12月決算法人の法人税・消費税の申告期限は、原則として決算日の翌日から2か月以内(翌年2月末日)で、納税の期限も同じ日です。決算対策は12月31日までに実行したものしか当期に反映されず、1月は法定調書や償却資産申告とも重なるため、10月から逆算して準備します。
この記事の結論
申告・納付の期限は翌年2月末日で、2026年12月期は2月28日が日曜日のため2027年3月1日(月)です。決算対策は12月31日までに実行し、納税額の試算とセットで判断します。
- 申告期限の延長特例を受けても納付期限は延びず、見込納付をしないと利子税がかかる
- 少額資産の購入などは、12月31日までに事業に使い始めて初めて当期の費用になる
- 消費税の2割特例は、12月決算法人なら2026年12月期が最後
- 防衛特別法人税は2027年12月期から対象で、税額が0でも申告が必要
- 年明けは源泉所得税の納付、法定調書・給与支払報告書、償却資産申告の期限が続く
12月決算法人の申告・納付期限はいつ?
法人税・地方法人税・消費税と、法人事業税・法人住民税は、いずれも原則として決算日の翌日から2か月以内に申告・納付します。12月31日決算なら翌年2月末日が期限で、期限日が土日祝日にあたる場合は翌平日にずれます。
申告書の提出だけでなく、納税資金の準備も同じ日までに必要です。直近2期の具体的な日付は次のとおりです。
| 期限の種類 | 原則のルール | 2026年12月期 | 2027年12月期 |
|---|---|---|---|
| 確定申告・納付 | 決算日の翌日から2か月以内 | 2027年3月1日(月) | 2028年2月29日(火) |
| 延長特例を受けた場合の申告 | 原則1か月延長(納付期限は延びない) | 2027年3月31日(水) | 2028年3月31日(金) |
| 中間申告・納付 | 期首から6か月を経過した日から2か月以内 | 2026年8月31日(月) | 2027年8月31日(火) |
| 防衛特別法人税 | 2026年4月1日以後に開始する事業年度から | 対象外 | 初めて対象(税額0でも申告) |
中間申告は、前期の法人税額が一定額を超える法人に必要で、前期の実績による予定申告か、仮決算による申告を選べます。消費税の中間申告は、直前の確定消費税額(国税分)が48万円超で年1回(8月31日)、400万円超で年3回(5月・8月・11月の各末日)、4,800万円超で年11回です。1年分の期限は「12月決算法人の年間スケジュール」でまとめて確認できます。
10月〜3月は何をする?年末調整・法定調書と重なる逆算スケジュール
12月決算法人の実務が忙しくなるのは、決算と年末年始の税務・労務の手続きが続けてやってくるためです。10月から3月までの流れを、決算の作業と同じ時期に重なる手続きに分けて整理します。
| 時期 | 決算の作業 | 同じ時期に重なる手続き |
|---|---|---|
| 10〜11月 | 試算表を締めて着地見込みと納税額を試算し、対策を検討する | 年末調整の準備(令和8年分は基礎控除などの改正を12月の年末調整でまとめて精算) |
| 12月 | 対策の実行(12月31日まで)、延長特例の申請、棚卸の段取り | 年末調整、冬の賞与の支給 |
| 1月 | 実地棚卸の集計、請求書の締め、未払・未収の計上 | 源泉所得税の納付(2026年12月分は2027年1月12日、納期の特例は1月20日)、償却資産申告(毎年1月31日、休日は翌開庁日) |
| 2月 | 決算の確定、申告書の作成・提出・納付 | 法定調書・給与支払報告書の提出と源泉徴収票の交付(2027年2月1日)、役員個人の確定申告(令和8年分は2027年2月16日〜3月15日) |
| 3月 | 定時株主総会、延長特例を受けた場合の申告 | 役員報酬を改定する場合は期首から3か月以内(3月31日まで) |
1月は提出物が集中するため、決算資料の整理を1月中旬までに終えられるかが2月の余裕を決めます。棚卸は12月31日時点の在庫を数える必要があるので、年末の営業日程とあわせて担当者と手順を決めておきます。
2027年1月からの給与・法定調書の変更点
- 2027年1月1日以後に支払う給与からは、令和9年分の源泉徴収税額表を使います。
- 2027年1月1日以後は、市町村に給与支払報告書を提出すれば、源泉徴収票を税務署に提出したものとみなされます(本人への交付は引き続き必要)。
- 退職手当を支払った場合は、2026年1月1日以後の支払分から、居住者全員分の退職所得の源泉徴収票を税務署に提出します。
決算対策は12月31日までに何をする?
利益が出そうな年の対策は、期末日までに実行して初めて当期の費用になります。代表的なのは修繕の前倒し、使っていない資産の除却、少額資産の購入、要件を満たした決算賞与の支給で、いずれも「12月31日までに何を済ませるか」に条件があります。
| 対策 | 当期の費用にする条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| 少額資産の購入 | 12月31日までに納品・設置を終え、事業に使い始める | 40万円未満の特例は2026年4月1日以後の取得分(それ以前の取得は30万円未満)。年300万円まで、青色申告の中小企業者等が対象 |
| 修繕の前倒し | 12月31日までに工事が完了している | 性能を高める・使える期間を延ばす改良は資本的支出として資産に計上 |
| 不要な資産の除却 | 廃棄した事実を記録する(業者の証明書・写真など) | 帳簿価額を損失にできる。使うのをやめただけで廃棄していない資産は要件を確認 |
| 従業員への決算賞与 | 12月31日までに支給額を全員に各人別に通知し、翌年1月31日までに支払う | 当期に未払計上する。役員への期末の賞与は、事前確定届出給与として届け出た支給でなければ損金にならない |
| 短期前払費用 | 支払日から1年以内に受ける役務の前払で、毎期継続して同じ処理をする | 家賃・保険料など継続的に受ける役務が対象。費用が増えるのは始めた年だけ |
2026年12月期は、少額資産の判定が取得日で分かれる点に注意します。1〜3月に取得した資産は30万円未満、4月1日以後に取得した資産は40万円未満が特例の対象で、どちらも同じ事業年度の年300万円の枠に含めます。法人で使える節税策の全体像は「法人・個人の節税策を一覧で確認する」にまとめています。
無料ツール少額減価償却資産の特例(40万円未満)を計算する取得価額を入れると、特例を使って当期に費用にできる金額の目安を確認できます。計算する
節税のための支出は手元資金を減らす
支出によって減る税金は、支出額の一部にすぎません。不要な支出はお金を減らすだけなので、「その支出が事業に必要か」「支出した後にお金が残るか」を軸に判断します。単年度の節税効果だけで判断すると、翌期以降の資金繰りや融資の審査に影響することもあります。
納税額はいくら?資金繰りから逆算して判断する
対策を考える前に、当期の税額の概算と、納税資金としていくら残すかを先に押さえます。そのうえで検討中の支出ごとに、実行すると利益と手元資金がどう変わるかを試算し、期末日までに実行できるものだけを絞り込みます。
法人の所得にかかる主な税金は、法人税(年800万円以下の部分は15%、超える部分は23.2%)、地方法人税、法人事業税と特別法人事業税、法人住民税です。中小法人の15%は2027年3月31日までに開始する事業年度が対象なので、12月決算法人なら2027年12月期まで適用されます。
計算例:所得900万円の12月決算法人(2026年12月期)
例えば、札幌市に本店がある資本金1,000万円以下・従業者50人以下の法人で、当期の所得(税務上の利益)が900万円になりそうな場合の概算です。端数処理や、前期分の事業税を損金にする調整は省いています。
- 法人税:8,000,000円×15%=1,200,000円、1,000,000円×23.2%=232,000円(計1,432,000円)
- 地方法人税:1,432,000円×10.3%=147,496円
- 法人事業税:4,000,000円×3.5%=140,000円、4,000,000円×5.3%=212,000円、1,000,000円×7.0%=70,000円(計422,000円)
- 特別法人事業税:422,000円×37%=156,140円
- 法人住民税:道民税1,432,000円×1.0%=14,320円、市民税1,432,000円×6.0%=85,920円、均等割70,000円(道20,000円と市50,000円)
- 合計:2,327,876円(所得の約26%)
決算前に100万円の支出をして所得が800万円になると、同じ計算で税金の合計は1,959,840円です。減る税金は2,327,876円-1,959,840円=368,036円で、手元資金は差し引き約63万円減ります。なお2027年12月期からは防衛特別法人税も加わりますが、この例では法人税額が500万円以下のため税額は0です(申告は必要)。
所得が800万円を超える部分は法人税率が上がるため、超えるかどうかの見込みは対策の優先順位に影響します。ただし税率の差だけで支出を決めず、納税資金と翌期の運転資金を確保したうえで、必要な支出を前倒しできるかを検討します。
どの対策が有効かは、利益の見込みと資金繰りで変わります。着地見込みの試算から、初回無料でご相談いただけます。
無料で相談する申告期限の延長を使うときの注意点は?
株主総会の開催時期などの事情で、決算日から2か月以内に決算が確定しない場合は、申請により法人税の申告期限を原則1か月延長できます。消費税も、法人税の延長特例を受けている法人が届出をすれば、申告期限が1か月延びます。
ただし延長されるのは申告だけで、納付期限は延びません。本来の期限までに見込額を納付(見込納付)しないと、延長した期間について利子税がかかります。
- 12月31日までに申請・届出最初に延長を受けたい事業年度の終了の日までに、税務署へ申告期限の延長の特例の申請書を提出します。消費税は、消費税申告期限延長届出書を提出します。
- 本来の期限までに見込納付2026年12月期なら、本来の納付期限である2027年3月1日(月)までに、試算した税額を納めます。
- 延長後の期限までに申告・精算2027年3月31日(水)までに申告し、不足があれば利子税とあわせて納付し、納めすぎていれば還付を受けます。
法人事業税・法人住民税にも延長の仕組みがあるため、北海道・市町村への手続きもあわせて確認します。資金の準備は「申告は3月、納税は2月末まで」という感覚で進めるのが安全です。
2026年12月期・2027年12月期に変わる税制は?
12月決算法人は、2026年4月1日や10月1日に施行・終了する制度の影響を、事業年度の途中で受けます。決算と申告で取りこぼしやすいものを整理します。
| 制度 | 12月決算法人への影響 |
|---|---|
| 消費税の2割特例 | 2026年9月30日を含む課税期間までのため、2026年12月期が最後。2027年12月期からは本則課税か簡易課税になる |
| 免税事業者等からの仕入れの経過措置 | 2026年12月期は、9月30日までの仕入れが80%、10月1日以後の仕入れが70%(2028年9月30日まで)。判定は課税仕入れの日で、帳簿で分けて集計する |
| 一の免税事業者等からの仕入れの上限 | 2026年10月1日以後に開始する課税期間から税込10億円が1億円に下がるため、2027年12月期から適用 |
| 少額減価償却資産の特例 | 2026年12月期は取得日で判定が分かれる(3月31日までは30万円未満、4月1日以後は40万円未満) |
| 賃上げ促進税制(中小企業向け) | 教育訓練費の上乗せは2026年3月31日までに開始する事業年度が対象のため、2026年12月期が最後 |
| 中小法人の軽減税率15%・交際費の定額控除800万円 | 2027年3月31日までに開始する事業年度が対象で、2027年12月期までは現行どおり。その後の延長は未決定(令和9年度改正で決まる) |
| 経営強化税制・投資促進税制 | 2027年3月31日までの取得・事業供用が対象。延長は未決定 |
| 防衛特別法人税 | 2027年12月期から対象。(基準法人税額-500万円)×4%で、税額が0でも申告が必要。中間申告の対象になるのは2028年12月期から |
2割特例が使えなくなる2027年12月期に向けて、簡易課税と本則課税のどちらが有利かを先に比べておきます。2割特例を適用した課税期間の翌課税期間に簡易課税を選ぶ場合、届出書はその翌課税期間の確定申告期限までに提出すればよい扱いです。
無料ツール簡易課税・本則課税・2割特例を比較する売上と仕入の金額から、方式ごとの消費税の納付額の違いを試算できます。計算する
札幌の12月決算法人が確認しておきたいこと
書面の提出先と地方税の負担
2026年7月10日から、市内5つの税務署の内部事務は札幌業務センターに集約されました。書面で提出する申告書は〒060-8510 札幌市中央区大通西10丁目 札幌第2合同庁舎の同センターへ郵送し、e-Taxでの提出や窓口への持参は所轄の税務署で受け付けます。所轄の税務署は本店の所在地で決まり、中央区は東西で管轄が分かれるため、国税庁の管轄区域表で確認します。
法人市民税(札幌市)の法人税割は6.0%(資本金1億円以下かつ法人税額1,000万円以下)か8.2%、法人道民税の法人税割は1.0%か1.8%です。均等割は、資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の法人でも道2万円と市5万円の年7万円がかかり、赤字でも納めます。
1月の償却資産申告は、令和9年度分から免税点が150万円から180万円に引き上げられます。
決算前にそろえる書類と見落としやすいポイント
決算を2月に慌てず進めるため、12月中に次の資料をそろえ始めます。
- 売上・仕入の請求書と入金記録
- 預金通帳(12月31日の残高)と借入金の返済予定表
- 経費の請求書・領収書(電子データで受け取ったものは電子データのまま保存)
- 固定資産の取得・売却・除却の資料
- 棚卸表(在庫の数量と金額)
- 決算賞与を出す場合は、従業員への通知の記録
| 見落としやすい点 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 12月31日〜1月3日は金融機関の休業日 | 月末払いの振込が年明けにずれ、預金残高と未払金が合わなくなる | 支払日を前倒しするか、未払金として計上する |
| 棚卸と年末の営業が重なる | 在庫の確定が翌年にずれ込む | 担当者と数え方を事前に決め、12月31日までの入出庫を加減して確定する |
| 資金の山が重なる | 年末調整の還付・徴収、賞与、納税資金が12月〜3月に集中する | 資金繰り表で12月〜3月の入出金を先に確認する |
| 決算書ができてから対策を考える | 対策を検討する時間そのものが足りなくなる | 毎月の試算表で、10月頃に着地見込みを立てる |
| 12月分の社会保険料の計上漏れ | 翌年1月末に納付する12月分の事業主負担分が費用から漏れる | 未払費用として当期に計上する |
対策を無理なく進める土台は、試算表を毎月更新し、秋の段階で着地見込みを共有しておくことです。当事務所は決算・申告だけのスポットのご依頼はお受けしておらず、月次の試算表から決算・申告までを継続的な会計・税務顧問で支援しています。
よくある質問
12月決算から別の決算月に変えることはできますか?
できます。定款を変更して(株式会社は株主総会の特別決議)事業年度を変え、税務署・北海道・市町村に異動届出書を提出します。変更する年は事業年度が12か月未満になり、その期間についても申告が必要です。繁忙期や在庫が少ない時期に合わせて決算月を選び直す方法もあります。
申告期限に遅れるとどうなりますか?
期限後申告となり、納める税額に応じて無申告加算税(原則15%、50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%)と延滞税がかかります。2事業年度続けて期限内に申告しないと青色申告の承認を取り消されることがあり、欠損金の繰越しなどが使えなくなるおそれがあります。
年末に車や設備を買えば、決算対策になりますか?
12月31日までに納車・設置して事業に使い始めれば、減価償却費は当期の費用になります。ただし使い始めた月からの月割りになるため、年末に買っても当期に費用にできるのは一部です。必要な時期に必要なものを買うのが原則で、40万円未満の資産なら少額減価償却資産の特例で全額を費用にできる場合があります。
12月決算のメリット・デメリットは何ですか?
暦年と事業年度が一致するため、年末調整や償却資産申告の基準日と決算の数字をそろえやすい点がメリットです。一方で、年末年始の休業と決算・年末調整・法定調書が重なり、12月〜3月に事務と資金の負担が集中する点がデメリットです。
まとめ
12月決算法人の申告・納付期限は原則として翌年2月末日で、2026年12月期は2027年3月1日(月)です。決算対策は12月31日までに実行と事業での使用開始を済ませ、納税額の試算と資金繰りから必要なものだけを選びます。2026年12月期は消費税の2割特例の最後の年、2027年12月期は防衛特別法人税の最初の年にあたるため、秋のうちに着地見込みと翌期の方針をあわせて確認しておきましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
12月決算の申告・決算対策のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
