不動産仲介業の仕訳事例集【設例つき80本】

公開日:2026年7月18日(令和8年度税制改正対応)|収録80本・全仕訳の貸借を検算済み

住宅の家賃は非課税でも、その賃貸を仲介して受け取る仲介手数料は課税売上 ── 不動産仲介業の経理は、消費税区分の判定と報酬の計上時期(売買は決済・引渡し完了時、契約時の半金は前受金)が要です。賃貸・売買の仲介手数料やADの受領から、レインズ・ポータル掲載などの経費、営業保証金、決算整理まで、仲介会社の実務80本を設例つきで収録しました。 各事例は「設例 → 借方/貸方の仕訳表 → 実務メモ」の順で、タップすると開きます。

売上・入金

住宅賃貸の借主側仲介手数料

設例:家賃80,000円の住宅の賃貸借契約を仲介し、借主から家賃0.5か月分の仲介手数料(消費税込み)44,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金44,000仲介手数料収入40,000
仮受消費税等4,000
合計44,000合計44,000

住宅の家賃自体は非課税だが、賃貸借の仲介は役務提供であり、住宅の仲介手数料でも消費税の課税売上となる点を家賃の非課税と混同しないようにする。

貸主側からの仲介手数料

設例:月額家賃100,000円の住宅について貸主側の媒介を行い、成約に伴い貸主から仲介手数料(消費税込み)55,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金55,000仲介手数料収入50,000
仮受消費税等5,000
合計55,000合計55,000

居住用建物の媒介報酬は貸主・借主の双方から受ける合計で借賃1か月分と消費税が上限のため、双方から受領する場合は合計額で確認する。

貸主からのAD受領

設例:空室の客付けにあたり貸主から特別に依頼された広告を実施し、成約後に広告料(AD、消費税込み)110,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金110,000広告料収入100,000
仮受消費税等10,000
合計110,000合計110,000

報酬とは別に受け取る広告料は、依頼者からの依頼に基づく特別の広告の実費に限り認められるものであり、消費税は課税売上として処理する。

仲介手数料とADの同時入金

設例:賃貸の成約に伴い、貸主から仲介手数料(消費税込み)55,000円と広告料(消費税込み)110,000円の合計165,000円が普通預金口座にまとめて入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金165,000仲介手数料収入50,000
広告料収入100,000
仮受消費税等15,000
合計165,000合計165,000

報酬部分と広告料部分は宅建業法上の上限規制の判定単位が異なるため、勘定科目を分けて計上しておくと説明資料としても使いやすくなる。

店舗の賃貸仲介手数料

設例:月額賃料200,000円の店舗の賃貸借契約を仲介し、貸主から借賃1か月分の仲介手数料(消費税込み)220,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金220,000仲介手数料収入200,000
仮受消費税等20,000
合計220,000合計220,000

店舗・事務所など事業用物件の仲介手数料も課税売上であり、居住用と同様に双方から受ける報酬の合計は借賃1か月分と消費税が上限となる。

月極駐車場の仲介手数料

設例:月極駐車場の賃貸借契約を取りまとめ、契約成立後に貸主から仲介手数料(消費税込み)11,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金11,000仲介手数料収入10,000
仮受消費税等1,000
合計11,000合計11,000

駐車場のみの賃貸借の仲介は宅建業法の報酬規制の対象外だが、受け取る手数料は役務提供の対価として消費税の課税売上となる。

売買仲介の片手手数料

設例:売買代金12,000,000円の中古戸建の売主側媒介を行い、決済・引渡しの完了時に売主から仲介手数料(消費税込み)462,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金462,000仲介手数料収入420,000
仮受消費税等42,000
合計462,000合計462,000

400万円超の売買の媒介報酬は売買代金の3%に6万円を加えた額と消費税が上限であり、収益は決済・引渡しが完了した時点で計上する。

買主側の仲介手数料受領

設例:売買代金8,000,000円の中古マンションの買主側媒介を行い、引渡し完了時に買主から仲介手数料(消費税込み)330,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金330,000仲介手数料収入300,000
仮受消費税等30,000
合計330,000合計330,000

買主から受ける媒介報酬も売主側と同じ速算式による上限の範囲内で受領し、引渡しの完了した日を基準に課税売上へ計上する。

両手仲介の手数料受領

設例:売買代金20,000,000円の土地建物について売主・買主双方の媒介を行い、決済完了時に双方から仲介手数料(消費税込み)合計1,452,000円を普通預金口座で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,452,000仲介手数料収入1,320,000
仮受消費税等132,000
合計1,452,000合計1,452,000

双方から報酬を受ける両手取引では、それぞれの受領額が速算式による上限の範囲内かを依頼者ごとに確認したうえで課税売上に計上する。

契約時の報酬半金の前受

設例:売買契約の成立時に、媒介報酬の半金として(消費税込み)231,000円を売主から普通預金口座で受け取った。決済・引渡しは翌月の予定である。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金231,000前受金231,000

媒介報酬の収益計上は決済・引渡しの完了時が原則のため、契約時に受領する半金は前受金として負債計上し、消費税も収益計上時に認識する。

決済完了時の残金と前受振替

設例:前月に契約した売買の決済・引渡しが完了し、報酬残金(消費税込み)231,000円が普通預金口座に入金されたため、契約時の前受金とあわせて報酬総額を収益計上した。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金231,000仲介手数料収入420,000
前受金231,000仮受消費税等42,000
合計462,000合計462,000

決済・引渡しの完了により役務提供が完了したものとして報酬総額を収益に計上し、前受金を振り替えるとともに消費税を認識する。

ローン特約解除の前受返還

設例:買主の住宅ローンが不成立となり融資特約により売買契約が白紙解除されたため、契約時に受領し前受金としていた報酬半金231,000円を普通預金口座から買主へ返還した。

借方科目金額貸方科目金額
前受金231,000普通預金231,000

融資特約による白紙解除の場合は媒介報酬の請求権が生じないため、受領済みの半金は収益計上せず前受金の返還として処理する。

手付解除時の報酬計上

設例:売買契約の締結後に買主が手付放棄により契約を解除した。媒介契約の約定に基づき、契約時に受領済みの報酬半金(消費税込み)110,000円を報酬として確定させた。

借方科目金額貸方科目金額
前受金110,000仲介手数料収入100,000
仮受消費税等10,000
合計110,000合計110,000

媒介報酬は売買契約の成立により発生するとされ、手付解除の場合の取扱いは媒介契約の定めによるため、約定を確認したうえで収益計上する。

共同仲介での手数料受領

設例:元付業者との共同仲介(分かれ)で買主側の客付けを行い、決済完了時に自社の依頼者である買主から仲介手数料(消費税込み)363,000円を普通預金口座で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金363,000仲介手数料収入330,000
仮受消費税等33,000
合計363,000合計363,000

共同仲介では各業者が自己の依頼者から報酬を受けるのが原則であり、関与業者の受領額の合計にも速算式による上限が適用される点に留意する。

法人社宅仲介の一括入金

設例:法人契約の社宅3件分の賃貸仲介手数料として、(消費税込み)合計132,000円が契約先の法人から普通預金口座に一括で入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金132,000仲介手数料収入120,000
仮受消費税等12,000
合計132,000合計132,000

複数物件の一括入金は物件ごとの成約日と金額の内訳を管理し、適格請求書の単位と課税売上の計上額を対応させて集計できるようにしておく。

振込手数料差引の入金

設例:賃貸仲介手数料(消費税込み)55,000円について、依頼者が振込手数料(消費税込み)440円を差し引いた54,560円を普通預金口座へ振り込んできた。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金54,560仲介手数料収入50,000
支払手数料400仮受消費税等5,000
仮払消費税等40
合計55,000合計55,000

売上は総額で計上し、差し引かれた振込手数料は課税仕入として処理する。売手負担の振込手数料を売上値引として処理する方法も認められる。

カード決済の手数料入金

設例:借主が仲介手数料(消費税込み)44,000円をクレジットカードで決済し、後日、加盟店手数料1,320円が差し引かれた42,680円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金42,680仲介手数料収入40,000
支払手数料1,320仮受消費税等4,000
合計44,000合計44,000

カード会社に支払う加盟店手数料は金銭債権の譲渡に係る対価として消費税が非課税のため、仮払消費税等は計上しない。

更新事務手数料収入

設例:管理を受託していない物件の賃貸借契約の更新手続を貸主から受託し、更新事務手数料(消費税込み)11,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金11,000手数料収入10,000
仮受消費税等1,000
合計11,000合計11,000

貸主が受け取る住宅の更新料は非課税だが、更新手続の代行として業者が受け取る事務手数料は役務提供の対価であり課税売上となる。

コンサルティング料収入

設例:地主から土地の有効活用に関する調査・提案業務を受託し、コンサルティング報酬(消費税込み)330,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金330,000コンサルティング料収入300,000
仮受消費税等30,000
合計330,000合計330,000

媒介報酬の上限とは別枠で受けるコンサルティング報酬は、業務内容と対価の合意を書面化しておくことが望ましく、消費税は課税売上となる。

不動産査定書の作成料

設例:財産分与の協議資料とするための不動産査定書の作成を依頼され、査定料(消費税込み)33,000円を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
現金33,000査定料収入30,000
仮受消費税等3,000
合計33,000合計33,000

媒介の受託に向けて無償で行う簡易査定と異なり、独立した業務として行う査定書の作成報酬は課税売上として計上する。

住宅ローン斡旋の事務手数料

設例:提携する銀行へ住宅ローンの顧客を斡旋し、銀行から斡旋に係る事務手数料(消費税込み)55,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金55,000手数料収入50,000
仮受消費税等5,000
合計55,000合計55,000

金銭の貸付けの利息は非課税だが、銀行から受け取るローン斡旋の事務手数料は役務提供の対価であり課税売上となる点を区別する。

火災保険の代理店手数料

設例:保険代理店として売買の買主に火災保険の契約を取り次ぎ、保険会社から代理店手数料(消費税込み)33,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金33,000代理店手数料収入30,000
仮受消費税等3,000
合計33,000合計33,000

契約者が支払う保険料は非課税だが、保険会社から受け取る代理店手数料は募集業務の対価であり課税売上となるため混同しないようにする。

家財保険の代理店手数料

設例:賃貸の入居者に少額短期保険の家財保険を取り次ぎ、保険会社から代理店手数料(消費税込み)8,800円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金8,800代理店手数料収入8,000
仮受消費税等800
合計8,800合計8,800

入居時に取り次ぐ家財保険や借家人賠償責任保険の代理店手数料も課税売上であり、保険会社の月次精算書と入金額を照合して計上する。

保証会社の取次手数料

設例:賃貸借契約の締結にあたり入居者に家賃保証会社を取り次ぎ、保証会社から取次手数料(消費税込み)16,500円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金16,500手数料収入15,000
仮受消費税等1,500
合計16,500合計16,500

入居者が保証会社へ支払う保証委託料と異なり、業者が保証会社から受け取る取次手数料は自社の課税売上として総額で計上する。

引越業者への紹介料収入

設例:成約した借主を提携先の引越業者へ紹介し、引越業者から顧客紹介料(消費税込み)11,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金11,000紹介料収入10,000
仮受消費税等1,000
合計11,000合計11,000

提携先から受け取る顧客紹介料は役務提供の対価として課税売上となり、雑収入で処理する場合も消費税区分は課税として登録する。

リフォーム紹介料収入

設例:中古住宅の買主をリフォーム会社へ紹介し、成約した工事代金に応じた紹介料(消費税込み)66,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金66,000紹介料収入60,000
仮受消費税等6,000
合計66,000合計66,000

工事代金に連動する成功報酬型の紹介料も課税売上であり、計算根拠となる精算書を保存して収入計上額と入金額を突き合わせる。

IT重説の契約事務手数料

設例:遠隔地の借主とIT重説により賃貸借契約を締結し、郵送・オンライン手続に係る事務手数料(消費税込み)5,500円を借主から普通預金口座で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金5,500手数料収入5,000
仮受消費税等500
合計5,500合計5,500

IT重説による契約でも受領できる報酬の上限は対面の場合と同じであり、別名目の事務手数料も実質により報酬規制の対象となり得る点に留意する。

手付金の預り

設例:売主側の媒介業者として、売買契約の締結時に買主から手付金500,000円を普通預金口座で預かり、後日売主へ引き渡すこととした。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金500,000預り金500,000

依頼者に引き渡すまでの手付金は預り金として負債計上し、自社の収益とはしない。金銭の預りは対価性がなく消費税は不課税となる。

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経費・業種特有

レインズ利用料の支払

設例:指定流通機構(レインズ)のシステム利用料として、当月分(消費税込み)2,200円が普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料2,000普通預金2,200
仮払消費税等200
合計2,200合計2,200

専任媒介・専属専任媒介では所定期間内のレインズ登録が宅建業法上義務付けられており、システム利用料は課税仕入として処理する。

ポータルサイト掲載料

設例:不動産ポータルサイトへの物件情報の掲載料として、当月分(消費税込み)55,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
広告宣伝費50,000普通預金55,000
仮払消費税等5,000
合計55,000合計55,000

掲載枠数や反響数に応じた課金体系が多いため、請求明細と掲載物件の対応を確認したうえで広告宣伝費として課税仕入に計上する。

リスティング広告費

設例:自社サイトへの集客のため検索連動型広告を出稿し、当月分の広告費(消費税込み)33,000円がクレジットカード経由で普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
広告宣伝費30,000普通預金33,000
仮払消費税等3,000
合計33,000合計33,000

国外事業者への広告配信料は事業者向け電気通信利用役務の提供としてリバースチャージ方式の対象となる場合があるため、契約相手方を確認する。

追客CRMシステム利用料

設例:反響顧客の追客管理を行うCRMシステムの月額利用料(消費税込み)22,000円が普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料20,000普通預金22,000
仮払消費税等2,000
合計22,000合計22,000

月額課金のクラウドサービスは解約まで自動的に費用が発生するため、利用実績と契約状況を定期的に見直したうえで課税仕入に計上する。

電子契約サービス利用料

設例:賃貸借契約の電子契約とIT重説に用いるクラウドサービスの月額利用料(消費税込み)11,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料10,000普通預金11,000
仮払消費税等1,000
合計11,000合計11,000

重要事項説明書等は相手方の承諾を得て電磁的方法により交付でき、システム利用料は課税仕入として処理する。

物件写真撮影の外注費

設例:販売物件の写真と室内動画の撮影・編集を撮影業者に依頼し、撮影料(消費税込み)44,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
外注費40,000普通預金44,000
仮払消費税等4,000
合計44,000合計44,000

物件広告用の写真・動画の外注費は課税仕入となる。個人事業者へ支払う広告用写真の報酬は源泉徴収の対象となる場合があるため区分する。

ホームステージング費用

設例:販売中の中古マンションについて、家具・小物の設置によるホームステージングを専門業者に依頼し、(消費税込み)88,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
広告宣伝費80,000普通預金88,000
仮払消費税等8,000
合計88,000合計88,000

成約促進のための演出費用は販売活動に係る費用として発生時に損金算入し、レンタル期間が翌期に及ぶ場合は前払費用への振替を検討する。

オープンハウス開催費

設例:週末のオープンハウス開催にあたり、案内看板の設置と会場設営を業者に依頼し、費用(消費税込み)33,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
広告宣伝費30,000普通預金33,000
仮払消費税等3,000
合計33,000合計33,000

来場者に配布する粗品の購入費も少額であれば広告宣伝費に含めて処理し、特定の相手への高額な贈答は交際費と区分する。

物件パンフレット印刷費

設例:新規売出し物件の販売図面とパンフレットの印刷を印刷会社に発注し、印刷代(消費税込み)27,500円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
広告宣伝費25,000普通預金27,500
仮払消費税等2,500
合計27,500合計27,500

期末に未配布の在庫が多額に残る場合は貯蔵品への振替が論点となるが、通常の販売用チラシは配布見込みに基づき費用処理する。

のぼり・現地看板の購入

設例:販売現地に設置するのぼり旗と折りたたみ式の案内看板を購入し、代金(消費税込み)17,600円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
消耗品費16,000普通預金17,600
仮払消費税等1,600
合計17,600合計17,600

使用可能期間が1年未満か10万円未満の販促物は消耗品費として処理できる。無許可の捨て看板等は屋外広告物条例に抵触し得る点にも留意する。

免税事業者への広告外注

設例:物件チラシのデザインを免税事業者である個人のデザイナーに依頼し、制作料(消費税込み)110,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
外注費102,000普通預金110,000
仮払消費税等8,000
合計110,000合計110,000

適格請求書発行事業者以外からの課税仕入は経過措置により仕入税額相当額の80%(2026年9月30日まで。同年10月1日以後は50%)を控除できる。

物件の現地調査費

設例:媒介予定の土地について、越境物や境界標の有無を確認する現地調査を調査会社に依頼し、調査費(消費税込み)38,500円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
調査費35,000普通預金38,500
仮払消費税等3,500
合計38,500合計38,500

媒介契約の成立前に支出した調査費も販売活動に係る費用として発生時に損金算入し、成約時の報酬とは対応させない処理が一般的である。

登記事項証明書の交付手数料

設例:重要事項説明の準備のため法務局で対象物件の登記事項証明書を取得し、交付手数料3,000円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
租税公課3,000現金3,000

登記事項証明書の交付手数料は国に支払う行政手数料であり消費税は非課税のため、仮払消費税等は計上しない。

登記情報提供サービス利用料

設例:物件調査のためインターネットの登記情報提供サービスで複数物件の登記情報を閲覧し、利用料(消費税込み)3,300円が普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料3,000普通預金3,300
仮払消費税等300
合計3,300合計3,300

法務局の交付手数料と異なり、民間の指定法人が運営する登記情報提供サービスの利用料は課税取引のため、非課税の行政手数料と区分する。

重要事項説明書作成の外注

設例:取引物件の重要事項説明書と付属資料の作成を外部の作成代行業者に委託し、作成料(消費税込み)22,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
外注費20,000普通預金22,000
仮払消費税等2,000
合計22,000合計22,000

重要事項の説明と記名は宅地建物取引士が行う必要があるため、外注できるのは書面作成の補助業務に限られる点に留意する。

売買契約書の印紙税

設例:売買代金30,000,000円の不動産売買契約書に貼付する収入印紙10,000円分を郵便局で購入し、現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
租税公課10,000現金10,000

印紙税は消費税の課税対象外(不課税)である。契約書を電磁的記録で作成した場合は印紙税が課されないため、電子契約への移行も検討に値する。

客付業者への紹介料支払

設例:元付業者として受託した売買物件の共同仲介で、約定に基づき客付側の宅建業者へ紹介料(消費税込み)220,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料200,000普通預金220,000
仮払消費税等20,000
合計220,000合計220,000

他の宅建業者へ支払う紹介料(分かれ)は課税仕入となる。宅建業者以外の者への成功報酬の支払は宅建業法上問題となり得るため行わない。

測量費の立替払い

設例:売買に先立ち売主が負担する確定測量の費用330,000円を、売主に代わって測量会社へ普通預金口座から立替払いした。

借方科目金額貸方科目金額
立替金330,000普通預金330,000

依頼者負担の費用の立替えは自社の課税仕入とせず立替金で処理し、決済時の精算書で回収額と相殺されたことを確認する。

宅建士の法定講習受講料

設例:宅地建物取引士証の更新にあたり従業員が法定講習を受講し、受講料(消費税込み)16,500円と取引士証の交付申請手数料4,500円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
研修費15,000現金21,000
仮払消費税等1,500
支払手数料4,500
合計21,000合計21,000

講習の受講料は課税仕入となる一方、都道府県に納める取引士証の交付申請手数料は行政手数料として非課税のため区分して処理する。

従業者証明書の作成費

設例:宅建業法で携帯が義務付けられている従業者証明書について、新入社員分のカード作成を業者に依頼し、(消費税込み)3,300円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
消耗品費3,000現金3,300
仮払消費税等300
合計3,300合計3,300

従業者証明書は従業者名簿とともに宅建業法上の備付けが求められるものであり、作成費は少額のため消耗品費等で処理する。

宅建協会の年会費

設例:所属する宅地建物取引業協会と保証協会の年会費として、合計66,000円が普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
諸会費66,000普通預金66,000

業界団体の通常会費は役務提供との明確な対価関係がないため消費税は不課税として扱い、課税仕入とはしない。

営業社員の歩合給支給

設例:営業社員に当月の固定給と成約に応じた歩合給の合計450,000円を支給し、源泉所得税と社会保険料の本人負担分67,000円を差し引いた383,000円を普通預金口座から振り込んだ。

借方科目金額貸方科目金額
給料手当450,000普通預金383,000
預り金67,000
合計450,000合計450,000

歩合給も給与所得として源泉徴収の対象であり、給与は消費税の不課税取引のため仮払消費税等は生じない。

外交員報酬の支払

設例:業務委託契約のフルコミッション営業へ当月の外交員報酬(消費税込み)330,000円を支払うにあたり、源泉所得税18,378円を差し引いた311,622円を普通預金口座から振り込んだ。

借方科目金額貸方科目金額
外注費300,000普通預金311,622
仮払消費税等30,000預り金18,378
合計330,000合計330,000

外交員報酬の源泉徴収は給与の支給がない場合、報酬月額から120,000円を控除した残額に10.21%を乗じて計算し、消費税は課税仕入となる。

案内車両のガソリン代

設例:物件案内に使用する社有車のガソリン代として、(消費税込み)13,200円を法人カードで決済し、普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
車両費12,000普通預金13,200
仮払消費税等1,200
合計13,200合計13,200

ガソリン代に含まれる揮発油税等は本体価格の一部として全体が課税仕入となる。軽油引取税のみ不課税となる点と区別する。

案内時の駐車場代

設例:顧客を複数の物件へ案内した際のコインパーキング代として、(消費税込み)2,750円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
旅費交通費2,500現金2,750
仮払消費税等250
合計2,750合計2,750

時間貸駐車場の利用料は施設の利用の対価として課税仕入となる。少額でも適格簡易請求書の保存が仕入税額控除の要件となる。

物確コールセンター委託料

設例:営業時間外の物件確認電話に対応するコールセンター業務を外部に委託し、月額委託料(消費税込み)22,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
外注費20,000普通預金22,000
仮払消費税等2,000
合計22,000合計22,000

業務委託料は課税仕入となる。委託先からの応対記録は反響管理や広告効果の測定の基礎資料にもなるため保存しておく。

成約者への祝い金支払

設例:自社サイトの来店予約キャンペーンに基づき、賃貸契約が成約した顧客へキャッシュバックの祝い金10,000円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
販売促進費10,000現金10,000

金銭によるキャッシュバックは資産の譲渡等の対価に当たらず不課税のため、仮払消費税等は計上せず、支払記録と適用条件の資料を保存する。

取引先への手土産代

設例:取引先オーナーを訪問する際の手土産として菓子折り(軽減税率対象、消費税込み)3,240円を現金で購入した。

借方科目金額貸方科目金額
交際費3,000現金3,240
仮払消費税等240
合計3,240合計3,240

飲食料品の土産は軽減税率8%の課税仕入となり、標準税率10%の取引と区分して経理する。贈答先と目的の記録は交際費管理にも有用である。

契約書類の製本用品購入

設例:契約書の製本テープや割印用のスタンプ台など事務用品一式を購入し、(消費税込み)6,600円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
事務用品費6,000現金6,600
仮払消費税等600
合計6,600合計6,600

少額の事務用品は購入時に費用処理する。電子契約に移行した取引では印紙や製本が不要となり、関連費用の削減につながる。

空き家の草刈り清掃外注

設例:専任媒介で預かった空き家について、内見に備えた草刈りと簡易清掃を業者に依頼し、作業料(消費税込み)16,500円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
販売促進費15,000普通預金16,500
仮払消費税等1,500
合計16,500合計16,500

売主負担とする約定がある場合は立替金として精算し、自社負担で行う場合は販売活動に係る費用として課税仕入に計上する。

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設備・資産・保険

店舗内装工事の資産計上

設例:路面店舗への移転にあたり接客カウンターや間仕切りの内装工事を実施し、工事代金(消費税込み)3,300,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
建物附属設備3,000,000普通預金3,300,000
仮払消費税等300,000
合計3,300,000合計3,300,000

賃借建物に施した内装造作は建物附属設備等として資産計上し、賃借期間や造作の内容を基礎に合理的に見積もった耐用年数で償却する。

自立看板の設置

設例:店舗前に自立式のポール看板を設置し、製作・設置工事費(消費税込み)660,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
構築物600,000普通預金660,000
仮払消費税等60,000
合計660,000合計660,000

土地に定着する自立式看板は構築物として資産計上する。建物壁面に取り付ける袖看板は建物附属設備となるなど、設置形態で科目が異なる。

営業保証金の供託

設例:宅地建物取引業の免許取得に伴い、主たる事務所分の営業保証金10,000,000円を供託所へ普通預金口座から供託した。

借方科目金額貸方科目金額
営業保証金10,000,000普通預金10,000,000

供託した営業保証金は費用ではなく資産として計上する。供託は資産の譲渡等に当たらず消費税は不課税となる。

弁済業務保証金分担金

設例:宅地建物取引業保証協会への加入にあたり、主たる事務所分の弁済業務保証金分担金600,000円を普通預金口座から納付した。

借方科目金額貸方科目金額
差入保証金600,000普通預金600,000

分担金は協会脱退時に返還され得るため資産計上し、不課税として扱う。同時に支払う入会金や年会費は内容に応じて費用処理する。

供託営業保証金の取戻し

設例:保証協会の社員となり弁済業務保証金分担金を納付したため、供託していた営業保証金10,000,000円の取戻しを受け、普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金10,000,000営業保証金10,000,000

取戻しは資産の回収であり収益とはならず不課税である。取戻し事由により公告手続の要否が異なるため、手続を確認して進める。

宅建業免許更新の費用

設例:宅建業免許の更新にあたり、知事免許の申請手数料33,000円と行政書士への申請代行報酬(消費税込み)55,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
租税公課33,000普通預金88,000
支払手数料50,000
仮払消費税等5,000
合計88,000合計88,000

都道府県へ納める申請手数料は行政手数料で非課税、行政書士報酬は課税仕入と区分する。行政書士への報酬は源泉徴収の対象外である。

事務所の敷金・礼金支払

設例:営業所として事務所を賃借し、敷金330,000円と礼金(消費税込み)220,000円の合計550,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
差入保証金330,000普通預金550,000
長期前払費用200,000
仮払消費税等20,000
合計550,000合計550,000

返還される敷金は資産計上で不課税、事業用建物の礼金は課税仕入となり、税抜20万円以上の礼金は繰延資産として償却する。

案内用社有車の購入

設例:物件案内用の社有車を購入し、車両本体価格(消費税込み)1,650,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具1,500,000普通預金1,650,000
仮払消費税等150,000
合計1,650,000合計1,650,000

車両は耐用年数に応じて減価償却する。取得時の自動車税環境性能割や登録関係の法定費用は不課税・非課税のため区分して処理する。

応接セットの購入

設例:商談スペース用の応接セットを購入し、代金(消費税込み)286,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
消耗品費260,000普通預金286,000
仮払消費税等26,000
合計286,000合計286,000

取得価額30万円未満のため中小企業者等の少額減価償却資産の特例により全額損金算入できるが、適用額は年間300万円が限度となる。

業務管理システムの導入

設例:物件管理と契約書類の作成を行う仲介業務システムを導入し、ライセンス一式(消費税込み)880,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
ソフトウェア800,000普通預金880,000
仮払消費税等80,000
合計880,000合計880,000

自社利用のソフトウェアは無形固定資産として計上し、利用可能期間(通常5年)で償却する。月額課金型は支払時の費用となる。

360度カメラの購入

設例:オンライン内見用の360度カメラと関連機材を購入し、代金(消費税込み)132,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
器具備品120,000普通預金132,000
仮払消費税等12,000
合計132,000合計132,000

取得価額20万円未満の資産は3年で均等償却する一括償却資産とする方法や、中小企業者の特例による全額損金算入も選択できる。

店舗の火災保険料

設例:賃借している店舗事務所に係る火災保険(店舗総合保険)の年払保険料66,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
保険料66,000普通預金66,000

損害保険料は消費税が非課税である。保険期間が決算日をまたぐ場合は未経過分を前払費用へ振り替えて期間対応させる。

宅建業者賠償保険料

設例:重要事項の調査・説明の誤りに備える宅地建物取引業者賠償責任保険の年間保険料88,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
保険料88,000普通預金88,000

賠償責任保険の保険料も非課税取引である。事故時に受け取る保険金は不課税だが、被害者への賠償金の支払と対応させて処理する。

複合機のリース料

設例:契約書や販売図面の出力に使用する複合機のリース料として、月額(消費税込み)16,500円が普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
リース料15,000普通預金16,500
仮払消費税等1,500
合計16,500合計16,500

所有権移転外リースを賃貸借処理する場合、仕入税額控除はリース資産の引渡時に一括で行うのが原則だが、支払ごとの分割控除も認められる。

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決算・税務・その他

決済未了案件の前受金整理

設例:決算にあたり、期中に仮受金として処理していた決済・引渡し未了の売買案件の報酬半金220,000円を、案件内容を確認のうえ前受金へ振り替えた。

借方科目金額貸方科目金額
仮受金220,000前受金220,000

決済未了案件の受領額を決算で売上に含めると収益の前倒し計上となるため、成約案件台帳と照合して前受金として翌期に繰り越す。

成約済報酬の未収計上

設例:決算にあたり、当期中に決済・引渡しが完了したものの入金が翌期となる仲介手数料(消費税込み)660,000円を未収計上した。

借方科目金額貸方科目金額
未収入金660,000仲介手数料収入600,000
仮受消費税等60,000
合計660,000合計660,000

役務提供が完了した報酬は入金前でも当期の収益と課税売上に計上する。決済日と入金日のずれを成約管理表で確認して漏れを防ぐ。

報酬の返還処理

設例:引渡し後に売買契約が合意解除され、依頼者との協議に基づき受領済みの仲介手数料の一部(消費税込み)275,000円を普通預金口座から返還した。

借方科目金額貸方科目金額
仲介手数料収入250,000普通預金275,000
仮受消費税等25,000
合計275,000合計275,000

返還額は売上の取消しとして仲介手数料収入から減額し、消費税は売上げに係る対価の返還等として仮受消費税等を減額する。

貸倒引当金の計上

設例:決算にあたり、期末の未収仲介手数料など債権残高に対して一括評価による貸倒引当金180,000円を繰り入れた。

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金繰入180,000貸倒引当金180,000

中小法人は法定繰入率による繰入額の損金算入が認められる。引当金の繰入れは消費税の課税対象外であり仮払消費税等は生じない。

仲介手数料の貸倒処理

設例:決済後も回収できていなかった仲介手数料(消費税込み)220,000円について、相手方の破産手続終結により回収不能が確定したため貸倒損失に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
貸倒損失220,000未収入金220,000

課税売上に係る債権の貸倒れは、貸倒れが生じた課税期間の消費税額から貸倒れに係る消費税額を控除できるため、申告時に別途調整する。

減価償却費の計上

設例:決算にあたり、店舗内装・車両・器具備品に係る当期分の減価償却費850,000円を計上した。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費850,000減価償却累計額850,000

減価償却費は資金の流出を伴わない内部計算の費用であり、消費税の課税対象外のため仮払消費税等は生じない。

広告費の未払計上

設例:決算にあたり、決算月分のポータルサイト掲載料(消費税込み)55,000円が翌期の請求となるため未払計上した。

借方科目金額貸方科目金額
広告宣伝費50,000未払費用55,000
仮払消費税等5,000
合計55,000合計55,000

役務提供が当期に完了した広告費は請求前でも当期の費用と課税仕入に計上し、翌期の支払時に未払費用を取り崩す。

簡易課税第六種の消費税

設例:簡易課税(第六種事業・みなし仕入率40%)を選択しており、決算で仮受消費税等2,400,000円と仮払消費税等820,000円を精算し、納付税額1,440,000円を未払計上して差額を雑収入とした。

借方科目金額貸方科目金額
仮受消費税等2,400,000仮払消費税等820,000
未払消費税等1,440,000
雑収入140,000
合計2,400,000合計2,400,000

不動産業は簡易課税制度の第六種事業でみなし仕入率は40%となる。税抜経理では精算差額を雑収入(または雑損失)として処理する。

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出典・参考情報(公的機関)

本ページは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断を行うものではありません。金額・取引はすべて設例(モデルケース)です。税制・法令は改正される場合があります(令和8年度税制改正を反映し、2026年7月に作成・最終更新)。実際の処理は顧問税理士など専門家へご確認ください。