書を発行する | 会社が給与計算で金額を決める |
給与と判断されると、源泉所得税の徴収漏れ(不納付加算税と延滞税の対象)と、消費税の仕入税額控除の否認が同時に起きます。給与は消費税の課税仕入れにならないためです。業務委託のままでも、外交員の報酬に当たる場合は源泉徴収が必要になります。
紹介料や歩合を経費として説明できるかは、契約書と働き方の実態の両方で判断が分かれます。契約や請求書の整え方を、初回無料で一緒に確認できます。
無料で相談する消費税ではどこを確認される?
仲介手数料は、土地の売買や住宅の賃貸借の仲介であっても消費税の課税売上です。土地の譲渡や住宅の貸付け自体は非課税ですが、仲介という役務の提供には消費税がかかるためです。課税売上から仲介手数料の一部を外していないかは、調査で確認される基本の項目です。
一方、売主・買主・入居者から一時的に預かり、相手方へ渡す手付金・敷金・前家賃などは、自社の売上ではなく預り金です。預り金と自社の収入が同じ口座で混ざると、どこまでが売上かを説明しにくくなります。精算書で内訳を残し、預り金と手数料を分けて記録しておきましょう。
| 確認される点 | 正しい扱い |
|---|---|
| 簡易課税の事業区分 | 不動産仲介は不動産業として第6種(みなし仕入率40%)。サービス業の第5種(50%)で計算すると納付税額が少なくなり、指摘される |
| 簡易課税を使える条件 | 基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、適用を受ける課税期間の前日までに届出をしていること |
| インボイス未登録の相手への紹介料・外注費 | 含まれる消費税は経過措置で一部だけ控除。2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2028年9月30日までは70% |
| 経過措置の割合の判定 | 請求書の日付ではなく、役務の提供を受けた日(課税仕入れの日)で判定し、帳簿に経過措置の対象である旨を記載する |
税務調査はどう進む?事前通知から終了までの流れ
- 事前通知税務署から電話などで、調査の開始日時・場所・目的、対象の税目と期間、確認する帳簿書類などが伝えられます。税務代理を委任した税理士がいる場合は、税理士を通じて通知されることもあります。
- 日程の調整と準備業務の都合など合理的な理由があれば、日程の変更を相談できます。対象期間の案件台帳・契約書・精算書・通帳をそろえ、期末前後の案件とAD・紹介料の一覧を整理します。
- 実地調査事務所で帳簿書類の確認と質問が行われます。代表者には事業の概要や、媒介契約から入金までの流れ、ADの受け取り方などが聞かれます。
- 取引先への確認(反面調査)必要に応じて、管理会社・オーナー・提携先・金融機関などに取引内容の確認が行われることがあります。
- 調査結果の説明問題がなければ、更正決定等をすべきと認められない旨の通知が書面で届きます。誤りがあれば内容の説明を受け、修正申告を勧められます。
- 修正申告と納付修正申告書を提出し、本税と加算税・延滞税を納めます。法人は法人住民税・事業税なども修正が必要です。
法令で定める一定の場合には、事前通知なしで調査が行われることもあります。連絡を受けたら、まず対象の期間と税目を確認し、期末前後の案件の計上時期とADの入金記録を先に点検しておくと、当日の説明が楽になります。立会いを含めた備え方は税務調査の重要性と事前の対策でも整理しています。
札幌市内の不動産会社の場合:調査は所轄の税務署、書面の提出先は業務センター
調査を担当するのは、本店所在地(個人は納税地)を所轄する税務署です。中央区は、おおむね西10丁目以東が札幌中税務署、大通西11丁目以西や円山・宮の森などが札幌西税務署の管轄で、個別の住所は国税庁の管轄区域表で確認します。
2026年7月10日からは市内5署の内部事務が札幌業務センターに集約され、書面で提出する修正申告書などは同センターへ郵送します。e-Taxでの提出や窓口への持参は、従来どおり所轄の税務署です。
指摘を受けたら?加算税・延滞税とさかのぼる期間
調査で申告漏れが見つかると、不足していた本税に加えて加算税と延滞税がかかります。加算税の割合は、誤りの性質によって変わります。
| 種類 | かかる場面 | 割合 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 期限内に申告したが、税額が少なかった | 原則10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%) |
| 無申告加算税 | 期限までに申告しなかった | 原則15%(50万円超の部分は20%。2024年1月1日以後に法定申告期限が到来するものは300万円超の部分30%) |
| 重加算税 | ADの除外や架空の紹介料など、仮装・隠蔽があった | 過少申告・不納付の場合35%、無申告の場合40% |
| 延滞税 | 法定納期限までに納めていない税額があった | 納付する日までの日数に応じてかかる |
計算例:調査で法人税が70万円増えた場合の過少申告加算税
例えば、期限内に申告した法人税が40万円で、調査により法人税が70万円増えた(仮装・隠蔽はない)とします。15%がかかるのは、期限内申告税額40万円と50万円のうち多い方(50万円)を超える部分です。
- 50万円までの部分:50万円×10%=5万円
- 50万円を超える部分:20万円×15%=3万円
- 過少申告加算税の合計:5万円+3万円=8万円
増えた70万円が、別口座に振り込ませたADを帳簿から外していたことによるもので重加算税の対象になる場合は、過少申告加算税に代えて70万円×35%=24.5万円がかかります。いずれの場合も、このほか延滞税と、地方税の不足分・延滞金がかかります。
ツール延滞税・加算税の概算を計算する追加で納める税額などを入力して、修正申告で生じる延滞税・加算税の目安を確認できます。計算する
税務署から事前通知を受ける前に、自主的に誤りを見つけて修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。通知を受けた後でも、調査で指摘される前に修正すれば軽減されます。期ズレやADの計上漏れに気づいたら、早く直すほど負担は小さくなります。
税務署が税額を正せる期間(更正の期間制限)は、原則として法定申告期限から5年です。偽りその他不正の行為がある場合は7年、法人税の欠損金額に係る更正は10年に延びます。期ズレの指摘で当期の売上が増えた場合は、翌期に計上していた同じ売上を翌期から除く手続きもあわせて必要になります。
修正申告を勧められたときは、修正申告をするとその内容について不服申立てができなくなること(更正の請求はできること)の説明を受けます。指摘に納得できない点があれば、その場で応じずに、根拠となる事実と法令の考え方を確認してから判断しましょう。
調査に備えて日頃から整えておくことは?
調査の結果は、過去の帳簿を後からどう説明するかより、日々の記録の積み重ねで変わります。案件ごとの台帳を月次で更新し、契約から入金までを1件ずつつなげておくことが説明の土台になります。
- 案件台帳に、取引の種類(売買・賃貸)、依頼者、契約日、引渡日・入居日、手数料の額と受取先、入金日を1件ずつ記録する
- 媒介契約書・重要事項説明書・契約書・精算書を案件ごとに保存する
- ADや付帯サービスの手数料は、管理会社・提携先の支払明細と通帳を月次で照合する
- 支払った紹介料は、契約書・請求書に相手先と役務の内容を残す
- 業務委託の営業担当者とは契約書を交わし、本人から請求書を受け取る
- 決算時に、期末前後に契約・引渡しのあった案件を一覧にして計上時期を確かめる
- 役員や家族への支払い、私的な支出が経費に混ざっていないかを確認する
帳簿書類の保存期間は、法人は原則7年(欠損金が生じた事業年度は10年)、青色申告の個人事業主も帳簿は7年です。電子帳簿保存法の「優良な電子帳簿」の要件を満たして事前に届出をしておくと、その帳簿に記録された事項の申告漏れについて、過少申告加算税が5%軽減される制度もあります。決算前の点検には経理・決算セルフチェックも使えます。
よくある質問
個人で不動産仲介業を営んでいる場合も、同じ点を見られますか?
見られます。個人事業主の場合は所得税と消費税の調査になり、仲介手数料・ADの計上漏れや計上時期、紹介料の支払いの根拠に加えて、車両費・通信費・自宅兼事務所の家賃など、事業と家計で共用している支出の按分が確認されます。青色申告の帳簿と決算関係書類は7年保存が原則です。
契約が解除されて手数料を返金した場合、前の期の申告を直す必要がありますか?
前の期に売上として計上した手数料を、その後の契約解除で返金した場合は、原則として解除により返金することになった期の損失として処理し、前の期の申告をさかのぼって直すことはしません。解除の合意書や返金の記録を残し、どの案件の返金かを台帳で説明できるようにしておきましょう。
ADの計上漏れを指摘されると、重加算税がかかりますか?
単なる処理の誤りや漏れであれば、過少申告加算税(原則10%)の対象です。重加算税がかかるのは、ADを別の口座に振り込ませて帳簿から外す、請求書や領収書を破棄するなど、事実の仮装・隠蔽があったと認められる場合です。日頃から入金を台帳と照合し、漏れに気づいたら早めに修正しておくことが大切です。
電子契約で交わした契約書や、メールで届いた精算書はどう保存すればよいですか?
電子契約サービスで交わした契約書や、メール・Webで受け取った請求書・精算書は電子取引データにあたり、2024年1月1日以後は紙に印刷するだけでは足りず、電子データのまま保存する必要があります。改ざん防止の措置と、日付・金額・取引先で検索できる状態が要件です。基準期間の売上高が5,000万円以下などの事業者は、税務職員のダウンロードの求めに応じれば検索の要件が不要になります。
まとめ
不動産仲介業の税務調査は、仲介手数料の期ズレ、ADや紹介手数料の計上漏れ、支払った紹介料・歩合の扱いが中心です。計上の基準を決めて毎期同じように適用し、契約書・精算書・通帳を案件台帳でつなげておけば、ほとんどの質問に資料で答えられます。迷う案件は決算前に整理し、誤りに気づいたら事前通知の前に自主的に修正しておくことが、負担を小さくする近道です。
札幌の公認会計士・税理士事務所
不動産仲介業の税務調査・決算のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
