北洋銀行で創業融資を受ける場合、決算実績のない創業期は、北海道信用保証協会の保証付き融資や、札幌市・北海道の制度融資が中心になります。相談から実行までは1〜2か月かかることが多いため、開業日から逆算して事業計画書と自己資金の根拠をそろえることが、審査に向けた準備の中心です。
この記事の結論
創業期に北洋銀行から借りるなら、銀行が単独でリスクを負うプロパー融資ではなく、信用保証協会の保証付き融資(制度融資を含む)が基本です。審査では、自己資金の積み上げ方と、利益で返済できる計画かどうかが見られます。
- 創業期は北海道信用保証協会の保証付き融資が中心。日本政策金融公庫や制度融資と組み合わせて必要額を組むことも多い
- 相談から融資実行までは1〜2か月が目安。物件の契約日や開業予定日から逆算して動く
- 審査の核は、自己資金の出所と、返済原資(税引後の利益+減価償却費)で返せる計画かどうか
- 札幌市の制度融資は、2026年10月1日以降に実行される分から利率が0.3%上がっている
- 融資商品の名称・金利・限度額は変わるため、北洋銀行の公式サイトや窓口で確認する
創業期に北洋銀行で借りられる融資は?保証協会付きが基本
北洋銀行は北海道を地盤とする地方銀行で、道内に広い店舗網を持ち、地域の業界事情や商習慣に明るいのが強みです。創業時に口座と融資の取引をつくっておくと、その後の設備投資や増加運転資金、雪害などの突発的な資金需要も相談しやすくなります。
ただし、創業直後は決算書がないため、銀行が自らリスクを負うプロパー融資は基本的に出ません。実務では、北海道信用保証協会の保証を付けた融資が中心です。返済が滞ったときは保証協会が銀行へ立替払い(代位弁済)し、その後は事業者が保証協会へ返済していく仕組みで、事業者は金利とは別に保証料を負担します。
| 借入の形 | 内容 | 創業期の位置づけ |
|---|---|---|
| 保証協会付き融資(創業関連保証) | 北海道信用保証協会が保証し、銀行が貸し出す。北海道の協会の創業関連保証は限度額3,500万円・保証料率0.86% | 創業期の中心。責任共有制度の対象外で、保証協会が融資額の全額を保証する |
| スタートアップ創出促進保証 | 経営者保証を付けずに利用できる創業向けの保証(限度額3,500万円) | 経営者の個人保証を避けたい場合の選択肢 |
| 制度融資(札幌市・北海道) | 自治体が利率の上限などの条件を定め、保証協会の保証付きで取扱金融機関が貸し出す | 利率や保証料の面で優遇がある。申込みは取扱金融機関の窓口 |
| プロパー融資 | 保証協会を通さず、銀行が自らリスクを負う融資 | 決算の実績ができてから。創業直後は難しい |
制度融資のうち、市の創業・雇用創出支援資金は、2026年4月1日時点の表記で限度額5,000万円・年1.70%以内で、信用保証料の4分の1以内を市が補給します。2026年10月1日以降に実行される融資は利率が0.3%引き上げられているため、適用される利率は窓口で確認してください。北海道中小企業総合振興資金の創業貸付は、2026年10月1日現在で限度額3,500万円・期間1〜10年・固定1.8〜2.4%です。資金の種類や申込みの手順は札幌市の制度融資の金利と使い方で詳しく整理しています。
必要額が大きい場合は、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(限度額7,200万円)と組み合わせる方法も一般的です。公庫側の手続きと面談の準備は日本政策金融公庫の創業融資の流れと面談対策で紹介しています。
申込みから融資実行までの流れは?1〜2か月を逆算する
創業融資は、相談してすぐにお金が出るものではありません。銀行の審査に加えて保証協会の審査・面談があるため、相談から実行までは1〜2か月程度かかることが珍しくありません。物件の契約日や開業予定日から逆算し、余裕を持って動くことが大切です。
- 事業計画書と資金計画をまとめる設備・内装・運転資金の内訳と、自己資金と借入の組み合わせを決めます。設備や内装の見積書もこの段階でそろえます。
- 支店や創業支援の窓口に相談する事業の内容と必要額を伝え、保証協会付き融資・制度融資のどれを使うかを相談します。
- 申込書類を提出する事業計画書、見積書、自己資金のわかる通帳、許認可の書類などを提出します。
- 保証協会の審査・面談を受ける計画の数字の根拠や、これまでの経験、自己資金の貯め方について質問されます。
- 契約・融資実行融資の契約と保証料の支払いを経て、指定した口座に入金されます。
- 返済開始据置期間(利息だけを払う期間)を設けた場合は、その終了後に元金の返済が始まり、毎月の返済額が増えます。
融資の実行より前に払うお金に注意
店舗の保証金や礼金、内装工事の着手金などは、融資の実行前に支払いを求められることがあります。融資が間に合わない支払いは自己資金でまかなう計画にしておき、契約日と融資実行日の順番を金融機関と事前にすり合わせておきましょう。
申込みの前にそろえる書類
- 事業計画書(創業計画書)と、月ごとの売上・経費・資金繰りの見込み
- 設備・内装・車両などの見積書
- 自己資金を確認できる通帳(貯めてきた経緯がわかる期間の分)
- 本人確認書類と、職歴や同業での経験がわかる資料
- 店舗・事務所の賃貸借契約書(または申込書)
- 許認可が必要な業種は、許可証や申請中であることがわかる書類
- 法人の場合は登記事項証明書と定款
- 既存の借入がある場合は返済予定表
- 特定創業支援等事業の証明書(受けている場合)
必要な書類は資金の種類や金融機関によって異なるため、上の一覧は一般的な例です。許認可の取得や見積書の入手に時間がかかる業種もあるため、事業計画づくりと並行して早めに動いておくと安心です。
審査で見られるポイントは?自己資金と「返せる計画」
審査の中心は「返せる計画かどうか」です。例えば美容室を開く場合、総投資1,000万円に対して自己資金300万円、融資700万円という計画なら、月商の見込みと返済額、生活費まで含めた資金繰りの根拠が問われます。
自己資金は金額だけでなく、毎月こつこつ貯めたものか、申込み直前に親族から移したものかも通帳で確認されます。日本政策金融公庫のFAQでも自己資金は審査の重要な要素とされ、創業時の自己資金は平均で2割程度と紹介されています。経験のある業種での開業か、売上見込みに根拠があるかも重要な判断材料です。
計算例:返済原資で返せるかを確かめる
例えば融資700万円を7年で返済する場合、年間の元金返済は 700万円÷7年=100万円 です。元金の返済は経費にならないため、税引後の利益と減価償却費(お金が出ていかない経費)の合計でまかなう必要があります。
税引後の利益が60万円、減価償却費が50万円なら、60万円+50万円=110万円 となり、年100万円の返済をまかなえる計算です。個人事業主の場合は、事業の利益から所得税・住民税と生活費を差し引いた残りで返済できるかを確認します。
ツール設備の減価償却費を計算する(定額法)取得価額と耐用年数から毎年の減価償却費を計算でき、返済原資の見積りに使えます。計算する
計画書の数字は、損益と資金繰りのつじつまが合っているかが命です。客数・客単価・席数や稼働率など、売上の根拠を積み上げて説明できるようにしておきましょう。下書きづくりにはGeminiで事業計画書を作る手順のようにAIを使う方法もありますが、数字の根拠は自分で確かめておく必要があります。
審査でつまずきやすいポイントと防ぎ方
計画の中身が悪くなくても、準備の進め方や説明の仕方でつまずくことがあります。よくあるつまずきと、その防ぎ方を整理しました。
| つまずき | 起きやすい原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 自己資金の「見せ方」を誤解している | 通帳の残高が多ければよいと考え、出所を説明できない | 給与からの積立てなど、貯めてきた経緯を通帳で示す。親族からの援助は、贈与か借入かを書面で整理する |
| 既存の借入を伝えないまま相談する | 自動車ローンやカードローンを申告しない | 他の借入や返済状況は確認されるため、最初から正直に伝える |
| 資料の準備を相談の直前に始める | 許認可の取得や見積書の入手に時間がかかる | 事業計画づくりと並行して早めに動く |
| 金利と保証料以外のコストを見落とす | 印紙代や登記費用などを資金計画に入れていない | 融資の実行までにかかる細かな費用も資金繰りに入れる |
| 税金やクレジットの支払いが遅れている | 個人の税金の滞納やカードの延滞が残っている | 申込み前に解消しておく。審査で不利になることがある |
親族からの資金は、贈与であれば年110万円の基礎控除を超える部分に贈与税がかかることがあり、借入であれば返済の負担として見られます。どちらに当たるかを申込み前に整理し、贈与なら贈与契約書、借入なら金銭消費貸借契約書と返済の記録を残しておくと、説明に困りません。
自己資金の整理や計画の数字の組み立て方は、業種と資金の使い道で変わります。初回無料で一緒に確認できます。
無料で相談する融資を受けた後の経理と借換えの考え方
融資で受け取ったお金は売上ではなく、返済する元金も経費にはなりません。経費になるのは利息と保証料で、設備資金で買った資産は減価償却を通じて経費になります。保証料は融資の実行時にまとめて支払うことが多く、会計上は保証期間に応じて按分して経費にします(前払費用)。
設備資金で買った資産の処理
少額減価償却資産の特例により、青色申告をしている中小企業者や個人事業主は、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を年300万円まで一括で経費にできます(適用は2029年3月31日まで)。開業時は備品の購入が重なるため、どの資産に使うかを計画しておくと、初年度の利益と納税額の見通しが立てやすくなります。
創業時の借入も、決算の実績ができると、より低い金利への借換えや返済条件の見直しを相談できる場合があります。借換えの効果は、毎月の返済額と総返済額で比べます。
| 区分 | 毎月の返済 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 金利2.5% | 約177,500円 | 約1,065万円 | 約65万円 |
| 金利1.5% | 約173,100円 | 約1,039万円 | 約39万円 |
| 差額 | 約4,400円/月 | 約26万円減 | 約26万円減 |
融資を受けた後は、試算表を定期的に金融機関へ提出できる経理体制を整えておくと、次の融資や借換えの相談がスムーズです。追加融資や借換えを進めるときの段取りは銀行融資サポート(追加融資・借換え)の流れと所要日数で紹介しています。
市内で会社を設立して創業するなら確認したい制度
札幌市内で会社を設立して創業する場合は、融資の前に特定創業支援等事業の証明を受けておくと、資金面のメリットが重なります。市の中小企業支援センターや商工会議所で、1か月以上にわたり4回以上、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野の支援を受けると、市から証明書が発行される制度です。
- 会社設立の登録免許税が資本金の0.7%から0.35%に軽減(株式会社は最低15万円→7.5万円、合同会社は6万円→3万円。市内での設立に限る)
- 日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の利率が引き下げられる
- 信用保証協会の創業関連保証を、開業6か月前から利用できる
- 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉の申請要件を満たす
証明書の有効期限は2027年3月31日です(2026年10月3日時点)。設立登記の前に証明を受けておく必要があるため、会社設立の日程とあわせて計画しましょう。
補助金は後払い。つなぎ資金も銀行に相談しておく
小規模事業者持続化補助金〈創業型〉は、補助上限200万円(インボイス特例で50万円上乗せ)、補助率2/3です。2026年10月3日時点の案内では、第4回の受付は2026年11月5日〜12月15日17:00とされています。日程や要件は変わることがあるため、公募要領の最新版で確認してください。
補助金は事業を実施して報告した後に入金される後払いのため、採択されても入金までは立替えが必要です。立替え期間の資金は、融資の相談とあわせて金融機関に伝えておくと安心です。なお、固定資産の取得に充てた補助金は、法人なら圧縮記帳、個人なら総収入金額不算入の対象になる場合があります。
税理士に相談したいタイミング
創業融資は一度きりの手続きではなく、その後の増加運転資金や設備投資の相談にもつながります。次のような場面では、自己判断で進める前に資金繰り全体を見てもらう方が安全です。
- 事業計画の数字に自信が持てないとき/売上や経費の見込みが感覚的な数字になっている場合は、根拠を整理する段階から相談すると計画の説得力が高まります。
- 複数の金融機関を並行して検討しているとき/各行の条件を横並びで比較し、申込みの順序を整理すると判断しやすくなります。
- 既存借入の返済負担が重いと感じているとき/借換えや返済条件の変更ができるかどうか、資金繰り全体を踏まえて検討できます。
- 融資の申込みと決算・申告の時期が重なるとき/決算書や申告書の控えは審査の資料にもなるため、段取りをあわせて決めておくと慌てずに済みます。
面談では、事業計画書の数字だけでなく、それを裏付ける根拠を自分の言葉で説明できるかが重要です。仕入先や取引先との関係、想定する客数や単価の根拠、開業までのスケジュールなど、計画書に書ききれない背景も整理しておきましょう。税理士に計画づくりを依頼する場合も、最終的な説明は経営者自身が行います。依頼してから融資の実行までの進め方は創業融資サポートの依頼から完了までの流れで確認できます。
よくある質問
個人事業主でも銀行の創業融資を利用できますか?
利用できます。保証協会付き融資や制度融資の対象となる中小企業者には、個人事業主も含まれます。開業後に法人を設立する予定がある場合は、どちらの名義で借りるかによって契約や返済の主体が変わるため、申込みの前に金融機関と相談しておきましょう。
経営者保証(個人保証)を付けずに借りられますか?
創業時なら、スタートアップ創出促進保証(限度額3,500万円)は経営者保証を付けずに利用でき、北海道の創業貸付【スタートアップ】も経営者の個人保証が不要です。日本政策金融公庫には上乗せ利率のない経営者保証免除特例もあります。決算の実績ができた後は、保証料を上乗せして経営者保証を外す事業者選択型経営者保証非提供制度(2024年3月15日開始、上乗せ保証料0.25%または0.45%)も選択肢になります。
創業融資の金利はどのくらいですか?
使う制度と審査の結果で変わります。市の創業・雇用創出支援資金は、2026年4月1日時点の表記で年1.70%以内です(10月1日以降の実行分は0.3%引上げ)。北海道の創業貸付は、2026年10月1日現在で固定1.8〜2.4%です。保証協会付きの融資では金利とは別に保証料がかかるため、両方を合わせた負担で比べましょう。
借りたお金を、申込みと違う用途に使ってもよいですか?
融資は、申込み時に示した資金使途(設備資金・運転資金など)に使うことが前提です。設備資金を運転資金に回すなど目的と違う使い方をすると、契約違反として一括返済を求められるおそれがあります。設備資金は見積書どおりに支払って領収書を保管し、使い道が変わりそうなときは事前に金融機関へ相談しましょう。
まとめ
北洋銀行で創業融資を受けるなら、創業期は北海道信用保証協会の保証付き融資や制度融資が中心で、公庫と組み合わせて必要額を組む方法もあります。相談から実行までの1〜2か月を逆算し、自己資金の出所と、返済原資で返せる計画を説明できるように準備しましょう。融資商品の内容や金利は変わるため、最終的には北洋銀行の公式サイトや窓口で確認してください。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(2026年10月1日以降の制度融資の利率引上げを反映)
