水産業の仕訳事例集【設例つき80本】

公開日:2026年7月18日(令和8年度税制改正対応)|収録80本・全仕訳の貸借を検算済み

水産業の経理は、食用の鮮魚や加工品の販売が軽減税率8%となる一方、漁具・燃料など仕入の多くは10%で、市場委託販売では手数料控除前の総額での売上計上が求められるなど、税率と計上方法の整理が勘所となる。さらに漁獲共済の共済金や燃油補填金・補助金は不課税として区分する必要がある。本ページでは漁業・養殖業・水産加工業の仕訳80本を設例つきで収録した。 各事例は「設例 → 借方/貸方の仕訳表 → 実務メモ」の順で、タップすると開きます。

売上・入金

産地市場の水揚精算

設例:所属漁協の産地市場に鮮魚を上場し、水揚金額(消費税込み)864,000円から市場手数料(消費税込み)33,000円を控除した831,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金831,000鮮魚売上高800,000
支払手数料30,000仮受消費税等(8%)64,000
仮払消費税等(10%)3,000
合計864,000合計864,000

市場委託販売は手数料控除前の水揚金額を軽減税率8%の課税売上として総額計上し、市場手数料は標準税率10%の課税仕入として別建てで処理する。

漁協共同計算の概算金

設例:漁協の共同計算方式でホタテを出荷し、出荷時の概算金として(消費税込み)540,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金540,000ホタテ売上高500,000
仮受消費税等(8%)40,000
合計540,000合計540,000

共同計算による出荷は概算金を受領した日の収入に計上する処理が認められ、食用ホタテの譲渡として軽減税率8%の課税売上となる。

共同計算の精算金確定

設例:共同計算によるホタテの販売が終了し、漁協の精算書で追加精算金(消費税込み)162,000円が確定して普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金162,000ホタテ売上高150,000
仮受消費税等(8%)12,000
合計162,000合計162,000

精算金は精算書等により金額が確定した日の売上に計上し、概算金と同様に飲食料品の譲渡として軽減税率8%を適用する。

仲買業者への直接販売

設例:市場を通さず地元の仲買業者へ鮮魚を直接販売し、代金(消費税込み)432,000円を請求して掛けとした。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金432,000鮮魚売上高400,000
仮受消費税等(8%)32,000
合計432,000合計432,000

食用の鮮魚の販売は取引先が事業者であっても飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率8%の課税売上となる。

飲食店への活魚直販

設例:契約する市内の寿司店へ活魚を直接納品し、月間の代金(消費税込み)270,000円を請求して掛けとした。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金270,000活魚売上高250,000
仮受消費税等(8%)20,000
合計270,000合計270,000

活魚も人の飲食用に供される食用の魚であれば飲食料品に該当し、飲食店向けの販売でも軽減税率8%が適用される。

ネット直販の送料区分

設例:自社サイトで海産物セットを販売し、商品代金(消費税込み)54,000円と区分表示した送料(消費税込み)2,200円の合計56,200円が決済代行会社から普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金56,200商品売上高50,000
仮受消費税等(8%)4,000
送料収入2,000
仮受消費税等(10%)200
合計56,200合計56,200

送料を対価として区分して収受する場合は運送役務の対価として標準税率10%となり、商品代金の軽減8%と区分して経理する。

ホタテ輸出売上の免税

設例:冷凍ホタテ貝柱を海外の取引先へ輸出販売し、輸出代金2,400,000円を売掛金に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金2,400,000輸出売上高2,400,000

輸出として行う資産の譲渡は消費税が免除される免税取引であり、税関の輸出許可書等を保存することが適用要件となる。

遊漁船の乗船料収入

設例:遊漁船業として釣り客を乗船させ、1日の乗船料合計(消費税込み)88,000円を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
現金88,000遊漁船収入80,000
仮受消費税等(10%)8,000
合計88,000合計88,000

遊漁船の乗船料は魚の譲渡ではなく船に乗せて釣りをさせる役務提供の対価であるため、標準税率10%の課税売上となる。

漁業体験の受入収入

設例:観光協会の企画による漁業体験ツアーの参加者を受け入れ、体験料(消費税込み)110,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金110,000体験料収入100,000
仮受消費税等(10%)10,000
合計110,000合計110,000

漁業体験の受入れは役務提供に該当し標準税率10%が適用され、体験後に水産物を販売する場合はその部分を8%と区分する。

釣り餌用冷凍魚の販売

設例:釣具店へ釣り餌用の冷凍イワシを販売し、代金(消費税込み)33,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金33,000売上高30,000
仮受消費税等(10%)3,000
合計33,000合計33,000

同じ魚でも釣り餌用として販売するものは人の飲食に供される食品に該当しないため、軽減税率の対象外で標準税率10%となる。

受託加工賃の収入

設例:他社から支給された原料魚の凍結・フィレー加工を受託し、加工賃(消費税込み)330,000円を請求して掛けとした。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金330,000加工賃収入300,000
仮受消費税等(10%)30,000
合計330,000合計330,000

支給原料の加工は飲食料品ができあがる場合でも役務提供の対価であるため軽減税率の対象とならず、標準税率10%を適用する。

漁獲共済金の受取

設例:不漁により漁獲金額が基準を下回ったため、漁業共済(漁獲共済)の共済金1,500,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,500,000雑収入1,500,000

漁獲共済の共済金は資産の譲渡等の対価に該当しないため消費税は不課税であり、支払決定の通知により金額が確定した時点で収益計上する。

積立ぷらす補填金

設例:漁業収入安定対策(積立ぷらす)による補填金800,000円の支払決定通知が届き、普通預金口座への入金を確認した。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金800,000雑収入800,000

積立ぷらすの補填金は資産の譲渡等の対価に該当せず不課税であり、自己積立分の払戻しが含まれる場合は資産計上済みの積立金の取崩しとして区分する。

燃油高騰補填金の受取

設例:漁業経営セーフティーネット構築事業に加入しており、燃油価格の高騰に伴う補填金240,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金240,000雑収入240,000

燃油高騰対策の補填金は資産の譲渡等の対価ではないため消費税は不課税であり、交付決定通知を収入計上の根拠資料として保存する。

省エネ機器導入補助金

設例:省エネルギー型の漁船用機器の導入について道の補助金の交付決定を受け、1,000,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,000,000補助金収入1,000,000

国や道の補助金は資産の譲渡等の対価ではなく消費税は不課税であり、固定資産の取得に充てた場合は圧縮記帳の適用を検討する。

干物・珍味の卸売上

設例:自社加工場で製造した干物と珍味製品を道内の卸売業者へ販売し、代金(消費税込み)756,000円を請求して掛けとした。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金756,000製品売上高700,000
仮受消費税等(8%)56,000
合計756,000合計756,000

干物や珍味などの水産加工品も人の飲食に供される食品の譲渡であるため、軽減税率8%の課税売上となる。

直売所での鮮魚小売

設例:併設の直売所で鮮魚と自家製の塩辛を対面販売し、1日の売上(消費税込み)129,600円を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
現金129,600売上高120,000
仮受消費税等(8%)9,600
合計129,600合計129,600

店頭での飲食料品の販売は持ち帰りを前提とするため軽減税率8%であり、レジは税率ごとに売上を集計できるよう設定する。

ふるさと納税返礼品

設例:ふるさと納税の返礼品として海産物詰合せを出荷し、代金(消費税込み)216,000円が代行事業者から普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金216,000売上高200,000
仮受消費税等(8%)16,000
合計216,000合計216,000

返礼品として自治体へ納品する海産物も飲食料品の譲渡に該当し軽減税率8%となるため、10%の取引と区分して請求書を発行する。

漁協出資配当金の受取

設例:漁協への出資金に対する剰余金の配当30,000円について、源泉所得税等6,126円を控除した23,874円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金23,874受取配当金30,000
仮払金6,126
合計30,000合計30,000

出資配当金は資産の譲渡等の対価ではなく消費税は不課税であり、源泉徴収された税額は申告の際に税額控除の対象となる。

ギフト用海産物の販売

設例:贈答用の化粧箱に入れた海産物ギフトを箱代込みの一括価格で販売し、代金(消費税込み)43,200円を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
現金43,200売上高40,000
仮受消費税等(8%)3,200
合計43,200合計43,200

販売に通常必要な範囲の包装や化粧箱の代金を含めて飲食料品を一括価格で販売する場合は、全体が軽減税率8%の対象となる。

飼料用規格外魚の販売

設例:規格外で食用に向かない漁獲物を養殖業者へ餌料用として販売し、代金(消費税込み)55,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金55,000雑収入50,000
仮受消費税等(10%)5,000
合計55,000合計55,000

養殖魚の餌料用など人の飲食に供されない用途で販売する水産物は飲食料品に該当せず、標準税率10%が適用される。

ホタテ稚貝の販売

設例:育成したホタテの稚貝を他の養殖業者へ種苗用として販売し、代金(消費税込み)220,000円を請求して掛けとした。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金220,000稚貝売上高200,000
仮受消費税等(10%)20,000
合計220,000合計220,000

種苗用の稚貝はそのまま人の飲食に供されるものではないため軽減税率の対象とならず、標準税率10%の課税売上となる。

海洋調査業務の受託

設例:道の委託を受けて漁場環境の調査業務に漁船を出し、委託料(消費税込み)165,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金165,000雑収入150,000
仮受消費税等(10%)15,000
合計165,000合計165,000

調査業務の受託は役務提供の対価であり標準税率10%の課税売上となるため、不課税の補助金と混同しないよう契約内容を確認する。

スーパーへの契約出荷

設例:地元スーパーとの取引契約に基づき鮮魚を継続出荷し、月間の代金(消費税込み)648,000円を請求して掛けとした。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金648,000鮮魚売上高600,000
仮受消費税等(8%)48,000
合計648,000合計648,000

継続的な契約出荷でも食用の鮮魚の譲渡は軽減税率8%であり、請求書には税率ごとに区分した対価の額を記載する。

加工原料魚の販売

設例:水産加工場へすり身の原料となるスケトウダラを販売し、代金(消費税込み)486,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金486,000売上高450,000
仮受消費税等(8%)36,000
合計486,000合計486,000

加工原料として販売する魚も最終的に人の飲食に供される食品である限り飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率8%が適用される。

漁船の用船料収入

設例:休漁期間中に所有する漁船を他の漁業者へ貸し付け、月額の用船料(消費税込み)275,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金275,000用船料収入250,000
仮受消費税等(10%)25,000
合計275,000合計275,000

船舶の貸付けによる用船料は資産の貸付けの対価として標準税率10%の課税売上となり、鮮魚の売上とは区分して計上する。

海鮮食堂の飲食売上

設例:直売所に併設する海鮮食堂で漁獲物を調理して提供し、1日の飲食代金(消費税込み)187,000円を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
現金187,000飲食売上高170,000
仮受消費税等(10%)17,000
合計187,000合計187,000

店内で飲食させる食事の提供は外食に該当し標準税率10%となるため、併設直売所の持ち帰り販売の8%と区分して管理する。

昆布乾燥品の出荷

設例:天日と乾燥機で仕上げた昆布の乾燥品を漁協へ出荷し、代金(消費税込み)324,000円が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金324,000昆布売上高300,000
仮受消費税等(8%)24,000
合計324,000合計324,000

食用の昆布は乾燥させた状態で販売しても飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率8%の課税売上となる。

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経費・業種特有

漁船用免税軽油の購入

設例:免税軽油使用者証の交付を受け、漁船の燃料用として免税軽油2,000リットルを購入し、代金(消費税込み)132,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
燃料費120,000普通預金132,000
仮払消費税等(10%)12,000
合計132,000合計132,000

免税軽油は軽油引取税が免除され本体価格のみの支払となるため全額が10%の課税仕入となり、通常の軽油の税額部分が不課税となる扱いと区別する。

A重油の購入

設例:船内の暖房と補機用にA重油3,000リットルを購入し、代金(消費税込み)297,000円を掛けとして未払金に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
燃料費270,000未払金297,000
仮払消費税等(10%)27,000
合計297,000合計297,000

A重油には軽油引取税が課されないため、購入代金の全額が標準税率10%の課税仕入の対象となる。

漁網・ロープの購入

設例:定置網の補修用に漁網とロープを購入し、代金(消費税込み)198,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
漁具費180,000普通預金198,000
仮払消費税等(10%)18,000
合計198,000合計198,000

漁網やロープなどの漁具は取得価額10万円未満のものや使用可能期間1年未満のものであれば、漁具費として一時の費用に計上できる。

浮子・カゴ等の漁具購入

設例:カゴ漁に使用する浮子とカゴ、ブイロープなどの小物漁具一式を購入し、代金(消費税込み)44,000円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
漁具費40,000現金44,000
仮払消費税等(10%)4,000
合計44,000合計44,000

少額の漁具は消耗品的に費消されるため購入時の費用とし、期末に未使用分が多額にあるときは貯蔵品への振替を検討する。

養殖用稚貝の購入

設例:ホタテ垂下養殖用の稚貝を種苗業者から購入し、代金(消費税込み)660,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
種苗費600,000普通預金660,000
仮払消費税等(10%)60,000
合計660,000合計660,000

養殖用の稚魚・稚貝などの種苗はそのまま人の飲食に供されるものではないため軽減税率の対象とならず、標準税率10%の課税仕入とするのが原則である。

養殖飼料の購入

設例:養殖魚に給餌する配合飼料を購入し、代金(消費税込み)385,000円を掛けとして未払金に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
飼料費350,000未払金385,000
仮払消費税等(10%)35,000
合計385,000合計385,000

養殖用の飼料は人の飲食に供される食品ではないため軽減税率の対象とならず、標準税率10%を適用する。

鮮度保持用の氷代

設例:水揚げした鮮魚の保冷用に漁協の製氷施設から砕氷を購入し、当月分の氷代(消費税込み)26,400円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
氷代24,000普通預金26,400
仮払消費税等(10%)2,400
合計26,400合計26,400

鮮度保持のために使用する氷は人の飲食に供する食品として販売されるものではないため、標準税率10%の課税仕入となる。

発泡スチロール箱の購入

設例:出荷用の発泡スチロール箱と保冷資材をまとめて購入し、代金(消費税込み)41,800円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
荷造包装費38,000現金41,800
仮払消費税等(10%)3,800
合計41,800合計41,800

出荷用の梱包資材は荷造包装費として処理し、標準税率10%の課税仕入として仕入税額控除の対象となる。

市場手数料の支払

設例:消費地市場へ転送出荷した鮮魚について、月間の販売手数料(消費税込み)66,000円が精算時に請求され、普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料60,000普通預金66,000
仮払消費税等(10%)6,000
合計66,000合計66,000

卸売市場の販売手数料は委託販売に係る役務提供の対価であり、標準税率10%の課税仕入として処理する。

鮮魚運搬費の支払

設例:水揚げした鮮魚を保冷トラックで加工場まで運送してもらい、運賃(消費税込み)99,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
運搬費90,000普通預金99,000
仮払消費税等(10%)9,000
合計99,000合計99,000

貨物の運送は国内の役務提供として標準税率10%の課税仕入となり、運送する貨物が飲食料品であっても軽減税率は適用されない。

乗組員の歩合給支払

設例:当月の水揚金額に応じて計算した乗組員の歩合給450,000円から源泉所得税等9,000円を控除し、残額を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
賃金給与450,000預り金9,000
普通預金441,000
合計450,000合計450,000

水揚金額に応じて支払う歩合給も雇用契約に基づく給与に該当するため消費税は不課税であり、仕入税額控除の対象とならない。

船内賄い食材の購入

設例:操業中の乗組員の賄い用に米や食材を購入し、代金(消費税込み)21,600円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
福利厚生費20,000現金21,600
仮払消費税等(8%)1,600
合計21,600合計21,600

賄い用の食材は飲食料品の購入であるため軽減税率8%の課税仕入となり、酒類を購入した場合はその部分のみ10%と区分する。

漁協賦課金の支払

設例:漁業協同組合から当年度の組合運営に係る賦課金60,000円の通知が届き、普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
賦課金60,000普通預金60,000

漁協の賦課金は組合運営のための負担金で明白な対価関係がないため消費税は不課税であり、仕入税額控除の対象とならない。

漁協施設利用料の支払

設例:漁協の荷捌き施設と冷蔵庫を利用した当月分の施設利用料(消費税込み)37,400円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
施設利用料34,000普通預金37,400
仮払消費税等(10%)3,400
合計37,400合計37,400

施設の利用に対する料金は役務提供の対価として標準税率10%の課税仕入となり、不課税の賦課金とは区分して処理する。

漁業権行使料の支払

設例:漁協が免許を受けた共同漁業権に基づき操業するため、当年度の漁業権行使料(消費税込み)121,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
漁業権行使料110,000普通預金121,000
仮払消費税等(10%)11,000
合計121,000合計121,000

漁業権の行使料は漁場を利用させる権利利用の対価として消費税の課税対象となり、標準税率10%の課税仕入として処理する。

船底塗装と上架修繕

設例:漁船を造船所で上架して船底塗装と機関整備を行い、修繕代金(消費税込み)462,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
修繕費420,000普通預金462,000
仮払消費税等(10%)42,000
合計462,000合計462,000

通常の維持管理のための船底塗装や定期整備の費用は修繕費として一時の必要経費となり、標準税率10%の課税仕入である。

無線・GPS利用料

設例:漁業無線の利用料と衛星GPSサービスの月額利用料の合計(消費税込み)22,000円が普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
通信費20,000普通預金22,000
仮払消費税等(10%)2,000
合計22,000合計22,000

漁業無線や衛星測位サービスの利用料は国内の役務提供として標準税率10%の課税仕入となり、通信費として処理する。

免税事業者への荷役支払

設例:水揚げ時の荷揚げ作業を独立の仲仕である免税事業者に依頼し、作業料(消費税込み)46,200円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
外注費42,840現金46,200
仮払消費税等3,360
合計46,200合計46,200

免税事業者からの課税仕入は経過措置により2026年9月30日までは消費税相当額の80%を控除でき、同年10月1日以後は50%に縮小される。

機関部品・油脂の購入

設例:主機関のエンジンオイルと交換部品を購入し、代金(消費税込み)38,500円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
消耗品費35,000現金38,500
仮払消費税等(10%)3,500
合計38,500合計38,500

機関の保守に使用する油脂類や部品は消耗品費として処理し、標準税率10%の課税仕入となる。

漁網修理の外注加工賃

設例:破損した定置網の補修を専門の修理業者へ外注し、修理加工賃(消費税込み)77,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
修繕費70,000普通預金77,000
仮払消費税等(10%)7,000
合計77,000合計77,000

漁網の修理は役務提供の対価として標準税率10%の課税仕入となり、自家修理に使用する網糸等の材料購入費は漁具費として区分できる。

養殖用消毒剤の購入

設例:養殖施設の器具消毒に使用する消毒剤と薬剤を購入し、代金(消費税込み)27,500円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
衛生費25,000現金27,500
仮払消費税等(10%)2,500
合計27,500合計27,500

養殖に使用する薬剤や消毒剤は標準税率10%の課税仕入であり、請求書等を保存して仕入税額控除の適用を受ける。

資材の共同購入掛買い

設例:漁協を通じて出漁用の資材を共同購入し、代金(消費税込み)154,000円を掛けとして未払金に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
資材費140,000未払金154,000
仮払消費税等(10%)14,000
合計154,000合計154,000

漁協経由の資材購入は掛け取引が多く、購入代金は出荷代金との相殺前の総額で計上したうえで決済時に未払金を取り崩す。

加工場の電気料金

設例:冷凍庫と加工機械を稼働させる加工場の電気料金(消費税込み)79,200円が普通預金口座から引き落とされた。

借方科目金額貸方科目金額
水道光熱費72,000普通預金79,200
仮払消費税等(10%)7,200
合計79,200合計79,200

加工場の電気料金は標準税率10%の課税仕入であり、事業と家事に共用する場合は使用実態に基づき按分する。

加工用原料魚の仕入

設例:干物製造用の原料としてホッケを産地市場で仕入れ、代金(消費税込み)594,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
仕入高550,000普通預金594,000
仮払消費税等(8%)44,000
合計594,000合計594,000

食用の魚の仕入は飲食料品の譲受けとして軽減税率8%の課税仕入となり、10%の資材仕入と区分して帳簿に記載する。

加工場パート賃金

設例:加工場で袋詰め作業に従事するパート従業員3名分の当月賃金合計264,000円を、普通預金口座から振り込んで支払った。

借方科目金額貸方科目金額
雑給264,000普通預金264,000

雇用契約に基づくパート賃金は給与として消費税は不課税であり、外注として作業を委託する場合の課税仕入と区分する。

調味料・塩の仕入

設例:塩辛と珍味の製造に使用する塩と調味料を仕入れ、代金(消費税込み)64,800円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
原材料費60,000現金64,800
仮払消費税等(8%)4,800
合計64,800合計64,800

塩や調味料は人の飲食に供される食品であるため、加工原料として使用する場合でも軽減税率8%の課税仕入となる。

包装フィルムの購入

設例:加工品の真空包装用フィルムとラベルシールを購入し、代金(消費税込み)36,300円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
包装資材費33,000普通預金36,300
仮払消費税等(10%)3,300
合計36,300合計36,300

包装資材は食品に添付して販売するものであっても飲食料品そのものではないため、標準税率10%の課税仕入となる。

営業許可申請の手数料

設例:加工場の水産製品製造業の営業許可更新にあたり、保健所へ申請手数料16,000円を現金で納付した。

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料16,000現金16,000

国や地方公共団体が法令に基づき徴収する許可申請の手数料は消費税が非課税とされており、仕入税額控除の対象とならない。

冷蔵倉庫保管料の支払

設例:冷凍すり身の在庫を営業冷蔵倉庫に預け、当月分の保管料(消費税込み)49,500円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
保管料45,000普通預金49,500
仮払消費税等(10%)4,500
合計49,500合計49,500

冷蔵倉庫の保管料は役務提供の対価として標準税率10%の課税仕入となり、保管する貨物が食品であっても軽減税率は適用されない。

船員保険料の納付

設例:乗組員に係る船員保険と厚生年金の保険料合計196,000円のうち、事業主負担分98,000円と従業員からの預り金98,000円を普通預金口座から納付した。

借方科目金額貸方科目金額
法定福利費98,000普通預金196,000
預り金98,000
合計196,000合計196,000

社会保険料の納付は消費税の課税対象外であり、事業主負担分は法定福利費、本人負担分は預り金の取崩しとして処理する。

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設備・資産・保険

中古漁船の取得

設例:経営規模の拡大のため中古の漁船を取得し、代金(消費税込み)8,800,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
船舶8,000,000普通預金8,800,000
仮払消費税等(10%)800,000
合計8,800,000合計8,800,000

中古で取得した漁船は経過年数を織り込んだ見積耐用年数(簡便法)で償却でき、船体の取得は標準税率10%の課税仕入となる。

漁船エンジンの換装

設例:老朽化した主機関を新しいエンジンに換装する工事を行い、工事代金(消費税込み)3,300,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
船舶3,000,000普通預金3,300,000
仮払消費税等(10%)300,000
合計3,300,000合計3,300,000

エンジンの換装は船舶の価値を高め耐久性を増す資本的支出に該当するため、修繕費ではなく船舶の取得価額に加算して償却する。

魚群探知機の購入

設例:操業効率を高めるため魚群探知機とソナーを購入して漁船に設置し、代金(消費税込み)990,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
工具器具備品900,000普通預金990,000
仮払消費税等(10%)90,000
合計990,000合計990,000

漁船に常時設置する電子機器は船舶と一体で計上する方法もあるが、取外し可能な機器は器具備品として個別に償却できる。

漁業権の取得

設例:区画漁業権に基づく養殖業の経営を承継するため漁業権を譲り受け、代金(消費税込み)2,200,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
漁業権2,000,000普通預金2,200,000
仮払消費税等(10%)200,000
合計2,200,000合計2,200,000

取得した漁業権は無形固定資産として耐用年数10年の定額法で償却し、権利の譲受けは消費税の課税仕入となる。

養殖施設の設置

設例:ホタテ垂下養殖用の幹綱・アンカーなどの養殖施設一式を新設し、工事代金(消費税込み)1,650,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
構築物1,500,000普通預金1,650,000
仮払消費税等(10%)150,000
合計1,650,000合計1,650,000

海面に設置する養殖施設は構築物として資産計上し、構造の区分に応じた耐用年数で減価償却する。

製氷・冷凍設備の取得

設例:加工場に急速冷凍庫と製氷設備を導入し、据付費を含む代金(消費税込み)5,500,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
機械装置5,000,000普通預金5,500,000
仮払消費税等(10%)500,000
合計5,500,000合計5,500,000

据付工事費や試運転費用など事業の用に供するために直接要した費用は、設備本体とあわせて取得価額に算入する。

漁船保険料の支払

設例:所有する漁船に係る漁船保険の年間保険料252,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
保険料252,000普通預金252,000

漁船保険の保険料は消費税が非課税とされているため仕入税額控除の対象とならず、保険期間に対応させて費用計上する。

漁協への出資金払込

設例:漁協の組合員資格を維持するための増口出資として、出資金500,000円を普通預金口座から払い込んだ。

借方科目金額貸方科目金額
出資金500,000普通預金500,000

漁協への出資金は資産の譲渡等の対価に該当せず消費税は不課税であり、費用ではなく出資金として資産計上する。

中古漁船の売却

設例:使用していた漁船(帳簿価額1,200,000円)を他の漁業者へ(消費税込み)1,760,000円で売却し、代金が普通預金口座に入金された。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,760,000船舶1,200,000
固定資産売却益400,000
仮受消費税等(10%)160,000
合計1,760,000合計1,760,000

船舶の売却は課税取引であり、売却損益の金額にかかわらず税抜の譲渡対価1,600,000円の全額を課税売上として消費税の計算に含める。

フォークリフトの購入

設例:加工場と冷蔵庫の入出庫作業用に中古のフォークリフトを購入し、代金(消費税込み)1,100,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具1,000,000普通預金1,100,000
仮払消費税等(10%)100,000
合計1,100,000合計1,100,000

荷役用のフォークリフトは車両運搬具として資産計上し、公道を走行しない構内専用車でも減価償却資産として通常どおり償却する。

活魚水槽設備の導入

設例:直売所に活魚水槽とろ過・エアレーション装置を設置し、代金(消費税込み)440,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
工具器具備品400,000普通預金440,000
仮払消費税等(10%)40,000
合計440,000合計440,000

一式で機能する水槽設備は付属装置を含めた全体を一の資産として計上し、その取得価額により少額減価償却資産の特例の適否を判定する。

漁具倉庫の建築

設例:漁具と資材を保管する倉庫を漁港近くの自己所有地に建築し、建築代金(消費税込み)6,600,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
建物6,000,000普通預金6,600,000
仮払消費税等(10%)600,000
合計6,600,000合計6,600,000

倉庫の建築代金は建物として資産計上し課税仕入となる一方、土地をあわせて取得した場合はその部分を非課税として区分する。

漁業共済掛金の支払

設例:漁獲共済の年間共済掛金360,000円を普通預金口座から支払った。共済期間は当期首から1年間である。

借方科目金額貸方科目金額
共済掛金360,000普通預金360,000

漁業共済の掛金は保険料と同様に消費税が非課税とされており、掛捨ての掛金は共済期間の経過に応じて必要経費となる。

揚網機の設置

設例:網起こし作業を省力化するため漁船に油圧式の揚網機を設置し、代金(消費税込み)880,000円を普通預金口座から支払った。

借方科目金額貸方科目金額
機械装置800,000普通預金880,000
仮払消費税等(10%)80,000
合計880,000合計880,000

漁ろう作業用の機械を漁船に新たに設置する費用は資本的支出又は機械装置の取得として資産計上し、耐用年数に応じて償却する。

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決算・税務・その他

水揚代金の未収計上

設例:決算日までに産地市場へ上場した水揚げのうち、精算が翌期となる代金(消費税込み)378,000円を未収計上した。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金378,000鮮魚売上高350,000
仮受消費税等(8%)28,000
合計378,000合計378,000

市場への上場が完了した水揚代金は精算書の到着や入金が翌期であっても、譲渡した日の属する期の課税売上として計上する。

養殖水産物の棚卸

設例:決算日現在で育成中の養殖ホタテについて、当期に投下した種苗費・飼料費等の合計950,000円を棚卸資産に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
養殖水産物950,000期末棚卸高950,000

収穫前の養殖水産物は販売可能な状態になるまで種苗費や飼料費などの生産費用を原価として集計し、棚卸資産として次期へ繰り越す。

未使用漁具の棚卸

設例:決算にあたり、当期に漁具費として処理した漁網・ロープのうち期末時点で未使用のまま保管する96,000円分を貯蔵品に振り替えた。

借方科目金額貸方科目金額
貯蔵品96,000漁具費96,000

未使用の漁具や資材は当期の費用ではなく翌期以降に使用する棚卸資産であるため、期末に貯蔵品へ振り替えて必要経費から除く。

漁業権の償却

設例:取得した漁業権(取得価額2,000,000円・耐用年数10年)について、決算にあたり定額法による当期の償却費200,000円を計上した。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費200,000漁業権200,000

漁業権は無形固定資産として残存価額零の定額法で償却し、取得時に課税仕入とした消費税と異なり償却費自体に課税関係は生じない。

漁獲物の家事消費

設例:水揚げした鮮魚の一部を自家用に消費し、通常の販売価額を基礎とした(消費税込み)25,920円を家事消費として収入に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
事業主貸25,920家事消費高24,000
仮受消費税等(8%)1,920
合計25,920合計25,920

家事消費した水産物は飲食料品の譲渡として軽減税率8%の課税売上となり、所得税では通常の販売価額のおおむね70%以上で評価できる。

共済掛金の期間按分

設例:当期に支払った漁獲共済の掛金360,000円のうち、共済期間が翌期に対応する4か月分120,000円を前払費用に振り替えた。

借方科目金額貸方科目金額
前払費用120,000共済掛金120,000

共済期間が翌期に及ぶ掛金は期間対応により按分し、翌期対応分は前払費用として資産計上して翌期の費用とする。

漁船の減価償却

設例:漁船(取得価額8,000,000円)について、決算にあたり定額法による当期の減価償却費1,144,000円を計上した。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費1,144,000船舶1,144,000

個人事業者の法定償却方法は定額法、法人は一部の資産を除き定率法が原則であり、減価償却費の計上は消費税の課税対象外である。

消費税の期末振替

設例:決算にあたり仮受消費税等1,860,000円と仮払消費税等1,395,000円を相殺し、申告により納付する差額465,000円を未払消費税等に計上した。

借方科目金額貸方科目金額
仮受消費税等1,860,000仮払消費税等1,395,000
未払消費税等465,000
合計1,860,000合計1,860,000

税抜経理では期末に仮受・仮払の消費税等を相殺して納付税額を未払計上し、申告計算との端数差額は雑収入又は租税公課で調整する。

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出典・参考情報(公的機関)

本ページは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断を行うものではありません。金額・取引はすべて設例(モデルケース)です。税制・法令は改正される場合があります(令和8年度税制改正を反映し、2026年7月に作成・最終更新)。実際の処理は顧問税理士など専門家へご確認ください。