配偶者控除・配偶者特別控除は、令和8年分から配偶者の所得要件が62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)に上がり、配偶者特別控除は給与収入207万円未満まで受けられます。本人の所得による控除額の違い、年末調整での手続き、社会保険の壁との違いまで整理します。
この記事の結論
令和8年分は、配偶者の給与収入が136万円以下なら配偶者控除、136万円超207万円未満なら配偶者特別控除の対象です(本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合)。
- 配偶者控除の額は、本人の合計所得金額に応じて38万円・26万円・13万円(70歳以上の配偶者は48万円・32万円・16万円)
- 配偶者特別控除は最大38万円。配偶者の所得が95万円を超えると段階的に減り、133万円を超えるとゼロになる
- 令和7年分の基準は所得58万円(給与123万円)。いわゆる「103万円の壁」は令和6年分までの基準
- 2026年中の毎月の源泉徴収は旧税額表のまま。12月の年末調整で改正後の額に精算する
- 社会保険の扶養(年収130万円未満)や加入の要件(週20時間以上など)は、税金とは別の基準
配偶者控除・配偶者特別控除とは?対象になる配偶者の条件
配偶者控除は、生計を一にする配偶者の所得が一定額以下のときに、納税者本人の所得から差し引ける所得控除です。配偶者の所得がその基準を超えても、一定額までは配偶者特別控除で段階的に控除が続く仕組みになっています。
- 民法上の配偶者であること(内縁関係の人は対象外)
- 納税者と生計を一にしていること
- 青色事業専従者・事業専従者として給与を受けていないこと
- 本人の合計所得金額が1,000万円以下であること(給与収入のみなら1,195万円以下が目安)
- 配偶者の合計所得金額が、配偶者控除は62万円以下、配偶者特別控除は62万円超133万円以下であること(令和8年分)
配偶者かどうかや所得の金額は、その年の12月31日の現況で判定します。年の途中で結婚した場合も、12月31日に配偶者であれば対象になり、配偶者の所得は結婚前を含めた1年分で判定します。
令和8年分の控除額はいくら?本人と配偶者の所得で決まる早見表
控除額は、納税者本人の合計所得金額と、配偶者の所得の両方で決まります。まず配偶者控除の額は、本人の所得に応じて3段階に分かれます。
| 本人の合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者(70歳以上) |
|---|---|---|
| 900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
| 900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
| 950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
| 1,000万円超 | 適用なし | 適用なし |
| 配偶者の給与収入(給与のみ) | 配偶者の合計所得金額 | 受けられる控除 |
|---|---|---|
| 136万円以下 | 62万円以下 | 配偶者控除(最大38万円) |
| 136万円超207万円未満 | 62万円超133万円以下 | 配偶者特別控除(最大38万円、所得に応じて減少) |
| 207万円以上 | 133万円超 | どちらも対象外 |
配偶者特別控除の満額38万円は、配偶者の合計所得金額が95万円以下で、本人の合計所得金額が900万円以下の場合です。配偶者の所得が95万円を超えると控除額は段階的に下がり、本人の所得が900万円を超える場合も控除額は小さくなります。
計算例:配偶者のパート収入で控除がどう変わるか(令和8年分)
例えば、本人の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の収入が給与だけの場合です。令和8年分の給与所得控除は、給与収入220万円以下なら74万円です。
- 給与収入136万円:136万円−74万円=62万円 → 62万円以下なので配偶者控除38万円
- 給与収入150万円:150万円−74万円=76万円 → 95万円以下なので配偶者特別控除の満額38万円
- 給与収入169万円:169万円−74万円=95万円 → 計算上、満額38万円を受けられる上限の目安
136万円を超えても、本人が受ける控除の額がすぐに減るわけではありません。
ツール配偶者控除・配偶者特別控除を自動計算する本人と配偶者の所得を入れると、年分ごとの控除額を計算できます。段階的に減る配偶者特別控除の額もわかります。計算する
「103万円の壁」はどう変わった?令和7年分・令和8年分の違い
令和6年分までは、配偶者の給与収入103万円以下(所得48万円以下)が配偶者控除の基準で、これがいわゆる「103万円の壁」でした。令和7年分と令和8年分の改正で、基準は次のように変わっています。
| 項目 | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|
| 配偶者控除の所得要件 | 58万円以下(給与123万円以下) | 62万円以下(給与136万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象 | 58万円超133万円以下(給与は約201万円以下が目安) | 62万円超133万円以下(給与136万円超207万円未満) |
| 本人の所得税がかからない給与収入 | 160万円以下 | 178万円以下 |
| 給与所得控除の最低額 | 65万円 | 74万円(本則69万円+特例5万円) |
| 基礎控除の最大額 | 95万円(合計所得132万円以下) | 104万円(合計所得489万円以下) |
本人の所得税がかからない給与収入178万円は、給与所得控除と基礎控除の合計です(74万円+104万円=178万円)。この金額は令和8・9年分のもので、令和10年分以後は現行法では基礎控除の額が変わるため、毎年の確認が欠かせません。改正の流れは基礎控除の引上げと課税最低限178万円で詳しく解説しています。
住民税は所得税と基準が別で、配偶者・扶養親族の所得要件が62万円になるのは令和9年度分(令和8年の所得に対する住民税)からです。住民税の基礎控除は令和8年度分も43万円のままで、所得税ほど大きくは変わっていません。税制改正の全体像は令和8年度税制改正のガイドにまとめています。
無料ツール基礎控除を年分別に自動計算する合計所得金額を入れると、令和7〜10年分の基礎控除の額を年分ごとに確認できます。計算する
年末調整・確定申告で配偶者控除を受けるには?
給与所得者は、年末調整で「給与所得者の配偶者控除等申告書」を勤務先に提出して適用を受けます。配偶者の所得は、その年の見込額で記入します。
令和8年分は改正の施行が2026年12月1日のため、2026年中の毎月の源泉徴収は旧税額表のままです。12月の年末調整で、改正後の配偶者控除・基礎控除などを反映して年税額を精算します。最後の給与の支払いが2026年11月30日以前の中途退職者などは、確定申告で精算します。
- 配偶者の見込み所得を出す給与だけなら、1年間の給与収入(通勤手当の非課税分を除く)から給与所得控除を差し引きます。
- 本人の所得の区分を確認する本人の合計所得金額が900万円以下・950万円以下・1,000万円以下のどれかで控除額が変わります。
- 申告書を提出する配偶者控除等申告書に記入し、年末調整の時期に勤務先へ提出します。
- 見込みがずれたら直す年末調整の後に配偶者の収入が確定して区分が変わったら、勤務先で再調整を受けるか、確定申告で直します。
見込みより収入が増えたときの注意
配偶者の収入が見込みより増えて控除の対象から外れた場合は、控除を受けすぎた分の税額を追加で納めることになります。12月の給与や賞与を含めた1年間の収入で見込みを立てます。
個人事業主は、確定申告書で配偶者控除・配偶者特別控除を記入します。配偶者に青色事業専従者給与を払っている場合は、金額にかかわらず配偶者控除・配偶者特別控除は受けられません。
配偶者の働き方を調整するかどうかは、税金だけでなく社会保険と家計全体で判断が分かれます。初回無料でご相談いただけます。
無料で相談する税金の壁と社会保険の壁は何が違う?
配偶者控除の壁は、納税者本人の所得税・住民税の控除が変わる基準です。社会保険の壁は、配偶者自身が勤務先の健康保険・厚生年金に加入するか、家族の扶養に入れるかの基準で、判定の方法も時期も異なります。
| 基準 | 内容 | 判定のしかた |
|---|---|---|
| 給与136万円以下 | 配偶者控除の対象(令和8年分・所得税) | 1月〜12月の1年間の給与収入 |
| 給与207万円未満 | 配偶者特別控除の対象(令和8年分・所得税) | 同上 |
| 週20時間以上など | 勤務先の健康保険・厚生年金への加入(企業規模51人以上・学生でない)。月8.8万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃 | 労働時間と勤務先の企業規模 |
| 年収130万円未満 | 家族の健康保険の扶養に入れる(60歳以上・障害者は180万円未満) | 2026年4月1日から、労働契約の内容による見込みの年収で判定 |
社会保険の加入の対象になる企業規模の要件は、2027年10月から36人以上に広がるなど、段階的に拡大されます。税金の控除は段階的に減るのに対して、社会保険は基準を超えると保険料の負担が一度に生じるため、手取りへの影響はこちらの方が大きくなりやすい点に注意します。社会保険の改正の動きは人事労務・社会保険の最新情報でまとめています。
見落としやすいケース|育休・退職・年金・共働き
- 育児休業給付金や雇用保険の失業給付、遺族年金は非課税で、配偶者の所得に含めない。育休で給与が減った年は、配偶者控除の対象になることがある
- 年の途中で退職した配偶者は、その年に支払われた給与で判定する。退職金は合計所得金額に含まれるが、退職所得控除の範囲内なら所得はゼロになる
- 配偶者に年金や事業・不動産の所得がある場合は、給与以外の所得も合計して判定する
- 配偶者が年の途中で亡くなった場合は、亡くなった時点の現況で判定する
- 子どもや親など、配偶者以外の家族を扶養している場合は扶養控除の判定も必要になる
扶養控除の条件や控除額は、扶養控除の令和8年分の条件と控除額で確認できます。
よくある質問
配偶者控除と配偶者特別控除は同時に受けられますか?
同時には受けられません。令和8年分は、配偶者の合計所得金額が62万円以下なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除のどちらか一方です。
パートの年収は、いつからいつまでの金額で判定しますか?
1月1日から12月31日までに支給日が来た給与の合計で判定します。12月分の給与が翌年1月に支払われる場合は、原則として翌年の収入になります。通勤手当のうち非課税の部分は含めません。
共働きの夫婦が、お互いに配偶者特別控除を受けられますか?
受けられません。配偶者特別控除は夫婦の一方だけが受けられます。また、本人の合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除・配偶者特別控除のどちらも受けられません。
住民税の配偶者控除も、所得税と同じ金額ですか?
住民税にも配偶者控除・配偶者特別控除がありますが、控除額は所得税と異なります。所得要件が62万円になるのは令和9年度分からで、令和8年度分は令和7年の所得をもとに判定します。
まとめ
令和8年分の配偶者控除・配偶者特別控除は、配偶者の給与収入136万円以下が配偶者控除、207万円未満までが配偶者特別控除の対象です。いわゆる「103万円の壁」は過去の基準になりました。2026年中の源泉徴収は旧税額表のままで、改正は12月の年末調整で精算されます。働き方を調整するときは、税金の控除だけでなく、社会保険の130万円や加入の要件もあわせて確認しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
配偶者控除・年末調整のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
- 国税庁 タックスアンサー No.1191 配偶者控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1195 配偶者特別控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか
- 国税庁「基礎控除の見直し等について(令和8年度税制改正)」
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
