北海道銀行で創業融資を受ける場合も、創業期は北海道信用保証協会の保証付き融資や、札幌市・北海道の制度融資が中心です。日本政策金融公庫と組み合わせる協調融資で必要額をそろえる方法も多いため、公庫と銀行の違いを知り、同じ事業計画を一貫して説明できるよう準備することが大切です。
この記事の結論
北海道銀行のような道内の地方銀行から創業期に借りる場合、保証協会付き融資や制度融資が基本形で、必要額が大きいときは日本政策金融公庫と併用します。審査で見られるのは、自己資金・経験・計画の根拠の3点です。
- 創業期の銀行借入は、北海道信用保証協会の保証付き融資と制度融資が中心
- 公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(限度額7,200万円)との協調融資で必要額を確保する方法もある
- 公庫と銀行には同じ事業計画で説明する。数字が食い違うと信頼を損ねる
- 札幌市の制度融資は、2026年10月1日以降に実行される分から利率が0.3%上がっている
- 商品内容や金利は変わるため、北海道銀行の公式サイトや窓口で確認する
創業期の銀行融資は「保証協会付き」が基本形
創業して間もない会社には決算実績がないため、銀行が単独でリスクを負うプロパー融資はほとんど使えません。実際には、北海道信用保証協会の保証を付けた「保証協会付き融資」が中心になります。保証協会が返済を保証することで、実績のない創業者でも銀行から借りられる仕組みです。
保証協会付きの融資は、通常は保証協会が融資額の80%、金融機関が20%のリスクを負う「責任共有制度」で運用されます。ただし創業関連保証はこの対象外で、保証協会が全額を保証します。事業者は金利とは別に保証料を負担し、保証料は融資の実行時にまとめて支払うことが多いため、資金計画に入れておきましょう。
また、北海道や札幌市の制度融資(自治体・金融機関・保証協会が連携した融資制度)を、北海道銀行の窓口経由で利用する形もあります。制度融資は自治体が利率の上限などの条件を定めていて、創業者が対象になる資金もあるため、利用できるか確認する価値があります。
| 種類 | 主な条件 | ポイント |
|---|---|---|
| 創業関連保証(北海道信用保証協会) | 限度額3,500万円・保証料率0.86% | 特定創業支援等事業の証明があれば、開業6か月前から利用できる |
| スタートアップ創出促進保証 | 限度額3,500万円 | 経営者保証を付けずに利用できる |
| 札幌市 創業・雇用創出支援資金 | 限度額5,000万円・年1.70%以内(2026年4月1日時点の表記) | 2026年10月1日以降の実行分は利率が0.3%上がる。信用保証料の4分の1以内を市が補給 |
| 北海道中小企業総合振興資金 創業貸付 | 限度額3,500万円・期間1〜10年・固定1.8〜2.4%(2026年10月1日現在) | 創業貸付【スタートアップ】は経営者の個人保証が不要 |
制度融資の申込み先は市役所ではなく、取扱金融機関の窓口です。資金ごとの対象者や据置期間などは札幌市の制度融資の金利・創業向け資金と申込みの流れで整理しています。
日本政策金融公庫と北海道銀行は何が違う?
創業資金の相談先は、政府系の日本政策金融公庫と、北海道銀行のような民間の金融機関に大きく分かれます。審査の主体や保証の仕組み、融資の後の付き合い方が違うため、特徴を並べて比べると選びやすくなります。
| 項目 | 日本政策金融公庫 | 北海道銀行(保証協会付き・制度融資) |
|---|---|---|
| 主な制度 | 新規開業・スタートアップ支援資金(開業前からおおむね7年以内) | 保証協会付き融資、札幌市・北海道の制度融資 |
| 限度額の目安 | 7,200万円 | 創業関連保証は3,500万円、市の創業・雇用創出支援資金は5,000万円など |
| 審査する機関 | 公庫 | 銀行と信用保証協会の両方 |
| 担保・保証 | 税務申告を2期終えていない場合は、原則として無担保・無保証人 | 保証協会の保証が付き、保証料がかかる(市が一部を補給する資金もある) |
| 返済期間 | 設備資金20年以内・運転資金10年以内(うち据置5年以内) | 資金の種類による(北海道の創業貸付は1〜10年) |
| 融資の後の付き合い | 預金口座などの日常取引はない | 売上の入金口座・振込・追加融資・経営相談まで、日常の取引につながる |
公庫の創業融資には、利率が0.65%(雇用を拡大する場合は0.9%)引き下げられるなど創業者向けの条件があり、経営者保証免除特例は上乗せ利率なしとされています。一方、地元の銀行と創業期から取引を始めるメリットは、融資だけではありません。売上の入金口座や振込、その後の追加融資や経営相談など、事業が育ってからの関係づくりの土台になります。公庫側の申込みの流れは日本政策金融公庫の創業融資の流れと面談対策で紹介しています。
公庫と銀行の協調融資はどう組み立てる?
必要資金が大きい場合、1つの機関に全額を頼むより、公庫の創業融資と銀行の保証協会付き融資を組み合わせた方が調達できる可能性が広がります。これを協調融資と呼びます。組み立ては「総額→自己資金→公庫→銀行」の順に考えると整理しやすくなります。
計算例:開業資金1,500万円を3つに分ける
例えば開業資金の総額が1,500万円で、自己資金が300万円ある場合、借入が必要な額は 1,500万円−300万円=1,200万円 です。これを公庫から700万円、銀行の保証協会付き融資で500万円と組むと、700万円+500万円=1,200万円 になります。
銀行分に保証料率0.86%の保証が付く場合、1年分の単純計算では 500万円×0.86%=43,000円 です。実際の保証料は保証期間や返済方法に応じて計算されるため、金額は申込み時に確認しましょう。
- 総額と内訳を決める設備・内装・運転資金の見積りから、開業に必要な総額を出します。
- 自己資金の額を確定する通帳で貯めてきた経緯を示せる額を基準にします。
- 公庫と銀行への配分を考える返済期間の長さ、保証料の負担、経営者保証の要否を比べて配分します。
- 同じ事業計画で両方に説明する計画書は1つにまとめ、修正したら両方に同じ内容を伝えます。
- 実行の時期をそろえる片方の実行が遅れると支払いに間に合わないため、物件や設備の契約日から逆算して申し込みます。
公庫と銀行で説明を変えない
公庫と銀行では審査の目線や手続きの流れが異なりますが、売上見込みや自己資金の額を相手によって変えて説明すると、審査で整合性を問われます。どちらにも同じ事業計画で、一貫した説明をすることが大切です。
公庫と銀行のどちらを主にするか、配分をどうするかは、必要額と事業計画で変わります。初回無料で一緒に整理できます。
無料で相談する審査で見られる3つのポイント
創業融資の審査で重視されるのは、おおむね次の3点です。自己資金をどれだけ準備したか、その事業に関する経験があるか、そして売上・利益計画に根拠があるか。公庫でも銀行でも、この3点が審査の土台になります。
自己資金
- 金額だけでなく、こつこつ貯めてきた経緯も通帳で見られる
- 直前に入金されたお金は、出所を説明できるようにする
- 親族からの援助は、贈与か借入かを書面で整理する
経験
- 同じ業種での勤務の期間や役割
- 仕入先や取引先とのつながり
- 業種に必要な資格や許認可
計画の根拠
- 客単価×客数などの積み上げ
- 開業直後の売上の立ち上がり方
- 返済額と生活費を含めた資金繰り
自己資金について、公庫のFAQでは審査の重要な要素とされ、創業時の自己資金は平均で2割程度と紹介されています。計画の数字は「希望値」ではなく、積み上げの根拠を示せるようにしましょう。
計算例:売上計画を積み上げで示す
例えば飲食店で、客単価1,200円、1日60人、月25日営業を見込むなら、1,200円×60人×25日=180万円 が月商の見込みです。席数と回転数から、1日60人が来店できる根拠も説明します。
開業直後は来店が少ないことを見込み、最初の数か月を低めに置いた計画の方が説得力があります。売上が立ち上がるまでの運転資金を、借入の額に含めておきましょう。
計画書の下書きには、Geminiを使った事業計画書の作り方のようにAIを使う方法もあります。ただし、数字の根拠や面談での受け答えは、経営者自身が説明できる状態にしておく必要があります。
申込みの流れと、融資の後に整えたい経理体制
一般的な流れは、事前相談、創業計画書など必要書類の提出、面談、保証協会の審査、融資実行という順番です。銀行の審査に加えて保証協会の審査があるため、物件の契約日や開業予定日から逆算して、余裕を持って相談を始めましょう。
- 事前相談事業の内容と必要額を伝え、使える保証や制度融資を確認します。
- 書類の提出創業計画書、資金繰りの見込み、見積書、自己資金のわかる通帳などを提出します。
- 面談計画の数字の根拠と、これまでの経験を説明します。
- 保証協会の審査銀行を通じて保証協会が審査します。追加の資料を求められることもあります。
- 融資実行契約と保証料の支払いを経て、口座に入金されます。
創業計画書の数字づくりや資金繰り表の作成は、税理士のサポートを受けると精度と説得力が上がります。融資の実行後も、試算表を定期的に銀行へ提出できる経理体制を整えておくと、次の融資の際の信頼につながります。
- 事業用の口座とカードを分け、入出金を会計ソフトに取り込む
- 毎月の試算表を、翌月のうちに作れる体制にする
- 借入金の残高を、金融機関の返済予定表と照合する
- 保証料は保証期間に応じて按分して経費にする(前払費用)
- 元金の返済は経費にならないため、資金繰り表で数か月先の残高を確認する
業績が安定すれば、借換えで金利の負担を下げられることもあります。例えば借入残高1,000万円・残り5年(60回)を金利2.5%から1.5%に借り換えると、元利均等返済の概算で毎月の返済は約4,400円、総返済額は約26万円減ります。借換え時の手数料・保証料・印紙代などで実質の効果は変わるため、条件をそろえて比べましょう。月次の数字の整え方は経理・決算のセルフチェックで確認できます。
札幌市内で創業するなら確認したい支援
市内で会社を設立して創業する場合は、銀行に相談する前に特定創業支援等事業の証明を受けておくと、融資と設立費用の両方で有利になります。市の中小企業支援センターや商工会議所で、1か月以上にわたり4回以上、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野の支援を受けると、市から証明書が発行されます。
| 証明書の効果 | 内容 |
|---|---|
| 創業関連保証の特例 | 信用保証協会の創業関連保証を、開業6か月前から利用できる |
| 公庫の利率引下げ | 新規開業・スタートアップ支援資金の利率が引き下げられる |
| 登録免許税の軽減 | 会社設立の登録免許税が資本金の0.7%から0.35%に(株式会社は最低15万円→7.5万円、合同会社は6万円→3万円)。市内での設立に限る |
| さっぽろ新規創業促進補助金 | 株式会社75,000円・合同会社30,000円。設立から90日以内か2027年3月31日の早い日までに申請(募集は2026年4月1日〜2027年3月31日) |
登録免許税の軽減を受けるには、設立登記の前に証明を受けておく必要があります。手続きの流れは特定創業支援等事業で登録免許税を半額にする方法で詳しく説明しています。
創業の相談窓口(2025年12月25日現在の市の案内)
- さっぽろ創業支援プラザ:011-200-5511
- 札幌商工会議所:011-231-1768
- よろず支援拠点:011-232-2402
特定創業支援等事業の支援を受けられるかどうかは、各窓口で確認してください。事業計画の数字は、金融機関へ相談に行く前に一度見てもらうと、論点が整理しやすくなります。
よくある質問
北海道銀行と北洋銀行、どちらに相談すべきですか?
どちらも道内に店舗網を持つ地方銀行で、創業期は保証協会付き融資や制度融資が中心になる点は共通です。店舗の場所、売上の入金口座として使いやすいか、取引先が使っている銀行かといった日常の取引のしやすさで選び、具体的な条件は各行の窓口で確認しましょう。
公庫と銀行、どちらから先に申し込むべきですか?
決まった順番はありません。協調融資で必要額をそろえる場合は、両方に並行して相談し、実行の時期をそろえるのが基本です。片方の結果を見てからもう一方に申し込む場合は、その分だけ開業までの日程に余裕を持たせましょう。
開業前でも銀行に融資の相談はできますか?
開業前の創業予定者も相談できます。特定創業支援等事業の証明があれば、信用保証協会の創業関連保証を開業6か月前から利用できます。物件や設備の契約を急ぐ前に相談しておくと、融資の実行と支払いの順番を組み立てやすくなります。
自己資金がほとんどなくても借りられますか?
自己資金は審査の重要な要素です。ほとんどない場合は、開業の時期を遅らせて貯める、店舗や設備の規模を小さくする、中古の設備を使うなど、計画そのものの見直しも検討しましょう。親族からの援助を受ける場合は、贈与か借入かを書面で明確にしておくことが大切です。
まとめ
北海道銀行から創業期に借りる場合は、保証協会付き融資や自治体の制度融資が基本形で、必要額が大きいときは公庫との協調融資で組み立てます。審査の核心は自己資金・経験・計画の根拠の3点で、公庫と銀行には同じ事業計画で一貫した説明をすることが欠かせません。商品内容や金利は変わるため、条件は北海道銀行の公式サイトや窓口で確認しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
創業融資・資金調達のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(2026年10月1日以降の制度融資の利率引上げを反映)
