事業の成長に伴い、「合同会社(LLC)から株式会社(KK)に変えたい」というご相談が増えています。上場準備・外部投資家との関係・採用強化などを理由に、組織変更を検討するケースが多いです。合同会社から株式会社への変更は「組織変更」という法的手続きであり、単純な登記変更とは異なる工程が伴います。本記事では、その流れと費用の目安を税理士の視点で解説します。
この記事は、こんな方に役立ちます
- 税理士の顧問料や費用の相場を知りたい方
- スポット相談か顧問契約か迷っている方
- 依頼の流れと範囲を把握したい方
- 合同会社から株式会社への組織変更は、債権者保護手続き(官報公告を含む)が必要なため、最短でも約2か月かかります。
- 費用は登録免許税・官報公告・司法書士報酬を合わせて概算20万〜30万円以上が目安ですが、個別の見積もりが必要です。
- 税務上は決算期の確認・繰越欠損金の取り扱い・各種届出など注意点が多く、税理士への事前相談が重要です。
1. 組織変更とは何か
会社法上の「組織変更」(第2編第9章)は、合同会社が株式会社に変わる手続きを指します。会社そのものは同一性を保ったまま、法人格の種類を変える点が特徴です。解散して新たに設立するわけではないため、既存の契約・口座・許認可の名義をそのまま引き継ぎやすい一方、債権者保護手続きが必要なため一定の期間がかかります。
- 組織変更後の会社:同一の法人格が継続します(法人番号は変わりません)
- 株主や社員の構成:合同会社の社員が株主になる形で移行します
- 注意点:設立登記とは異なり、解散と新設の登録免許税が両方発生します
2. 手続きの流れ
組織変更は、おおむね次の順序で進めます。各ステップに法的な要件があるため、司法書士・弁護士・税理士と連携して進めることをおすすめします。
| ステップ | 主な内容 | 必要期間の目安 |
|---|---|---|
| ①組織変更計画の作成 | 組織変更計画書を作成し、総社員の同意を得る(会社法第781条) | 1〜2週間 |
| ②債権者保護手続き | 官報公告(1か月以上)+個別の債権者への通知を行い、異議申述期間を設ける | 1か月以上(官報公告期間) |
| ③組織変更の登記 | 効力発生日に合同会社の解散登記と株式会社の設立登記を同時に申請する | 登記申請後1〜2週間 |
| ④各種名義変更・届出 | 税務署・都道府県・市区町村・金融機関・取引先への変更手続き | 登記後、順次対応 |
債権者保護手続きとして官報公告が必要なため、効力発生まで最短でも約2か月程度かかるのが一般的です。
3. 費用の目安
組織変更にかかる費用の主な内訳は次のとおりです。金額はあくまで目安で、資本金の額・依頼する専門家・地域によって変わります。
- 登録免許税(解散分):合同会社の解散登記にかかる税。目安は1万円程度
- 登録免許税(株式会社設立分):資本金の0.7%(最低15万円)
- 官報公告費用:掲載文字数によりますが、概算で3万〜5万円程度
- 司法書士報酬:登記申請の代行費用。事務所により異なりますが、10万〜20万円程度が一般的な目安です
法定費用と専門家報酬を合わせると、おおよそ20万〜30万円以上が目安になることが多いですが、個別の状況で変動します。事前に司法書士・税理士へ見積もりを依頼すると安心です。
4. 税務上の注意点
組織変更は税務上の影響もあります。主な注意点を確認しておきましょう。
- 決算期の確認:組織変更の効力発生日が事業年度の途中になる場合、決算期の扱いを事前に整理しておく必要があります
- 消費税の課税事業者判定:変更後の法人格でも継続して判定されますが、基準期間の確認が必要です
- 繰越欠損金の引き継ぎ:一定の要件を満たす場合に引き継げますが、組織変更のケースは個別の確認が必要です
- 登記後の税務署・都道府県への異動届出書の提出を忘れないようにしましょう
具体例|組織変更後に名義変更が必要になるもの
たとえば銀行口座、リース契約、賃貸借契約、許認可などは、組織変更後も法人格の同一性が保たれるため契約自体を結び直す必要がないケースが多い一方、取引先によっては会社名や登記事項証明書の再提出を求められることがあります。主要取引先や金融機関へ組織変更のスケジュールを事前に伝えておくと、書類のやり取りがスムーズです。
見落としやすいポイント
- 商号・印鑑登録の変更/株式会社への変更にあわせて商号を変える場合、法人の実印・銀行印の登録内容も更新が必要になることがあります。
- 就業規則・社会保険の届出名義/従業員がいる場合、就業規則の会社名表記や社会保険・労働保険の適用事業所名も、組織変更後に名義変更の届出が必要です。
- 各種契約書の会社名表記/取引基本契約やリース契約など、契約書に記載された会社名・法人格が組織変更前のままになっていないか確認しておきます。
- 許認可の名義/業種によっては許認可が法人格の変更を機に確認・届出の対象になることがあるため、所管窓口に事前確認しておくと安心です。
実務ワンポイント|専門家との役割分担
組織変更は会社法上の手続きが中心のため司法書士が登記を担当し、税務署・都道府県への異動届出書や税務上の取り扱いは税理士が担当するというように、役割が分かれています。どちらか一方にだけ相談すると手続き漏れが生じることもあるため、早い段階で両方の専門家に連絡しておくと安心です。
まとめ
組織変更のご相談はお気軽に
当事務所は、合同会社の設立から株式会社への組織変更まで、会社法務と税務の両面からサポートする札幌の税理士・公認会計士事務所です。司法書士との連携も可能です。料金やご契約の流れは料金・契約・業務フローのページを、ご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。
料金を相談する前に整理しておくと早いこと
- 業種と年間の売上規模
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- 訪問・オンラインなど希望の対応方法
- 現在の課題(節税・資金繰り・申告など)
- 法人か個人事業かと決算月
※本記事は2026年9月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
