江別・北広島・石狩で開業する場合、国税の届出先は札幌市内の税務署で、江別市は札幌東、北広島市は札幌南、石狩市は札幌北の各税務署が管轄します。道税は北海道、住民税と国民健康保険は各市が窓口です。創業支援は各市の商工担当課や商工会議所・商工会、融資は公庫と北海道の制度融資が入口になります。
この記事の結論
国税は住所地を管轄する税務署、道税は北海道、住民税と国保は各市が窓口です。札幌市の創業支援や補助金は市内の拠点が前提のため、近郊で開業するなら各市の制度と、公庫・北海道の制度を組み合わせます。
- 江別市は札幌東、北広島市は札幌南、石狩市は札幌北の各税務署が管轄。書面の郵送先は2026年7月10日から札幌業務センター
- 個人事業の開業届は開業の日から1か月以内、青色申告承認申請書は原則その年の3月15日まで
- 札幌市の特定創業支援等事業の証明書が使えるのは、市内で会社を設立する場合だけ
- 開業資金は、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金と、北海道の創業貸付(信用保証協会の保証付き)が軸になる
江別・北広島・石狩の開業届はどの税務署に出す?
江別市・北広島市・石狩市には税務署がなく、所得税・消費税・源泉所得税など国税の手続きは札幌市内の税務署が担当します。管轄は市ごとに決まっていて、3市は次の3つの署に分かれます。
| 開業する市 | 管轄の税務署 | 電話 | 同じ署が管轄する主な地域 |
|---|---|---|---|
| 江別市 | 札幌東税務署 | 011-897-6111 | 白石区・厚別区 |
| 北広島市 | 札幌南税務署 | 011-555-3900 | 豊平区・南区・清田区・千歳市・恵庭市 |
| 石狩市 | 札幌北税務署 | 011-707-5111 | 北区・東区・石狩郡(当別町・新篠津村) |
個人事業主の届出は、原則として住所地(自宅)を管轄する税務署に出します。開業届や青色申告承認申請書はe-Taxで提出でき、窓口に出向かなくても手続きが完結します。税務署までの距離がある近郊の開業では、e-Taxを使うのが現実的です。
書面を郵送するなら宛先は「札幌業務センター」
2026年7月10日から、札幌市内の5つの税務署は内部事務を札幌業務センターに集約しています。届出書を郵送する場合の宛先は、〒060-8510 札幌市中央区大通西10丁目 札幌第2合同庁舎内の札幌業務センターです。
e-Taxで提出する場合と、窓口に持参する場合は、これまでどおり所轄の税務署あてです。
何をどこに出す?税務署・北海道・市役所の届出一覧
開業の手続きは、国税(税務署)、道税(北海道)、市の税と保険(市役所)の3か所に分かれます。札幌市で開業する場合との違いは、市役所の窓口が江別市・北広島市・石狩市になることと、札幌市独自の制度が原則として使えないことです。
| 手続き | 提出先 | 期限・タイミング |
|---|---|---|
| 個人事業の開業届出書 | 所轄の税務署 | 開業の日から1か月以内 |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 所轄の税務署 | その年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業の日から2か月以内) |
| 給与支払事務所等の開設届出書(人を雇う場合) | 所轄の税務署 | 開設の日から1か月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与の支払いを受ける人が常時10人未満の場合) | 所轄の税務署 | 提出した月の翌月末までに通知がなければ、翌々月の納付分から特例を適用 |
| 個人事業の開始の申告(個人事業税) | 北海道(道税事務所) | 様式と期限は北海道の案内で確認 |
| 国民健康保険・国民年金の切替え(会社を辞めて開業する場合) | 住所地の市役所 | 退職後すみやかに |
| 法人設立届出書(会社を設立する場合) | 本店所在地の所轄税務署 | 設立の日以後2か月以内 |
| 法人の設立の届出(法人道民税・法人市民税) | 北海道(道税事務所)と本店所在地の市役所 | 各窓口の案内で確認 |
個人事業税は北海道の税で、多くの業種は税率5%(業種により3%・4%)、事業主控除は290万円です。所得税の確定申告をしていれば、個人事業税の申告は原則として別に行う必要はありません。
住民税は、1月1日に住んでいる市が課税します。所得割の標準税率は合計10%で、札幌市(市民税8%・道民税2%)とは市と道の配分が異なりますが、合計の税率は変わりません。青色申告にするかどうかは、開業の年の届出期限に間に合うよう早めに決めておきます。
無料ツール青色申告と白色申告の税額の違いを比較する見込みの所得を入れると、青色申告特別控除などで税額がどれだけ変わるかを試算できます。計算する
自宅は近郊、事務所は札幌の場合、納税地と住民税はどうなる?
個人事業の納税地は、原則として住所地です。江別市に住み、札幌市内に事務所を借りて仕事をする場合でも、届出や申告は江別市を管轄する札幌東税務署が基本になります。
事務所や店舗の所在地を納税地にしたい場合は、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を出すと、住所地に代えて事業所の所在地を納税地にできます。税務署とのやり取りを事業の拠点にそろえたいときの選択肢です。会社の場合は、本店所在地で管轄が決まります。
個人事業で開業する場合
- 国税の納税地:原則は住所地(届出で事業所の所在地も選べる)
- 住民税:1月1日に住んでいる市
- 個人事業税:北海道(道内のどの市で開業しても同じ)
- 国民健康保険:住所地の市
会社を設立する場合
- 国税の納税地:本店所在地
- 法人道民税・法人事業税:北海道
- 法人市民税:本店や事業所がある市(複数の市にあれば各市に申告)
- 社会保険:役員1人だけでも強制適用
事務所を置いた市の税もかかる場合がある
住所地以外の市に事務所や店舗を持つ個人には、その市から住民税の均等割が課される場合があります。会社も、札幌市内に事業所を置けば札幌市の法人市民税の対象になり、均等割は資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の法人で年5万円です。
賃貸借契約の前に、拠点をどの市に置くかで税金と手続きがどう変わるかを確認しておきましょう。
住まいと事務所が別の市にある場合の納税地や住民税は、拠点の置き方で変わります。初回無料で確認できます。
無料で相談する各市の創業支援は使える?特定創業支援等事業の確認ポイント
国の制度に基づき、市町村は「特定創業支援等事業」として創業セミナーや個別相談を行っています。所定の支援を受けて市の証明書をもらうと、会社設立時の登録免許税の軽減などを受けられます。
注意したいのは、証明書は事業を始める市の制度に基づくもので、札幌市の証明書が使えるのは市内で会社を設立する場合だけという点です。江別・北広島・石狩に本店を置くなら、その市で制度を実施しているか、支援の内容と回数、証明書の申請窓口を各市の商工担当課で確認します。
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 登録免許税の軽減 | 会社設立の登録免許税が0.7%から0.35%に(最低額は株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円) |
| 公庫の融資 | 新規開業・スタートアップ支援資金の利率の引下げ |
| 信用保証 | 創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できる |
| 補助金 | 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉の要件を満たす |
- 本店を置く市を決める証明書は、会社を設立する市の制度に基づくものが必要です。
- 市の商工担当課に問い合わせる制度の実施の有無、対象となるセミナーや相談、必要な期間と回数を確認します。
- 支援を受ける経営・財務・人材育成・販路開拓の知識を、セミナーや個別相談で身につけます。
- 証明書の交付を受ける市に申請し、発行までの日数も確認しておきます。
- 設立登記と融資の申込みで使う登記の申請で軽減を受け、公庫や信用保証の申込みでも提示します。
商工会議所・商工会も身近な相談先で、記帳指導や経営相談、融資のあっせんなど開業期に役立つ支援を行っています。会員でなくても相談できる場合があるため、まず電話や公式サイトで確認してみてください。
開業資金はどこで借りる?公庫・北海道の制度融資・信用保証
近郊で開業する場合の資金調達は、日本政策金融公庫の創業融資と、北海道の制度融資(北海道信用保証協会の保証を付けて地元の金融機関から借りる方法)が中心です。札幌市の融資制度は市の独自制度のため、事業所を市内に置かない場合は利用できるかを窓口で確認し、北海道や各市の制度を優先して調べます。
| 制度 | 主な内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金 | 開業前から開業後おおむね7年以内の方。限度額7,200万円、設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置期間5年以内) | 自己資金と創業計画の根拠が審査の中心。特定創業支援等事業の証明で利率の引下げあり |
| 北海道中小企業総合振興資金 創業貸付(1)〜(3) | 限度額3,500万円、期間1〜10年、固定金利1.8〜2.4%(2026年10月1日現在) | 道内で事業を始める方などが対象。北海道信用保証協会の保証が必要 |
| 創業関連保証(北海道信用保証協会) | 保証限度額3,500万円、保証料率0.86% | 特定創業支援等事業の証明があれば、事業開始の6か月前から利用できる |
| 札幌市の融資制度(マル札資金・特別資金) | 2026年10月1日以降の実行分は、利率が0.3%上がっている | 事業所を市内に置く場合の選択肢。利用条件は窓口で確認 |
例えば自己資金200万円で500万円の融資を申し込む場合、審査の中心になるのは、創業計画書の売上の根拠と、自己資金をどのように貯めてきたかの履歴です。公庫は自己資金を審査の重要な要素としているため、通帳で積み立ての経緯を示せるようにしておきます。
江別・北広島・石狩は札幌の金融機関の営業エリアでもあり、地元の信用金庫や銀行の支店が制度融資の申込窓口になります。各市が独自に融資のあっせんや利子補給を設けている場合もあるため、商工担当課にあわせて確認しましょう。申込みの準備は「融資・資金調達ガイドで創業融資の進め方を確認する」も参考になります。
札幌に通勤しながら近郊で開業する場合の注意点は?
会社員を続けながら週末に自宅で事業を始める「兼業スタート」も、開業届の提出先は自宅の住所を管轄する税務署です。勤務先が札幌市内にあっても、届出先は変わりません。
給与と事業の所得は、確定申告でまとめて申告します。確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日まで(土日の場合は翌平日)で、令和8年分は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です。事業の所得にかかる住民税は、確定申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶこともできます。年間の申告・納付の流れは「個人事業主の年間スケジュールで期限を確認する」にまとめています。
北海道で開業するなら冬の経費と資金計画を織り込む
自宅兼事務所の除雪費や暖房費は、事業に使った部分を面積や使用時間など合理的な基準で按分すれば、経費にできる場合があります。取引先に車で通う場合の燃料費や駐車場代も、事業用の部分を記録しておきます。
季節で売上が変わる業種は、資金計画を「雪のある半年」を基準に組むくらいでちょうどよい、というのが道内で開業するときの現実的な考え方です。
開業前にそろえておくことは?
届出・融資・支援制度は、どれも「どの市に拠点を置くか」と「事業計画」が決まっていると進めやすくなります。開業前に次の項目を確認しておきましょう。
- 本店や事業所をどの市に置くか(創業支援・融資・住民税が変わる)
- 事業計画と収支の見通し(冬の売上の落ち込みも織り込む)
- 開業資金の総額と自己資金の額(通帳で貯めた経緯を示せるように)
- 開業届・青色申告承認申請書の準備(提出先は住所地を管轄する税務署)
- 会計ソフトと記帳の体制(事業用の口座・カードを生活費と分ける)
- 屋号と許認可(飲食・建設・運送などは税務署とは別の窓口の許可が必要)
業種ごとの届出は個別の記事でも整理しています。石狩・江別の近郊で農業を始める場合は「農業の開業時の税務手続きと届出一覧」を確認してください。
よくある質問
当別町・新篠津村や、千歳市・恵庭市で開業する場合の税務署はどこですか?
当別町・新篠津村(石狩郡)は石狩市と同じ札幌北税務署、千歳市・恵庭市は北広島市と同じ札幌南税務署の管轄です。書面を郵送する場合の宛先は、いずれも札幌業務センターです。
江別市に本店を置く会社を設立したら、法人の住民税はどこに納めますか?
法人道民税は北海道、法人市民税は江別市に申告・納付します。札幌市内にも事業所があれば、同市への申告も必要です。法人市民税の税率や均等割は各市の条例で決まるため、市の案内で確認してください。税務署には、設立の日以後2か月以内に法人設立届出書を出します。
札幌市の「さっぽろ新規創業促進補助金」は、近郊に本店を置く会社でも使えますか?
使えません。この補助金は、札幌市の特定創業支援等事業の証明を受けたうえで、登記上の本店を札幌市内に置いて設立した会社が対象です。補助額は、軽減後の登録免許税にあたる株式会社75,000円・合同会社30,000円です。近郊の市に本店を置く場合は、その市独自の支援制度を確認してください。
開業届を出し忘れたまま1か月が過ぎました。どうすればよいですか?
期限を過ぎていても、気づいた時点で提出します。注意したいのは青色申告承認申請書で、期限(その年の3月15日まで、1月16日以後の開業は開業の日から2か月以内)を過ぎると、その年分は白色申告になります。開業届と青色申告承認申請書は、同時に出しておくと期限切れを防げます。
まとめ
江別・北広島・石狩で開業する場合、国税は江別市が札幌東、北広島市が札幌南、石狩市が札幌北の各税務署、道税は北海道、住民税と国保は各市が窓口です。札幌市の証明書や補助金、制度融資は市内の拠点が前提になるため、まず本店や事業所をどの市に置くかを決め、各市の創業支援と公庫・北海道の融資を組み合わせて準備しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
