相続・贈与・譲渡・株価の期限と税率の早見表、用語集、ガイド全ページの「よくある質問」、制度改正の履歴をまとめた索引ページです。
相続税・贈与税 総合ガイド|用語・早見表
期限と税率はまずこのページの早見表で確認し、詳しい内容は各章に戻って読んでください。用語集は絞り込み検索ができます。
期限の早見表
このガイドに出てくる期限を、相続が起きてから数える期限と、制度そのものの期限(適用期限・経過措置)に分けて一覧にしました。各行から詳しい章に進めます。
この章の結論
- 相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。準確定申告は4か月以内、相続放棄・限定承認は知った時から3か月以内です。
- 知った日(通常は亡くなった日)が月の末日なら、期限は最後の月の末日です(例:9月30日→翌年7月31日)。国税の期限が土曜・日曜・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります。
- 2026年(令和8年)10月時点で期限が近い制度は、住宅取得等資金の贈与の非課税(2026年12月31日)、結婚・子育て資金の一括贈与(2027年(令和9年)3月31日)、特例承継計画の提出(2027年9月30日)、空き家の3,000万円控除と事業承継税制の特例措置(2027年12月31日)です。
相続が起きてから数える期限
相続が起きた後の主な期限を、おおむね短い順に並べました。「起算点」は数え始める日で、手続ごとに異なります。年金・保険金などの手続は死亡後の手続一覧も参照してください。
| 手続 | 期限 | 起算点 | 根拠 | 詳しい章 |
|---|---|---|---|---|
| 死亡届 | 7日以内(国外で亡くなった場合は3か月以内) | 死亡の事実を知った日 | 戸籍法86条1項 | 死亡後の手続一覧 |
| 年金受給権者死亡届 | 厚生年金10日以内、国民年金14日以内(日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は原則不要) | 死亡 | 厚生年金保険法98条4項、国民年金法施行規則24条 | 死亡後の手続一覧 |
| 世帯主変更届 | 14日以内 | 変更があった日 | 住民基本台帳法25条 | 死亡後の手続一覧 |
| 相続放棄・限定承認 | 3か月以内 | 自己のために相続の開始があったことを知った時 | 民法915条 | 相続放棄・限定承認 |
| 準確定申告 | 4か月以内(4か月を経過した日の前日まで) | 相続の開始を知った日の翌日 | 所得税法125条1項 | 準確定申告 |
| 事業承継税制の認定申請(相続) | 5か月を経過した後〜8か月以内 | 相続開始の日の翌日 | 経営承継円滑化法施行規則7条 | 事業承継税制 |
| 相続税の申告・納付 | 10か月以内(延納・物納の申請も同じ期限まで) | 相続の開始を知った日の翌日 | 相続税法27条1項・33条 | 申告までの10か月 |
| 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例のための遺産分割 | 申告期限から3年以内(分割見込書を添付)。やむを得ない事情があれば、3年を経過する日の翌日から2か月以内に承認申請 | 申告期限 | 相続税法19条の2、措置法69条の4 | 未分割のときの申告 |
| 分割後などの更正の請求 | 4か月以内 | 分割などの事由が生じたことを知った日の翌日 | 相続税法32条1項 | 修正申告・更正の請求 |
| 相続登記 | 3年以内(2024年(令和6年)4月1日より前の相続は、2027年3月31日と知った日から3年のいずれか遅い日まで) | 相続の開始と所有権の取得を知った日 | 不動産登記法76条の2 | 相続登記の義務化 |
| 取得費加算の特例・金庫株のみなし配当の特例(相続財産を売る) | 3年を経過する日まで(目安は相続開始から3年10か月) | 申告期限の翌日 | 措置法39条・9条の7 | 取得費加算、金庫株 |
| 空き家の3,000万円控除(売る) | 3年を経過する日の属する年の12月31日まで(かつ2027年12月31日までの譲渡) | 相続開始日(亡くなった日を1日目として数える) | 措置法35条3項 | 空き家の3,000万円控除 |
| 遺留分侵害額の請求 | 1年/10年 | 相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時/相続開始の時 | 民法1048条 | 遺留分 |
| 特別寄与料の請求(家庭裁判所) | 6か月/1年 | 相続の開始と相続人を知った時/相続開始の時 | 民法1050条2項 | 特別寄与料 |
| 更正の請求(一般) | 5年以内 | 法定申告期限 | 国税通則法23条1項 | 修正申告・更正の請求 |
| 相続時精算課税の還付申告 | 5年を経過する日まで | 相続開始の日の翌日 | 相続税法27条3項 | 精算課税の精算と還付 |
| 具体的相続分による遺産分割 | 10年(過ぎると原則として特別受益・寄与分を主張できない。2023年(令和5年)4月1日より前の相続は猶予期間があるとされています) | 相続開始の時 | 民法904条の3 | 遺産分割と10年の期間制限 |
期限の数え方:「翌日から」と月末のルール
相続税の申告期限は、知った日の翌日を1日目として数えます。1月6日に亡くなった(知った)場合は、1月7日から10か月後の応当日(11月7日)の前日、11月6日が期限です。月の期間は暦に従って数えるため、月ごとの日数の違いは関係ありません(国税通則法10条1項、民法140条・143条)。
知った日(通常は亡くなった日)が月の末日なら、期限は最後の月の末日です(国税通則法10条1項、民法143条)。9月30日に亡くなった場合は翌月1日から数え始め、最後の月を丸ごと数えるため、相続税の申告期限は7月30日ではなく翌年7月31日、準確定申告は翌年1月31日です。相続放棄の3か月も、月単位で数える点は同じです。
国税(相続税・準確定申告など)の期限が土曜・日曜・祝日などに当たるときは、翌日が期限です(国税通則法10条2項)。民法や登記の期限は、手続ごとに起算点と数え方を確認してください。休日に当たる場合の扱いは、提出先(相続放棄なら家庭裁判所)に確認します。「知った日」が相続人ごとに違えば、期限も違います。
計算例:亡くなった日(同じ日に知った)から期限を求める
例1:2026年6月9日に亡くなった場合
| 手続 | 期限 | 考え方 |
|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認 | 2026年9月9日(水) | 6月10日から3か月 |
| 準確定申告 | 2026年10月9日(金) | 6月10日から4か月を経過した日(10月10日)の前日 |
| 相続税の申告・納付 | 2027年4月9日(金) | 6月10日から10か月 |
| 取得費加算の特例で売る期限 | 2030年(令和12年)4月9日(火) | 申告期限の翌日以後3年を経過する日 |
| 空き家の3,000万円控除で売る期限 | 2027年12月31日(金) | 3年基準では2029年(令和11年)12月31日だが、適用期限が先 |
例2:2026年9月30日に亡くなった場合
相続税:10月1日から10か月→2027年7月31日(最後の月の末日)。7月31日は土曜日のため、期限は8月2日(月)
準確定申告:10月1日から4か月→2027年1月31日。日曜日のため、期限は2月1日(月)
答え:例1の相続税の申告期限は2027年4月9日(金)で、取得費加算の期限(2030年4月9日)の起点にもなります。例2の申告期限は、月末と土日のルールが重なり2027年8月2日(月)です。
制度・特例の期限(2026年10月17日時点)
制度そのものの期限・経過措置を日付順に並べました。令和9年度税制改正大綱は2026年12月に決まる予定で、要望段階のものは延長・廃止などが未確定です。
| 期限・時期 | 制度・特例 | 2026年10月時点 | 詳しい章 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月31日(拠出) | 教育資金の一括贈与の非課税 | 新規適用終了同日までの拠出分は従前どおり | 教育資金・結婚子育て資金 |
| 2026年12月31日(贈与) | 住宅取得等資金の贈与の非課税(省エネ等住宅1,000万円・その他500万円)と、同資金の相続時精算課税の特例 | 期限あり令和8年度改正での延長なし。国土交通省が「所要の措置」を要望 | 住宅取得等資金の非課税 |
| 2026年12月31日(相続) | 生前贈与加算が「3年」となる相続の最後の日(2027〜2030年の相続は2024年1月1日以後の贈与、2031年(令和13年)以後は7年) | 施行中 | 生前贈与加算 |
| 2027年1月1日 | 防衛特別所得税(所得税額の1%)を2027年分から課税。復興特別所得税は1.1%に下げて2047年(令和29年)分まで(合計は不変) | 成立・施行待ち | 譲渡所得の仕組み |
| 2027年1月1日(予定) | 貸付用不動産・不動産小口化商品の評価の見直し | 通達案意見公募は2026年10月18日締切、通達は未制定 | 2027年からの評価見直し |
| 2027年3月31日(拠出) | 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税 | 期限あり廃止が要望段階 | 教育資金・結婚子育て資金 |
| 2027年3月31日 | 2024年4月1日より前の相続の相続登記(知った日から3年のほうが遅ければその日) | 施行中 | 相続登記の義務化 |
| 2027年3月31日(登記) | 相続登記の登録免許税の免税(100万円以下の土地、数次相続の中間の登記) | 期限あり延長・拡充が要望段階 | 相続登記の義務化 |
| 2027年6月まで(政令で定める日) | 自筆証書遺言の押印の任意化など(令和8年法律第45号)。保管証書遺言の創設は2029年6月までの政令で定める日 | 成立・施行待ち | 遺言の種類と作り方 |
| 2027年9月30日 | 法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出 | 期限あり | 事業承継税制 |
| 2027年12月31日(贈与・相続) | 法人版事業承継税制(特例措置)の最初の贈与・相続 | 期限あり抜本見直しが要望段階 | 事業承継税制 |
| 2027年12月31日(譲渡) | 空き家の3,000万円控除 | 期限あり4年延長が要望段階 | 空き家の3,000万円控除 |
| 2027年12月31日(譲渡) | 居住用財産の買換え・交換の特例、居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除 | 期限あり | その他の特例 |
| 2028年(令和10年)3月31日 | 2026年4月1日より前の住所等の変更の変更登記 | 施行中 | 相続登記の義務化 |
| 2028年9月30日 | 個人版事業承継税制の個人事業承継計画の提出 | 期限あり | 事業承継税制 |
| 2028年12月31日 | 個人版事業承継税制の贈与・相続、低未利用土地等の100万円特別控除(譲渡) | 期限あり | 事業承継税制、その他の特例 |
| 2029年3月31日(譲渡) | 特定の事業用資産の買換え(国内の土地建物等への買換え。原則は2029年12月31日) | 期限あり | その他の特例 |
| 2029年12月31日 | 認定医療法人の移行計画の認定(医療法人の持分に係る相続税・贈与税の納税猶予等) | 期限あり | ― |
贈与税(暦年課税・相続時精算課税)の申告は贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日、譲渡所得の確定申告は原則として翌年2月16日〜3月15日です。
よくある誤り
- 「相続税の申告期限は亡くなった日から10か月」→ 相続の開始を知った日の翌日から10か月です。月末に亡くなった場合は、同じ日付の10か月後ではなく最後の月の末日が期限です。
- 「取得費加算は相続から3年以内に売る」→ 申告期限の翌日以後3年を経過する日までで、目安は相続開始から3年10か月です。
他の税金との関係
- 相続税の申告期限は、相続財産を売るときの取得費加算の特例と、自社株を会社に売るときの金庫株のみなし配当の特例の期限の起点になります。
- 2026年中の相続は生前贈与加算が3年で、2027年以後の相続から加算期間が延びます(生前贈与加算)。
- 死亡日から期限を一覧にするツールは期限カレンダー、改正の状況は改正トラッカーにあります。
専門家向け:根拠と実務論点
- 期間の計算:国税通則法10条1項(1号:初日不算入、2号:暦に従う、3号:月の始めから起算しないときは最後の月の応当日の前日に満了、応当日がなければその月の末日)。民法140条・143条も同じ構造です。月の末日に知った場合は起算日が翌月1日となり、最後の月の末日に満了します。
- 応当日がない例:4月29日に知った場合、起算日は4月30日で、10か月後の2月には30日がないため、2月の末日が相続税の申告期限になります(3号ただし書)。
- 休日:国税通則法10条2項。国税庁は期限が土曜日に当たる例として、2027年4月10日(土)が4月12日(月)になる例を示しています。
- 準確定申告は「知った日の翌日から4月を経過した日の前日」(所得税法125条1項)、相続税は「知った日の翌日から10月以内」(相続税法27条1項)。特別寄与料を受けた人の申告期限は、額が確定したことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法29条1項)。
- 申告期限が休日で延びた場合に、取得費加算(措置法39条)・金庫株の特例(措置法9条の7)の期限を延長後の日から数えられるかは確認が必要なため、余裕をもって譲渡します。土曜日に当たる事業承継税制の期限(2028年1月15日・9月30日)も、延長が及ぶかを都道府県に確認します。
税率・控除額の早見表
相続税・贈与税・譲渡所得の税率と主な控除額、財産評価でよく使う割合を、2026年(令和8年)10月17日時点の法令で一覧にしました。数字を確かめる索引として使い、適用の要件はリンク先の章で確認してください。
この章の結論
- 相続税は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた部分に10%〜55%の税率がかかります。生命保険金と死亡退職金には、それぞれ500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。
- 贈与税は、暦年課税なら年110万円の基礎控除と10%〜55%の税率です。相続時精算課税なら年110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除があり、超えた部分は一律20%です。
- 土地建物の譲渡所得は長期20.315%・短期39.63%で、2027年(令和9年)分以後も同じです。財産評価では小規模宅地等の80%・50%減、借家権割合30%、自社株の38%などを使います。
相続税:基礎控除・非課税枠・税額控除
基本の数字は、令和8年度税制改正でも変わっていません。法定相続人の数は相続放棄がなかったものとして数え、養子は実子がいれば1人、いなければ2人までです。
| 項目 | 金額・算式 | 主な条件・目安 | 詳しい章 |
|---|---|---|---|
| 遺産に係る基礎控除 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数 | 1人3,600万円、2人4,200万円、3人4,800万円、4人5,400万円、5人6,000万円 | 基礎控除 |
| 生命保険金・死亡退職金の非課税 | それぞれ500万円×法定相続人の数 | 相続人が受け取った分だけ(放棄した人は使えない)。退職金は死亡後3年以内に支給額が確定したもの | みなし相続財産 |
| 配偶者の税額軽減 | 1億6,000万円と法定相続分相当額の多い方まで税額なし | 配偶者が実際に取得した財産が対象。税額0円でも申告が必要 | 配偶者の税額軽減 |
| 未成年者控除 | 10万円×18歳になるまでの年数 | 1年未満は切上げ。引ききれない分は扶養義務者の税額から控除 | 未成年者控除 |
| 障害者控除 | 10万円(特別障害者は20万円)×85歳になるまでの年数 | 国内に住所がある法定相続人 | 障害者控除 |
| 相続税額の2割加算 | 税額×20%を加算 | 配偶者と1親等の血族(代襲相続人の孫を含む)以外。孫養子は原則として加算 | 2割加算 |
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | なし |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超〜2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超〜3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超〜6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
計算例:課税価格の合計1億円、相続人が配偶者と子2人の場合の相続税の総額
法定相続分(配偶者2分の1、子は各4分の1)どおりに分けたと仮定して、速算表を当てはめます。
基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
課税遺産総額:1億円−4,800万円=5,200万円
配偶者:5,200万円×1/2=2,600万円 → 2,600万円×15%−50万円=340万円
子1人:5,200万円×1/4=1,300万円 → 1,300万円×15%−50万円=145万円
相続税の総額は、340万円+145万円×2人=630万円です。実際の納税額は、この総額を取得した割合で分け、配偶者の税額軽減などを差し引いて決まります。
贈与税:暦年課税の速算表
暦年課税は、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計から110万円を引き、速算表を当てはめます。1月1日に18歳以上の人が父母・祖父母などの直系尊属から受けた贈与は特例税率、それ以外(夫婦間・義父母からなど)は一般税率です。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | なし |
| 200万円超〜300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 300万円超〜400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 400万円超〜600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 600万円超〜1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,000万円超〜1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 1,500万円超〜3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | なし |
| 200万円超〜400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円超〜600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 600万円超〜1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,000万円超〜1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 1,500万円超〜3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 3,000万円超〜4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
計算例:1年間に500万円の贈与を受けた場合
一般税率:(500万円−110万円)×20%−25万円=53万円
特例税率:(500万円−110万円)×15%−10万円=48.5万円
1月1日に18歳以上の子・孫が父母や祖父母から受けた場合は48.5万円、それ以外の贈与なら53万円です。
贈与税:相続時精算課税と非課税の特例
| 制度 | 控除額・非課税額 | 主な条件 | 期限・状態 |
|---|---|---|---|
| 暦年課税の基礎控除 | 年110万円 | 受け取った人1人につき | 期限なし |
| 相続時精算課税 | 基礎控除(年110万円)と特別控除(累計2,500万円)、超えた部分は20% | 60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫へ(1月1日で判定)。選ぶと暦年課税に戻せない | 基礎控除は2024年(令和6年)1月1日以後の贈与から施行中 |
| 贈与税の配偶者控除 | 2,000万円(基礎控除と合わせて2,110万円) | 婚姻期間20年以上、居住用不動産かその取得資金、同じ配偶者からは一生に一度 | 期限なし |
| 住宅取得等資金の非課税 | 省エネ等住宅1,000万円、その他500万円 | 18歳以上の子・孫、その年の合計所得金額2,000万円以下など | 2026年12月31日までの贈与期限あり |
| 教育資金の一括贈与 | 1,500万円 | 30歳未満の子・孫など | 2026年3月31日の拠出まで新規適用終了 |
| 結婚・子育て資金の一括贈与 | 1,000万円(うち結婚関係300万円) | 18歳以上50歳未満の子・孫など | 2027年3月31日の拠出まで期限あり |
配偶者控除と住宅取得等資金は、税額0円でも申告が必要です。住宅取得等資金と結婚・子育て資金の期限後の扱いは、令和9年度税制改正の要望が出ており、2026年12月の大綱で決まる予定です要望段階。
譲渡所得:税率と主な特別控除
土地・建物と株式等の譲渡所得は、給与などと分けて計算します。土地・建物は売った年の1月1日に所有期間5年超なら長期で、2026年中の譲渡なら2020年(令和2年)12月31日以前の取得が長期です。相続や贈与で取得した資産は、亡くなった人・贈与した人の取得日を引き継ぎます。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 2026年分まで | 2027年分以後 |
|---|---|---|---|---|
| 土地建物の長期譲渡所得 | 15% | 5% | 20.315% | 20.315% |
| 土地建物の短期譲渡所得 | 30% | 9% | 39.63% | 39.63% |
| 居住用財産の軽減税率(所有期間10年超、6,000万円以下の部分) | 10% | 4% | 14.21% | 14.21% |
| 同(6,000万円を超える部分) | 15% | 5% | 20.315% | 20.315% |
| 優良住宅地等のための譲渡(2,000万円以下の部分) | 10% | 4% | 14.21% | 14.21% |
| 株式等の譲渡所得(上場株式等・一般株式等) | 15% | 5% | 20.315% | 20.315% |
2026年分までは所得税額の2.1%の復興特別所得税が上乗せされます。2027年分以後は防衛特別所得税1%成立・施行待ちと復興特別所得税1.1%(2047年(令和29年)分まで)の合計2.1%になり、合計の税率は変わりません。
長期譲渡所得(2027年分以後):所得税15%+防衛特別所得税0.15%+復興特別所得税0.165%+住民税5%=20.315%
| 特例 | 控除額 | 主な要件 | 期限・注意 |
|---|---|---|---|
| 居住用財産(マイホーム) | 最高3,000万円 | 住んでいた家屋と敷地。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡。親子・夫婦などへの譲渡は対象外 | 期限なし |
| 被相続人の居住用財産(空き家) | 最高3,000万円(家屋と敷地を取得した相続人が3人以上なら各2,000万円) | 1981年(昭和56年)5月31日以前の建築、区分所有登記なし、譲渡対価1億円以下など | 2027年12月31日までの譲渡期限あり |
| 収用等 | 最高5,000万円 | 公共事業のための譲渡で、最初の買取り等の申出から6か月以内のものなど | 代替資産の特例とは選択 |
| 低未利用土地等 | 100万円 | 都市計画区域内、所有期間5年超、譲渡価額800万円以下(区域により500万円以下) | 2028年(令和10年)12月31日までの譲渡期限あり |
ほかに特定土地区画整理事業等の2,000万円、特定住宅地造成事業等の1,500万円などの特別控除があり、1年間の合計は5,000万円が限度です。所有期間10年超のマイホームは、3,000万円控除と軽減税率を併用できます。
財産評価:小規模宅地等の特例と貸家建付地
| 区分 | 相続開始直前の主な使い方 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 亡くなった人などの自宅の敷地 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 亡くなった人などの事業(貸付けを除く)の敷地 | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 一定の同族会社の事業(貸付けを除く)に使われていた敷地 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | アパートや舗装された貸駐車場など、貸付事業の敷地 | 200㎡ | 50% |
「亡くなった人など」は、生計を一にしていた親族を含みます。建物や構築物のない青空駐車場は対象外です。
評価額1億円の自宅の敷地(330㎡以内)なら、80%減で2,000万円になります。特定居住用と特定事業用等は併用でき、合計730㎡までです。貸付事業用を含めるときは、次の算式で調整します。
特定事業用等の面積×200/400+特定居住用の面積×200/330+貸付事業用の面積の合計が200㎡以下
人に貸している土地・建物は、借り手の権利の分だけ評価が下がります。借家権割合は30%、借地権割合は路線価図の記号でA(90%)からG(30%)までです。
借地権=自用地としての価額×借地権割合
貸宅地(底地)=自用地としての価額×(1−借地権割合)
貸家建付地=自用地としての価額×(1−借地権割合×借家権割合30%×賃貸割合)
貸家=自用家屋の価額(固定資産税評価額×1.0)×(1−借家権割合30%×賃貸割合)
自用地1億円、借地権割合60%、満室のアパートの敷地なら、1億円×(1−0.6×0.3×1.0)=8,200万円で、18%の減額です。
非上場株式:会社規模・Lの割合・斟酌率
同族株主などが取得した自社株は、会社規模に応じて類似業種比準価額と純資産価額を組み合わせて評価します。従業員70人以上は大会社で、70人未満は総資産価額・従業員数・取引金額で判定します。
| 会社規模 | 評価額の計算 | Lの割合 | 斟酌率 |
|---|---|---|---|
| 大会社 | 類似業種比準価額(純資産価額の方が低ければ純資産価額) | 使わない | 0.7 |
| 中会社の大 | 類似業種比準価額×L+純資産価額×(1−L) | 0.90 | 0.6 |
| 中会社の中 | 同上 | 0.75 | 0.6 |
| 中会社の小 | 同上 | 0.60 | 0.6 |
| 小会社 | 純資産価額(類似業種比準価額×0.50+純資産価額×0.50も選べる) | 0.50 | 0.5 |
類似業種比準価額(1株50円当たり)=類似業種の株価×(配当・利益・純資産の比準割合の合計÷3)×斟酌率
法人税額等相当額=(相続税評価額による純資産価額−帳簿価額による純資産価額)×38%
38%は2026年4月1日以後の相続・遺贈・贈与で取得した株式に使い、3月31日以前の取得は37%です施行中。取得者のグループの議決権が50%以下なら、中会社・小会社などの純資産価額は80%で評価します。
同族株主等以外が取得した株式は配当還元方式(年配当金額÷10%×1株当たりの資本金等の額÷50円。年配当金額は最低2円50銭)です。評価方法の見直しは国税庁の有識者会議で議論されていますが検討中、2026年10月時点は現行の通達で評価します。
よくある誤り
- 相続税の速算表は、遺産総額や各人の取得額ではなく「法定相続分に応ずる取得金額」に当てはめます。
- 相続時精算課税の110万円は受贈者1人につき年110万円で、父と母の両方から受けても合計110万円を按分します。暦年課税の110万円とは別枠です。
- 「2027年から譲渡所得の税率が上がる」は誤りです。内訳が変わるだけで、合計の税率は同じです。
- 貸家建付地の減額は30%ではなく、借地権割合60%・満室なら18%です。斟酌率とLの割合も別の数字です。
他の税金との関係
- 相続税がかかった人が、相続した土地を相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売ると、取得費加算で譲渡所得が減ります(空き家の特別控除とは選択):相続税の取得費加算の特例
- 暦年課税の贈与は、相続開始前3年以内(2027年以後の相続は段階的に最長7年)の分が相続税に足し戻されます:生前贈与加算(7年加算)
- 自社株を法人に売るときの所得税の時価は、相続税評価額と計算が異なります:所得税・法人税上の時価
専門家向け:根拠と実務論点
主な根拠
- 相続税:相続税法12条1項6号・7号(保険金・退職手当金の非課税)、15条・16条(基礎控除・税率)、18条(2割加算)、19条の2〜19条の4(配偶者の税額軽減・未成年者控除・障害者控除)。
- 贈与税:措置法70条の2・70条の2の4・70条の2の5、相続税法21条の6・21条の7・21条の9〜21条の16。譲渡所得:措置法31条〜32条・33条の4・35条・35条の3・36条・37条の10・37条の11、防衛財確法。財産評価:措置法69条の4、評基通25〜27・93・178〜180・185・186-2・188-2。
端数処理と実務の注意
- 相続税の課税価格は千円未満を切り捨てます(相基通16-2)。法定相続分に応ずる取得金額の千円未満と総額の百円未満は、切り捨ててよいとされています(同16-3)。贈与税は控除後の課税価格の千円未満と税額の百円未満を切り捨てます(相基通21の2-5・21の7-1)。
- 申告要否は小規模宅地等の特例の適用前の金額で判定します。特例と配偶者の税額軽減は、税額0円でも申告が要件です。
- 精算課税の基礎控除は受贈者ごとで、同年に複数の特定贈与者がいれば課税価格の比で按分します(相基通21の11の2-2)。
- 38%(評基通186-2)は経過措置の明文がなく、取得日で37%と使い分けます。借地権の取引慣行がない地域の貸宅地は、借地権割合20%として控除します(評基通25(1))。
用語集
このガイドに出てくる相続税・贈与税・譲渡所得・株式評価の用語を、五十音順に206語まとめました。
この章の結論
- 説明は2026年(令和8年)10月17日時点の法令・通達によります。改正・期限・検討中の制度には、状態を示すラベルを付けています。
- 同じ言葉でも、民法と相続税法、財産評価と小規模宅地等の特例とで、意味や判断の基準が違うものがあります。章の最後の対比表で確認できます。
- 説明は要点だけです。要件・例外・計算は、説明の末尾のリンク先の章で確認してください。
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この用語集の使い方
用語は五十音順で、濁音・半濁音は清音と同じ位置です。数字や英字で始まる用語は読みの位置に置いています(「2割加算」は「に」、「Lの割合」は「え」)。「遺言」は「いごん」の位置です。
章の冒頭の「用語を探す」欄で絞り込むこともできます。説明の末尾の「→」は、その用語を詳しく説明している章へのリンクです。
改正や期限のある制度には、2026年10月17日時点の状態を次のラベルで示しています。
- 施行中現在適用されている制度
- 成立・施行待ち法律などは成立し、適用はこれから
- 通達案案の公表・意見公募の段階
- 検討中有識者会議などで検討中の段階
- 要望段階税制改正要望の段階(未確定)
- 新規適用終了期限が過ぎ、新たな適用ができない制度
- 期限あり適用期限がある特例(期限は説明に記載)
あ行・か行の用語
あ行
- 青空駐車場
- 舗装などの構築物がない駐車場で、小規模宅地等の特例は使えません。アスファルト舗装などがあれば貸付事業用宅地等になり得ます。→貸付事業用宅地等
- 空き家の3,000万円特別控除
- 被相続人が一人で住んでいた家(1981年(昭和56年)5月31日以前の建築)と敷地を相続し、耐震改修か取壊しをして売ったときの特例です期限あり。最高3,000万円(家屋と敷地を取得した相続人が3人以上なら各2,000万円)を控除できます。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年(令和9年)12月31日までの、1億円以下の譲渡が対象です。2024年(令和6年)以後は、買主が売った翌年2月15日までに行う改修・取壊しも認められます。→空き家の3,000万円控除
- 暗号資産の評価
- 活発な市場がある暗号資産は、相続人などが取引する暗号資産交換業者が公表する課税時期の取引価格で評価するとされています。→保険・暗号資産など
- 家なき子
- 配偶者も同居の相続人もいない被相続人の自宅の敷地を、別居の親族が取得したときに特定居住用宅地等とする要件です。相続開始前3年以内に、自分・配偶者・三親等内の親族などの持ち家に住んでいないことなどが必要です。→家なき子特例
- 遺言
- 死後の財産の分け方などを定める意思表示で、民法の方式に従って作ります。主な方式に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。→遺言の種類と作り方
- 遺言執行者
- 遺言の内容を実現するため、相続財産の管理など必要な一切の行為をする人です。遺言執行者がいれば、遺贈の履行は遺言執行者だけが行えます。→遺言がある場合の手続
- 遺産分割
- 共同相続人が遺産を誰が取得するかを決めることです。協議がまとまらなければ、家庭裁判所の調停・審判で決めます。→遺産分割
- 遺産分割協議書
- 遺産分割の内容をまとめた書面で、相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を付けるのが実務です。相続登記や、配偶者の税額軽減などの特例の申告に使います。→遺産分割協議書
- 遺贈
- 遺言で財産を無償で与えることです。遺産の全部や割合で与える包括遺贈と、特定の財産を与える特定遺贈があり、どちらも相続税の対象です。→遺言がある場合の手続
- 一物多価
- 同じ財産でも、相続税・贈与税、所得税、法人税で時価の求め方が異なり、複数の価額がつくことです。→交差点と一物多価
- 一般贈与財産
- 特例贈与財産以外の贈与財産で、一般税率で計算します。夫婦間や兄弟姉妹間の贈与、18歳未満の子が親から受けた贈与などです。→暦年課税の計算
- 遺留分
- 兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限の取り分です。全体で遺産の2分の1(直系尊属だけが相続人なら3分の1)で、これに各人の法定相続分を掛けます。→遺留分
- 遺留分侵害額請求
- 遺留分を侵害された相続人が、侵害額に相当する金銭の支払を求めることです。知った時から1年、相続開始から10年で請求できなくなります。→遺留分
- Lの割合
- 中会社の株式を類似業種比準価額と純資産価額の併用で評価するときの、類似業種比準価額の割合で、0.90・0.75・0.60の3段階です。→会社規模ごとの評価額
- 延滞税
- 納期限までに納めなかった税に、日数に応じてかかる税です。2026年の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、それ以後が年9.1%です。→加算税・延滞税
- 延納
- 相続税を一度に納めるのが難しいときに、担保を出して年賦で納める制度で、期間は財産の構成に応じて最長5年から20年です。贈与税の延納は5年以内です。→納付・延納・物納
- 奥行価格補正
- 道路からの奥行の長さに応じて路線価を補正することです。普通住宅地区では奥行10m以上24m未満が1.00で、それより短くても長くても率が下がります。→路線価と基本の計算
- おしどり贈与
- 贈与税の配偶者控除の通称です。控除を受けた部分は、贈与者が亡くなっても生前贈与加算の対象になりません。→贈与税の配偶者控除
- 親子間の金銭の貸し借り
- 返済能力や返済の実績から本当の貸借と認められれば贈与になりません。無利子なら利子相当額が贈与とされることがあり、「出世払い」などは借入金そのものが贈与とされます。→親子間の貸借・売買
か行
- 概算取得費
- 取得費が分からない場合などに、売った金額の5%を取得費とする方法です。相続で取得した資産に使うと、相続人が払った登記費用は加算できません。→取得費と譲渡費用
- 会社規模(大会社・中会社・小会社)
- 非上場会社の規模の区分です。従業員70人以上なら大会社で、70人未満なら総資産価額(帳簿価額)・従業員数・取引金額で判定します。→会社規模の判定
- 家屋の評価
- 建物は1棟ごとに固定資産税評価額×1.0で評価します。建築中の家屋は、それまでに投下した費用の額(費用現価)の70%で評価します。→家屋・構築物
- かげ地割合
- 不整形地を囲む長方形(想定整形地)のうち、その土地以外の部分が占める割合です。割合が大きいほど不整形地補正率が下がります。→不整形地・無道路地など
- 貸宅地
- 借地権が設定されている土地(いわゆる底地)で、自用地としての価額から借地権の価額を差し引いて評価します。→貸家建付地・借地権
- 貸付事業用宅地等
- 被相続人等がアパートや駐車場などの貸付事業に使っていた宅地等で、200㎡まで評価額が50%減ります。相続開始前3年以内に新たに貸し付けた宅地は、原則として対象外です。→貸付事業用宅地等
- 貸付用不動産の評価見直し
- 課税時期前5年以内に購入・新築した賃貸用の不動産を、通常の取引価額で評価する案です通達案。2026年9月18日に国税庁が案を公表し、2027年1月1日以後の相続・贈与から適用予定です。→貸付用不動産の見直し
- 貸家
- 人に貸している建物で、固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)で評価します。借家人のいない空き家は、自用の家屋として評価します。→家屋・構築物
- 貸家建付地
- 自分の土地に建てたアパートなどを貸している場合の敷地です。自用地としての価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)で評価し、借地権割合60%で満室なら18%下がります。→貸家建付地・借地権
- 過少申告加算税
- 期限内に申告した税額が少なかった場合の加算税です。調査で更正を予知した後は10%(一定額を超える部分は15%)で、調査通知前の自主的な修正申告ならかかりません。→加算税・延滞税
- 課税遺産総額
- 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた残りで、相続税の総額を計算するもとになります。→相続税の総額
- 課税価格
- 相続税を計算するもとになる各人の金額です。取得財産にみなし相続財産や加算対象の贈与を加え、非課税財産と債務・葬式費用を引き、千円未満を切り捨てます。→課税価格の計算
- 課税時期
- 財産を評価する基準の日で、相続・遺贈は被相続人の死亡の日、贈与は財産を取得した日です。→財産評価の基本
- 家族信託(民事信託)
- 親(委託者)が子など(受託者)に財産を託し、受益者のために管理・処分してもらう仕組みです。受益者が信託財産を持つものとみなして課税されるため、原則として相続税は減りません。→家族信託・認知症対策
- 株式等保有特定会社
- 総資産価額(相続税評価額)の50%以上が株式等の会社で、原則として純資産価額で評価します。→特定の評価会社
- 簡易な接触
- 実地調査ではなく、文書・電話・来署依頼による面接で、申告漏れなどの是正を求める手法です。是正の際に加算税が課されることもあります。→税務調査の実態
- 換価分割
- 遺産を売って、その代金を相続人で分ける遺産分割の方法です。譲渡所得は、相続人それぞれに取得割合に応じて生じます。→換価分割・代償分割
- 期限後申告
- 申告期限を過ぎてから出す申告で、原則として無申告加算税がかかります。期限から1か月以内の自主的な申告などで一定の要件を満たせば、かかりません。→加算税・延滞税
- 基礎控除(相続税)
- 相続税がかからない枠で、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。小規模宅地等の特例などを使う前の課税価格の合計額がこれ以下なら、申告は要りません。→基礎控除と申告の要否
- 基礎控除(贈与税)
- 暦年課税では受贈者1人につき年110万円です。相続時精算課税にも、2024年1月1日以後の贈与から別枠で年110万円の基礎控除があります。→暦年課税の計算
- 教育資金の一括贈与
- 30歳未満の子・孫への教育資金を1,500万円まで非課税にした制度です新規適用終了。新規の適用は2026年3月31日で終わり、既存の契約が30歳到達などで終わると、残額に原則として贈与税がかかります。→教育資金・結婚子育て資金
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 自分が住んでいる家や敷地を売ったときに、譲渡所得から最高3,000万円を控除する特例です。住まなくなった家も、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象です。親子・夫婦などへの売却は対象外です。→マイホームの3,000万円控除
- 居住用の区分所有財産
- 分譲マンションの1室(区分所有権と敷地利用権)のことです。2024年1月1日以後の相続・贈与から、評価乖離率を使って評価額を補正します。→マンションの評価
- 寄与分
- 事業の手伝いや療養看護などで、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人の取り分を増やす制度です。→遺産分割
- 金庫株
- 会社が自社の株式を株主から買い取ること(自己株式の取得)の通称です。非上場株式を発行会社に売ると、原則として資本金等の額を超える部分がみなし配当になります。→金庫株とみなし配当の特例
- 具体的相続分
- 法定相続分に特別受益や寄与分を反映させた取り分です。相続開始から10年を過ぎた遺産分割では、原則として法定相続分で分けます(2023年(令和5年)4月1日施行)。施行前に始まった相続には、猶予期間があるとされています。→遺産分割
- 区分所有補正率
- マンションの評価額に掛ける補正率です。評価水準(1÷評価乖離率)が0.6未満なら評価乖離率×0.6、1を超えるなら評価乖離率とし、その間なら補正しません。→マンションの評価
- 軽減税率の特例(居住用財産)
- 所有期間が10年を超える自宅を売ったときに、課税長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分の税率を14.21%とする特例です。所有期間は売った年の1月1日で判定し、3,000万円特別控除と併用できます。→マイホームの3,000万円控除
- 結婚・子育て資金の一括贈与
- 18歳以上50歳未満の子・孫への結婚・子育て資金を、1,000万円(結婚関係は300万円)まで非課税にする制度です期限あり。2027年3月31日までの拠出が対象で、期限での廃止が要望されています要望段階。→教育資金・結婚子育て資金
- 原則的評価方式
- 同族株主などが取得した株式に使う評価方式で、会社規模に応じて類似業種比準方式・純資産価額方式やその併用で評価します。→評価方式の判定
- 限定承認
- 相続で得た財産の範囲でだけ債務を弁済する条件で相続する方法で、相続人全員で家庭裁判所に申述します。財産は時価で譲渡したものとみなされ、被相続人に譲渡所得が生じます。→相続放棄・限定承認
- 限度面積
- 小規模宅地等の特例を使える面積の上限です。貸付事業用宅地等を選ばなければ330㎡と400㎡の計730㎡まで、選ぶ場合は200㎡を基準に調整します。→限度面積と有利選択
- 検認
- 遺言書の偽造・変造を防ぐため、家庭裁判所で遺言書の状態を確認する手続です。遺言の有効・無効は判断しません。公正証書遺言と法務局保管の遺言書は不要です。→遺言がある場合の手続
- 公正証書遺言
- 証人2人以上の立会いのもと、公証人が作る遺言で、検認は不要です。2025年(令和7年)10月1日から、公証人が相当と認めればウェブ会議で手続でき、電子データでの作成もできます。→遺言の種類と作り方
- 更正の請求
- 申告した税額が多すぎたときに減額を求める手続で、相続税は原則として法定申告期限から5年以内です。遺産分割などの事由による4か月以内の特則もあります。→修正申告・更正の請求
- 国外財産調書
- 年末に5,000万円を超える国外財産を持つ居住者が、翌年6月30日までに税務署へ出す調書です。記載の有無で、相続税の加算税が5%軽減・加重されます。→納税義務者と国外財産
- 国外転出時課税
- 有価証券等を1億円以上持つ人が国外に転出する場合や、非居住者に贈与・相続で移る場合に、含み益に所得税を課す仕組みです。→株式の譲渡
- 個人版事業承継税制
- 個人事業者の事業用の宅地・建物・機械などを後継者が取得した場合の納税猶予制度です期限あり。2028年(令和10年)12月31日までの贈与・相続が対象で、特定事業用宅地等の小規模宅地等の特例とは選択です。→事業承継と承継手法
- 戸籍証明書等の広域交付
- 本籍地以外の市区町村の窓口で戸籍証明書を請求できる制度です(2024年3月1日から)。兄弟姉妹や代理人は利用できません。→相続人の調査
- 固定資産税評価額
- 市町村が固定資産税を課すために決める評価額です。家屋はこの額×1.0、倍率地域の土地はこの額×評価倍率で評価します。→土地評価の全体像
さ行・た行の用語
さ行
- 財産評価基本通達
- 相続税・贈与税で財産をどう評価するかを定めた国税庁の通達です。土地・建物・株式などの評価は、実務上これに沿って行います。→財産評価の基本
- 債務控除
- 被相続人の借入金や未納の税金など、死亡時にあった確実な債務を差し引くことです。墓地の未払代金や、団体信用生命保険で免除される住宅ローンは差し引けません。→債務控除と葬式費用
- 債務免除
- 借金の免除を受けたり、親に住宅ローンを肩代わり返済してもらったりした場合に、その金額を贈与とみなして課税するものです。→みなし贈与
- 残余利益方式
- 簿価純資産に、超過収益(残余利益)の現在価値を加えて株式を評価する考え方です。国税庁の有識者会議で採用が提案されている段階で、適用時期は示されていません検討中。→評価方法の見直し
- 山林
- 純山林・中間山林は倍率方式、市街地山林は宅地比準方式で評価し、面積は傾斜面積ではなく水平面積を使います。→農地・山林・原野
- 死因贈与
- 贈与する人の死亡によって効力が生じる贈与です。民法上は遺贈の規定が準用され、贈与税ではなく相続税の対象になります。→遺言がある場合の手続
- 時価
- 不特定多数の当事者間の自由な取引で、通常成立すると認められる価額です。相続税法は財産を取得時の時価で評価すると定めています。→財産評価の基本
- 事業承継税制(法人版)
- 後継者が取得した非上場株式の贈与税・相続税を、都道府県知事の認定などを条件に猶予し、一定の場合に免除する制度です。特例措置は、最初の贈与・相続が2027年12月31日までのものが対象です期限あり。→事業承継と承継手法
- 私道
- 行き止まりなど特定の人が通る私道は通常の評価額の30%で評価し、通り抜けできるなど不特定多数が通る私道は評価しません。→不整形地・無道路地など
- 自筆証書遺言
- 全文・日付・氏名を自書し、押印して作る遺言です。財産目録はパソコンでも作れます。押印を任意にする改正法は成立していますが、2026年10月時点では未施行です成立・施行待ち。→遺言の種類と作り方
- 自筆証書遺言書保管制度
- 法務局が自筆証書遺言の原本を保管する制度です。保管申請の手数料は3,900円で、家庭裁判所の検認が不要になります。→遺言の種類と作り方
- 死亡退職金
- 死亡後3年以内に支給額が確定した退職手当金などで、みなし相続財産になります。相続人が受け取った分は、500万円×法定相続人の数まで非課税です。→みなし相続財産
- 死亡保険金の非課税限度額
- 相続人が受け取った死亡保険金は、500万円×法定相続人の数まで非課税です。相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った保険金には使えません。→みなし相続財産
- 借地権
- 建物を所有するために他人の土地を借りる権利です。自用地としての価額×借地権割合(路線価図のAからGの記号で表示)で評価します。→貸家建付地・借地権
- 借家権割合
- 建物の価額のうち借家人の権利が占める割合で、国税局長が定めます。札幌国税局の2026年分は30%です。→貸家建付地・借地権
- 重加算税
- 財産を隠したり事実を偽ったりした部分にかかる加算税で、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%です。→加算税・延滞税
- 住所等変更登記の義務化
- 不動産の登記名義人の氏名や住所が変わったら、2年以内に変更登記を申請する義務です(2026年4月1日施行)施行中。施行前の変更は2028年3月31日が期限です。→相続登記の義務化
- 修正申告
- 申告した税額が少なかったときに、納税者が自分で正しい税額に直す申告です。調査通知の前に自主的に出せば、過少申告加算税はかかりません。→修正申告・更正の請求
- 住宅取得等資金の非課税
- 父母・祖父母から住宅取得のための金銭の贈与を受けた場合に、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで非課税になる特例です期限あり。2026年12月31日までの贈与が対象です。→住宅取得等資金
- 熟慮期間
- 相続放棄や限定承認をするかどうか決める期間で、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。家庭裁判所に期間の伸長を申し立てることができます。→相続放棄・限定承認
- 取得費
- 売った資産の購入代金や仲介手数料、設備費・改良費などで、建物は減価償却費相当額を差し引きます。→取得費と譲渡費用
- 取得費加算の特例
- 相続した財産を相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売ったときに、その財産に対応する相続税額を取得費に加えられる特例です。相続税額がない人(配偶者の税額軽減で0円になった人を含む)は使えません。贈与税額控除で納める額が0円になった人は、控除前の相続税額があれば使えます。→取得費加算の特例
- 取得費・取得時期の引継ぎ
- 相続や贈与で取得した資産を売るときは、被相続人や贈与者の取得費と取得時期を引き継ぎます。相続税評価額が取得費になるわけではありません。→取得費・取得時期の引継ぎ
- 準確定申告
- 年の途中で亡くなった人のその年の所得税を、相続人が申告することです。相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に申告します。→準確定申告
- 純資産価額方式
- 会社の資産と負債を相続税評価額で評価し直して、1株当たりの価額を出す方法です。含み益からは法人税額等相当額を差し引きます。→純資産価額方式
- 障害者控除
- 障害者である法定相続人の相続税額から、85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)を差し引く控除です。国内に住所がある人が対象です。→未成年者・障害者控除
- 小規模宅地等の特例
- 被相続人等の住まいや事業に使われていた宅地等の評価額を減らす特例です。特定居住用は330㎡、特定事業用等は400㎡まで80%、貸付事業用は200㎡まで50%減ります。→特例の全体像
- 使用貸借
- 土地などを無償で貸し借りすることで、固定資産税程度以下の負担なら使用貸借です。建物所有目的の使用貸借の権利は0円で、土地は自用地として評価します。→貸家建付地・借地権
- 自用地
- 他人の権利が付いていない土地です。貸宅地や貸家建付地は、自用地としての価額から権利の分を差し引いて評価します。→貸家建付地・借地権
- 譲渡所得
- 土地・建物・株式などを売ったときの所得です。土地・建物は収入金額から取得費・譲渡費用・特別控除額を差し引き、他の所得と分けて課税します。→譲渡所得の仕組み
- 譲渡費用
- 仲介手数料や、売るための測量費・建物の取壊し費用など、売るために直接かかった費用です。修繕費や固定資産税は含みません。→取得費と譲渡費用
- 除斥期間
- 税務署長が更正や決定をできる期間です。相続税は法定申告期限から5年、贈与税は6年で、偽りその他不正の行為があればいずれも7年です。→修正申告・更正の請求
- 所得税基本通達59-6
- 個人が法人に非上場株式を贈与・譲渡したときの時価の算定方法を定めた通達です。株主区分は譲渡直前の譲渡人の議決権で判定し、中心的な同族株主なら会社を小会社とみなします。→所得税・法人税の時価
- 書面添付制度
- 税理士が申告書の作成で計算・整理・相談した事項を書面にして、申告書に添付する制度です。実地調査の前に、税理士が意見を述べる機会が設けられます。→書面添付制度
- 所有不動産記録証明制度
- 登記名義人として記録されている不動産の一覧を法務局が証明する制度で、相続人も被相続人の分を請求できます(2026年2月2日開始)。→相続登記の義務化
- 申告期限後3年以内の分割見込書
- 申告期限までに遺産が分割されていないときに、申告書に添付する書類です。3年以内に分割すれば、更正の請求で配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。→未分割のときの申告
- 斟酌率
- 類似業種比準価額の計算で最後に掛ける割合で、大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5です。Lの割合とは別のものです。→類似業種比準方式
- 生計を一にする
- 日常の生活費を共通にしていることです。法律上の定義はなく、同じ建物に住んでいるかどうかではなく、生活の実態で判断されます。→生計一親族・二世帯住宅
- 生前贈与加算
- 相続などで財産を取得した人が被相続人から受けた暦年課税の贈与を、一定期間分だけ相続税の課税価格に加える仕組みです施行中。2026年中の相続では、3年以内の贈与が対象です。→生前贈与加算
- 成年後見人
- 判断能力を欠く人の財産を管理し、本人を代理する人で、家庭裁判所が選任します。相続人に該当者がいれば、成年後見人が遺産分割協議に参加します。→認知症・相続人不存在など
- 生命保険契約に関する権利
- 保険料を被相続人が負担し、まだ保険事故が起きていない生命保険契約の権利で、解約返戻金の額で評価します。→保険・暗号資産など
- セットバック
- 幅4m未満の道路に面し、建替えのときに道路として提供する必要がある部分で、通常の評価額の30%で評価します。→不整形地・無道路地など
- 葬式費用
- 葬式・火葬・納骨などの費用やお寺への読経料などのお礼は差し引けますが、香典返し・墓地や墓石の購入費・法事の費用は差し引けません。→債務控除と葬式費用
- 相次相続控除
- 前の相続から10年以内に次の相続があり、前の相続で今回の被相続人が相続税を納めていた場合に、今回の相続人の税額から差し引く控除です。→その他の税額控除
- 相続欠格・廃除
- 被相続人を故意に死亡させて刑に処せられた人や、遺言書を偽造した人などは、当然に相続権を失います(欠格)。虐待などをした推定相続人は、家庭裁判所の手続で相続権を失います(廃除)。→相続人と法定相続分
- 相続財産清算人
- 相続人のあることが明らかでない場合(全員が相続放棄した場合を含む)に、家庭裁判所が選任して相続財産を清算する人です。→認知症・相続人不存在など
- 相続時精算課税
- 60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選べる制度です。年110万円と累計2,500万円を超える部分に20%で課税し、相続時に精算します。一度選ぶと撤回できません。→相続時精算課税
- 相続時精算課税選択届出書
- 相続時精算課税を選ぶ受贈者が、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに出す届出書です。申告が不要な年でも提出が必要です。→相続時精算課税
- 相続税の申告期限
- 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内で、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に提出します。→全体スケジュール
- 相続税の総額
- 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して、速算表で計算した税額の合計です。これを実際の取得割合で各人に割り振ります。→相続税の総額
- 相続登記の義務化
- 相続で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります施行中。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前の相続は、2027年3月31日(知った日から3年のほうが遅ければその日)が期限です。→相続登記の義務化
- 相続土地国庫帰属制度
- 相続などで取得した土地を、承認を受けて国に引き取ってもらう制度です。審査手数料は1筆14,000円、負担金は原則20万円で、建物のある土地などは申請できません。→国庫帰属制度と空き家
- 相続人
- 民法で財産を受け継ぐ人で、配偶者は常に相続人となり、血族は子、直系尊属、兄弟姉妹の順です。相続を放棄した人は、死亡保険金の非課税などでいう相続人に含まれません。→相続人と法定相続分
- 相続人申告登記
- 相続が開始したことと自分が相続人であることを法務局に申し出る制度です。3年以内に申し出れば、相続登記の義務を果たしたものとみなされます。→相続登記の義務化
- 相続放棄
- 家庭裁判所への申述で、財産も債務も受け継がないことです。初めから相続人でなかったものとみなされます。遺産分割で何も取得しないことは、相続放棄に当たりません。→相続放棄・限定承認
- 総則6項
- 財産評価基本通達どおりの評価が著しく不適当な財産は、国税庁長官の指示を受けて評価するという定めです。最高裁令和4年4月19日判決は、借入金で購入したマンションについて、鑑定評価額による課税を認めました。→総則6項
- 相当の地代
- 借地権の権利金の代わりに支払う、土地の自用地価額のおおむね年6%程度の地代です。これを払っている借地権は、権利金などがなければ0円で評価します。→貸家建付地・借地権
- 贈与
- 財産を無償で与える契約で、民法上は相手の受諾によって成立するとされています。もらう側が知らないまま名義だけを移しても、贈与と認められないことがあります。→贈与の成立と時期
- 贈与税額控除(暦年課税分)
- 生前贈与加算で加えた贈与財産にかかっていた贈与税を、相続税額から差し引く控除です。引ききれなくても還付はありません。→その他の税額控除
- 贈与税の申告期限
- 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までで、受贈者の住所地の税務署に提出します。→贈与税の申告・納付
- 贈与税の配偶者控除
- 婚姻期間20年以上の配偶者から、居住用不動産やその取得資金の贈与を受けたときに、110万円とは別に最高2,000万円を控除できる特例です。同じ配偶者からは一生に一度で、税額が0円でも申告が必要です。→贈与税の配偶者控除
- 速算表
- 税率と控除額をまとめた表です。相続税は法定相続分に応ずる取得金額に、贈与税は基礎控除後の課税価格に当てはめます。→相続税の総額
- 側方路線影響加算
- 角地の評価で、側方の路線価に奥行価格補正率と加算率(普通住宅地区の角地は0.03)を掛けた額を加える調整です。→角地・二方路線など
た行
- 代襲相続
- 相続人となるはずの子や兄弟姉妹が、相続開始以前の死亡や欠格・廃除で相続権を失った場合に、その子が代わって相続することです。兄弟姉妹の系統は甥・姪までで、相続放棄は代襲の原因になりません。→相続人と法定相続分
- 代償分割
- 一部の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金などを支払う遺産分割の方法です。代償金は取得費にならず、自分の不動産を代償として渡すとその人に譲渡所得が生じます。→換価分割・代償分割
- 宅地比準方式
- 農地や山林などを、宅地であるとした場合の価額から宅地造成費を差し引いて評価する方法です。→農地・山林・原野
- 単純承認
- 財産も債務もすべて受け継ぐことです。3か月以内に相続放棄や限定承認をしなかった場合や、相続財産を処分した場合は、単純承認したものとみなされます。→相続放棄・限定承認
- 地積規模の大きな宅地
- 三大都市圏で500㎡以上、それ以外で1,000㎡以上などの要件を満たす宅地で、規模格差補正率を掛けて評価額を下げます。札幌市を含む北海道は1,000㎡以上が基準です。→地積規模の大きな宅地
- 中心的な同族株主
- 同族株主のうち、本人と配偶者・直系血族・兄弟姉妹・1親等の姻族などの議決権の合計が25%以上となる株主です。→評価方式の判定
- 長期譲渡所得・短期譲渡所得
- 土地・建物を売った年の1月1日に所有期間が5年を超えれば長期(税率20.315%)、5年以下なら短期(39.63%)です。相続した資産は被相続人の取得日から数えます。→譲渡所得の仕組み
- 調査通知
- 実地の調査を行うこと、調査の対象税目、対象期間を納税者に知らせることです。この通知の前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。→調査の流れと指摘点
- 賃貸割合
- 建物のうち課税時期に賃貸されている部分の床面積の割合です。継続して賃貸してきた部屋の一時的な空室は、賃貸中として扱えます。→貸家建付地・借地権
- 低額譲受け
- 個人から著しく低い価額で財産を買ったときに、時価との差額を贈与とみなすものです。土地・建物の時価は相続税評価額ではなく通常の取引価額です。→みなし贈与
- 定期贈与
- 最初に「10年間毎年100万円」のように総額や期間を約束した贈与です。約束した年に、定期金に関する権利の贈与として贈与税がかかります。→生前贈与の設計
- 同族株主
- 株主1人とその同族関係者の議決権の合計が30%以上(筆頭グループが50%超の会社では50%超)となる場合の、その株主と同族関係者です。→評価方式の判定
- 同族関係者
- 株主の親族(6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族)や、株主が支配する会社など、特殊の関係にある個人・法人です。→評価方式の判定
- 登録免許税(相続登記)
- 不動産の登記の際にかかる税で、所有権移転の税率は相続が0.4%、贈与が2%です。100万円以下の土地の相続登記などは、2027年3月31日まで免税です期限あり。→相続登記の義務化
- 特定居住用宅地等
- 被相続人等の住まいの敷地を、配偶者・同居親族・家なき子などが取得したもので、330㎡まで評価額が80%減ります。同居親族は申告期限まで住み続け、保有することが必要です。→配偶者と同居親族
- 特定事業用宅地等
- 被相続人等の事業(貸付事業を除く)に使われていた宅地等を、事業を引き継ぐ親族が取得したもので、400㎡まで評価額が80%減ります。→特定事業用宅地等
- 特定贈与者
- 相続時精算課税を選んだ受贈者から見た、その贈与者です。その人からの贈与は以後すべて精算課税となり、その人の相続時に精算します。→相続時精算課税
- 特定同族会社事業用宅地等
- 被相続人と親族などが株式の50%超を持つ法人に相当の対価で貸し、その法人が貸付事業以外の事業に使っていた宅地等です。申告期限にその法人の役員である親族が取得して持ち続ければ、400㎡まで評価額が80%減ります。→特定同族会社事業用
- 特定の評価会社
- 資産の構成などが特殊なため、原則として純資産価額で評価する会社です。株式等保有特定会社・土地保有特定会社・比準要素数1の会社など6類型があります。→特定の評価会社
- 特別縁故者
- 相続人がいない場合に、家庭裁判所の審判で相続財産の分与を受ける人です。分与された財産は遺贈で取得したものとみなされ、相続税の対象になります。→認知症・相続人不存在など
- 特別寄与料
- 相続人でない親族(長男の妻など)が、無償の療養看護などで特別の寄与をした場合に、相続人へ請求できる金銭です。受け取った額は遺贈で取得したものとみなされ、相続税の対象です。→配偶者居住権など
- 特別受益
- 相続人が受けた遺贈や、婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与です。遺産分割では、原則としてこれを持ち戻して各人の取り分を計算します。→遺産分割
- 特別代理人
- 親と未成年の子がともに相続人となる遺産分割など、利益が相反する場合に子を代理する人で、家庭裁判所が選任します。→認知症・相続人不存在など
- 特例承継計画
- 法人版事業承継税制の特例措置を使うために、都道府県知事に提出する計画です。提出期限は2027年9月30日です期限あり。→事業承継と承継手法
- 特例贈与財産
- その年の1月1日に18歳以上の人が、父母・祖父母などの直系尊属から受けた贈与財産で、税率の低い特例税率で計算します。配偶者の父母からの贈与は該当しません。→暦年課税の計算
- 土地保有特定会社
- 総資産価額に占める土地等の割合が、大会社で70%以上、中会社で90%以上などの会社で、純資産価額で評価します。→特定の評価会社
- 取引相場のない株式
- いわゆる非上場株式(自社株)です。株主の区分と会社の規模に応じて、類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式などで評価します。→評価が必要な場面
な行・は行の用語
な行
- 7年加算
- 生前贈与加算の期間を3年から7年に延ばした改正(2024年1月1日以後の贈与から)の呼び名です。完全に7年になるのは2031年(令和13年)1月1日以後の相続で、延長された4年分の贈与は合計から100万円を差し引いて加えます。→生前贈与加算
- 名寄帳
- 市町村が作る、所有者ごとの土地・家屋の一覧です。市町村ごとに作られるため、被相続人の不動産は市町村ごとに調べます。→財産と債務の調べ方
- 二次相続
- 一次相続で財産を取得した配偶者が亡くなったときの相続です。配偶者の税額軽減が使えず基礎控除も減るため、一次相続の分け方を二次相続まで含めて考えます。→二次相続
- 二世帯住宅
- 小規模宅地等の特例では、区分所有の登記がなければ敷地全体を被相続人の居住用として扱います。登記があれば、被相続人の居住部分に対応する敷地だけが対象です。→生計一親族・二世帯住宅
- 二方路線影響加算
- 正面と裏面に道路がある宅地で、裏面の路線価に奥行価格補正率と加算率(普通住宅地区は0.02)を掛けた額を加える調整です。→角地・二方路線など
- 2割加算
- 配偶者と一親等の血族(子・父母、代襲相続人の孫など)以外の人が財産を取得したときに、相続税額に20%を加えることです。兄弟姉妹は対象です。孫養子も原則として対象ですが、代襲相続人を兼ねる場合は対象外です。→各人の税額と2割加算
- 納税管理人
- 国内に住所がない人が申告や納税をするときに、手続を代わりに行う人として税務署に届け出る者です。→国際相続
- 納税義務者の区分
- 相続税・贈与税の納税義務者は、住所・国籍・在留資格などで居住無制限・非居住無制限・居住制限・非居住制限などに分かれます。制限納税義務者は国内財産だけが課税対象です。→納税義務者と国外財産
- 農地の評価区分
- 農地は純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地に分かれ、純農地と中間農地は倍率方式、市街地農地は宅地比準方式で評価します。→農地・山林・原野
は行
- 配偶者居住権
- 被相続人の配偶者が、住んでいた被相続人所有の建物に、原則として終身、無償で住み続けられる権利です。2020年(令和2年)4月1日以後の相続から使えます。→配偶者居住権など
- 配偶者居住権の評価
- 建物の耐用年数・経過年数・存続年数(終身なら平均余命)と、法定利率(現在は3%)による複利現価率を使って評価します。→配偶者居住権の評価
- 配偶者の税額軽減
- 配偶者が取得した正味の遺産額のうち、1億6,000万円と法定相続分相当額の多いほうまで相続税がかからない制度です。税額が0円になっても申告が必要です。→配偶者の税額軽減
- 配当還元方式
- 同族株主以外の株主などが取得した株式の評価方式で、直前2年の平均配当(2円50銭が下限)を10%で還元して評価します。原則的評価方式の価額が上限です。→配当還元方式
- 倍率方式
- 路線価のない地域の土地を、固定資産税評価額×国税局長が定める評価倍率で評価する方法です。→土地評価の全体像
- 非課税財産
- 相続税がかからない財産で、墓地・仏壇など日常礼拝の物、死亡保険金・死亡退職金の非課税部分、申告期限までに国などへ寄附した財産などがあります。→非課税財産
- 比準要素数1の会社
- 直前期末の配当・利益・純資産のうち2つが0で、直前々期末でも2つ以上が0の会社です。原則として純資産価額で評価します。→特定の評価会社
- 被相続人
- 亡くなって財産を残した人のことです。→相続税の仕組み
- 被相続人居住用家屋等確認書
- 空き家の3,000万円特別控除の確定申告に添付する確認書で、家屋の所在地の市区町村が交付します。札幌市では都市局建築指導部が窓口です。→札幌の空き家と確認書
- 被相続人等
- 小規模宅地等の特例でいう、被相続人と、被相続人と生計を一にしていた親族のことです。→特例の全体像
- 評価乖離率
- マンションの相続税評価額と市場価格の開きを示す数値で、築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度から算式で求めます。→マンションの評価
- 不整形地
- 三角地など形が整っていない宅地で、整形地としての価額に、かげ地割合などから求めた不整形地補正率を掛けて評価します。→不整形地・無道路地など
- 負担付贈与
- 住宅ローンの引受けなど、受贈者に負担を負わせる贈与です。土地・建物は通常の取引価額から負担額を差し引いて課税価格を計算し、贈与者には譲渡所得が生じることがあります。→負担付贈与・財産分与
- 復興特別所得税
- 所得税額に上乗せされる税で、2026年分までは2.1%です。2027年分から1.1%に下がり、2047年分(令和29年分)まで続きます成立・施行待ち。→譲渡所得の仕組み
- 物納
- 延納でも金銭で納めるのが難しい場合に、不動産や上場株式などで相続税を納める制度です。小規模宅地等の特例を受けた土地は、減額後の価額で収納されます。→納付・延納・物納
- 不動産小口化商品
- 賃貸不動産を小口の権利に分けて販売する商品です。通達案では、取得時期を問わず通常の取引価額で評価するとされています通達案。→貸付用不動産の見直し
- 不動産取得税
- 土地・家屋を取得したときにかかる地方税で、相続による取得には課されず、贈与による取得には課されます。→生前贈与と相続の比較
- 扶養義務者からの生活費・教育費
- 扶養義務者から必要な都度、直接充てるために受けた通常必要な範囲の生活費・教育費には、贈与税がかかりません。預金した分などは課税されます。→贈与税がかからない場合
- 防衛特別所得税
- 2027年分以後の所得税額に1%を上乗せする税です成立・施行待ち。同時に復興特別所得税が1.1%に下がるため、長期譲渡所得の合計税率20.315%は変わりません。→譲渡所得の仕組み
- 法人税額等相当額(38%)
- 純資産価額方式で、含み益(評価差額)に掛けて差し引く割合です。2026年4月1日以後の相続・贈与は38%、それより前は37%です。→純資産価額方式
- 法定相続情報証明制度
- 戸籍謄本の束と相続関係の一覧図を法務局に出すと、認証文付きの写しを無料で交付してもらえる制度です。相続登記や相続税の申告などで戸籍の代わりに使えます。→相続人の調査
- 法定相続人
- 民法で相続人とされる人です。相続税の計算で使う法定相続人の数は、相続放棄がなかったものとして数え、養子は実子がいれば1人、いなければ2人までです。→相続人と法定相続分
- 法定相続分
- 民法が定める相続の割合です。配偶者と子なら2分の1ずつ、配偶者と直系尊属なら3分の2と3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら4分の3と4分の1です。→相続人と法定相続分
- 保険金の課税関係(契約形態)
- 死亡保険金は、被相続人が保険料を負担していれば相続税、受取人自身が負担していれば所得税、それ以外の人が負担していれば贈与税の対象です。→保険・退職金・年金
- 本来の相続財産
- 被相続人が亡くなった時に持っていた土地・預貯金・株式などの財産で、遺産分割の対象になります。→相続税がかかる財産
ま行・や行・ら行・わ行の用語
ま行
- 未支給年金
- 亡くなった人に支払われていなかった年金で、遺族固有の権利のため相続税はかからず、受け取った遺族の一時所得になります。→保険・退職金・年金
- 未成年者控除
- 18歳未満の法定相続人の相続税額から、10万円×18歳になるまでの年数(1年未満は切上げ)を差し引く控除です。引ききれない分は扶養義務者の税額から引けます。→未成年者・障害者控除
- みなし譲渡
- 法人への贈与・遺贈、限定承認による相続、法人への時価の2分の1未満での譲渡の場合に、時価で売ったものとみなして譲渡所得を課税する仕組みです。→みなし譲渡
- みなし相続財産
- 民法上は相続財産でないものの、相続税では相続で取得したものとみなされる財産で、死亡保険金・死亡退職金などがあります。→みなし相続財産
- みなし贈与
- 贈与契約がなくても、実質的に贈与と同じ利益を受けた場合に贈与とみなして課税する仕組みです。保険料を負担していない人が受け取る保険金、低額譲受け、債務免除などです。→みなし贈与
- みなし配当
- 発行会社に株式を売ったときなどに受け取る金銭のうち、その株式に対応する資本金等の額を超える部分を配当とみなすものです。配当所得として総合課税されます。→金庫株とみなし配当の特例
- みなし配当課税の特例(相続した株式)
- 相続税額がある人が、相続した非上場株式を相続税の申告期限の翌日以後3年以内に発行会社へ売れば、全額を譲渡所得とする特例です。取得費加算とも併用できます。→金庫株とみなし配当の特例
- ミニマムタックス
- 所得が極めて高い人に最低限の負担を求める措置です。2027年分からは、基準所得金額から1億6,500万円を引いた額の30%が通常の所得税額を上回ると、差額を納めます成立・施行待ち。→改正トラッカー
- 未分割申告
- 遺産分割がまとまらないときに、法定相続分などで取得したものとして期限内に行う申告です。この状態では、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例は使えません。→未分割のときの申告
- 無償返還の届出
- 土地を貸すときに、将来無償で返還する旨を税務署に届け出る書類です。提出されていれば借地権は0円、貸宅地は自用地としての価額の80%(使用貸借なら100%)で評価します。→貸家建付地・借地権
- 無申告加算税
- 期限後申告や決定の場合の加算税で、調査による場合は税額に応じて15%から30%、調査通知前の自主的な期限後申告なら5%です。→加算税・延滞税
- 無道路地
- 道路に接していない宅地で、通路を開設する場合の通路部分の価額を、その宅地の価額の40%を上限に差し引いて評価します。→不整形地・無道路地など
- 名義預金
- 家族名義でも、被相続人が資金を出し管理していた預金は被相続人の財産で、相続税の対象です。資金の出し手、管理・運用の実態、贈与の事実の有無で判断します。→名義預金と贈与の証拠
や行
- 養子
- 縁組の日から養親の嫡出子となり、実子と同じ相続分を持ちます。相続税の法定相続人の数に入るのは、実子がいれば1人、いなければ2人までです。→養子縁組
- 預貯金の払戻し制度
- 遺産分割の前でも、相続開始時の預貯金額×3分の1×法定相続分(1金融機関150万円まで)を、各相続人が単独で払い戻せる制度です。→遺産分割
ら行
- 利子税
- 延納の許可を受けた税などにかかる、利息に当たる税です。相続税の延納では本則が年1.2%から6.0%で、2026年は特例により0.2%から1.0%です。→納付・延納・物納
- 類似業種比準方式
- 事業内容が似た上場会社の株価をもとに、1株当たりの配当・利益・純資産の3要素を比べて評価する方法です。→類似業種比準方式
- 暦年課税
- 1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計から110万円を差し引き、速算表で贈与税を計算する原則の方式です。→暦年課税の計算
- 連帯納付義務
- 同じ被相続人から財産を取得した人が、受けた利益の価額を限度に、他の人の相続税を互いに連帯して納める義務です。→納付・延納・物納
- 老人ホーム入所と自宅の敷地
- 被相続人が要介護認定などを受けて老人ホーム等に入所していた場合の、入所前の自宅の敷地です。一定の要件を満たせば、居住用として小規模宅地等の特例の対象にできます。→老人ホーム入所
- 路線価
- 道路ごとに付けられた1㎡当たりの土地の価額です。毎年1月1日時点の価額が7月1日に公表され、水準は地価公示価格等の80%程度が目安です。→路線価と基本の計算
- 路線価方式
- 路線価に奥行・形状・角地などの補正率を掛け、面積を掛けて宅地を評価する方法です。→土地評価の全体像
わ行
- 割引発行の公社債
- 額面より低い価額で発行され、償還時に額面を受け取る公社債です。上場も売買参考統計値の公表もないものは、発行価額に、経過日数に応じた償還差益を加えて評価します。→預貯金・上場株式など
取り違えやすい用語の対比
名前が似ている用語や、税目・制度によって基準が違う用語を並べました。
| 用語の組 | 違い |
|---|---|
| 相続人/法定相続人の数 | 相続人は民法で財産を受け継ぐ人で、放棄した人は死亡保険金の非課税などの対象外です。法定相続人の数は基礎控除などの計算用で、放棄がなかったものとして数え、養子は1人または2人までです。 |
| 暦年課税の110万円/精算課税の110万円 | どちらも年間の基礎控除です。暦年課税の贈与は110万円以下でも加算期間内なら相続税に加えますが、精算課税の110万円以下の部分は期間に関係なく加えません。 |
| 換価分割/代償分割 | 換価分割は遺産を売って代金を分け、各相続人に譲渡所得が生じます。代償分割は1人が遺産を取得して代償金を払う方法で、払った代償金は後で売るときの取得費になりません。 |
| 特別受益/生前贈与加算 | 特別受益は、遺産分割で各人の取り分を計算するときの民法の考え方です。生前贈与加算は相続税の課税価格に加える仕組みで、2026年中の相続では3年以内の暦年課税の贈与が対象です。 |
| 一時的な空室(財産評価/小規模宅地等の特例) | 財産評価では、継続して賃貸してきたか、空室期間が例えば1か月程度など一時的かなどで判断します。小規模宅地等の特例では、いつでも入居できる状態で募集を続けていたかで判断します。 |
用語の取り違えによるよくある誤り
- 「税額が0円なら申告は要らない」は誤りです。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で0円になる場合も、申告しないと特例を使えません。
- 「7年加算」は施行中ですが、2026年中の相続で加算するのは3年以内の贈与です。7年分になるのは2031年1月1日以後の相続からです。
- 相続した不動産を売るときの取得費は、相続税評価額ではありません。被相続人の取得費と取得時期を引き継ぎます。
用語から見る4つの税金の交差点
- 相続した財産を売って相続税を納める:取得費加算の特例
- 同じ財産に税目ごとの「時価」がある:交差点と一物多価
- 法人への贈与や、時価の2分の1未満での法人への譲渡:みなし譲渡
- 相続した自社株を発行会社に売る:金庫株とみなし配当の特例
- 4つの税金のつながりの全体像:4つの税金の関係
専門家向け:根拠と実務論点
主な用語の根拠
- 基礎控除と法定相続人の数は相続税法15条(養子の数の制限は15条2項・3項、否認は63条)です。
- 相続税の総額は相続税法16条、2割加算は18条、生前贈与加算は19条、配偶者の税額軽減は19条の2です。未成年者控除は19条の3、障害者控除は19条の4、相次相続控除は20条です。
- 相続時精算課税は相続税法21条の9以下で、2024年以後の基礎控除は相続税法21条の11の2・措法70条の3の2です。
- 小規模宅地等の特例は措法69条の4、取得費加算は措法39条、居住用財産の3,000万円特別控除と空き家特例は措法35条です。
- 取得費・取得時期の引継ぎは所得税法60条1項、みなし譲渡は所得税法59条1項です。
- 総則6項は財産評価基本通達6です。最高裁令和4年4月19日判決は、通達による画一的な評価が実質的な租税負担の公平に反する事情があれば、通達を上回る価額で評価しても平等原則に反しないとしました。
法令や制度で基準が違う用語
- 相続税の申告義務は、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用しないものとして判定します(相続税法27条1項、相基通27-1)。
- 一時的な空室は、財産評価の賃貸割合(評基通26)と小規模宅地等の特例(措通69の4-24の2)で、根拠も判断の基準も別です。
- 非上場株式の時価は、相続税・贈与税では財産評価基本通達、所得税では所基通59-6、法人税では法基通9-1-14・4-1-6によります。
よくある質問(全ページのよくある質問)
このガイドの各ページにある「よくある質問」を、ページごとにまとめて一か所に集めました。質問を開くと短い回答が表示され、回答の最後のリンクから、詳しく説明している章に戻れます。
この章の結論
- 質問は、ガイドのページの順に、ページ名の見出しの下へまとめています。
- 回答は要点だけです。要件・例外・計算の手順は、各回答の最後にある「この質問の章を読む」から元の章で確かめてください。
- 回答は、2026年(令和8年)10月17日時点の法令・通達にもとづいています。
並び順は、ガイドのトップ、相続税の基本、財産評価、小規模宅地等の特例……札幌・北海道の相続ガイドという、ガイドのページの順です。載っている質問と回答は、各ページの本文にあるものと同じです。質問はページ名の見出しごとに並んでいるので、知りたいことに近いページを次の表で確かめてください。
| 知りたいこと | ページ |
|---|---|
| 相続税がかかるか、申告が必要か | 相続税の基本 |
| 土地・建物・マンションなどの評価額 | 財産評価 |
| 自宅や事業用の土地の評価を下げる特例 | 小規模宅地等の特例 |
| 税額の計算、配偶者の税額軽減などの控除 | 相続税の計算と税額控除 |
| 申告の期限・必要書類・税務調査 | 相続税の申告・納税・税務調査 |
| 遺言・相続放棄・遺産分割・相続登記 | 相続手続と民法 |
| 生命保険・生前贈与などの対策、二次相続 | 生前対策と二次相続 |
| 暦年課税・相続時精算課税・非課税の特例 | 贈与税 |
| 相続した不動産や株式を売るときの税金 | 相続・贈与と譲渡所得 |
| 会社の株(自社株)の評価・事業承継 | 非上場株式(自社株)の評価 |
| 複数の税金にまたがる場面 | 税目の交差点ケース集 |
| 北海道・札幌の路線価や相談窓口 | 札幌・北海道の相続ガイド |
知りたいことが質問の形で見つからないときは、目的に合わせて次のページも使ってください。用語の意味は用語集、手続や申告の期限は期限の早見表、税率や控除額は税率・控除額の早見表で確かめられます。何から調べればよいか分からないときは、30秒診断や状況別ナビから始めると、読むべき章がわかります。
回答を読むときの注意
回答は、一般的な取扱いを短くまとめたものです。財産の内容や家族の状況によって、使える特例や税額は変わります。申告や手続の前には、元の章で要件を確認してください。
令和9年度税制改正の要望要望段階や、貸付用不動産の評価の見直し通達案のように確定していない事項は、元の章の状態ラベルとあわせて読んでください。2026年12月に決まる予定の令和9年度税制改正大綱などで、回答の前提が変わることがあります。
相続税・贈与税・譲渡所得・株式評価 総合ガイド
誤解1:特例を使えば基礎控除以下になるので、申告はいらない
正しくは:申告が必要かどうかは、小規模宅地等の特例を使う前の課税価格の合計額が、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで判定します。小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減は申告書の提出が適用の条件なので、これらを使って税額が0円になる場合も申告が必要です。
詳しくは:基礎控除と申告が必要な人、小規模宅地等の申告手続
誤解2:相続税の申告期限は、亡くなった日から10か月
正しくは:期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」で、知った日は相続人ごとに違うことがあります。通常は死亡日に知るため、死亡日と同じ日付の10か月後が期限になり(例:1月6日に死亡→11月6日)、その日が土日祝日などなら翌日に延びます。ただし、月の末日に知った場合は10か月後の月の末日が期限です(例:9月30日→翌年7月31日)。
詳しくは:申告までの10か月のスケジュール、期限カレンダー
誤解3:小規模宅地等の特例は、申告した後で使うかどうか決められる
正しくは:原則として、申告期限までに遺産分割で宅地の取得者が決まり、取得者全員が選ぶ宅地に同意し、申告書に記載して明細書などを添付する必要があります。期限までに分割できないときは「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、分割の日の翌日から4か月以内に更正の請求をします。当初の申告で選んだ宅地を、後から別の宅地に入れ替えることは原則できません。
誤解4:2024年(令和6年)から、生前贈与は7年分が相続税に加算される
誤解5:相続時精算課税の110万円と暦年課税の110万円は同じ枠
正しくは:別の枠です。相続時精算課税の年110万円の基礎控除(2024年1月1日以後の贈与から)施行中は暦年課税の110万円とは別に使え、この部分は贈与者が亡くなっても相続税に加算されません。ただし、精算課税を選んだ贈与者からの贈与はすべて精算課税になり、同じ年に複数の特定贈与者から受けた場合は110万円を按分します。
詳しくは:相続時精算課税、暦年課税と精算課税の選び方
誤解6:孫に遺贈すれば相続税の節税になる
正しくは:孫(亡くなった子に代わって相続する孫を除く)が遺贈で財産を取得すると、その孫の相続税額は2割加算されます(孫を養子にした場合も原則として加算されます)。また、遺贈(死亡保険金の受取人になる場合を含みます)で財産を取得した孫は生前贈与加算の対象になり、加算対象期間内の贈与も相続財産に加えられます。反対に、相続・遺贈で何も取得しない孫への生前贈与は加算されません。
詳しくは:各人の税額と2割加算、生前贈与加算
誤解7:家族の名義の預金は、その家族の財産
正しくは:名義が家族でも、亡くなった人がお金を出し、管理・運用もしていた預金は、亡くなった人の財産(名義預金)として相続税の対象になることがあります。判断では、資金を出した人、管理・運用していた人、贈与の合意があったかどうかが見られます。国税庁の調査事例には、基礎控除以下に見せるため預金を家族名義に移していた無申告の事案に、重加算税が課されたものがあります。
詳しくは:名義預金と贈与の証拠、税務調査で指摘されやすい点
誤解8:貸付用不動産は、取得価額の80%で評価されるようになった
正しくは:見直しは2026年10月17日時点で通達案の段階です通達案(2026年9月18日公表、意見公募は10月18日締切、通達は未制定)。案では、2027年1月1日以後の相続・遺贈・贈与から、5年以内に取得・新築した貸付用不動産を課税時期の「通常の取引価額」で評価するのが原則です。取得価額をもとにした80%の評価は、取得価額が取得時の通常の取引価額に相当すると認められる場合に選べる方法です。
誤解9:借入れでアパートを建てれば、借入金の分だけ相続税が減る
正しくは:借入金は債務として差し引けますが、借りた現金も財産なので、借入れそのものでは課税価格は変わりません。課税価格が下がるのは、現金が時価より評価額の低い土地・建物に換わった部分(評価差)で、借入れをせずに建てても同じだけ下がります。購入や借入れの経緯によっては、総則6項により鑑定評価額などで課税されることがあります(最高裁令和4年4月19日判決)。
詳しくは:不動産と相続税、総則6項と最高裁令和4年判決、下の計算例
誤解10:空き家の3,000万円控除と取得費加算は、両方使える
正しくは:同じ資産を売った場合は、空き家の3,000万円控除期限あり(2027年12月31日までの譲渡)と取得費加算のどちらか一方を選びます。一方、自分が住んでいた家に使うマイホームの3,000万円控除と取得費加算は併用できます。
誤解11:防衛特別所得税が始まると、不動産や株式を売ったときの税率が上がる
誤解12:相続を放棄すると、生命保険金も受け取れない
正しくは:相続を放棄しても、受取人として指定されていれば死亡保険金は受け取れます。ただし相続税では遺贈で取得したものとみなされ、放棄した人には非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えません。非課税枠や基礎控除を計算する「法定相続人の数」には、放棄した人も含めて数えます。
詳しくは:生命保険金などのみなし相続財産、相続放棄・限定承認
誤解13:配偶者は1億6,000万円まで税金がかからないので、全部を配偶者に相続させるのが得
正しくは:配偶者の税額軽減(1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い額まで)で一次相続の税は減りますが、配偶者が亡くなる二次相続では軽減がなく基礎控除も減るため、合計の税が増えることがあります。夫の遺産2億円・妻固有の財産1,000万円・子2人の設例(二次は10年超後、財産の増減なし)では、妻が全部取得すると一次と二次の合計は4,018万円、妻の取得を26%にすると2,198万円でした。前提で結論が変わるため、二次相続まで試算して分け方を決めます。
詳しくは:二次相続まで考えた遺産分割、配偶者の相続と二次相続
誤解14:自社株の純資産価額は、評価差額の37%を差し引いて計算する
誤解15:相続登記はしなくても罰則はない
相続税は、いくらの遺産からかかりますか?
遺産の正味の額(課税価格の合計額)が、基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるとかかります。法定相続人が配偶者と子2人の3人なら4,800万円、子2人だけなら4,200万円です。正味の額には、死亡保険金・死亡退職金のうち非課税枠(それぞれ500万円×法定相続人の数)を超える部分、相続時精算課税の贈与財産、加算対象期間内の暦年課税の贈与を含め、借入金・葬式費用は差し引きます。土地は路線価などによる評価額で計算します。令和6年分(2024年中に亡くなった人)では、亡くなった人のうち相続税がかかったのは10.4%でした。
詳しくは:30秒診断、基礎控除と申告が必要な人
相続税の申告は、自分でできますか?
できます。相続人が自分で申告書を作り、亡くなった人の死亡時の住所地を管轄する税務署に、e-Tax・郵便・時間外収受箱などで提出できます。国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」では、申告が必要かどうかの目安や、小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減を使った場合の税額を試算できます。ただし、申告書を作る機能はありません。2026年中に亡くなった人の申告には令和8年分用の様式を使い、控用の様式はなくなったので控えは自分で作って保管します。土地の評価や特例の要件で税額が大きく変わるため、不動産や自社株がある場合は専門家への相談も検討してください。
詳しくは:申告書の構成と令和8年分の様式、専門家への依頼
遺産分割がまとまらないときは、申告はどうしますか?
申告期限は延びないため、分割がまとまらなくても、期限内に法定相続分などで財産を取得したものとして申告・納税します。この場合、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例は使えませんが、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておけば、3年以内に分割したときに更正の請求で適用を受けられます(分割の日の翌日から4か月以内)。「遺産分割がまとまらなかった」ことは、期限に遅れた正当な理由にはなりません。
生前贈与は、今からでも意味がありますか?
意味はありますが、贈与から相続までの期間で効果が変わります。暦年課税の贈与は、2026年中の相続なら亡くなる前3年以内、2027年以後の相続では段階的に延びて、2031年(令和13年)以後の相続では7年以内の分が相続財産に加算されます施行中(延長された部分の贈与は合計から100万円を控除)。相続や遺贈で財産を取得しない孫や子の配偶者への贈与は、加算されません。相続時精算課税を選んだ場合、年110万円の基礎控除の部分は加算されず、それを超える部分は贈与時の価額で加算されます。どちらの方式が有利かは財産の額や家族構成で変わるため、比べてから選びます。
詳しくは:生前贈与の設計、暦年課税と相続時精算課税の選び方
相続した実家を売るとき、使える特例は何ですか?
代表的なのは「空き家の3,000万円控除」期限ありと「相続税の取得費加算」で、同じ資産についてはどちらか一方を選びます。空き家の控除は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家(区分所有登記のあるマンションなどは除く)で、相続の直前に亡くなった人が1人で住んでいたこと(老人ホーム入所の特例あり)、売却代金1億円以下などが要件です。売る期限は2027年12月31日までで、かつ相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。家と敷地を取得した相続人が3人以上なら、控除額は1人2,000万円です。取得費加算は、相続税額がある人が相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売った場合に、売った財産に対応する相続税額を取得費に加える特例です。相続後に自分が所有者として住んでいた場合は、マイホームの3,000万円控除も検討します。
自社株(非上場株式)の評価は、いつの数字で行いますか?
評価の基準日は「課税時期」で、相続なら亡くなった日、贈与なら贈与で取得した日です。ただし類似業種比準方式で使う会社の配当・利益・純資産は、課税時期の直前に終わった事業年度(直前期末)の数字を使います。比べる類似業種の株価は、課税時期の月・前月・前々月・前年平均・2年間の平均のうち最も低いもので、令和8年分は2026年10月17日時点で8月分まで公表されています。純資産価額は課税時期の資産・負債で計算するのが原則ですが、直前期末から著しい増減がなければ直前期末の資産・負債をもとに計算できます。2026年4月1日以後の取得なら、評価差額に対する法人税額等相当額は38%です施行中。評価方法の見直しは有識者会議で検討中検討中で、現在は現行の通達で評価します。
相続した自社株を会社に買い取ってもらうと、税金はどうなりますか?
原則として、受け取った金額のうち資本金等の額を超える部分は「みなし配当」として総合課税の配当所得になり、会社が20.42%を源泉徴収します。ただし、相続税額がある人が相続税の申告期限の翌日以後3年以内に発行会社に売る場合は、特例でみなし配当とされません。受け取った金額の全額が株式の譲渡収入になり、利益に20.315%がかかります。この特例は取得費加算と併用でき、売る時までに届出書を会社経由で税務署に出す必要があります。相続税額がない人(配偶者の税額軽減で0円になった人など)は、この特例を使えません。贈与税額控除で納める額が0円になった人は、控除を足し戻した相続税額で判定します。
詳しくは:金庫株とみなし配当の特例、自社株を後継者に渡すとき
相続税の税務調査は、どのくらい行われていますか?
令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の相続税の実地調査は全国で9,512件で、このうち82.3%で申告漏れなどが見つかり、1件当たりの追徴税額は867万円でした。このほか、文書・電話・来署依頼で誤りを正してもらう「簡易な接触」が21,969件ありました。実地調査は資料情報などから申告漏れが想定される事案を選んで行われるため、82.3%は申告全体のうち誤りがある割合ではありません。申告から調査までの時期を示した公表資料はなく、「申告後○年で来る」とは言えません。
相続人が海外に住んでいる場合は、どうなりますか?
海外に住む相続人も、財産を取得すれば日本の相続税の申告・納税が必要になることがあります。日本の不動産や国内の営業所(支店など)に預けた預金などの国内財産は、相続人の住所や国籍にかかわらず課税されます。国外の財産まで課税されるかは、亡くなった人と相続人の住所・国籍・在留資格などで決まります。国内に住所がない相続人は「納税管理人」を定めて税務署に届け出て、申告・納税します。申告期限は、国内の相続人と同じく知った日の翌日から10か月以内です。
札幌で相続の手続は、どこでしますか?
相続税の基本
相続税は、相続人全員で連帯して払うのですか?
各人が自分の税額を納めるのが原則です。ただし、同じ人から相続や遺贈で財産を取得した人は、相続などで受けた利益の価額を限度として、互いに連帯して納付する義務を負います(相続税法34条)。他の相続人が納めない場合、税務署から納付を求められることがあります。
遺産を何も受け取らなかった相続人も、申告が必要ですか?
相続や遺贈で何も取得せず、相続時精算課税の贈与も受けていなければ、その人に相続税はかからず、申告の義務もありません。暦年課税の生前贈与の加算も、相続・遺贈や相続時精算課税で財産を取得した人だけが対象です。ただし、亡くなった人が保険料を負担していた死亡保険金の受取人は、保険金を相続や遺贈で取得したものとみなされるため、財産を取得した人に当たります。
内縁の妻(夫)は相続人になれますか?
なれません。相続人になる配偶者は、法律上の婚姻をしている人だけです。遺言で遺贈すれば財産を渡せますが、相続税は2割加算の対象になり、配偶者の税額軽減も使えません。受け取った死亡保険金にも、相続人ではないため非課税枠はありません。
前の配偶者との間の子も相続人ですか?
はい。離婚した前の配偶者は相続人になりませんが、前の配偶者との間に生まれた子は、亡くなった人の子として第1順位の相続人です。法定相続分も、今の配偶者との間の子と同じです。
孫を養子にすると、相続ではどう扱われますか?
遺産が基礎控除以下なら、何も手続はいりませんか?
相続放棄をした子も、基礎控除の人数に入りますか?
入ります。基礎控除の「法定相続人の数」は、相続放棄がなかったものとして数えます。配偶者と子2人のうち1人が放棄しても、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。
亡くなった人の入院費やクレジットカードの未払い分はどうなりますか?
子ども名義の口座に毎年お金を入れてきました。相続財産になりますか?
子がその贈与を知って受け入れ、子自身が口座を管理していれば、子の財産と認められやすくなります。親が通帳や印鑑を管理し、子が知らなければ、名義預金として親の相続財産と判断されることがあります。判断の分かれ目と記録の残し方は名義預金・名義株と贈与の証拠の残し方で説明します。
相続を放棄しても、生命保険金は受け取れますか?
受け取れます。受取人に指定された人が、自分の権利として受け取るお金だからです。ただし相続税の対象になり、放棄した人は非課税枠を使えません。被相続人から加算対象期間内に贈与を受けていれば、その贈与も生前贈与加算の対象になります。
生前にお墓を買っておくと、相続税は減りますか?
預金などで代金の支払いまで済ませていれば、その分の預金が非課税の墓地に替わるので、課税価格は減ります。未払いのままだったり、借入金で買ったりした場合、その債務は差し引けません。骨とう的な価値があるものや投資目的のものは課税されます。
相続した預金の一部を寄附したいと考えています。
相続税の申告期限までに、対象となる国・地方公共団体・公益法人などに寄附すると、寄附した分には相続税がかかりません。申告書の第14表に明細を書きます。寄附先が対象の法人かどうかは、事前に確認しましょう。
毎年110万円以下の贈与なら、相続税には関係ありませんか?
関係があります。相続・遺贈で財産を取得する人への贈与は、110万円以下でも加算対象期間内なら加算します。加算されないのは、相続・遺贈で何も取得しない人への贈与と、相続時精算課税の基礎控除部分です。
加算された贈与の贈与税が相続税より多い場合、差額は戻りますか?
暦年課税の贈与税は、相続税から差し引ききれなくても還付されません。還付があるのは、相続時精算課税で納めた贈与税だけです。
3年の予定で海外赴任中に親が亡くなりました。海外の財産も課税されますか。
課税されます。3年の予定の海外勤務は「おおむね1年以内」に当たらないため、住所は生活の本拠がどこにあるかで判定します。日本に住所がないと判定されても、日本国籍があり相続開始前10年以内に日本に住所があったので、非居住無制限納税義務者です。日本に住所があると判定されれば居住無制限納税義務者で、どちらでも国内と国外の全部の財産が課税されます。
海外に住む相続人は、日本の税務署に出向く必要がありますか。
納税管理人を定めて届け出れば、納税管理人を通じて申告・納税できます。申告期限は国内の相続人と同じ10か月以内なので、早めに納税管理人を決めておくと手続が滞りません。
早見表の金額は、子1人あたりの税額ですか。
いいえ、相続人全員の納付税額の合計です。配偶者がいる表では配偶者の税額が0円なので、合計を子の人数で割った額が、子1人あたりの目安になります。
子の1人が相続放棄をしても、早見表を使えますか。
使えます。相続税の総額は、放棄がなかったものとして法定相続人の数と法定相続分を数えて計算するため、放棄があっても変わりません。配偶者が2分の1を取得し、残りを放棄していない子が取得するなら、合計の納税額も表と同じです。
亡くなった子の代わりに、孫が相続人になる場合はどうなりますか。
亡くなった子に代わって孫1人が相続人(代襲相続人)になる場合は、子1人と同じように表を見られます。代襲相続人の孫には2割加算もありません。孫が2人以上で亡くなった子の相続分を分ける場合は、法定相続人の数と相続分が変わるため、表の金額とは一致しません。
財産評価
評基通の評価額に納得できない場合でも、評基通で申告しなければなりませんか。
評基通は法律ではないため、評基通以外の方法で時価を算定することが直ちに否定されるわけではありません。ただし、申告では評基通に沿って評価するのが基本です。たとえばマンションでは、市場価格の大幅な下落など算式に反映されない事情があれば、鑑定評価などで個別に時価を算定する余地があるとされています。判断は専門家に相談してください。
2026年の春に亡くなりましたが、当時は令和8年分の路線価が出ていませんでした。前年分を使ってよいですか。
使えません。土地は課税時期の属する年分の路線価・評価倍率で評価します。令和8年分は2026年7月1日に公表されているので、令和8年分で評価します。
自分の土地が路線価地域か倍率地域かは、どこで調べられますか。
国税庁の「路線価図・評価倍率表」のサイトで、課税時期の年分と都道府県・市区町村を選び、評価倍率表を開きます。宅地の倍率の欄に「路線」とあれば路線価地域なので、路線価図で路線価を確認します。数字があれば倍率地域で、その倍率を固定資産税評価額に掛けます。
路線価が付いていない道路だけに面している土地は、どう評価しますか。
路線価の付いていない道路だけに接する宅地は、税務署長に特定路線価の設定を申し出て、その路線価をもとに評価する方法があります(評基通14-3)。申出の手続は税務署で確認してください。
奥行価格補正率が1.00を超えることはありますか。
ありません。付表1の率は、どの地区区分でも最大1.00です。奥行による補正は、評価額を下げる方向にだけ働きます。評価額が上がる方向の調整は、角地や裏面にも道路がある土地の加算です(財産評価:角地・二方路線など)。
奥行が場所によって違う土地は、どの奥行で計算しますか。
台形など形の整っていない土地は不整形地として評価し、奥行は、地積を間口距離で割った計算上の奥行距離などを使います。ただし、土地全体を囲む長方形(想定整形地)の奥行が上限です。詳しくは不整形地・無道路地・がけ地・セットバック・私道で説明します。
角地なら、どんな場合でも側方路線の加算がかかりますか。
側方路線に接していれば加算するのが原則です。ただし、角地としての効用を現実に持たない場合は、側方路線影響加算率の代わりに二方路線影響加算率を使います。土地の一部しか側方路線に接していない場合は、接している部分の割合に応じて加算額を調整します。
正面路線と側方路線で地区区分が違う場合は、どう計算しますか。
まず、それぞれの道路の地区区分の奥行価格補正率で「路線価×奥行価格補正率」を計算し、高い方を正面路線にします。正面路線が決まったら、側方路線の奥行価格補正率と加算率も、正面路線の地区区分の表で計算します。国税庁のタックスアンサーNo.4605に計算例があります。
間口狭小補正と奥行長大補正は、両方かかることがありますか。
あります。間口が狭く、奥行が間口の2倍以上ある土地は、2つの補正率を両方掛けます。計算例2の土地は、間口狭小補正率0.94と奥行長大補正率0.94の両方がかかっています。
旗竿地(細い通路で道路に出る土地)には、間口狭小補正を使いますか。
自宅への通路として専用に使っている路地状の部分は、私道として別に評価せず、奥の宅地と一体で1画地として評価します。全体を不整形地として評価する場合は、間口狭小補正率を不整形地補正率に掛け合わせる形で間口の狭さを反映します(下限0.60)。詳しくは不整形地・無道路地・がけ地・セットバック・私道で説明します。
アパートが2棟建っている1,600㎡の土地(札幌市)も対象になりますか?
貸家が何棟もある土地は、原則として各棟の敷地ごとに評価単位(1画地)が分かれます。800㎡ずつに分かれるなら、どちらも1,000㎡未満で対象外です。対象になる場合は、規模格差補正をした自用地の評価額をもとに貸家建付地の評価をします(貸家建付地・借地権・貸宅地・使用貸借)。
遺産分割で土地を2人で分けると、面積の判定はどうなりますか?
自宅の敷地は登記簿では980㎡ですが、対象になる余地はありますか?
面積は課税時期の実際の面積で判定します。実測で1,000㎡以上あり、他の要件も満たせば対象です。逆に、登記簿が1,000㎡以上でも実測が下回れば対象外です。
総則6項が適用されると、いくらで課税されますか?
判決の事案では、不動産鑑定評価額で課税されました。判決は、課税した価額が客観的な交換価値(時価)を超えない限り、通達評価額を上回っても相続税法22条には反しないとしています。
通達評価額と時価の差が何倍になると適用されますか?
数値の基準はありません。判決は差の大きさだけでは足りないとし、税負担を減らす行為の意図や、軽減の程度、ほかの納税者との不均衡を考慮しました。
総則6項が適用されるかどうか、事前に税務署に確認できますか?
国税庁の「個別評価申出書」は、財産評価基準書で「個別評価」と表示された土地等について、評価を求める手続です。総則6項の適用について事前に照会する制度ではありません。
小規模宅地等の特例
母と長男が自宅の土地を2分の1ずつ相続しました。要件はどうなりますか?
要件は取得した人ごとに判定します。母の持分には要件がありません。長男の持分は、長男が申告期限まで住み続け、持ち続けた場合に限り特例の対象になります。限度面積の330㎡は、2人の分を合計して判定します。
同居していた孫に、遺言で自宅の土地を遺贈しました。特例は使えますか?
使える可能性があります。取得者は親族であればよく、相続人でなくてもかまいません。孫が同居親族として、申告期限まで住み続け、持ち続ければ対象になります。
申告期限が過ぎてから自宅を売ると、特例は取り消されますか?
取り消されません。同居親族の要件は「申告期限まで」住み続け、持ち続けることです。申告期限の後に売ったり引っ越したりしても、特例の適用には影響しません。売ったときの所得税は、譲渡所得の特例とあわせて検討します(相続税の取得費加算の特例)。
3年以内に、被相続人である親の家に住んでいた期間があります。使えますか?
海外で、自分が所有する家に住んでいます。使えますか?
要件4は国内の家に限られるため、海外の家に住んでいたことは要件4では問われません。しかし要件5には国内に限る定めがないため、いま住んでいる海外の家を自分で所有している場合は、要件5を満たしません。
相続した実家に、これから住む必要はありますか?
ありません。家なき子特例には住む要件がありません。必要なのは、相続開始の時から申告期限まで土地を持ち続けることです。申告期限の後であれば、売っても特例の適用には影響しません。
親と同居していた兄が相続を放棄しました。別居の私は使えますか?
使えません。同居していた相続人がいるかどうかは、相続の放棄がなかったものとして判定するため、兄は「同居していた相続人」として数えられます。
二世帯住宅で、親と子は生計が別でした。区分所有の登記はありません。子は特例を使えますか?
要件を満たせば使えます。区分所有の登記がない一棟の建物では、別の部分に住んでいた子も同居親族に当たり、生計が同じかどうかは問われません。子が取得した敷地を申告期限まで持ち続け、その建物に住み続ければ、特定居住用宅地等になります。
区分所有の登記がある二世帯住宅で、子は親と生計を一にしていました。どうなりますか?
子は同居親族には当たりませんが、生計一親族には当たります。そのため、子の区分の敷地は、生計一親族の住まいの土地として、子か配偶者が取得すれば対象になり得ます。子が取得する場合は、申告期限まで住み続け、持ち続けることが必要です。
親と同じ敷地にある別棟の家に住んでいた子は、同居親族ですか?
同居親族は、被相続人が住んでいた一棟の建物に一緒に住んでいた親族です。別棟に住んでいた子は、同居親族に当たりません。ただし、子が被相続人と生計を一にしていて、被相続人の土地を無償で借りて家を建てていたなら、その部分は生計一親族の住まいの土地として対象になり得ます。
被相続人は株式を持たず、長男だけが株主の会社でも対象になりますか。
対象になり得ます。50%超の判定は、被相続人とその親族その他特別の関係がある者の持ち分を合計して行います。親族だけで50%超を持っていれば、この要件を満たします。
社長の家族だけが住んでいる社宅の敷地は対象になりますか。
対象外です。社宅の敷地は原則として会社の事業用として扱われますが、被相続人の親族だけが使っていた社宅は除かれます。
生計を一にしていたかは、どのように判定しますか。
相続税法や租税特別措置法に定義はなく、同じ生活単位に属し、日常生活の費用を共通にしていたかを社会通念で個別に判断します。区分登記された二世帯住宅の2階に住む子について、生計一を否定した裁決があります(2016年(平成28年)9月29日)。水道・ガス・電気の契約と支払が別で、基本的な生活費を各自が負担していたことなどが理由です。
別居後に独立した生活を送っていた親族について、否定した裁決もあります(2008年(平成20年)6月26日)。詳しくは生計を一にする親族・二世帯住宅で説明します。
同居していたかどうかは、住民票の住所で決まりますか。
住民票だけでは決まりません。同居親族は、相続開始の直前にその家屋で被相続人と共に起居していた人で、生活の拠点の実態で判定します。国税庁の質疑応答事例でも、住民票の所在は判定の要素に挙げられていません。申告では居住を明らかにする書類の添付が求められますが、特例を受ける人がマイナンバーを有する場合は不要です。
亡くなる前に子の家へ移っていた場合や、入院していた場合はどうなりますか。
子の家に移って生活の拠点が移っていれば、元の自宅は相続開始直前の居住用ではなく、対象外です。退院後に長女の家で暮らし、所得税でも長女の夫の扶養親族とされていた事案では、旧宅は居住用でないとされました(2002年(平成14年)12月5日裁決)。一方、入院は一時的な滞在と整理されています。退院すれば住める状態で他の用途に使っていなければ、空家の期間の長短にかかわらず居住用です。
老人ホームに入所していた場合、元の自宅に使えますか。
使える場合があります。条件は次の3つです。
- 相続開始の直前に、要介護認定・要支援認定(又は障害支援区分の認定)を受けていたこと
- 入所先が、法令で定める老人ホーム等であること
- 入所後に、自宅を事業用や新たな他の人の住まいにしていないこと
入所時に認定がなくてもよく、申請中に亡くなり後で認定された場合も認められます。入所前から一緒に住んでいた生計一の親族が住み続けるのは差し支えありませんが、一般のマンションなどへの転居は対象外です(老人ホームに入所していた場合)。
持ち家がなければ「家なき子」として使えますか。
それだけでは使えません。2018年(平成30年)4月1日以後の相続では、次の要件をすべて満たす必要があります施行中。
- 被相続人に配偶者がいないこと
- 被相続人と同居していた相続人がいないこと
- 相続開始前3年以内に、本人・配偶者・三親等内の親族・特別の関係がある法人が所有する国内の家屋に住んだことがないこと(相続開始の直前に被相続人が住んでいた家屋を除く)
- 相続開始時に住んでいる家屋を、過去に所有したことがないこと
- 申告期限まで宅地を保有すること
- 制限納税義務者のうち、日本国籍のない人でないこと
親が所有する家に住む孫、自分の同族会社が所有する家に住む子、持ち家を売った後もその家に住み続ける子は対象外です(家なき子特例)。
二世帯住宅で玄関が別なら、同居になりませんか。
現在の取扱いでは、建物の構造ではなく区分所有の登記の有無で判定します。区分所有の登記がなければ、構造上分かれていても一棟の建物として扱い、敷地全体が被相続人の居住用になります。子の居住部分に住む子が取得すれば、同居親族の要件(申告期限までの居住と保有)で対象になります。
区分所有の登記があると、対象は被相続人の居住部分の敷地だけです。別の区分に住む子は同居親族に当たらず、生計一でなければ対象外です。
同居していた子が、申告期限前に自宅を売ったらどうなりますか。
その子が取得した宅地には特例を使えません。同居親族は、相続開始の直前から申告期限まで住み続け、申告期限まで宅地を保有することが要件です。要件は申告期限までのものなので、申告期限より後の売却はこの要件に影響しません。
配偶者が取得した場合は、この継続要件自体がありません。同居していた相続人が申告期限前に転勤で家を離れても、配偶者や子が住み続け、転勤が終われば戻って家族と暮らす家であれば、居住を続けているものと認められます。
自宅のほかに別荘やセカンドハウスがある場合は、どちらに使えますか。
被相続人の居住用の宅地等が2つ以上ある場合、特定居住用宅地等の対象は、主として居住していた一つの宅地等に限られます。生活の拠点かどうかは、日常生活の状況や建物の構造・設備などを総合して判断し、主に趣味・娯楽・保養に使う建物は生活の拠点といえません。複数の居住用宅地を持っていても、相続開始直前に現に住んでいた部分に限るとした裁決があります(2006年(平成18年)6月6日)。
自宅の一部を店舗や貸室にしていた場合はどうなりますか。
特定居住用宅地等の対象は、居住用に使っていた部分だけです。店舗部分は事業用として、貸室部分は貸付事業用として、それぞれの要件で別に判定します。区分ごとに減額割合と限度面積が違うため、どの部分を選ぶかは限度面積の調整と有利な選び方の方法で比べます。
子や同族会社に土地を無償で貸していた場合はどうなりますか。
貸付事業用宅地等になりません。無償や、固定資産税程度など相当の対価に満たない地代での貸付けは、貸付事業に当たらないからです。生計が別の子が親の土地を無償で借りて自分名義の家に住んでいた場合、その敷地は被相続人等(被相続人と、生計を一にしていた親族)の居住用でも貸付事業用でもなく、対象外です。
生計を一にする子なら、生計一親族の居住用として、その子や配偶者が取得し要件を満たせば特定居住用宅地等になります。同族会社に無償で貸している土地は、特定同族会社事業用にも貸付事業用にも当たりません。
月極駐車場の土地にも使えますか。
アスファルト舗装やコンクリート舗装などの構築物があり、相当の対価で継続して貸していれば、貸付事業用宅地等(50%減額)の対象になります。構築物のない青空駐車場は対象外です。
砂利敷きは状態や帳簿への計上などの事実で判断されます。砂利の多くが消えて土地と一体のようになり、構築物の計上もなかった月極駐車場を否認した裁決があります(1995年(平成7年)1月25日)。所有者が自ら経営する月極駐車場の評価は自用地としての価額ですが、50%の減額は使えます。
アパートに空室があった場合、空室部分の敷地はどうなりますか。
空室になった直後から不動産業者を通じて入居者を募集するなど、いつでも入居できる状態で管理していれば、空室部分の敷地も貸付事業用宅地等になります。親族を住まわせる予定で募集をやめていた空室は対象外です。8室中5室が空室で、長期の空室や広告の放置など積極的な募集とはいえない事案では、空室部分の敷地が対象外とされました(2023年(令和5年)4月12日裁決)。貸家建付地の評価で使う「一時的な空室」は別の基準なので、混同しないようにします(貸家建付地・借地権・貸宅地・使用貸借)。
事業を引き継いだ子が、申告期限前に土地の一部を売った場合はどうなりますか。
相続開始前3年以内に始めた事業や貸付けの土地はどうなりますか。
特定事業用宅地等と貸付事業用宅地等には、相続開始前3年以内に新たに事業や貸付けに使い始めた宅地等を除く規定があります。ただし例外の基準が違います。
特定事業用は、その宅地等の上の建物や事業用の減価償却資産(被相続人等が有していたもの)の価額が、宅地等の価額の15%以上なら除外されません。貸付事業用は、被相続人等が3年を超えて事業的規模の貸付け(特定貸付事業)を続けていれば除外されません。特定同族会社事業用宅地等には、条文上この3年ルールはありません。
共有の土地、私道、マンションの数戸を持っている場合はどう考えますか。
共有持分の権利は、共有物全体に均等に及ぶと考えます。被相続人の持分が80%の300㎡の土地(持分相当240㎡)に、居住用の建物(敷地200㎡)と貸家(敷地100㎡)がある場合を考えます。居住用に対応する面積は240㎡×200/300=160㎡、貸家に対応する面積は240㎡×100/300=80㎡です。
自宅の維持や効用に欠かせない私道の共有持分も対象になります。マンションは、区分所有された部屋ごとの敷地を一つの宅地等として判定します。
建物が未登記でも特例を使えますか。
条文の要件は「建物又は構築物の敷地」であることと利用の実態で、建物の登記は要件に挙げられていません。登記の有無が結論を左右するのは、二世帯住宅などで区分所有建物に当たるかどうかの判定です。ただし未登記の建物は登記で所有関係を示せないため、固定資産税の課税明細などで所有と利用の状況を説明できるようにしておきます。
相続時精算課税で贈与を受けた土地にも使えますか。
使えません。被相続人から贈与(死因贈与を除く)で取得した宅地等は、相続時精算課税を選んだものや、生前贈与加算で相続税の課税価格に加わるものも含めて対象外です。死因贈与で取得した宅地等は、遺贈と同じく対象になります。自宅の土地を生前に贈与すると、特例を使う機会がなくなる点に注意します(暦年課税と相続時精算課税の選び方)。
家族信託をした自宅の土地にも使えますか。
使える場合があります。信託に関する権利を相続・遺贈で取得した場合です。その信託財産に属する宅地等が、相続開始の直前に被相続人等の居住用や事業用だったときは、特例の対象に含まれます(家族信託・遺言・認知症対策と税務)。
相続税の計算と税額控除
遺言で全財産を長男に相続させる場合も、法定相続分で総額を計算するのですか?
はい。相続税の総額は、実際に誰が取得したかに関係なく、法定相続分で分けたと仮定して計算します。総額を出した後、全財産を取得した長男の按分割合は1になるため、長男が総額の全額を負担します(2割加算や税額控除がない場合)。
申告期限までに胎児が生まれていない場合は、どう数えますか?
申告期限までに生まれていなければ、胎児がいないものとして申告します。胎児が生まれたものとすると全員に申告義務がなくなる場合は、出生の日の後2か月の範囲で申告期限を延ばせます。
遺言で配偶者が取得する財産にも使えますか?
使えます。遺贈で取得した財産も対象です。遺言で配偶者が取得すると決まっている財産は、遺産分割を待たずに軽減の計算に入れられます。この場合の添付書類は、戸籍謄本等と遺言書の写しです。
配偶者が全財産を相続すれば、相続税はかかりませんか?
課税価格の合計額が1億6,000万円以下なら、配偶者の税額は0円です。ただし、基礎控除を超えるなら申告は必要です。また、二次相続で子の税額が大きくなることがあるため、一次と二次の合計で比べます。
相続を放棄した未成年の子が生命保険金を受け取りました。未成年者控除は使えますか?
使えます。法定相続人かどうかは、相続放棄がなかったものとして判定するためです。亡くなった人が保険料を負担していた生命保険金を放棄した人が受け取ると、遺贈により取得したものとみなされ、相続税の対象になります。ただし、放棄した人は生命保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)を使えません。
代襲相続人になった18歳未満の孫にも、未成年者控除はありますか?
あります。代襲相続人の孫は法定相続人なので対象です。また、代襲相続人の孫は相続税額の2割加算の対象にもなりません。
相続税の申告・納税・税務調査
法定相続情報一覧図を作るのに費用はかかりますか。
法務局での一覧図の写しの交付は無料です。ただし、一覧図を作るには戸籍を集める必要があり、戸籍の交付には市区町村の手数料がかかります(例えば札幌市では戸籍1通450円、除籍・改製原戸籍1通750円)。
遺言だけで財産を分けた場合も、印鑑証明書は必要ですか。
国税庁の一覧では、相続人全員の印鑑証明書は「遺産分割協議書に押印したもの」とされ、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを受ける場合の書類として挙げられています。遺言で取得者が決まり、協議書を作らない場合は、遺言書の写しを添付します。
遺言がある財産も未分割になりますか。
特定の財産を特定の人が取得すると遺言で定めていれば、その財産は遺産分割を待たずに取得者が決まります。配偶者の税額軽減は遺贈で取得した財産も対象なので、申告期限から特例を使いやすくなります。ただし「遺産の2分の1」のような包括遺贈は、受遺者を含めた分割が必要です(遺言がある場合の手続)。
相続放棄をした人も準確定申告をしますか。
4か月の期限を過ぎてしまったらどうなりますか。
相続人が自分の家を担保にして延納できますか。
できます。担保は相続した財産に限らず、相続人自身の財産や第三者の財産でもかまいません。土地や、保険を付けた建物などが担保になります。
クレジットカードで相続税を払えますか。
納付税額が1,000万円未満で、カードの決済可能額以下なら払えます。決済手数料がかかり、金融機関や税務署の窓口ではカードで払えません。
税理士でない人に申告書の作成を頼んでもよいですか。
税理士等でない人が、他人の申告書の作成を業として行うことは禁止されています。国税庁の相続税の申告要否判定コーナーの利用規約にも、この点が明記されています。
税理士に頼めば、相続人は何もしなくてよいですか。
そうではありません。遺産分割の合意は相続人が行うもので、資料の準備にも相続人の協力が必要です。申告書の内容を確認し、提出後は控えを保管しておくことも大切です。
相続手続と民法
相続税がかからない場合も、10か月以内に何か手続が必要ですか
特例を使わずに計算した課税価格の合計額が基礎控除額以下なら、相続税の申告も納税も不要です。小規模宅地等の特例などを使って初めて基礎控除額以下や税額0円になる場合は、申告書を出さないと特例を受けられません。
期限を過ぎてしまうとどうなりますか
手続によって違います。相続放棄は3か月を過ぎると原則として単純承認とみなされます。相続税は、期限後の申告や過少な申告に加算税や延滞税がかかることがあります。相続登記は、法務局からの催告に正当な理由なく応じないと10万円以下の過料の対象になります。
兄弟姉妹が相続人です。戸籍はどうやって集めますか
兄弟姉妹は戸籍の広域交付を使えません。亡くなった人の本籍地の市区町村へ郵送で請求するか、専門職に依頼します。本籍地が複数あるときは、それぞれの市区町村に請求します。
亡くなった人がどこに不動産を持っていたか分かりません
相続放棄をした人も、相続税の申告が必要になることはありますか
あります。放棄した人が生命保険金などのみなし相続財産を受け取ると相続税の課税対象になり、課税価格の合計額が基礎控除額を超えれば申告が必要になることがあります。放棄した人の受取分には非課税枠を使えない点に注意します。
相続人全員が放棄すると、遺産はどうなりますか
遺言書を家庭裁判所の外で開けてしまいました。どうすればよいですか。
家庭裁判所の外で開封すると、5万円以下の過料の対象になります(民法1005条)。開けてしまった場合も、遺言書をそのまま家庭裁判所に提出して検認を受けてください。遺言が有効かどうかは、検認とは別に、遺言の方式や内容によって判断されます。
遺贈を受けたくないときは、どうすればよいですか。
特定遺贈なら、遺言者の死亡後いつでも放棄でき、家庭裁判所の手続はいりません(民法986条)。包括遺贈は相続人と同じ扱いのため、3か月以内に家庭裁判所へ放棄を申述します。申告後に放棄した場合は、ほかの相続人などの税額が変わるため、更正の請求や修正申告が必要になることがあります。
法務局に預けた遺言書のことは、家族に知らされますか。
遺言者が希望していれば、法務局が死亡の事実を確認したときに、遺言者が指定した人(3名まで)に通知されます(指定者通知)。また、相続人などの誰かが遺言書を閲覧したり遺言書情報証明書の交付を受けたりすると、ほかの全ての関係相続人等に通知されます(関係遺言書保管通知)。
子も親もいないため、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹に財産を残さない遺言を書いても、遺留分の心配はありませんか。
遺留分を請求されましたが、すぐに現金を用意できません。
請求を受けた人の求めにより、裁判所が支払に相当の期限を与えることができます(民法1047条5項)。金銭の代わりに不動産を渡すと、渡した人に譲渡所得の課税が生じる点にも注意してください。
祖父の名義のまま何十年も放置している土地はどうすればよいですか。
2024年4月1日より前の相続も対象なので、2027年3月31日(知った日から3年の方が遅ければその日)までに登記が必要です。祖父から父、父から自分へと相続が重なっている場合、父を名義人とする中間の登記には土地の免税措置が使えます。相続人が非常に多く戸籍の収集に時間がかかる事情は、正当な理由の例に挙げられています。
相続登記の期限と相続税の申告期限は同じですか。
違います。相続税の申告は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内、相続登記は取得を知った日から3年以内です。ただし、遺産分割が決まれば相続税の申告にも相続登記にも使えるので、分割協議書を作ったら登記もあわせて申請すると手間が省けます。
生前対策と二次相続
自宅の敷地と賃貸物件の敷地の両方に、特例を使えますか。
使えますが、面積の調整が必要です。貸付事業用宅地等を選ぶと、自宅330㎡と事業用400㎡を合わせた最大730㎡の併用はできません。「事業用の面積×200/400+自宅の面積×200/330+貸付用の面積」が200㎡以下になる範囲で選びます。どの土地を選ぶと有利かは限度面積の調整と有利な選び方で解説しています。
2026年中に買っておけば、2027年以後の相続でも今の評価のままですか。
通達案では、相続・贈与の時から見て5年以内に取得した貸付用不動産が対象です。2026年中に買っても、2027年以後の相続が購入から5年以内であれば、案のとおり確定した場合は新しい評価になります。経過措置で除かれるのは、通達制定日までに、5年を超えて所有する土地等に新築した家屋等などに限られる案です。
再婚した配偶者の子(連れ子)を養子にした場合も、1人の上限に含まれますか。
含まれません。配偶者の実子で被相続人の養子になった人は実子とみなされるため、上限とは別に法定相続人の数に入ります(ほかの普通養子は、引き続き上限の範囲で数えます)。孫養子のような「被相続人の直系卑属が養子になった場合」には当たらず、一親等の血族として扱われるので、2割加算の対象にもなりません。
贈与税
贈与税は、あげた人ともらった人のどちらが払うのですか?
もらった人が申告して納めます。受贈者が納めないときは、贈与者が、贈与した財産の価額を限度に連帯して納付を求められることがあります。贈与者が受贈者の贈与税を代わりに払うと、その分が新たな贈与とされることがあります。
親子や夫婦の間でも贈与税はかかりますか?
かかります。ただし、生活費や教育費を必要な都度、直接渡す場合などは非課税です(贈与税がかからない財産・場合)。
孫の大学の学費を祖父母が払うと、贈与税はかかりますか?
祖父母も扶養義務者に当たるため、必要な都度、学費に直接充てる形なら非課税になりえます。大学へ直接振り込む、請求のたびに必要な額を渡してそのまま支払う、といった方法です。数年分をまとめて渡して預金した分は課税の対象です。
生活費として毎月もらったお金の残りを貯金しています。問題になりますか?
生活費の名目でもらったお金でも、預貯金にした部分は、通常必要な範囲を超えたものとして課税の対象になりえます。必要な額をその都度もらい、生活費に充てることが非課税の前提です。
離婚の財産分与で自宅をもらいました。贈与税はかかりますか?
原則としてかかりません。ただし、分与の額が過当な部分や、税逃れ目的と認められる場合は課税されます。自宅を渡した側には、譲渡所得の申告が必要になることがあります。
孫に贈与するなら、どちらがよいですか。
父について精算課税を選ぶと、母からの贈与も精算課税になりますか。
自宅を夫婦の共有名義にする贈与でも使えますか。
以前の配偶者から配偶者控除を受けたことがあります。再婚相手からの贈与にも使えますか。
2027年1月以後に贈与を受ける予定です。この特例は使えますか。
2026年10月時点の法律では、対象は2026年12月31日までの贈与です。延長されるかどうかは、2026年12月に決定予定の令和9年度税制改正大綱と、その後の法改正で決まります。2027年以後の贈与を予定している場合は、大綱の内容を確認してから判断してください。
親に住宅ローンを繰上返済してもらいました。非課税になりますか。
住宅ローン控除も受けます。借入金の全額が控除の対象になりますか。
全額が対象になるとは限りません。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の対象になる借入金は、住宅の取得対価が上限です。その取得対価からは、この非課税や、住宅取得等資金の精算課税の特例を受けた金額を差し引きます。
国税庁の質疑応答事例は、取得対価4,000万円の家の例です。贈与2,600万円(非課税と精算課税の特例を適用)を全額充て、銀行から2,000万円を借り入れています。この場合の取得対価は4,000万円−2,600万円=1,400万円で、借入金2,000万円のうち控除の対象は1,400万円、残りの600万円は対象外とされています。
30歳になる時点で、まだ大学院に在学しています。口座はどうなりますか。
30歳の時点で学校等に在学中であることを届け出れば、30歳で契約は終わりません。その後は、在学や受講の届出をしなかった年の12月31日か、40歳になった日のいずれか早い日に終わります。終わった時点の残額が贈与税の対象です。
結婚・子育て資金の口座は、今から作っても間に合いますか。
2027年3月31日までの拠出であれば対象です。ただし、50歳到達時の残額には贈与税、贈与者が亡くなった時の管理残額には相続税がかかり、孫の場合は2割加算もあります。使い切れる金額かどうかを考えて拠出額を決めてください。
子どもが小さいうちに贈与し、通帳は親が管理してもよいですか。
幼い子への贈与は、親権者が法定代理人として受諾することで成立しえます。2021年の裁決でも、親権者が受諾し、贈与のために開いた口座に年1回の贈与分だけを入金していた未成年の子の口座は、子の財産と認められました。ただし、お金を出した親が自分のために引き出すなど、管理の実態が親の財産と変わらない場合は、名義預金と判断されるおそれがあります。子が自分で管理できる年齢になったら、通帳などを本人に渡しておくと、管理の実態がはっきりします。
毎年110万円ずつ子の口座に入金していれば安全ですか。
それだけでは安全とは言えません。次の3点を確認してください。
- 子が贈与を知って受け入れ、自分で管理しているか(そうでなければ名義預金になりえます)。
- 最初に総額や期間をまとめて約束していないか。
- 相続や遺贈で財産を取得する子なら、亡くなる前の一定期間の贈与は110万円以下でも相続税に加算されます。
110万円以下の贈与でも、申告しておいたほうがよいですか?
暦年課税で年110万円以下なら、申告は不要です。申告は贈与の事実を示す資料の一つにはなりますが、申告しただけで、親が管理している名義預金が子の財産に変わるわけではありません。大切なのは、あげる・もらうの合意があり、もらった人が自分で管理していることです。
相続・贈与と譲渡所得
配偶者も取得費加算を使えますか?
配偶者の税額軽減で納める相続税がゼロになった場合は使えません。軽減を受けても納める相続税額が残る場合は、その相続税額をもとに計算できます。
相続税の申告をする前に売っても使えますか?
使えます。所得税の確定申告までに相続税の申告が間に合わなければ、相続税の申告後2か月以内に更正の請求をして適用を受けます。
相続した家に住んでいた相続人が、相続税の申告前に売ってもよいですか。
所有者として住んでいれば、3,000万円控除は相続税の申告と関係なく使えます。取得費加算も相続税の申告前の売却に使えます。ただし同居していた子は、相続税の申告期限までに売ると小規模宅地等の特例を使えなくなるため、売る時期を先に検討します。
売って損が出た場合はどうなりますか。
相続税がかからなかった場合でも、空き家特例は使えますか。
使えます。空き家特例の要件に、相続税が課されたことは含まれていません。取得費加算は、原則として相続税額がある人だけが使える特例です(贈与税額控除で納める額が0円になった人は、控除を足し戻した相続税額で判定します)。相続税がかからなかった人は、空き家特例が主な選択肢になります。
分譲マンションに一人で住んでいた親の部屋は対象になりますか。
区分所有建物の登記があるマンションは対象外です。1981年5月31日以前に建てられたものでも使えません。
兄弟3人で共有して相続した家を売る場合、控除はどうなりますか。
家と敷地の両方を相続した3人が、それぞれ空き家特例を使えます。ただし2024年1月1日以後の売却では1人2,000万円が上限です。売却代金が1億円以下かどうかは、3人の売却分を合わせて判定します。
実家の売却代金を兄弟で分けると、贈与税がかかりますか。
換価分割は遺産分割の方法の一つです。遺産分割で取り決めた割合どおりに代金を分けるなら、遺産分割による取得なので贈与にはあたりません。各相続人は、自分の持分について譲渡所得を申告します。取り決めは遺産分割協議書に書いておきます。
代償金を受け取った人に、譲渡所得はかかりますか。
かかりません。代償金を受け取った人は不動産を手放していないためです。代償金は、受け取った人の相続税の課税価格に加わります。代償として不動産を受け取った場合は、その不動産の取得費が受け取った時の時価になる点に注意します。
遺留分をお金で払うために、相続した土地を売った場合はどうなりますか。
第三者に売った代金で払う場合は、通常の売却として、売った人に譲渡所得が生じます。相続で取得した土地なら、亡くなった人の取得費と取得時期を引き継ぎ、要件を満たせば取得費加算も使えます。
個人に安く売った場合、売った人の税金も時価で計算されますか。
いいえ。個人への売却は、実際に受け取った代金で計算します。ただし時価の2分の1未満で売って譲渡損失が出た場合は、その損失はなかったものとされます。買った人には時価との差額に贈与税がかかります。
限定承認で納めた所得税は、相続税の計算で差し引けますか。
差し引けます。準確定申告で納める所得税は亡くなった人に課される税金として、相続税の債務控除の対象になります。
配偶者が亡くなって配偶者居住権が消えたら、子に贈与税はかかりますか。
かかりません。配偶者の死亡による消滅は贈与税の対象外です。配偶者居住権は配偶者の死亡で消滅するため、二次相続で相続される財産にはならないとされています(配偶者の相続と二次相続)。
ローン付きの家を子に贈与すると、親にも税金がかかりますか。
引き継がせたローンの額が親の取得費と譲渡費用の合計を上回れば、親に譲渡所得の税金がかかります。子には、通常の取引価額からローンの額を引いた額に贈与税がかかります。
相続した実家(自分は住んでいない)を売って損が出ました。給与と相殺できますか。
相続税の申告前に会社に売っても、特例を使えますか。
使えます。売却できる期間は相続開始の日の翌日から始まり、届出書には納付すべき相続税額の見積額を書いて出せます。
会社が買い取った後、残った株主の株価の評価に影響はありますか。
影響することがあります。会社が持つ自己株式には議決権がないため、残る株主の議決権割合が上がり、評価方式の判定が変わる場合があります。判定の方法は評価方式の判定:株主の区分で確認できます。
非上場株式(自社株)の評価
2026年3月に亡くなった父の株式を、9月に評価しています。38%で計算しますか?
37%で計算します。割合は取得日(相続では亡くなった日)で決まり、評価や申告をする日では決まりません。評価明細書も「令和6年1月1日以降用」を使います。
無配の会社の株式を従業員が取得した場合、評価額はゼロですか?
ゼロにはなりません。無配でも年配当金額を2円50銭として計算します。1株当たりの資本金等の額が500円なら、2.5円÷10%×500円÷50円=250円です。
後継者個人に売るときも、59-6の時価で考えますか?
個人間の売買には、所得税法59条1項のみなし譲渡は適用されません。売り手は、実際の対価で譲渡所得を計算します。ただし、時価の2分の1未満で売って損失が出た場合、その損失はなかったものとみなされます。
買い手には、時価との差額にみなし贈与(相続税法7条)の問題があります。この時価は相続税評価額で、買い手の取得後の議決権で判定します。少数株主に当たる買い手が配当還元価額で買えば差額は生じませんが、同族株主が配当還元価額で買えば、原則的評価額との差額がみなし贈与になります。
時価の2分の1以上の価格なら、問題はありませんか?
所得税法59条1項2号は適用されません。ただし、同族会社への譲渡で所得税法157条(同族会社等の行為計算の否認)に当たれば、時価で計算されることがあります(所基通59-3)。また、時価より低く買った法人には、受贈益の問題があります。
発行会社(自分の会社)に買い取ってもらう場合はどうなりますか?
発行会社も法人なので、時価の2分の1未満なら所得税法59条1項2号の対象になり、時価は59-6で判定します。受け取る金額は、原則としてみなし配当と譲渡所得に分かれます。相続で取得した株式を一定の期限までに売る場合の特例は、相続した自社株を会社に売る(金庫株)で説明しています。
札幌・北海道の相続ガイド
2026年3月に亡くなりました。令和7年分と令和8年分のどちらの路線価を使いますか。
令和8年分です。2026年中の相続には、2026年7月1日に公表された令和8年分を使います。2026年中に亡くなった人の申告期限は早くても2026年11月なので、公表後に評価して申告できます。
父は札幌市中央区宮の森に住んでいました。相続人の私は東京在住です。相続税の申告書はどこに出しますか。
札幌西税務署です。提出先は亡くなった人の住所地の税務署で、宮の森は札幌西税務署の管轄です。相続人が道外に住んでいても変わらず、e-Taxや郵送でも提出できます(道外・海外に住む相続人がいる場合)。
母の自宅は北区にありました。相続登記はどこに申請しますか。
札幌法務局北出張所(北区北31条西7丁目)です。札幌法務局の本局も北区にありますが、本局が扱う不動産登記は中央区の不動産だけです。
札幌市以外(江別市や小樽市など)にある実家の場合は?
確認書は家屋があった市区町村が交付するため、その市町村の担当窓口に申請します。様式や必要書類は各市町村の案内で確認してください。
道外に住んでいて札幌市の窓口に行けません。
札幌市は郵送での申請を受け付けています。切手を貼った返信用封筒を同封すれば、確認書を郵送で受け取れます。
制度改正の履歴
相続税・贈与税・譲渡所得・財産評価と、相続手続(民法・登記)の主な改正を、施行日・適用開始日の順にまとめました。状態のラベルは2026年(令和8年)10月17日時点のものです。
この章の結論
- どのルールが使われるかは、申告や手続をする日ではなく、亡くなった日・贈与を受けた日・売った日で決まります。
- 2024年(令和6年)は、生前贈与加算の期間の延長、相続時精算課税の年110万円、マンション評価の見直し、相続登記の義務化が始まった大きな節目です。
- 2027年(令和9年)は生前贈与加算の期間が伸び始め、防衛特別所得税も始まります(譲渡所得の合計税率は不変)。貸付用不動産の評価の見直しは、2026年10月時点では通達案です。
改正履歴の読み方:どの日付で判定するか
税金の改正の多くは「○年1月1日以後に相続・遺贈・贈与により取得する財産」のように、財産を取得した日で新旧のルールを分けています。相続なら亡くなった日、贈与なら贈与を受けた日で、申告書を出す日ではありません。
たとえば自社株の評価で使う法人税額等相当額は、2026年4月1日以後に取得した株式なら38%、3月31日以前の取得なら37%です。申告書や評価明細書の様式も、亡くなった年や取得日で使い分けます。譲渡所得の特例は、売った日で判定します。
よくある誤り
- 「生前贈与の加算はもう7年」は誤りです。2026年中の相続は3年で、7年になるのは2031年(令和13年)1月1日以後の相続からです。
- 「押印のない自筆証書遺言も有効になった」は誤りです。押印を任意にする改正法は成立していますが、2026年10月時点では施行されていません。
- 「2027年から譲渡所得の税率が上がる」も誤りです。内訳が変わるだけで、合計の税率は同じです。
2015年〜2019年(平成27年〜令和元年):基礎控除の引下げと相続法の改正
国税庁は、2024年分の申告書を提出した被相続人の数・課税価格・税額が、いずれも基礎控除が引き下げられた2015年分以降で最高と公表しています(2024年分の課税割合は10.4%)。
| 施行・適用開始 | 改正の内容 | 状態 | 詳しい章 |
|---|---|---|---|
| 2015年1月1日以後の相続 | 相続税の基礎控除の引下げ(現在は3,000万円+600万円×法定相続人の数) | 施行中 | 基礎控除 |
| 2015年1月1日以後の相続 | 小規模宅地等:特定居住用宅地等を240㎡から330㎡に拡大し、特定事業用等(400㎡)と合わせて730㎡まで併用可能に | 施行中 | 小規模宅地等の特例 |
| 2017年(平成29年)1月1日以後の相続・贈与 | 非上場株式の評価:会社規模の基準を見直し、大会社・中会社の範囲を拡大。類似業種比準方式の比重を配当1:利益3:純資産1から1:1:1にし、類似業種の株価に2年間の平均を追加 | 施行中 | 類似業種比準方式 |
| 2017年5月 | 法定相続情報証明制度の開始。戸籍の束の代わりに使える一覧図の写しを、法務局が無料で交付 | 施行中 | 戸籍と法定相続情報 |
| 2018年(平成30年)1月1日以後の相続・贈与 | 地積規模の大きな宅地の評価を新設(三大都市圏は500㎡以上、それ以外は1,000㎡以上)。旧「広大地」の評価は廃止 | 施行中 | 地積規模の大きな宅地 |
| 2018年1月1日以後の贈与・相続等 | 法人版事業承継税制の特例措置。最初の贈与・相続等が2027年12月31日までのものが対象 | 期限あり | 事業承継税制 |
| 2018年4月1日以後の相続 | 小規模宅地等:家なき子の要件を厳格化(3親等内の親族や関係する法人が所有する家に住む人などを除外)。貸付事業用宅地等から相続開始前3年以内に貸し始めた宅地を除外(3年を超える事業的規模の貸付けは例外) | 施行中 | 家なき子特例 |
| 2019年1月1日以後の贈与・相続等 | 個人版事業承継税制(個人の事業用資産の納税猶予)の創設。2028年(令和10年)12月31日までが対象で、特定事業用宅地等の小規模宅地等の特例とは併用不可 | 期限あり | 事業承継税制 |
| 2019年1月13日 | 自筆証書遺言の財産目録を、パソコンでの作成や通帳のコピーの添付で作れるように(各ページに署名・押印が必要) | 施行中 | 遺言の種類 |
| 2019年4月1日以後の相続 | 小規模宅地等:特定事業用宅地等から相続開始前3年以内に事業に使い始めた宅地を除外(建物・設備などの価額が宅地の価額の15%以上の事業は例外) | 施行中 | 特定事業用宅地等 |
| 2019年7月1日 | 相続法の改正:遺留分は金銭で求める遺留分侵害額請求に。特別寄与料、遺産分割前の預貯金の払戻し(1金融機関150万円まで)、婚姻20年以上の夫婦の居住用不動産の持戻し免除の推定も開始 | 施行中 | 遺留分 |
2020年〜2023年(令和2年〜5年):配偶者居住権・18歳・国庫帰属
| 施行・適用開始 | 改正の内容 | 状態 | 詳しい章 |
|---|---|---|---|
| 2020年4月1日以後の相続 | 配偶者居住権(配偶者が自宅に原則として終身、無償で住み続けられる権利)の創設と、その相続税評価の方法(相続税法23条の2) | 施行中 | 配偶者居住権の評価 |
| 2020年7月10日 | 法務局の自筆証書遺言書保管制度の開始(保管の申請は3,900円、家庭裁判所の検認は不要) | 施行中 | 遺言の種類 |
| 2022年(令和4年)4月1日以後の相続・贈与 | 成年年齢の引下げに合わせ、年齢基準を20歳から18歳に。未成年者控除は18歳未満の人が対象、特例税率・相続時精算課税・住宅取得等資金の非課税は18歳以上の受贈者が対象 | 施行中 | 未成年者控除 |
| 2023年4月1日 | 遺産分割で特別受益・寄与分を主張できるのは、原則として相続開始から10年まで | 施行中 | 遺産分割 |
| 2023年4月27日 | 相続土地国庫帰属制度の開始(審査手数料は1筆14,000円、負担金は原則20万円) | 施行中 | 国庫帰属制度 |
2024年〜2025年(令和6年〜7年):生前贈与・マンション評価・相続登記
2024年は、令和5年度税制改正による生前贈与の見直しが始まった年です。同じ贈与でも、2023年までに受けたものと2024年以後に受けたもので、相続のときの扱いが変わります。
| 施行・適用開始 | 改正の内容 | 状態 | 詳しい章 |
|---|---|---|---|
| 2024年1月1日以後の贈与 | 暦年課税の生前贈与加算を3年から7年に延長。相続開始日に応じて段階的に延び、延長された4年分の贈与は合計から100万円を控除して加算 | 施行中 | 生前贈与加算 |
| 2024年1月1日以後の贈与 | 相続時精算課税に年110万円の基礎控除。110万円以下なら贈与税の申告は不要で、相続財産にも加算されない | 施行中 | 相続時精算課税 |
| 2024年1月1日以後の災害 | 精算課税で贈与を受けた土地・建物が災害で一定以上の被害を受けたとき、相続時に加算する価額を減らせる特例 | 施行中 | 精算課税の精算 |
| 2024年1月1日以後の相続・贈与 | マンション(居住用の区分所有財産)の評価に区分所有補正率を導入。評価額が市場価格の6割未満と推計される物件は、6割の水準まで引き上げ | 施行中 | マンションの評価 |
| 2024年1月1日以後の贈与 | 住宅取得等資金の非課税(2026年12月31日まで)。新築の省エネ等住宅は、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上に | 期限あり | 住宅取得等資金 |
| 2024年1月1日以後の譲渡 | 空き家の3,000万円特別控除:家屋と敷地を取得した相続人が3人以上なら各2,000万円に。買主が翌年2月15日までに耐震改修・取壊しをする場合も対象に | 期限あり | 空き家の特別控除 |
| 2024年3月1日 | 戸籍証明書の広域交付。本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できる(兄弟姉妹・代理人は不可) | 施行中 | 戸籍と法定相続情報 |
| 2024年4月1日 | 相続登記の申請義務化。取得を知った日から3年以内、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料。施行前の相続は、2027年3月31日か知った日から3年のいずれか遅い日まで | 施行中 | 相続登記 |
| 2025年5月26日 | 戸籍に氏名の振り仮名を記載(届出期間は2026年5月25日で終了し、以後は職権で記載) | 施行中 | 戸籍と法定相続情報 |
| 2025年10月1日 | 公正証書のデジタル化(ウェブ会議での手続、電子データの原本)。公証人手数料も改定し、遺言加算は13,000円に | 施行中 | 遺言の種類 |
2026年:38%・新様式・住所変更登記
2026年は、令和8年度税制改正(2026年3月31日成立・公布)の施行と、登記制度の見直しが重なった年です。令和8年度改正では、基礎控除・税率・小規模宅地等の特例・相続時精算課税・生前贈与加算は変わっていません。
| 施行・適用開始 | 改正の内容 | 状態 | 詳しい章 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月2日 | 所有不動産記録証明制度の開始。相続人は亡くなった人名義の不動産の一覧を請求できる(登記の住所が古いと漏れることがある) | 施行中 | 財産の調べ方 |
| 2026年3月31日 | 教育資金の一括贈与の非課税が新規適用終了。4月1日以後の拠出は対象外で、既存の契約には30歳到達時などの課税が残る | 新規適用終了 | 教育資金 |
| 2026年4月1日 | 住所等変更登記の申請義務化。変更から2年以内、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料(施行前の変更は2028年3月31日まで) | 施行中 | 住所変更登記 |
| 2026年4月1日以後の相続・遺贈・贈与 | 自社株の純資産価額で控除する法人税額等相当額を37%から38%に。評価明細書は「令和8年4月1日以降用」を新設 | 施行中 | 純資産価額方式 |
| 2026年4月1日 | 事業承継税制の計画の提出期限を延長(法人版の特例承継計画は2027年9月30日、個人版は2028年9月30日まで)。贈与・相続の適用期限は延長なし | 期限あり | 事業承継税制 |
| 2026年中の相続 | 相続税の申告書の様式を変更し、控用の様式を廃止。2026年中に亡くなった人の申告は令和8年分用を使う | 施行中 | 申告書の様式 |
| 2026年4月20日〜 | 国税庁の有識者会議が非上場株式の評価方法の見直しを議論。8月に残余利益方式への一本化などの骨子を示したが、適用時期は未定 | 検討中 | 評価方法の見直し |
| 2026年6月24日公布 | 遺言制度の見直し(令和8年法律第45号)。押印の任意化は2027年6月まで、パソコン等で作り法務局が保管する保管証書遺言の創設は2029年(令和11年)6月までに施行 | 成立・施行待ち | 遺言の種類 |
| 2026年9月1日 | 令和9年度税制改正要望の公表。住宅取得等資金の非課税、事業承継税制、空き家の特別控除、死亡保険金の非課税限度額などが対象 | 要望段階 | 改正トラッカー |
| 2026年9月18日 | 貸付用不動産・不動産小口化商品の評価の見直しについて通達案を公表(意見公募は10月18日まで)。2027年1月1日以後の相続・遺贈・贈与から適用予定 | 通達案 | 評価の見直し(通達案) |
2027年の予定と、その先の日程
2026年10月時点で決まっている2027年以後の改正と、まだ確定していない見直しを時期の順に並べました。
- 2026年12月(予定)令和9年度税制改正大綱の決定。住宅取得等資金の非課税(2026年12月31日まで)や事業承継税制の特例措置などの、期限後の扱いが決まります。要望段階
- 2027年1月1日以後の相続生前贈与加算の対象が、2024年1月1日以後の贈与に広がり始めます(延長部分の100万円控除は、相続開始が2027年1月2日以後の場合に関係)。施行中
- 2027年1月1日以後の相続・贈与課税時期前5年以内に取得・新築した貸付用不動産と、取得の時期を問わず不動産小口化商品を、通常の取引価額で評価する見直し(予定。最終の内容と制定日は国税庁の公表で確定)。通達案
- 2027年分以後防衛特別所得税(所得税額の1%)の創設と、復興特別所得税の1.1%への引下げ・2047年(令和29年)分までの延長。譲渡所得の合計税率は変わりません。成立・施行待ち
- 2027年分以後極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置を、控除額1億6,500万円・税率30%に見直し(2025年・2026年分は3億3,000万円・22.5%)。成立・施行待ち
- 2027年6月まで(政令で定める日)自筆証書遺言などの押印を任意にする改正の施行。施行までは、全文・日付・氏名の自書と押印が必要です。成立・施行待ち
- 2031年1月1日以後の相続生前贈与加算の期間が、相続開始前7年以内になります。施行中
2027年には、3月31日に結婚・子育て資金の一括贈与と相続登記の登録免許税の免税、9月30日に特例承継計画の提出、12月31日に事業承継税制の特例措置と空き家の特別控除の期限が来ます。期限の一覧は期限の早見表と改正トラッカーで確認できます。
他の税金との関係
- 生前贈与加算の延長は、暦年課税と相続時精算課税の選び方に影響します:暦年課税と相続時精算課税の選び方
- 防衛特別所得税の創設後も、相続した土地や株式を売るときの合計税率は変わりません:譲渡所得の仕組み
- 貸付用不動産の評価の見直し(通達案)は、賃貸物件を使った相続対策に影響します:賃貸物件と2027年の見直し
専門家向け:根拠と実務論点
主な根拠
- 税制:所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)、令和5年改正法附則19条(生前贈与加算の経過措置)、相続税法21条の11の2・措置法70条の3の2(精算課税の基礎控除)、措置法70条の3の3(災害時の再計算)、措置法41条の19(適正化措置)、防衛財確法。
- 評価:評基通20-2、令和5年9月28日付課評2-74ほか(居住用の区分所有財産)、令和8年3月25日付課評2-28ほか(評基通186-2)、令和8年6月26日付課評2-46ほか(評価明細書)、「貸付用不動産の評価について(案)」(e-Gov案件番号410080055)。
- 民法・登記:平成30年法律第72号(相続法)・第73号(遺言書保管法)、令和3年法律第24号(民法904条の3、不動産登記法76条の2・76条の5)、不動産登記法119条の2、相続土地国庫帰属法、戸籍法120条の2、令和8年法律第45号。
実務上の論点
- 38%への改正に経過措置の明文はなく、取得日で37%と使い分けます。評価明細書は、2024年1月1日〜2026年3月31日の取得なら「令和6年1月1日以降用」です。
- マンション評価の係数(3.220など)は、2026年10月時点で改正されていません。通達の趣旨は、固定資産税の評価替えに合わせた見直しを想定しています。
- 貸付用不動産の通達案は、経過措置の基準日を「通達制定日」としており、2026年10月17日時点では未定です。最終の通達で文言や数値が変わる可能性があります。
- 旧「広大地」の評価は2017年12月31日までの相続等に適用されます。小規模宅地等の旧限度面積(居住用240㎡)で計算した古い記載例は、2015年以後の相続には使えません。
ジェイスタート会計事務所は、公認会計士・税理士の事務所として、生前対策から相続税の申告、不動産の売却、会社・事業の次世代への引き継ぎまでを支援しています。ご相談の内容は守秘義務のもとで取り扱います。
- 相続税・贈与税・譲渡所得税の申告
- 土地の評価(不整形地補正・小規模宅地等の特例)
- 非上場株式の評価・同族会社の自社株集約
- 生前対策・相続時精算課税の活用
- 不動産売却における特別控除の適用
- 事業承継税制のご提案と活用
相続税の申告期限は10か月。特例の適用は期限内申告が前提です。まずは期限とご状況をお知らせください。初回のご相談は無料です。お問い合わせには原則として翌営業日までにお返事します。
このページの出典・参考資料(39件)
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 相続税の申告のしかた(令和8年分用)
- 国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
- e-Gov法令検索 国税通則法10条
- e-Gov法令検索 民法143条
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 法務省 相続登記の申請義務化について
- 財務省 令和8年度税制改正の解説(相続税・贈与税関係)
- 財務省 令和9年度税制改正要望
- 国税庁 No.4152 相続税の計算
- 国税庁 No.4155 相続税の税率
- 国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
- 国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
- 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
- 国税庁 No.4508(住宅取得等資金の非課税)
- 国税庁 No.3223(譲渡所得の特別控除の限度額)
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱(防衛特別所得税)
- 国税庁 No.4124 小規模宅地等の特例
- 国税庁 No.4614 貸家建付地の評価
- 国税庁 財産評価基本通達の一部改正(令和8年3月25日付)
- 国税庁 タックスアンサー No.3270(相続や贈与で取得した資産の取得費・取得時期)
- 国税庁 財産評価基本通達 第1章 総則
- e-Gov 国税庁「貸付用不動産の評価について(法令解釈通達)(案)」
- e-Gov法令検索 民法
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱「二 資産課税」
- 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- 国税庁 令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
- 国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要
- 国税庁 No.4609(地積規模の大きな宅地の評価)
- 国税庁 No.4667(居住用の区分所有財産の評価)
- 国税庁 取引相場のない株式の評価に関する有識者会議
- 法務省 民法(相続法)の改正
- 法務省 自筆証書遺言書保管制度
- 法務省 住所等変更登記の申請義務化
- 法務省 所有不動産記録証明制度
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の概要
- 法務省 民法等の一部を改正する法律(遺言制度の見直し)
このページは、2026年10月17日時点で確認できた法令・通達・国税庁などの公表資料にもとづく一般的な解説です。税制や運用は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なる場合があります。実際の申告・手続の際は、最新の公表資料を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。
計算例・設例の数値は説明のための仮定です。計算ツールの結果は概算で、正確性や個別の結果を保証するものではありません。確定度ラベル(施行中・成立・施行待ち・通達案・検討中・要望段階など)は2026年10月17日時点の状態を示します。
最終確認日:2026年10月17日 作成:ジェイスタート会計事務所(公認会計士・税理士)
