ふるさと納税で自己負担を2,000円に抑えられる上限額は、住民税所得割額の2割を軸に、収入・家族構成・ほかの控除によって一人ひとり変わります。ワンストップ特例は、確定申告が不要な人が寄附先5自治体以内で使える手続きで、確定申告をすると無効になる点に注意が必要です。
この記事の結論
上限額は「住民税所得割額の2割」を軸に、所得税率と控除の状況で決まります。ワンストップ特例は条件を満たす給与所得者などの手続きで、確定申告をする年は申告書に寄附金控除を記載し直します。
- 上限額の範囲内なら、控除の合計は「寄附額−2,000円」になる
- 医療費控除やiDeCoの掛金など所得控除が増えると、上限は下がる
- ワンストップ特例は寄附先5自治体以内、申請は寄附した翌年の1月10日まで
- 個人事業主は特例を使えず、12月の駆け込み寄附は上限のぶれに注意
- 2027年の寄附分からは、住民税の特例分に193万円の定額上限が加わる
ふるさと納税の上限額はどう決まる?
ふるさと納税の控除は、所得税の寄附金控除と住民税の控除の組み合わせでできています。上限額の範囲内なら、控除の合計は「寄附額−2,000円」になり、自己負担は年間の寄附の合計に対して2,000円で済みます。
| 控除の種類 | しくみ |
|---|---|
| 所得税の寄附金控除 | 寄附額から2,000円を引いた額を所得から差し引き、所得税率の分だけ所得税が減る |
| 住民税の基本分 | 寄附額から2,000円を引いた額の10%が、翌年度の住民税から差し引かれる |
| 住民税の特例分 | 上の2つで控除しきれない残りを埋め、控除の合計が「寄附額−2,000円」になるように差し引かれる。上限は住民税所得割額の2割 |
上限額を決めているのは、3つ目の特例分の上限です。自己負担2,000円で済む寄附額の目安は、住民税所得割額の2割を出発点に考えます。所得が多いほど、また所得控除が少ないほど住民税所得割額は大きくなり、上限も大きくなります。
所得税率が高い人ほど、所得税で控除される割合が大きくなるため、同じ住民税所得割額でも寄附の上限額は高くなります。上限を超えた部分は特例分が頭打ちになり、その分だけ自己負担が増えます。
計算例:住民税の特例分の上限
例えば、住民税の所得割額が20万円の人の場合、特例分の上限は次のとおりです。
200,000円×20%=40,000円
実際の寄附の上限額は、この4万円に、所得税と住民税基本分による控除と自己負担の2,000円を加えた水準になるため、4万円より大きくなります。加わる額は所得税率によって変わるので、具体的な金額は計算ツールで確認してください。
ツールふるさと納税の上限額の目安を計算する収入や控除の状況から、自己負担2,000円で収まる寄附額の目安を試算できます。計算する
制度の全体像や寄附の流れから確認したい場合は、ふるさと納税の基本ガイド(初めての人向け)もあわせてご覧ください。
上限額が下がるのはどんなとき?
上限額は、寄附した年の1月1日から12月31日までの所得で決まり、住民税は翌年度分から差し引かれます。前の年の源泉徴収票だけで試算すると、寄附する年の収入や控除の変化を反映できません。
| 変化 | 上限額への影響 |
|---|---|
| 医療費控除・iDeCoの掛金・生命保険料控除などの所得控除が増える | 課税所得と住民税所得割額が減るため、上限は下がる |
| 配偶者控除・扶養控除の対象になる家族が増える | 所得控除が増えるため、上限は下がる |
| 年の途中の退職・転職・休職、育児休業 | 収入が減ると、上限も下がる |
| 住宅ローン控除(税額控除)を受けている | 所得税から控除しきれない部分が出ると、自己負担が2,000円を超えることがある |
| 個人事業の利益が増減する | 年末まで所得が確定しないため、見込みとのずれが出やすい |
令和8年分は、所得税の基礎控除(合計所得489万円以下の人は104万円など)や、給与所得控除の最低保障額(74万円)が見直されました。住民税も、令和9年度分から給与所得控除の最低保障額が69万円(令和9・10年度分は特例で74万円)に変わります。2026年中の寄附は、令和8年分の所得税と令和9年度分の住民税で控除されるため、前の年の試算結果をそのまま使わず、新しい条件で試算し直しましょう。
無料ツール所得税額と税率を速算表で確認する課税所得から所得税額と適用される税率を確認でき、上限額の見当をつけるのに役立ちます。計算する
ワンストップ特例を使える人と手続きは?
ワンストップ特例は、確定申告をしなくても、ふるさと納税の控除を住民税からまとめて受けられる仕組みです。使えるのは、次の条件をすべて満たす人です。
- もともと確定申告をする必要がない給与所得者など
- 1年間(1月1日〜12月31日)の寄附先が5自治体以内(同じ自治体に何回寄附しても1自治体と数える)
- 寄附のたびに、寄附先の自治体へ申請書を提出している(オンライン申請に対応する自治体もある)
- 寄附のときに特例の申請を選ぶ申込みの際に特例の申請を希望すると、申請書が届くか、オンライン申請の案内が届きます。
- 申請書を記入するマイナンバーと、本人確認のための書類(マイナンバーカードの写しなど)を添えます。
- 翌年1月10日までに届ける2026年中の寄附なら、2027年1月10日までに寄附先へ届くように提出します。申請後に住所や氏名が変わったときの変更届出書も、同じ期限です。
- 住民税の通知で確認する翌年度の住民税の決定通知書で、寄附金税額控除が反映されているかを確認します。
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 使える人 | 確定申告が不要な給与所得者など | 条件なし |
| 寄附先の数 | 5自治体以内 | 制限なし |
| 手続き | 寄附のたびに申請書を寄附先へ提出 | 申告書に寄附金控除を記載し、寄附の証明書とあわせて提出 |
| 控除される税 | 翌年度の住民税のみ(所得税の分も住民税から差し引かれる) | 寄附した年分の所得税と、翌年度の住民税 |
| 期限 | 寄附した翌年の1月10日 | 確定申告の期限(令和8年分は2027年2月16日〜3月15日) |
6自治体以上に寄附した場合や、申請を出し忘れた場合でも、確定申告で寄附金控除を申告すれば控除自体は受けられます。期限や手続きの細かな点は、寄附先の自治体の案内で確認してください。
確定申告をするとワンストップ特例はどうなる?
見落とされやすいのがこの点です。医療費控除や住宅ローン控除の1年目などの理由で確定申告をすると、提出済みのワンストップ特例の申請はすべて無効になります。
その場合は、確定申告書に、その年のふるさと納税をすべて寄附金控除として記載し直します。記載を忘れると、ふるさと納税分の控除が丸ごと抜け落ち、ただ寄附しただけの状態になってしまいます。
申告には、自治体が発行する寄附金受領証明書のほか、ポータルサイトが発行する年間の寄附の証明書(寄附金控除に関する証明書)も使えます。e-Taxで申告すると証明書のデータを読み込めるため、寄附先が多い人ほど入力の手間を減らせます。
書き忘れに気づいたら、更正の請求で直せる
寄附金控除を書き忘れたまま確定申告書を提出した場合は、更正の請求(原則として法定申告期限から5年以内)で控除を追加できます。寄附の証明書は、申告が終わるまでなくさないように保管しておきましょう。
個人事業主や副業がある人は何に注意する?
個人事業主は毎年確定申告をするため、ワンストップ特例は使えません。寄附の証明書をそろえ、申告書に漏れなく反映させます。副業などで確定申告が必要な給与所得者も同じです。
12月の駆け込み寄附は上限のぶれに注意
給与所得者と違い、個人事業主の所得は年末まで確定しません。例えば11月までの利益のペースで上限を見積もって12月に寄附したところ、年末に大きな経費の支払いが発生して所得が減り、上限が想定より下がって自己負担が増える、ということが起こりえます。
青色申告特別控除(令和8年分は最大65万円、令和9年分からは要件を満たすと最大75万円)も所得を減らすため、上限の試算では控除後の所得で考えます。余裕を持たせた金額にとどめる、決算の見通しがある程度固まってから寄附する、といった工夫が現実的です。
年末ぎりぎりの寄附は、決済方法によっては受領日が翌年になり、別の年の寄附として扱われることがあります。寄附日の扱いは寄附先やポータルサイトの案内で確認しておきましょう。申告までの流れは個人事業主の年間スケジュールで確認できます。
利益の着地見込みにあわせて上限額を試算したい個人事業主の方は、決算の見通しとあわせて初回無料でご相談いただけます。
無料で相談する返礼品の税金や制度の見直しで知っておきたいことは?
返礼品を受け取った経済的な利益は、一時所得に当たります。生命保険の満期金などほかの一時所得と合計して特別控除額を超える場合は、申告が必要になることがあります。
制度の見直しも続いています。2025年10月1日からは、寄附に伴ってポイントを付与するポータルサイトなどを通じた募集が禁止されました。また、2027年の寄附分(令和10年度分以後の住民税)からは、住民税の特例分に193万円の定額上限が設けられ、住民税所得割額の2割と比べて低いほうが上限になります。この定額上限が関係するのは所得が非常に高い人で、多くの人の上限額は従来どおり所得割額の2割で決まります。
札幌市にお住まいの場合
札幌市のような政令指定都市では、住民税(標準税率10%)が市民税8%・道民税2%に分かれます。2027年の寄附分から設けられる193万円の定額上限も、札幌市民の場合は道民税分38.6万円と市民税分154.4万円に分かれて適用されます。
よくある質問
上限額を超えて寄附するとどうなりますか?
超えた部分は控除されず、その分だけ自己負担が増えます。上限内の部分の控除がなくなるわけではないので、返礼品の内容と自己負担の増加を比べて判断します。
共働きの夫婦は、どちらの名義で寄附すればよいですか?
控除を受けられるのは、寄附した本人(寄附の証明書の名義人)です。上限額はそれぞれの所得で決まるため、寄附者の名義と決済に使うカードなどの名義をそろえ、各自の上限の範囲で寄附します。
年金を受け取っている人もワンストップ特例を使えますか?
公的年金の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下の人は、原則として所得税の確定申告が不要なため使えます。医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は特例が無効になるので、申告書に寄附金控除を記載します。
ワンストップ特例の申請後に引っ越した場合はどうしますか?
寄附した翌年の1月10日までに、寄附先の自治体へ変更届出書を提出します。期限に間に合わなかった場合は、確定申告で寄附金控除を申告します。
自己負担の2,000円は、寄附先ごとにかかりますか?
かかりません。年間の寄附の合計額から2,000円を差し引いて控除額を計算するため、上限額の範囲内であれば、複数の自治体に寄附しても自己負担は合計で2,000円です。
まとめ
ふるさと納税の上限額は、住民税所得割額の2割を軸に、所得税率や所得控除の状況で決まるため、寄附する年の収入と控除で試算し直すことが大切です。ワンストップ特例は5自治体以内・翌年1月10日までが条件で、確定申告をする年は申告書に寄附金控除をすべて記載します。個人事業主は利益の見通しが固まってから、余裕を持った金額で寄附しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
